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そいつは、最初から歪んでいたわけではなかった。
ただ、人の為に…そう、純粋に他人の為だけに、
ためらう事なくその驚異的な能力を使い続け…

結果、そいつは歪ませた。
自分の能力の副作用により、自分の世界も信念も…
その在りようを、曲げてしまった。

一度曲がった針金は、もう一度曲げ直しても直線にはならない。

歪みきった彼が望んだのは…全ての支配。
だが、そいつの余りに強力な力に、世界は耐えられなかった。

それでもそいつは己の欲望のままに能力を振るい続け、
そいつの世界を歪ませきってしまった。

そいつの世界を、壊してしまった。

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だから俺は来たのだ…

時間をねじ曲げて…

空間をねじ曲げて…

俺の居た時から『過去』にあたる、
だが別の世界の俺の中へ。

今度はできる限り能力を使わずに。
今度こそ、世界を支配するために。

ダイハード・ザ・キャットが効かない?
当然だ。この能力は、僕だけの物ではない…
俺の物でも、あるのだから。

何も知らない甘ちゃんの僕が
クソったれ恩知らずの土星を始末してくれたことは、
思い出すだけでニヤけてくる。

だが、土星がレッドと秀丸を滅ぼし、その土星を僕が滅ぼし…
それでもまだ、あの矢は見つからない。
ならば…鍵となるのは、この『コウ』だ。

コウを『始末』しなければならない。
だが、速すぎても、遅すぎても駄目だ。

コウの後ろに居る何者か。
世界を守るという美意識に酔った、神の尖兵気取り。
その尻尾を見咎めた瞬間…

コウ、貴様にこの世界では『多くは使えない』、
『究極の攻撃』を与えてやる…。

BUMP OF CHICKEN:ユグドラシル(生命の樹)。

存在すると言う事実をネジ曲げる、究極の一撃で…
コウをこの世界から『追放』する。

俺の名は……サトヨシ。
僕という惰弱な存在の中に隠れ住む、
最強のスタンド使い。

【スタンド名:BUMP OF CHICKEN
本体名:サトヨシ(一巡『前』の存在。
『僕』は『俺』を知らない)
能力:全てを曲げる。
能力を振るう度、世界は歪み、やがて壊れる】 

「この『WWW』は地上最弱のスタンドだと…私は常々言ってるわ…」

コウはWWWを発現させる。今までの闘いの中でコウは常に『自分の実力を隠してきた』。シバミ、ムトウタチバナという強者の影に隠してきたのだ。

「我輩の『志』が故にッ!この『男の頭部』を守らなければならなかったのだッ!男は既に再生しつつあるッ!シルビアが『頭部』を届けさえすればッ!『ムトウタチバナの復活』は確実なのだァァァァ!」

コウはフッと口元をにやけさせると

「むさ苦しいわね…良いからとっととかかってらっしゃい。『頭部』なんて私にはなんの関係も無いけど…私達の聖書に『ムトウタチバナ』の名前なんてないの。」

と冷たく吐き捨てる。

「命まで奪いはしない…『L.A(ルイ・アームストロング)』ッ!つおおおおおおおッ!!」

L.Aはそのパワーで力任せにコウに殴りかかる。コウはWWWのいケーブルを『自分に接続する』。

「…行動パターン解析、回避行動書きこみ…」

ブオッ!

LAの拳が空を切る。

「そのスタンドのスピードなら…WWWを接続した私に当たることはないわ…そして…WWWッ!ケーブルをチャーに接続ッ!視覚・聴覚に『ウィルス』を流し込むわッ!」

チャーは突如目の前がゆがみ始め、耳鳴りが始まり混乱する。

「ぐおおッ!?なんだッ!?この…ッ!?」

コウはあたふたするチャーを無視し、シルビアに近づきはじめる。

「さぁ…『それ』を渡してもらいま…」

「 一 意 専 心 ッ ! ! 」

強烈な『気合』を感じ、飛びのくコウ。

ブオッ!

視覚・聴覚が麻痺しているはずのチャーが殴りかかってきていた。

―決意と使命―

それが『倒すべき敵』を察知したとでもいうのだろうか。コウはその様をみて恐怖する。

「我輩の…ッ!!命に替えてもッ!『シルビアを送り届ける』ッ!」

バグオオ!

連打!連打!連打!連打!連打!連打!連打!連打!連打!

乱打!乱打!乱打!乱打!乱打!乱打!乱打!乱打!乱打!

