-外伝『地球最後の日』-
スタンド使いによる凶悪犯罪は増加の一途を辿る。
今日もスタンド能力で悪事を働く犯人を追いかけ、シバミは奔走していた。
「畜生っ、見失った!」
シバミは捕らえかけていたスタンド使いを曲がり角で見失う。
そして曲がり角の向かいからタチバナが姿を現した。
「ちっ、嫌な奴に会ったわ」
「…それはこっちのセリフですビッチ。
その醜い存在を美しい私の眼前に晒す愚考を恥じなさい」
「死ね!ホモ!」
シバミはタチバナに殴りかかる。
タチバナがそれを軽くあしらうと、
シバミは空中で回転し、転倒する。
「いてっ!?」
「まだまだですねビッチ」
二人はどうやら偶然同じスタンド使いを追いかけていたようだ。
「完っ全に見失ったわね…」
シバミはタチバナに尋ねる
「相手のスタンド能力は解る?」
タチバナ
「見当つきませんね雌豚…失礼。
ただ敵の素性は割れています、以前カレは
佐藤先生に更正施設に送られている為に
先生を強く憎んでいて、復讐を企てている
可能性が非常に高いのです」
シバミ
「あー、でもあの先生なら返り討ちにするでしょ、
心配いらないわよあの先生なら、だってあの先生だもの」
シバミ
「あー、安心したら喉が渇いたわ…
…あれ?サイフ、サイフ…」
タチバナ
「息が切れていますよ、これしきのことで醜い、
もとい、だらしない」
シバミ
「あのさ、ちょっと自販機で水買うからお金貸してよ」
タチバナ
「誰が貴方なんかに……あれ?何だこの心臓の動悸と息切れは、
もとい、胸の高鳴りは?……いや、おかしい、それは無い」
シバミ「どうしたの?」
タチバナ
「いいですかシバミ、これはあくまで小銭を貸し渋るのが
美しくないから渡すのですよ、勘違いしないでくださいね、
さあ、この一万円を好きに使い切るが良い!」
シバミ「……なんかよく分からないけど、ありがとう」
シバミは「名前で呼ぶなんて珍しい」
と首を捻りながら水を買う。
タチバナは「ないないない、それはないから、ありえないから」
とブツブツ言っている。
彼の目にシバミが美しく写り、困惑していた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
突然シバミが叫び、能力で酒に変えた水のボトルを地面に叩き付けた。
シバミ
「酒が飲めない…体が受け付けない…」
ズーン。
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…。
シバミ
「…どうして?」
タチバナ
「これは間違いない…私たちはスタンド攻撃を受けているっ!!」
シバミ「こっち見て話しなさいよ!」
タチバナ「無理です!まぶしくて見れない!」
タチバナ「そうか、これはアイデンティティを逆転する能力…!?」
「酒が飲みたくて仕方が無い」
↓
「酒なんて体が受け付けない」
「このアバズレを心から軽蔑している」
↓
「なんて愛らしい女性なんだ」
タチバナ
「うおぉ!この女を愛するくらいなら命を投げ出すぞ!
神よ、雷で私を灰と化せぇ!
悪魔よ、魂の大安売りだ、持っていけぇぇぇ!!」
シバミ「酒を飲めない人生なんて……
酒を飲むほど力を増す能力のスタンド使いが
酒を飲めないなんて!無価値、死ぬわっ!!」
二人は絶望に打ちひしがれる。
恐ろしい攻撃だった、
ムーンライダーを打ち破ったシバミと
スタンド狩りのタチバナという強者を
同時に自決に追い込む破壊力だ。
その時、ドルチがニャアと鳴いた。
ドルチはいつもその泣き声で敵の居場所や
危険をしらせてくれる賢い猫だ。
シバミ
「ドルチ、敵はそっち?」
タチバナ
「待ってください、敵の目的は先生です!
ならばそちらに行くハズが無い!ドルチも、
ドルチもスタンド攻撃を受けて反対の行動に出ている!!」
「スタンド使いを見つけ、危険を知らせる」
↓
「スタンド使いから遠ざけ、危険に陥れる」
シバミ
「この猫!なんてイヤラシイ顔をしていやがるっ!?」
ドクン!
