「でやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」
紅い弾丸のような突貫の圧力で巻き起こる気流に黒衣を靡かせながら
空間を疾駆するシャナ。
そして大上段に構えた戦慄の美を流す白刃が唸りをあげて、
サムシング・ブルーのウェディングドレスをその身に纏った一体の武装燐子の
頭蓋に向けて振り降ろされる。
ギィィィィンッッ!!
「!!」
しかし、今度呼び出された武装燐子は先程のものをより強力に
改造(カスタマイズ)したモノだったようだ。
高速で繰り出されるシャナの斬撃に反応した。
大刀と細剣(サーベル)とがブツかり合い金属の軋る音が空間に鳴り響く。
だが。
「だああああああああああああああああああッッ!!」
即座にシャナは槌落の斬撃を武器破壊の斬撃へと変換し、
全身の膂力を利用して搾力を贄殿遮那の刀身へと捻じ込む。
その影響で強度で劣る燐子の白刃はやがてバラバラに砕け散る。
すぐさまにヴェールを被った無防備のその頭蓋に贄殿遮那の本刃が叩き込まれた。
音もなく斬り裂かれていく燐子の身体内部で斬撃が音速に達した為、
次の刹那衝撃波が巻き起こり真っ二つに両断された燐子が爆風で跡形もなく吹き飛ぶ。
その後で到来した炸裂の破壊音が紅世の王”狩人”フリアグネが言う処の
戦闘組曲第二楽章開幕のベルだった。
大刀を振り下ろしたままの体勢で俯くシャナの背後から、
すぐさまに様々な色彩のウェディング・ドレスを身に纏った燐子7体が一斉に
細剣(サーベル)を振り上げて襲いかかる。
ガギィィィィッッ!!
今度はシャナが背後から襲いかかる無数の武装燐子の斬撃の剣林を、
背を向けたままの姿勢で左手を大刀の峰に押し当てて全て受け止める。
そして。
「ぜえぇぇぇッッ!!」
息吹と共に全身の筋力と更に体内のソレまで使って生み出された、
その小さな躰からは想像もつかない程強烈な灼熱の剣気がシャナの全身と
贄殿遮那の刀身から喚き起こる。
吼えるフレイムヘイズ、炎髪灼眼の討ち手灼熱の剣気を武器を透して
そのクローム樹脂の身体に叩き込まれた武装燐子の群は、
まるで破壊振動波を喰らったかのような衝撃をその身に受け
全て後方に弾き飛ばされた。
すぐさまに後方に向き直ったシャナは、右手の柄頭を基点に大刀を円環状に
回転させ自分の上半身の周囲に遍く無数の剣輪を河面に浮かぶ波紋のように造り出した。
周囲に鋭い剣の旋風が巻き起こり、その動作を警戒した強化型武装燐子達が
二の足を踏む。
その敵に対する威嚇と同時にその回転運動によって生まれた遠心力を
肩と肘とに集束させ、少女は素早く大刀を返して揺らめく炎髪と共に背に流す。
そして執るその構えは左肩をやや前面に押しだし、
後ろ足を斬撃と同時に送り出す古流剣術で言う処の「車の構え」
ソレを己の超人的な身体能力に合わせて特化(カスタマイズ)
したフレイムヘイズ炎髪灼眼の討ち手専用「斬刀術」
「ッッだあぁぁッッ!!」
掛け声と共にシャナは瞬時に己の足下のコンクリートの床を踏み切り、
罅割れたコンクリートに半月状の足痕を残して、背後に弧を描く軌道で
跳ね飛ばされた武装燐子達の脇を彼女(?)達が
地面に着地するより素疾く駆け抜ける。
舞い上がる黒衣。
火の粉を撒く炎髪。
まるでDVDのコマ送りのように不穏な動作一つなく前方に
一時停止したシャナの手の内で、大刀は既に全力で振り切られていた。
その背後で、7体の燐子が疾走った斬閃に斜めに両断され、
空中からその上半身をコンクリートの地面の上に落下させる。
その、余りの疾さに、血の変わりに吹き出す白い火花の
間歇泉までもが一刹那遅れた。
疾風烈迅。断空の穿牙。
『贄殿遮那・火車ノ太刀』
破壊力-A スピード-A 射程距離-B(最大25メートル)
持続力-E 精密動作性-B 成長性-B
大刀を振り下ろしたままの体勢で足を止めたシャナの、
その背後から3体の燐子が一組になって襲いかかる。
