…手紙を書こう。
時間はもう、あまりないけれど。
でも、だからこそ。
僕は君に、手紙を残そう。
【外伝/Letters:4 JYUGDRASIL】
…頭が、痛い。
五感の全てに、ノイズが走る。
『やぁ、元気にしてる?』
最初の一句は、彼にかける決まり文句で。
『もう、僕に残された時間は少ない。
だから最後に君に、手紙を残そうと思う。
―遺書じゃないよ?
感謝状だよ、これは(笑)
僕は、君を信じているから。』
一面、紅に染まったアトリエ横の一室。
一文字一文字に全霊を込め。
未来への足跡を残す。
『覚えている?初めて会った日を。
覚えている?時間を忘れて描いた、二人の絵を。
覚えている?互いを友と呼んだ、永い、短い年月を。』
僅かに残る自身を筆に込め。
『もう、随分と昔のことのように思う。
キミと過ごせた日々。
まるで夢のようで。
まるで君が描いた一枚の作品のようで。』
懐かしい日々の残像。
捩曲がってゆくそれを必死に掻き集める。
『もし戻れるなら、僕はもう一度君と絵を描きたい。
多分無理だろうけどね(笑)
僕はもう、こんなに歪んでしまって…
(くしゃくしゃと、滲んだ文字のようなものがある)
今までありがとう。
君の友達でいられて、僕は幸福だった。
ほんとうに、ありがとう。
―さようなら』
彼は書き続ける。
滅び行く世界への哀歌を。
救う者達への願いを。
薄れてゆく自分の中で
最後の、友への言葉を―