アットウィキロゴ

…手紙を書こう。


時間はもう、あまりないけれど。


でも、だからこそ。


僕は君に、手紙を残そう。





【外伝/Letters:4 JYUGDRASIL】





…頭が、痛い。


五感の全てに、ノイズが走る。



『やぁ、元気にしてる?』



最初の一句は、彼にかける決まり文句で。



『もう、僕に残された時間は少ない。

 だから最後に君に、手紙を残そうと思う。

―遺書じゃないよ?

 感謝状だよ、これは(笑)


 僕は、君を信じているから。』



一面、紅に染まったアトリエ横の一室。


一文字一文字に全霊を込め。


未来への足跡を残す。



『覚えている?初めて会った日を。

 覚えている?時間を忘れて描いた、二人の絵を。

 覚えている?互いを友と呼んだ、永い、短い年月を。』



僅かに残る自身を筆に込め。


『もう、随分と昔のことのように思う。


 キミと過ごせた日々。


 まるで夢のようで。


 まるで君が描いた一枚の作品のようで。』



懐かしい日々の残像。


捩曲がってゆくそれを必死に掻き集める。



『もし戻れるなら、僕はもう一度君と絵を描きたい。


 多分無理だろうけどね(笑)


 僕はもう、こんなに歪んでしまって…


(くしゃくしゃと、滲んだ文字のようなものがある)


 今までありがとう。


 君の友達でいられて、僕は幸福だった。


 ほんとうに、ありがとう。


―さようなら』


彼は書き続ける。


滅び行く世界への哀歌を。


救う者達への願いを。


薄れてゆく自分の中で


最後の、友への言葉を―

 

外伝『 完 全 世 界 』

最終更新:2008年02月01日 23:28