そこに
「ッッシィッッ!!」
白い項が微かに露わになる程度に首を動かし、
流し目で燐子を睨め付けたシャナの交差した右手の指の隙間から瞬速で放たれた
紅蓮の刃が、人体の急所に当たる燐子達の喉元と眉間とに突き刺さって、
そして尚その着弾箇所周囲全体を紅く燃え上がらせた。
炎髪の撒く遍く炎気を、指の透き間に収斂させ瞬時に手裏剣状に変化させて
敵の急所に撃ち込む。
穿たれた紅蓮の硝刃は、対象に喰い込んで尚も燃え続け標的を内部から蝕む。
華麗さと凄絶さ、二つの顔を併せ持つ、
フレイムヘイズ炎髪灼眼の討ち手専用、対中間距離用打剣術。
『蓮華(れんか)』
破壊力-C スピード-シャナ次第 射程距離-シャナ次第
持続力-A 精密動作性-シャナ次第 成長性-A
顔面と喉元とを焼かれた燐子3体が、力無くその場に崩れ落ちるより速く、
シャナは躰を90°反転させすでにそこから真横に飛び去っていた。
高速で黒衣をはためかせながら鋭く中空に舞い上がるシャナ。
そして光彩を無くしたその無明の双眸を微かに煌めかせながら、
全身から際限なく湧き上がってくる、未だかつてない力の存在を静かに実感した。
(スゴイ……!理由は解らないけど躰がスゴク軽い……!
それに信じられないくらいよく旋廻(まわ)る……!
「今」ならきっと……!誰にも負けない……!アイツにも……!アノ男にも……!
誰にも……ッッ!!)
その少女の期待に呼応するかのように全身から鳳凰の羽吹雪のように
大量の火の粉が発せられ空間を灼き焦がす。
(今ならきっと……アレが出来る……!一度修得しようとして出来なかったアレが……!)
脳裏に浮かび上がる新しい炎刃のカタチを想い浮かべながら、
シャナは斬撃で開いた隙間から武装燐子の包囲網を抜け出した。
着地と同時に革靴の裏がキュッと微かに鳴る。
そして、その前方から関節を軋ませながら向かってくる、
個々の力では太刀打ち出来ないと判断し人海戦術に撃って出た
武装燐子の大群に向けて口元に微かな笑みを刻み
「無駄よッ!」
凛々しく清廉な声で叫んだ。
「はあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
大刀の腹を真横にして中段に構えた刀身の内に左手を宛って炎気を込め、
更に柄を握る右手からも波長の違う炎気を込める。
やがて贄殿遮那の内部にて相乗作用を起こした炎気が全体に集束していき、
刀身が真紅の火の粉を振り撒きながら焼けた鉄のような朱煉の紅に
染まっていく。
「りゃあああああああああああッッ!!」
叫びと共に大きく振りかぶった深紅の大刀を前方に勢いよく撃ち出すシャナ。
その高速で振り抜かれた刀身から、具現化した紅い斬撃が追進して勢いよく飛び出した。
余波である直線状の火走りをコンクリートの上に吹き上がらせ、
高速射出された実体の在る斬撃の紅い牙が前進してくる
武装燐子達を持っている武器ごと左斜めに寸断し、更にその背後の青いフェンス
までも突き破って彼方へと消える。
掌に集束した炎気の塊を贄殿遮那を通して増大させ、
カマイタチ状に変化させて射出するフレイムヘイズ専用「斬撃術」
斬光裂閃。紅蓮の闘刃。
『贄殿遮那・炎妙ノ太刀』
破壊力-B スピード-B 射程距離-B(最大30m。以降は全ての能力が著しく低下)
持続力-B 精密動作性-B 成長性-B
たったの一撃で十数体の武装燐子達を斬り飛ばしたシャナを懼れた燐子達は
すぐに前進の動きを止めて左右に方向転換を始め、遠距離攻撃を警戒してか
今度は拡散して飛び上がりシャナの頭上から襲いかかった。
上空に広く散開すれば先程の斬撃の威力を分散出来ると判断しての事だった。
しかし、長い戦いの経験で培われた鋭敏な戦闘思考能力を持つ少女は
すぐさまにその事態に対応する。
「馬鹿ねッ!それじゃあわざわざ自分で逃げ場を狭めたのと同じ事よ!」
シャナはそう叫んで大刀を両手で構え高々と頭上に掲げた。
