-外伝『モリーズ アナザー エピソード』-
―病弱―
吐き気のする言葉。自分を産んだ母への侮辱。許されざる愚言。
モリーは入退院を繰り返している。彼の体には病をおびき寄せる『引力』でもあるのだろうか…
掌の『穴』はなにも語らない。彼の「スタンド」も…
今まで入院していた病院を退院し、モリーは家に戻っていた。誰もいない家。母を捨て出ていった父の財産と母の保険金で自らの医療費を賄っている。食事は病院から指定された食材以外には口に出来ない。彼は「生きている意味」さえ見失いかけていた。
その時から『覚悟』は決まっていたと言ってもいいだろう。
トントン…
来客だ。今日は医者の回ってくる日ではない。珍しい。
ガチャ…
慎ましいアパートのドアを空けるとモリーの前に見知らぬ男女。男は凄みを利かせて言う。
「お前…『矢』に刺された者だな?随分探させてもらったが…おれ達と来い…『神の尖兵』となるのだ…」
モリーは何がなんだかわからなかった。尖兵?神?何を言っている?
「悪いが…何を言ってるのかさっぱりわからねェ…」
バギッ!
男はモリーはいきなり殴りつけた。女が静止する。
「ちょっと!何してんのよあんた!」
「ッるせェ!今おれ達には1人でも多くの「スタンド使い」が必要なんだよッ!わかってんのかッ!?コウ!」
コウと呼ばれた女はやれやれと頭を抱え、
「あんたはスタンドを持ってないからね…焦る気持ちもわかるけど…」
男はコウの静止を振りきりモリーを殴りつづける。
「気絶させてでも連れていくッ!ケイの『Ⅹ・コマンドメンツ』で脅せば一発だッ!」
バキッバキッ!
急なダメージにモリーの心拍は高鳴り、吐血する。
「ガフッ!ウエェ…!!」
不自然な程血を吐く様を見て男は驚いた。
「なんだ…?テメェ…?体弱いのか…?ならいらねェよ…コウッ!こいつァ『ダメ』だぜッ!『病弱』な尖兵なんて使い物にならね…」
ドスッ!
男の腕に何かが打ちこまれる。消しゴムのかけら…
「うおッ!?」
モリーはよろよろ立ちあがる…
「何…だと…?この俺の前で…ッ!『その言葉』をッ…!吐く『意味』を…わかってるんだろォなァッ!」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ !
男は怯え始める。彼はスタンドを持っていない。その分自分の腕力で押さえつけるタイプだったからだ。
「てめェ…『覚悟』は…出来てるんだろうな…?答えは『Yes』or『Yes』だ…ッ!『モンキィィィィィィィ・マジィィィィィック』ッ!!」
ドガガガガガガガガガガガガガガ!
「うぎゃあああああああああああああああああああ!?」
男は体中に消しゴムを打ち込まれ絶命する。コウはそれを見て「
ほう」という顔をしてモリーに近づく。
「ねえ、アンタ。『病弱』って言葉が嫌いなの?だったら消してあげるわ…取引しない?」
なんとくだらない取引なのか…常人のものさしではそうとしか計れないものだった。
しかし「モリーの憤怒」はそんなものでは計り知れないほど大きく、ドス黒いものだった。
「本当…か…?」
「私の力でこの世から『病弱』なんて言葉消してあげる」
モリーは『神の尖兵』となり、「スタンド使いの集まる病院」を監視する役目を与えられる。
そして「ERの隠れ家」を発見するのであった…