-外伝『恋の始まりABC』-
どうして、どうして俺の恋は実らないんだッ!!
相手に想いを伝えても…、なんどやっても、なんどやっても断られてしまう!!
俺の顔はそんなに悪くないはずだッ!性格だってそこまで悪くないッ!
「なのに、なんで、皆俺の愛を受けとめてくれないんだよぉぉぉ~ッ!!」
「そりゃ…性別の問題だろうよ」
涙でゆがんだ視線の先にスーツ姿の男が立っている。
「あの女…性格的にも俺と合うといっていたが…正気なのか?今頃気になってきたじゃあないか…」
「ううっ…あんたに俺の何がわかるんだ!愛しても愛しても!誰も応えてくれないッ!
俺だって、好きで男を好きになるんじゃないんだあっ!」
「好きで、好きになるわけじゃない?なんだそりゃ禅問答か?禅問答なんて詳しくはしらねえけどよー。
普通に考えてみろ、中高生で男が好きな男なんていないんだよ。アイデンティティのなんとかってやつ?
気づいてもみんな知らんフリするもんなんじゃねえのかよ」
あふれる涙をこらえきれず、ついに炬燵は涙を流しながら叫ぶ
「おおおーーーん!!俺は見ているだけでいいのにッ!!なぜなんだッ!!」
男の眉が反応した
「ああん?見ているだけでいい?
嘘はいけねえなぁ、嘘は」
男が胸ポケットから何かを取り出し、地面に投げ捨てた
それは何枚かの写真であり、それには
『 黒 焦 げ た 人 間 』と思われるものが、写っていた。
「そ、それはッ!!違うんだッ!」
「違う?何が違うんだ?」
男は炬燵に近づく。
「お前はよぉ~、見てるだけでいいとかいいながらよぉ~。
“さっきも”告白してなかったかぁ~?」
「ち、近づくなッ!」
後ずさりながら叫ぶ
「あん?俺は質問してるんだぞ…?質問とは違う答えを返したらよぉ…点数はつけてやれねえなぁ」
怖いものでも何も無いように、男は近づいてくる
「俺に!近づくなと!言ってるのがわかんねぇのかッ!!」
炬燵の全身が“燻された銀色”へと変わる
「近づくなと、いってるだろうがああああああああああああ!!」
ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・
「それがお前のスタンドか。
お前のスタンド…見せてもらう…」
「うるせええええぇええええぇええ!!!」
炬燵は男に対し、腕を振るう、が
「すっトロいぞぉ~?そんなんじゃぁこの俺を捕らえることはできねえぞぉ~
射程距離は2メートルってとこか、身に纏うタイプだとそんなもんなのか?あぁ、いや気にするな。
さて、次はこちらだ」
男の背後から、何かが浮かび上がる
“スタンド”だ。
そいつは、間合いに入り込み、炬燵に拳を叩き込む
ガギイィーーーーン!!!
まるで金属を殴ったような音が響く
「硬いな、それに…」
「お前の攻撃なんかああああ!!!痛くもなんともねえぞぉおおおおおお!!
早くても非力なんだよぉおお!
やっぱり俺はつえええんだアァ、お前じゃ俺には勝てねえ
“焼け死ねッ”」
「じゃぁ、これはどうだろうな
オラッ…オラオラオラオラオラオラオラッッッ!!!」
炬燵は全て食らい、壁に叩きつけられる
「やれやれ、硬えェなぁ…、それになんだ?“熱い”か?」
ずり向けた自分の拳を見ながら男は言う
「うへへ…やっぱりだあ、お前じゃぁ俺には勝てねえ…自分からケンカふっかけてきておいてこの程度かよ
かなりうけるwwww」
少しずつ全身の色が変わり始める
燻されたような黒の混ざった銀から、純銀の輝きへと変わっていく
「よわいっ、よわすぎるぜえええ
CoooooooO!!!!」
跳ねるように飛び上がり熱を放ちながら男へと殴りかかる
「おお!そういうことか
お前、“気分”で能力が変わるのか!!」
熱風をモロにうけながら、男はニヤニヤ笑っている
「そうかぁ、なるほどなぁ
あの女、気は違ってなかったみてえだなぁ…
理解したぜ!お前合格だ!」
笑いながら、炬燵の攻撃を全てよける、だが
「何をわらってやがんだよッ!!俺の攻撃があたらなくても熱で焼け死ね!」
「射程もかなり延びたな、んっんー」
男は腕を伸ばしながら、すこしずつ炬燵と距離をとり
「なるほど、6メートルってとこか…まぁ、コレぐらい離れれば熱いと思えるほどじゃあねえなぁ…」
「お前の射程は俺もわかってるぞ。まだ勝てる気でいるならかなりうけるwwww
お前の射程は俺より少し長いくらいだったろぉぉぉ、この距離で、その能力のお前じゃ“勝てない”んだよぉぉお」
炬燵の叫びを無視し男は話だす
「で、その力。自分で制御できないんだな?
だから、見つかった死体は、皆黒コゲだったと。
お前見てるだけでいいとかいいながら、告白どころかしっかり相手をだきしめてるじゃねえか、嘘はいけねえなぁ嘘は。
気持ちよくって、気持ちよくってたまんなくなって相手を黒コゲにしちまったんだろぉ?
嫌がる“男のコ”相手によぉ、気持ちよくなっちまうなんてなぁ、超変態だよなぁ」
「何、だと」
「いやいや、写真を見ればよく分かる…苦悶の表情が文字通り、“焼付け”られてたからなぁ
変態ってーのは、つれえなあ」
「 黙 れ え え え え え え え !!」
「少し、落ち着けよ。“落ち着いてもらう”
“ストレィンジフィーリング”」
先ほどとは比べ物にならない速さの拳が、炬燵を襲う
「射程は見誤ったみたいだが、テメーの攻撃はきかねえええええええええええええええええ・・・・
ええええええええ?」
炬燵の全身が変わっていく
燻された銀へと
「やれやれ、落ち着いたか?炬燵よ。
能力“ストレィンジフィーリング”には相手の心を操る力がある
俺はよぉ、お前みたいに…スタンドにダイレクトに“心”が反映される奴、好きなんだよなぁ…
一緒に組まねえか?
俺だったら、お前の好みの男の子をお前に恋させることだって
そう、人並みの恋をお前も出来るんだぜ…」
「なんだって?」
「お前には“魅力”がある
その女性的な顔立ちも、一直線な心も悪くはない
だから、相手にお前を受け入れる準備さえさせれば
お前は“恋愛”ができる、そう言ったんだよ
理解できたか?」
「あ、ああ…」
「じゃあ、付いて来い、さっきのヤツ…あいつにしっかりお前の良さを分からせてやるよ
その代わり、お前は俺の相方だ、いいな?」
こくこくと、首のばねが壊れた人形のようにものすごい勢いで炬燵は頷く。
それを見ることもせず、八手は歩きだす。
急いで八手について行き、聞く。
「そういやあ、あんた名前はなんていうんだ?」
「八手だ、覚えとけ」
その夜
幸せな顔をした焼死体が発見された。いる…。