その両の手の平から湧き上がる無数の火の粉を刀身内部に送り込みながら。
「やああああああああぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」
喊声と共に贄殿遮那の刀身中央部が赤く発光し、
そして刀身から圧搾された炎塊が弾けて放射線状に全方位に向けて疾駆する。
その張り詰めた鋼線のような赤い光が、上空の重力に縛られた回避不能の燐子
の身体のありとあらゆる箇所に着弾してその全身を貫いた。
その、一発一発の破壊力は低いが、広範囲を一度に攻撃出来る
炎の放射系戦闘自在法。
光塵乱舞。閃華の赤裂。
『贄殿遮那・火足(ひたり)ノ太刀』
破壊力-C スピード-C 射程距離-C(半径15メートル)
持続力-C 精密動作性-C 成長性-A
シャナの周囲、円周上にスクラップとジャンクの残骸が白い火花と共に
五月雨のように舞い落ちる。
その様子を給水塔の上のフリアグネは立ち上がって両腕を組み、
純白の長衣をパールグレーの前髪と共に封絶の放つ気流に靡かせながら
先刻までとはまるで違う引き締めた真剣な表情で見つめていた。
(強い……先程の常用型の量産タイプとは違う
”フレイムヘイズ討滅”を目的に創り上げた私秘蔵の強化型燐子達を
こうもあっさりとはな……)
戦況的に追い込まれたわけではないが、愛着の深い秘蔵のコレクション達が
その価値の解らない第三者に身も蓋もなくバラバラにされていくのを
目の当たりにし、偏狂人形師(カルトモデラー)の誇りが著しく傷つけられた。
(流石はアラストール秘蔵のフレイムヘイズといった処だな……
単純な戦闘能力だけでいえば「彼」を倒した『星の白金』以上、か……?)
フリアグネはその数々の宝具の検分によって研ぎ澄まされた尖鋭な審理眼で
冷静に状況を分析しながらも、そこで初めてその耽美的な美貌を怒りで微かに歪ませた。
その脳裏に一人の人間の姿が過ぎる。
その瞬間フリアグネの引き締められた表情が本人の自覚のないままに
ふと切なげなモノに変化した。
(「君」は……いま……何処かに身を潜めて……
先の戦闘の傷を癒しているのだろう……
敗北の苦悶と屈辱とにその躰と心とを蝕まれながら……)
そう心の中で呟きながらフリアグネはその壮麗なパールグレーの双眸を
静かに閉じる。
(大丈夫だ……何も心配する事はない……安心したまえ……
今回の「戦果」は私と君との共同戦線という事にしよう……
ソレならばあの御方も君を咎めたりはしない筈だ……)
そう心の中でシャナに対する悪意の言葉とはまるで
正反対の純麗な言葉でそう「彼」に告げる。
何百年もの永きに渡り今まで蔑み続けてきた取るに足らない脆弱な存在。
「人間」
その中の、ただ唯一の例外。
己の「友」に。
(大丈夫……すぐに終わらせる……そして……共に還ろう……
完全な「一個」の存在となったマリアンヌと私と一緒に……
唯一全能なるあの方の許へ……!)
そう強く胸に誓い、決意と共に再び見開かれたそのパールグレーの瞳を
鋭く尖らせると眼下で勇敢な闘いを繰り広げたシャナを傲然と見下ろした。
シャナもその視線を真正面から凛と受け止め言葉を返す。
「どうしたの?あまりの事に声も出ない?おまえの大切なお人形達は
もう半分以下になったわ。何か自在法で援護をするなら今の内よ。
次の一合で全滅させるつもりだから」
その紅い無明の双眸でシャナはフリアグネを見据えそして微笑を向ける。
己の勝利を信じて疑わない凛々しき表情で。
「勇猛果敢な事だね。お嬢さん?確かに『戦闘能力だけなら』
君はこの私すらも凌ぐだろう」
「ハッ、まさか此の期に及んで命乞い?聞く気はないけど」
「フッ、コトは君が想っているほどそう単純ではないという事さ。
古来より「戦果」とは「武力」の大きさだけで決するモノではないのだよ」
そう俯いて自嘲気味に微笑み、顔を上げたフリアグネは
「その事実。私が教えて差し上げよう。あの御方の忠実なる僕(しもべ)ッッ!!
