-外伝『Intolerant of die!』-
「・・・くそッ!くそッ!畜生!・・・はぁッ・・・はあッ・・・」
くそ、痛ぇ。
オレは『ソバサイ』。男。
年?んなこたぁどーでもいい、なんたってよ、
ドテっ腹に穴が開いてやがる。
今押さえてる左肩にも、つい数分までナイフが突き刺さってやがった。
痛ぇぞ、こん畜生が。
畜生。トチった。聞いてねぇぞ、スタンド使いがいるなんて。
チョロい「使命」のハズだった。
なんとかいうコゾーの情報収集・可能であるなら暗殺。
モチ、単独任務。
ゾロゾロと諜報活動やるバカがどこにいるってんだ。畜生。
「くそったれ・・・!犬死にはゴメンだぜ・・?!」
くそ、こんなトコで死ねるかってんだ。
ケイとかいうガキの言うこと聞いてんのも、あのガキに殺されないようにするため。
死んでたまるかよ、くそったれめ。
今までだって、ゴミ溜めの中を血ヘド吐きながら生きてきたんだ。
ようやくマトモな暮らしができるってのに。
死んでなんて、頼まれてでもやるもんか。
物心ついたときには、吹き溜まりみたいな場所で。
吹き溜まりで死んじまったジジイの遺言を。
「生きろ」って、最後の願いを。
「・・・・・・・ックショウ、夢かよ」
出血が酷い。意識が飛んでたみたいだ。
空には満月。・・・・・・・ウサギ、住んでんのかな。
ぼんやりしてる場合じゃない。
背後から、カツカツと。
死神の足音が聞こえてくる。
くそ、ほんと、ツイてねぇ。
痛ェわ苦しいわ。
畜生、早く逃げねぇと。
「やれ、ムーンライト・シャドウ」
幸い、ここは影が少ない。
月のウサギが、味方してくれてるらしい。
近づいてくる死神の足を留め。
少し逃げて、また留めて。
既に、体力も精神力も限界で。
「あと・・・少しッ・・・!」
この角を曲がれば、表通り。
少し行けば、確か病院が。
「死んで、たまるかよォッ・・・!」
ようやく、開けた場所に出て。
赤い十字を視界に入れて。
足音はもう、聞こえない。
ノイズばかりが耳に張り付き。
「生きろよ、○○○○。ワシの分まで」
白い、煤けた感じの靄が見えて。
「・・・大丈夫・・・じゃぁないか。」
声は、天からのようだった。
・・・・・あれ、一面真っ白じゃねぇか。
・・・・・ここ、アノ世か?
下手だな。オレ。
病院、か。
よかった。まだ生きてる。
「ようやく起きたかね?」
ダラけた白衣。このオッサン、医者らしい。
「・・・みてぇだ」
よかった、声、出るわ。
「安静にしていたまえよ。傷が開く。」
かろうじてERと読める名札をつけたオッサンは、
それだけ言って、部屋を出た。
・・・・・畜生。まだ痛ェじゃねぇか。
あれ、おかしいな。
痛いのに、口元笑ってる。
マゾじゃあるまいし。
畜生、理由なんて分かってる。
オレ、まだ生きてるんだもんな。
ジジイ、オレ、まだアンタの遺言に縛られてる。
あんな吹き溜まりで、ただ一人、オレを人として扱ってくれたアンタの。
オレの、ただ一人、親と呼べた存在だったアンタの。
月にウサギが住んでるって、教えてくれたアンタの。
「生きろ」って、そんな言葉に、オレはまだ縛られて、生き続けてる。
なぁ、ジジイ。
オレ、まだまだ、生きてやる。
アンタが教えてくれた色んなもん、この目で見て、確かめてやる。
アンタが教えてくれた色んなもん、この耳で聞いて、確かめてやる。
まだまだ、やることは山積みだ。
だからさ、もうちょっと、待っててくれよな、ジジイ。
窓から差し込む日差しが気持ちいい。
小鳥のさえずりが耳に心地いい。
死ぬには、もったいねぇよな。
・・・・あぁ、オレ、まだ生きてる。
だから絶対。
死んでなんて、やるもんか。
【ソバサイ:重症により入院。(本編の約一ヶ月前) To be continued...
-外伝『Intolerant of die!』終わり-