そして二人はあることに気がついた、
「敵 の ターゲット は 佐藤先生」
「私は、この世の全てを愛している」
シバミ、タチバナ
「………」
「いいんだよ……結果的には誰も
傷付けなかった、先生がすべて許そう」
シバミ、タチバナ
「……ハァ…ハァ」
「闇に飲まれちゃあいけない、
正義の心を持て!成長しろ、
そして幸せな人生を歩め!」
シバミ
「…ハァ、あの先生がスタンド攻撃を
…ハァ、う、受けたら…」
タチバナ
「恐ろしくて…ハァ、想像したくありません…
そんなことになれば、この世界は…ほ、滅…」
二人は顔を見合す。
シバミ、タチバナ
「ぎゃああああああああああああああああ
あああああああああああああっ!!!!!」
2人は走る!
世界の壊滅を防ぐ為、
走って、走って、走りつづけた。
タチバナ
「いました!」
犯人を前方に発見する。
そして更に前方には佐藤の姿が!?
シバミ
「ピンチよ!アンタの腕貸しなさい!」
シバミはBDMで分解したタチバナの腕を
敵を目掛けて投げ…目の前の地面に叩きつける!
バチィ!!
タチバナ
「ええっ!?」
シバミ
「ち、違う、日頃の恨みとかそんなんじゃない!?
案外難しいわ、もっと重心が中央にある物を貸して!!」
「それよっ!」
シバミはタチバナの頭部を指差す。
「バカな!?しかし逆らえない!!」
何故ならタチバナは、こと恋愛に限っては尽くすタイプだから。
シバミ
「そーれ!あははははははっ!」
タチバナ
「貴様っ!なに楽しんでやが…あぁぁぁぁ!?」
シバミはタチバナの頭部を力一杯投げ…たら、
それは大きく敵の頭上を超えていった。
タチバナ
「ノーコンっ!?」
飛んで来る頭部に驚く佐藤。
佐藤
「ぶはっ!?……ムトウ」
タチバナ
「先生、例の物を奴に向けるのです!!」
佐藤
「こ…こうか?!」
佐藤が突き出したのはペンの切れ端、
もう片方はシバミに持たせてある。
それはBDMで分解したペン。
「能力を解除する!」
次の瞬間、シバミが佐藤に吸い寄せられる、
正確にはペンが高速で元に戻ろうとしている。
シバミ
「うおぁぁぁぁ、きぃやぁぁぁぁぁぁ!!」
間にいる敵とすれ違い様、
シバミは強烈なパンチをくらわせ、
そのまま殴り抜ける!
ドグシャア!!!
強烈な一撃に、
敵は一回転し地面に叩きつけられた。
佐藤の目の前に着地するシバミ。
佐藤
「シバミくん…」
シバミ
「やっほ、先生。これ超楽しい」
タチバナ
「ご無事ですか、先生!」
地面を転がる生首。
佐藤「……キミは無事なのか?それは?」
能力を解除し、戻るタチバナ。
地面に思い切り叩きつけられた腕と、顔の痣が痛々しい。
佐藤は起こした敵に、
間髪入れずオールラブを叩き込む。
佐藤
「教育的指導!教育的指導!教育的指導!教育的……」
ボグっ!ボグっ!ボグゥっ!!
事件は解決だ。
シバミ
「今回はアナタに助けられたわ」
握手を求めるシバミ、応じるタチバナ。
タチバナ
「いえ、私こそアナタを少し誤解……」
シバミ
「どうしたの?」
タチバナ
「……なんて、締まりのない醜い顔だ」
シバミ
「は?」
タチバナ
「さぞやだらしない人生を送ってきたのですね、
アナタがいかに価値のない人間であるかが、
体中から滲み出ていますよ、アバズレ」
元に戻っていた。
佐藤
「愛のムチ!愛のムチ!愛のムチ!愛の……」
ボグっ!ボグっ!ボグゥっ!!
「殺すぞ!ホモォォォっ!!」
「百年早いんですよ!アル中ゥゥゥっ!!」
to be continue...