そこら中の者を鉄に変えながら徐々にコウを捕らえ始めるチャーの拳。

コウも服が所々金属化し始め、重量が増してWWWの書きこみに体が追いつかなくなり始める。

「そろそろ決めない…と…!?」

コウの目の色が変わる。周りの金属がくっついてバリケードのように自分を囲んでいる。それはコウ服が変化した金属にもくっついていた。

「我輩が目も見えずただガムシャラに打ちつづけているとでも思ったのかァッ!全ては貴様の動きを封じる為よッ!…さあ…観念するのだ…我輩の拳で…女を手をかけたくはないのだ…」

チャーはゆっくりとコウに近づく。

「アンタの『鉄に替える能力』…アタシの『WWW』とは相性が良いわよ…電気信号を通すものなら…アタシの『WWW』は相手を選ばないッ!」

一面金属化した床を通し、WWWの電気信号はチャーを直撃する。

「このまま『眠ってもらうわ』ッ!意識を失えばスタンド能力も消えるはずッ!」

チャーは眠らない。WWWの電気信号は確実にチャーの脳神経に信号を送ったはずだった。チャーはカッと目を開きコウをみた。

「コウよ…我輩は今ッ!『義』によってここに立っているッ!その前にはいかなるまやかしも振り払うことができるッ!LA(ルイ・アームストロング)…!我輩の神経の一部を金属化し、「神経を伝う電気信号を筋肉中に分散させている…ッ!我輩はこの場で死ぬだろう。だがしかしッ!この場に貴様をくぎ付けにすることは容易いッ!さぁ!シルビアよッ!走れッ!」

シルビアは震えながらうなづくとその場を離れ走る。病院を抜け、『ムトウのパーツ』の集まる場所へ…

「コウよ…もうこの場で戦う意味はあるまい…我輩は女に止めを刺したくはないのだ…もう我輩の前で女に死んで欲しくはないのだ…」

コウはそのセリフを遮るように言う。

「裏切り者に…『罰』をッ!『WWW』…!!!」

そして一部始終を見ていたサトヨシはスタンドを発現させた。

そしてニヤっと笑うと力を込めた。

「貴様の存在はこれで消える…誰も気付くことはない…。貴様は『始めからいなかったのだ』ッ!『 ユ グ ド ラ シ ル 』ッ!!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! 

じわり・・・・


コウを包んでいた空気が、ゆっくりと「歪んで」ゆくのが、『俺』の眼に映る。

ユグドラシルの欠点は・・・「歪む」まで、僅かだがタイムラグが存在することだ。

まぁ・・・そんなものは『俺』の技量でカバーできる。

じわり、じわり

確実に「歪み」は進む。

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「裏切り者に…『罰』をッ!『WWW』…!!!」

「ぬぅぅんッ!!」

「歪み」が完成する瞬間だった。

破れかぶれだったのか、己の意思でそうしたのかは分からない。

チャーが、コウを突き飛ばした(実際は体当たりなのだが)。

・・・・ふざけるな!

止むを得ん、コウは、ここで確実に「消しておかなくては」ならないッ!!


『俺』は再び、コウに「歪み」の照準をあわせた。


・・・・加熱し、冷静さを失った、イカれる寸前の頭で。

サトヨシは先ほどから照準を合わせるが、絶妙なタイミングで避けられる……

いや避けられると言う表現では少し場違いだった。

「……コレはッ!?」

サトヨシはおもむろに二人の間に姿を現す。

「裏切り者には『罰』をッ!」
「ぬるいわッ!」

サトヨシが姿を見せたにも関わらず二人は尚も戦い続けているッ!?

「……フフ……ハハハッ!ハァーッハッハッハッハッ!!」

サトヨシはいきなり笑い出すとBUMP OF CHICKENで二人をかき消す。

「 あ の ビ チ グ ソ 共 が ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ッ !!」

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「本当に私の『WWW』と貴方の『LA』は相性がいいのね」
「いや、アレはお主の発想が生んだ賜物だ……
 我輩には到底思いつかん『金属化した壁や床を利用して幻像を作り出す』など……」

先ほどの場所から離れるように駆けるチャーとコウ。

「難しい事じゃないわ……過去にも一軒居酒屋を燃やした事もあるしね」

コウは思い出したようにクスッと笑って見せる。

「だけど、貴方の様な人があの組織にいるなんて思いもしなかった……」
「教団も初めはあの様な方針ではなかったのだ……しかし、あの男が着てからと言うもの、あらぬ方向へと進みだしてな……」
「そうみたいね……古参の『教団側の人間』は全て殺されたと聞いたけど?」
「我輩が全て処理した……もちろん、殺してなどいないがな。
 それより、お主の方こそ何故だ?今の状態に陥ってからと言うもの入団するものは歪んだ意思の者達だというのに……」