紅世の王!この”狩人”フリアグネがな!!」
そう叫んで長衣を翻し鮮烈な声でシャナに宣告する。
「だったらとっととそこから降りて来なさい!
ザコが何匹集まっても私には通用しないわ!」
叫ぶシャナにフリアグネは
「イヤ『その必要はない』」
と静かに告げた。
「…………!?」
意外な応えに瞳を丸くして沈黙するシャナに、次の瞬間フリアグネは
その耽美的な美貌を何よりも邪悪に歪ませた。
まるで己が使える主の空身(うつせみ)であるかのように。
そして。
「何故なら……君は……」
ゾッとするほど静かな声で、フリアグネは冷酷な微笑を浮かべてシャナを見下ろす。
「もう!私の能力で!「始末」されてしまっているのだからッッ!!」
「!!」
そう叫んだフリアグネが邪悪に顔を歪ませたまま纏っていた純白の長衣を素早く
弧を描いて引き放つと同時に、シャナの周囲で無造作に転がっていた夥しい数の
燐子の残骸が蠢き、そして宙に浮かび上がって全方位から襲いかかってきた。
「ッッ!?」
驚愕の事実に、シャナの反応が一瞬遅れる。
ソレが、もう既にして致命的損失。
しかし少女を責めるのは酷というモノであろう。
動く「残骸」の大群は周囲360°全てから微塵の隙間もなくシャナに
嵐のように降り注がれたのだから。
どんな強者も、降り落ちる雨の雫を全て避ける事など絶対に不可能なのだから。
「な!?」
自分が斬り倒した、夥しい数の燐子の手が、足が、胴体が、そして首が、
シャナの黒衣を掴み、或いは接着し、更に首が裾に噛みついてシャナの全身を
覆っていく。
「くぅッ!!ナメるな!!こんなものォォォォッッ!!」
体内の中心部に炎気を集め、一気に爆裂させてまとわりついた
全ての残骸を吹き飛ばそうとシャナは全細胞の力を限界まで引き絞る。
しかし。
「え!?」
いきなり、シャナの膝の力が抜けてコンクリートの上に力無くコトリと落ちた。
己自身の躰の、その予期せぬ突然の造反にシャナの頭の中は一瞬真っ白になる。
そこに降り注ぐ”狩人”の声。
「フッ……!当然だろう?お嬢さん?ソレだけ途轍もない「力」をペース配分もせず、
セーブもせずに『常時全開放して』動き廻り全力の攻撃を繰り出し続けていれば
力尽きるのは当たり前さ!熱に浮かされて自覚は無いようだがな!」
フリアグネはそう言って勝ち誇った表情でシャナを見下ろす。
「だから!次の私の攻撃を!防ぐことも不可能だッッ!!」
フリアグネが再び弧を描いて純白の長衣の帯撃を滑らかに前方に撃ち出すと
ほぼ同時に、長衣の中の操作系自在法が発動して奇怪な紋様が
シルクの表面に浮かび上がりそして発光した。
ソレと同時に周囲13体の燐子達が武器を投げ出して次々にシャナに群がって
抱きついてくる。
その重量でシャナはコンクリートの地面の上に無理矢理引き吊り倒された。
「あうぅッッ!!」
コンクリートの上に頭を打ちつけられ、ボヤける視界のまま仰向けで
封絶で覆われた空を仰ぐ形なったシャナの視界に無数の燐子の顔があった。
その貌は敬愛するべき主の為にその身すら捧げることを厭わない
狂気の笑みを全てに浮かべていた。
シャナの全身に走る、穢れた、しかし圧倒的な数の力でもって
己の存在を蹂躙される原始的な恐怖。
その先で敗者見下ろすような冷たい視線でシャナを睨め付ける紅世の王
”狩人”フリアグネ。
「どうもありがとう『爆発させやすくしてくれて』」
「!!!」
邪悪そのものの声だった。
しかし、信じ難いほど甘い響きがそこにあった。
そのフリアグネの狂気にギラついた視線を真正面から受け止めながら、
シャナは自分が完全に”狩人”の魔の掌中で踊らされていた事に気づいた。
必要以上にアラストールを侮辱したのも。
そして自分を挑発し続けたのも。
『全ては怒りで我を喪失わさせ、そして力尽きさせる為の「布石」だったのだ』
更に、今自分の内から湧き上がるこの新たな能力(ちから)さえも
この「結果」の為の「伏線」
『自分自身で自分を捕らえる「罠」を自分の周囲にバラ撒いていたのだ』
意気揚々と、得意気に。
微塵の疑いすらも抱くことなく。
最も憎むべき相手の策略を自ら掻き抱いていた。
その残酷な「事実」が優秀な戦士である少女の「誇り」を
一片の容赦も無くズタズタに引き千切る。
そこに間髪いれず紅世の王の言葉が舞い降りた。
「さあぁぁぁッッ!!いまこそ魅せてあげよう!あの御方の忠実なる「暗殺者」!!
