-外伝『神の国へ』-
時は、止まっている。止まり続けている。
誰も、彼を助けない。助けることが出来ない。
「助けて! 助けて! 助けて! 助けて! 助けて!
死にたくない! 死にたくない! 死にたくない!
なんで、わた」
――――――
彼がいまわの際に見た景色。それは現か幻か…
――――――
壮大たる花畑に降り注ぐ金色の光。
空から降り注ぐ純白の羽。
「ここは…?フ…フハハハハハハハハハハッ!とうとうたどり着いたのだッ!『ゴスペルオブシン』は私をここへ導く天使であったのだッ!」
腕を開き天を仰ぐ。
金色の光が降り注ぐ空。
「『神の尖兵』も…『世界を救う』必要もはじめからなかったのだッ!ゴスペルが私を天に導いてくれるものだったのだッ!」
花畑で一人高笑いする。花畑に先は見えない。
「人を救済するのはやはり『死』であったッ!人がみな死ねばカルネアデスの船板など必要ないのだッ!私は答えを見つけたッ!」
ひざまづき天に祈る。
「今こそ『救済の時』…ッ!さぁ神よ…ッ!『ゴスペル オブ シン』よッ!『人類すべてを救済し給え』ッ!」
ド ド ド ド ド ド ド
「フハハハハハハハハッ!ハハハハハハハハッ!『世界は救われた』ッ!」
―ケイ以外の人類/『救済』により 全 員 死 亡―
いや、否。
「違うよ」
聞き覚えのある少女の声が耳に入った。
「…茜…か?」
花畑に立つ茜。
「違うよ。ケイちゃん。ケイちゃんはもう『世界にいないんだもの』。」
「フフフ…私は救済されてここにきた。今に全ての人類がここへ来ることになる…」
茜はまっすぐにケイを見る。
「来ないよ。みんな生きているもの。ケイちゃんは『この世界にいないんだよ。」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ !
ケイは汗を一筋かいた。
「な…何を言っているッ!?ここは『死者がたどりつく神の国』だろうッ!?だから私もッ!茜ッお前もッ!ここにたどり着いたのだッ!」
『茜』はまっすぐにケイを見る。
「茜ってだぁれ?ケイちゃん。ケイちゃんは死んでなんかいないよ。」
ド ド ド ド ド ド ド !
「な…なに…を…」
後ずさりを始めるケイ。
「ケイちゃん。ケイちゃんは『世界から追い出された』んだよ。我ノ能力デ…」
『茜だと思っていたもの』はゴスペル・オブ・シン…以前のままのおぞましい姿。
『…汝ハ 禁忌ヲ 犯シタ 。禁忌ヲ 犯シタ者ヲ 決シテ 許ス事ハナイ…』
破裂は、何の音も響かせることはなかった。
【ケイ/ゴスペル・オブ・シン 死亡】