チャーの質問に少し照れながらもコウは答える。

「貴方と理由は変わらないわ、『守りたい人』が居るからよ……」
「ヌハハハ!お主、スパイと言う訳かッ!自ら危険に飛び込んでまで助けようとは、お主相当そやつに入れ込んでおるな?」

豪快に笑い飛ばすチャー。
コウは顔を赤らめ下を向いている。

「しかし……先程の輩は一体……?」
「さぁ……?でも、勝てるような相手じゃない……『教団』が気付いて私達を殺しに来たのかしら……?」
「……『裏切り者は殺せ』か……ま、戦うにしても逃げるにしてもシルビアとは引き離さんとな」

二人は走り続ける。
追ってきてるのは『教団』ではなく……
『最凶のスタンド』だと知らずに…… 

「いったい、、何があったんだ、、!?」

むき出しの鉄の奇妙な造形と瓦礫を間も辺りにして、シバミ達は息を呑んだ
しかし、ここで何があったのかを語る当事者は、いない

「くそぅ! コウは、、シルビアは無事なのかッッ!?」


苛立つシバミ

コウのスタンドは戦闘には向いていない
シルビアはスタンド能力を失っている

それを分かってたのに、何故2人から離れたの!?
もう、絶対シルビアを危険な目に遭わせないって決めたのに!


「くそぉぉぉーーーッ!!」

目の前の分厚い鉄の壁に素手で殴りかかるシバミ


  ガシィ!


「 、、ッッ!?」
「シバミ、やめろ! お前がそんな事しても状況は変わらない!!」

「 ザキ、、。」

「大丈夫、コウの能力を信じるんだ。下手すりゃ俺たちより強いぜ、アイツは。」
「そうですぜ!コウの姉御をなめちゃいけねぇ!!」

シバミは目を潤ませて訴える

「分かってる!分かってるよ!?コウのW・W・Wがスゴイのは私も充分知ってるッッ!」

「シバミ、、。」

ザキはシバミを優しく抱き、肩を叩いて落ち着かせた

「じゃあ、なおさらもう、、」
「だって、最近はお酒を隠してもいつも簡単に検索されて見つかるし、後でこっそりお酒に変えようって思って買ったミネラルウォーターもすぐにスキャンされて没収されるし、しまいにはお酒を買う為にお金をおろす時だけ何故かいつも口座が凍結されるんだよーーッ!!W・W・Wは強すぎるゥーーッッ!!」

「、、、、、。」

ザキは全身から力が抜けていくのが分かった。
後ろのヒデエモンも同じみたいだ。顔がどうしようもないくらいがっかりしている。 

(ま、、こんだけ言えるなら、大丈夫だな。)

ザキはシバミにもう一度話しかけた

「、、、とにかく!ここにこれ以上いてもしかたない、コウを捜そう!な!? シルビアもきっとコウが守ってくれて、、」


「それは、、少し違うな。」
「え?」


3人と少し離れた所から、ERがザキの言葉を遮った

「残念だが、、私の知っている情報は君たちにとって良くない話みたいだ。」
「どういう事でぇ!」
「、、ER?」

ERはシバミ達を見た
(ここで、真実を告げるのは心苦しい、、が、しかたがないな)



「コウは、君たちが仲間だと思っているコウは、、敵だ。」


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あれは、、シバミ達か、、


くそ、コウを始末しようと思ったのに、これでは姿を見られる危険が多い
それに、僕の意思もそろそろ覚醒する頃だ

まぁいい、僕は確実に歪んでいく
俺の『自由』を手にするのも、時間の問題

コウは近いうちに必ず始末する
そしてふざけた神とやらも
邪魔な奴は全て、このBump of Chickenが葬ってくれる


なぁに、機会は自然に手に入ってくるさ

今回はたまたまタチバナの友人を見舞いに来ただけ


ただそれだけ、、、
 


じゃあな、交代だ。脆弱な『僕』






、、、


、、、僕、、は?

あれは、、シバミさん? 