この”狩人”フリアグネ最大最強焔儀をッッ!!」
そう言ってその身に纏った純白の長衣が艶めかしく絡み合った両腕を
身体の前で十字型に交差し、その指先に不可思議な自在式印を結んで
清廉に”流式”の構えを執る。
「そして捧げよう!!この「勝利」を偉大なるあの御方にッッ!!」
そう叫ぶフリアグネの右手にいつの間にか神秘的な輝きを放つ
麗美な造りのハンドベルが握られていた。
ソレは、己の使役する燐子を「爆弾」に変えて「自爆」させる事の
出来る能力を持つ背徳の魔鐘。
紅世の宝具『ダンスパーティー』
その能力と己が自在法を結合させて編み出された
「宝具」と”自在法”の高等融合焔術儀。
「くらえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!フレイムヘイズ!!炎髪灼眼ッッ!!」
その”流式”の魔名がフリアグネの耽美的な口唇から高々と発せられる。
魔焔鏖殺。寂滅の煉劾。
”簒奪の流式(ムーヴ)”
『邪裂爆霊傀儡殺(スレイヴィング・エクス・マリオネーション)ッッ!!!!』
破壊力-A(燐子の数により無限に増大) スピード-A
射程距離-A(燐子の数により無限に増大)持続力-A(燐子の数により無限に増大)
精密動作性-A 成長性-A(燐子の数により無限に増大)
「さああああああぁぁぁぁぁぁぁッッ!!弾ッッッけろォォォォォッッ!!!
アアアァァァーーーーーーハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」 」
狂ったように嗤いその全身から纏っている長衣よりも白い
存在のオーラを立ち昇らせながら、フリアグネの交差した腕の右手に
握られたハンドベルが緩やかに空間を流れ、そして清らかな音色がを奏でられる。
その音に同調(シンクロ)するかのように、シャナの身にまとわりついた
残骸と、抱きついてその身を拘束する武装燐子全てが「爆裂」の為に
その身を歪ませて凝縮し始めた。
「むうぅッッ!!イカンッッ!!」
その瞬間、シャナの胸元のアラストールが、深紅に発光する。
その時、シャナは、目の前の事実よりもまるで別の事を考えていた。
”狩人”フリアグネが言った、たった一つ言葉、を。
『弾けろ』
確か、自分が言った言葉だ。
いつ、だったか?
そう、だ。
アノ時、だ。
アノ時、自分が言った、言葉、だ。
誰、に?
そして、その後、どう、なった?
シャナの脳裏に、一人の男の姿が浮かぶ。
その、黄金に輝く、この世の、何よりも、ドス黒い、闇黒の、瞳。
そして。
そし、て……
「ジョ……」
その言葉が口唇から紡ぎ出される前に、シャナの視界が白く染まった。
ヴアァァッッッグゥオオオオオオオオオオオオオォォォォォォッッッッ!!!!!
鼓膜を劈くような大爆裂音。
巻き起こった真空波の影響で校舎の窓ガラスが全階まとめて砕け散る。
そして給水塔の上で静かに佇む殺戮の”狩人”フリアグネの
パールグレーの瞳の眼前で爆破炎蒸する巨大な垂直ドーム状の火柱。
その激しく渦巻く白い爆炎の中心部に浮かび上がる、
コートを纏った制服姿の少女のシルエット。
そのスパークする爆炎光に全身を白く染められながら
「REQUIEM……FINALE……(討滅完了)」
己の仕える主譲りの、まるで悪の華のように危険な微笑みを浮かべた口唇を
フリアグネは純白の長衣で静かに覆いながら呟いた。
←PAUSEッッ!!
STARDUST¢FLAMEHAZE*
最終更新:2007年09月23日 15:31