- -外伝『ふたり』-
赤い実に唇添えて
空を見上げる
これ以上、辛い日が来ませんようにと
飛び石踏んだ
『THE BOOM』の”からたち野道”、良い曲ね。私の大好きな曲の一つ。哀しい、民謡のような曲。
そして、もう1曲あるの……
*****
ごめんね。私は、貴女を守りきれなかった。
何もできなかった。
非力だった
――あの笑顔を
『えへへ、似合う?』
――将来を
『アタシ、アル姉より先に結婚しちゃうかもね』
『アル姉に逢えたこともだよぅ』
――守れなかった
本当の妹のようで、とっても愛しかった。そして、切に幸せを願った。
願いは届かなかった
どうすればいい?私は何もできない。貴女も、この世にはいない。
肉体を離れ、もう魂は違う世界にいる。
杏子も……遅くなく来るだろうなぁ
杏子にとって一番辛いのは、“彼”にお別れを言えなかったことかな?
姉として最後に何かしてあげたいけど、何もできない。本当に何もできない?
……そうだ、まだ紙飛行機は飛んだままだ。
あれが届きますように。
彼に……杏子が愛した彼に届きますように。
*****
天国じゃなくても
楽園じゃなくても
貴方に逢えた幸せ
貴方と
風になりたい
スッ
アルジスに向けて、男が手を差し出す。
アルジスは少し躊躇うと、意を決したように手を取る。
『ストーカーにも、良い所は有るじゃない』
――バイバイ
みんな
もう、感覚が無いや
分からなくなってきた
アタシは死んだの?
まだまだ、やりたい事が沢山あったのに。
みんなで泣きながら高校を卒業。就職する友達、進学する友達がいる中、アタシだけ、“違う道”へ進む
いきなりの結婚。
みんなは驚きながらも、祝福してくれる。
仲人は結婚してないけど、アル姉に頼む。それ以外は身内と友人だけの、シンプルな型式で……
白いウェディングドレスを着たアタシは、黒いタキシードを着た『あの人』に手を引かれ、神父さんの元へ歩き出す。
神の誓いをした2人。あの人が、私の顔にかかるヴェールを少しあげる。
私は、人生で一番幸せなキスをする。
ブーケを必死に取りに行くアル姉を笑いながら、どこかへ去る2人。
ああ、なんてロマンチック。あの人とは、もちろん“タチバナさん”
タチバナ……さん
そうだった
もう、会えないんだった
足掻いても、泣いても、笑っても有るのは『過去』だけ。『未来』はもう、私は作れない。
悲しいよぅ……
逢いたいよぅ……
最後にもう1度だけ、伝えたかった。
そして、聞きたかった
健やかなる時も、病める時も
喜びの時も、悲しみの時も
富める時も、貧しき時も
これを愛し、これを敬い
これを慰め、これを助け
死が二人を別つまで
共に生きることを誓いますか?
タチバナさんは、何と言ってくれるだろう?
聞きたかった
そして最後に、私から
『――永遠に愛することを、誓います』
-外伝『ふたり』終わり-
最終更新:2008年01月27日 02:44