「それはないッ!」

即答した。

一瞬、場が沈黙に包まれる。

「シバミ君…。君の気持ちも解る。
だが、これは間違いなく…」

「別にドクターの言っている事が、
『嘘だ』と言うつもりじゃないの」

あっけらかんと。
何も考えていないような笑顔で。

「だから、コウは敵の軍団…軍団?軍勢?軍隊…」

「軍隊は違うな…多分」と、ザキ。

「ま、敵のなんかに所属してるんでしょ。
でも、コウは私たちの敵じゃあないの」

言葉を失う、ER。

「解りやしたか、お医者の先生よォ…
なんで俺っち達が、シバミ姐さんについて来たか」

ERの視線を受け、またシバミは笑った。
何にも悩みがないような、満面の笑みで。

溜め息と共に、額を掌で軽く叩くER。

「全く厄介な患者だ…
だが私も医者だ。自分の患者は見捨てられん」

「……本音は?」ぼそり、と聞くザキ。

「男なら見捨てられるが、
一部けしからんから見捨てられん」

…。

「ま、まあともかく…お医者の先生が仲間なら、
俺っちも今まで以上に無茶ができるってぇもんだな!」

「エーッ」
「マダムチャシタリナイノカヨッ」
「オレタチャカロウシシチマウヨー」
「ストレートスルゾッ、ストレートッ」

「ばっきゃろぃ!それを言うならストライクだろ!」

「…突っ込まないわよ」

「あ、あのぉ…」

不意にかけられた声の主に、四人の視線が集中する。
引く、青年。

「あ、えっと、お取り込み中すいません…
ムトウタチバナに頼まれまして、
シバミさん達にお見舞いの花を……」

人の良さそうな青年は、大きな花束を差し出す。

(それにしてもどうかしてるな…
お見舞いに来たのに、花を待合室に置き忘れるなんて…)

――貴様ゴトキガ…俺ト言ウ真実ニ…辿リ着ク事ハデキナイ…

「ん?何これ。メッセージ付き…?」

花の間に挟まれた紙を開くシバミ。


"これで酒の臭いを消しなさい。

他のまともな患者さんに迷惑ですよ、ビッチ…失礼"


「っンだとぉーッ!」

「うわあっ!す、スイマセンッ!
何だか知らないけどスイマセンッ!!」 

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「悪いが君の事は信用できんな」

煙草の煙が、ゆっくりと天井まで登って行く。

「ほう…信用、できない、と」

テーブルの下、全てを破壊する拳が現れる。

「ああ、信用できん。

… だ が … 」

ピクリッ

神の使徒は、拳を僅かに震わせ、そして緩めた。

「世界が滅ぶというその話…
俺も、別の人物から聞いている」

「――女帝、か。
まさかそこまで掴んでいるとは…驚きだ」

「驚きはこちらの方だ。君の情報網とやら、
かなり『優秀』の様だな」

眉一つ動かぬ鉄面皮(ポーカーフェイス)で、
二人の会話は続いていく。

「では、神の尖兵となってくれるのだな?」

「勘違いするな。
この件に関して依頼を受け付ける……
これはビジネスの話だ。そうだろう?」

見詰め合う、二人の男。

「……いいだろう。
だが、先ほども言ったとおり……
確実な証拠を掴むまでは、本題を『実行』に移すのは危険だ。
とりあえずは、私の意図に従って貰う」

「構わない。
仕事ができ次第、連絡をくれ」

一人の男が立ち上がり、
もう一人の男は頷いた。

「ああ、そうだ…
基本的に俺は、客にサービスはしないんだが…
あんたには特別に言っておいてやる。

変な動きをしたら、あんたも潰す」

「大変だな、その掃除は……
大仕事になるが、ボランティアか?」

「こう見えてもエコロジストでね。
地球を大事に、ゴミはゴミ箱に、な」

二人の男は、睨みあいながら、声だけで笑う。

(経験で解る。こいつは『邪悪』……)

(賞味期限切れの固茹で卵が……)

――だが、どうやら今は、
そんな事を言っている場合ではないらしい。

「お前の手駒は2枚だな?
生き過ぎた女帝に、助手の孫娘」

「手駒じゃあない。仲間だ。
そして、もう一人忘れている。
感動の風を巻き起こす、やさぐれたロッカーをな」

「フン。
……では、宜しく頼むぞ、掃除屋バーレル」

神の尖兵長、ケイ。

掃除屋バーレル。

世界の崩壊を防ぐ為……


契約、完了。


第11話『信念に生きる者達に、花束を』 


To be continued...

最終更新:2007年10月14日 18:50