『この殺し合いのルールを理解していますよね?
総勢90人の参加者によるデスゲーム。生き残れるのは―――たった一人。
淡々と紡がれる言葉。
『確かご主人様は…親友のメリー様を放っておけない。そう仰っていましたよね?』
ただ冷静に、有りのままに言葉を発する。
『お言葉ですが、止めておいた方がいいと思います。
親友なのですから、ご主人様はあくまで彼女との思い出を守りたいのでしょうけど…
それに直接触れ合えば触れ合う程、喪った時の絶望が肥大化するだけと見受けられます』
そして彼は、最終宣告のように私に告げる。
『――――もう一度言いますよ。このゲームで生き残れるのは一人だけです。
残念ですが、メリー様は諦めた方が宜しいかと…』
「――――っ!!!」
―――淡々と『現実』を突きつけるような言葉に耐え切れず。
気がつけば私の身体は、勝手に動いていた。
目の前のヨーヨーマッの両肩を強引に掴んでいた。
多分私は、いつの間にか苛立っていたのだろう。
しかし彼は一切表情を変えることもなく、こちらを真っ直ぐに見ている。
それが余計に…腹正しかった。
『………………』
「……お勧めしないとか……諦めるとか……そう簡単に、言わないでよ」
『………………』
「――言ったでしょ、あの娘は私の親友なのよ!!」
『………………』
「ずっと一緒にロマンを追い続けてきた…かけがえのない相棒!!
メリーのことを……そんな簡単に、諦めさせないでよ…っ!!」
声を荒らげながら、私は叫ぶ。いつの間にか…涙が溢れていた。
メリーを見捨てなければ生き残れないという、無惨な現実からか。
淡々と理屈だけを突き立てるヨーヨーマッの言葉に煮えくり返ったのか。
―――それとも、こんな選択をしなければならないこの殺し合いへの怒りと哀しみからか。
理由は自分でも……解らない。
だけど、とにかく…私はヨーヨーマッの言葉を受け入れたくなかった。
そして…ヨーヨーマッの返答が、ようやく返ってきた。
『成る程。殊勝な心掛けですね。それで、どうするのですか?ご主人様』
「……………………」
この瞬間、本気でキレそうになった。
拳を握り締めて軽く殴ってやろうか、なんてことまで思ってしまった。
だけど、私はそれを必死で抑え込んだ。
こんな所で怒っていたって無駄な労力を使うだけだ。
とにかく、私は…自分の意思をはっきりと言うこと。
必要なのはそれだけだ。
「―――決まってるでしょ!メリーを探しに行く!
生き残れるのは一人とか言うけど……私は諦めない!メリーと一緒に、絶対に生きて帰る!
不思議や怪奇に真っ向から立ち向かう!…それが、秘封倶楽部なのよ!ただ震えて、怯えてるだけなんか…絶対に嫌!」
バッとその場から立ち上がり、涙を拭いながら私は威勢良く言った。
だけど本音を言えば…本当は凄く怖い。
死にたくないし、殺したくもない。メリーが死んじゃうことだって怖い。
こうやって前向きになることで、どうしようもない不安感を抑えている。
でも…本当は、それも無駄な努力なのかと考えると。
とにかく…怖くて、堪らない。もう私達は、既に闇に染まった沼へと身体が嵌っているのかもしれない。
それでも…それでも、どうにかなると信じたかった。
そうでもしないと、本当に何もかも終わってしまう気がしたから。
絶望に飲み込まれて、身動きが取れなくなってしまう気がしたから。
とにかく…少しでも前へ踏み出さなければ、何も始まらない!
「………ほら!そうと決まれば…行くわよ、ヨーヨーマッ!」
『…了解しましたァ。ご主人様の命令には従います』
ヨーヨーマッに一声かけて、私は牢屋から飛び出した。
私に追従するように、ヨーヨーマッもすぐに牢屋を出る。
行く宛などない。多分、ただの直感で探すことになる。
――何でもいい。とにかくメリーをすぐにでも見つけたかった。
淡い希望と不安を抱きながら、私の冒険は始まった。
その先に何が待ち受けるのかなど、今は知る由もない。
【C-2 GDS刑務所女子監2階/深夜】
【宇佐見蓮子@秘封倶楽部】
[状態]:この状況への不安と恐怖(前向きになって強引に抑えている)、苛立ち、焦燥
[装備]:スタンドDISC「ヨーヨーマッ」@ジョジョ第6部
[道具]基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:メリーと一緒に此処から脱出する。
1:とにかくメリーに会いたい。死にたくないし怖いけど、希望を捨てたくはない。
2:殺し合いに乗ってない人に会いたい。
3:ヨーヨーマッが気に入らない。けど、ある程度は頼りにせざるを得ない。
[備考]
参戦時期及び蓮子がどこへ向かうのかは後の書き手さんにお任せします。
[スタンド「ヨーヨーマッ」について]
破壊力:C スピード:D 射程距離:A→C 持続力:A 精密動作性:D 成長性:C
①基本的には本体の命令に召使の如く従う従順なヤツです。
②本体に助言もしてくれますが、時には苦言を呈すこともあります。
③虐められると非常に喜びます。
④制限により射程距離はC(10~20m程度)に下がっています。
それ以外のステータス及び物体を溶解させる唾液の能力はほぼ原作通りです。
⑤ほぼ不死身で再生能力もありますが、制限により徹底的に身体を破壊すれば一定時間消滅します。
本体へのダメージは無く、消滅した際もおよそ1時間程度で復活します。
⑥自動操縦型のスタンドである為、本体の任意で操ることは不可です。
その代り、ヨーヨーマッが自ら思考し、高い知能とスタンド能力で本体をサポートし守ってくれます。
逆を言えば、「相手は本体に害を成す存在である」等とヨーヨーマッが判断すれば独断で排除に出ることも有り得ます。