この世の根底にあるものは――
根底にあるべきものは『愛』だ
私はそう信じて疑わない
だから私は全ての存在を愛する
最近この街に起こる様々な事件…
死人が何人も出ている
人々が『愛』を忘れているから…悲しい事件は起きるのだ
この私、佐藤は学校で国語の教師をやっている。
放課後の仕事を終え、学校から帰る途中に狭い路地を抜けようとしていた。
そこで私は見てしまった。
血に濡れたナイフを持つ男。
横にはたったいま、この男に刺されたのであろう『誰か』が倒れていた。
カンベエ「なんだァお前は…見たのか?ここで何があったのかお前は見たのか?」
『カンベエ/スタンド:へヴィー・クライ』
カンベエ「そして今何を見ている?見えているのか?この俺の背後にいる『存在』が…
見 え て い る の か ?」
ああ見えている…見えているさ…
精神エネルギーが作り出すそのヴィジョン…
『スタンド』ッッ!!
佐藤「…この際…そんなことは問題じゃあないんだ…
重要なのは…ここで最も重要なのはッ!
お前がたった今!
人を刺し殺したということ…」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
カンベエ「そうかァ~~…それを見られちゃあ…
生かしておけねえなァ~~~~ッッ」
佐藤「 更 生 さ せ て や る
『オール・ラブ』ッッ!!」
『佐藤/スタンド:オールラブ』
カンベエ「やはりッ!お前も同じような能力の使い手ッッ!
『へヴィ・クライ』ィィィッッッ!!!」
******
佐藤とカンベエの2人が戦いを繰り広げている戦場にもう1人、
スタンド使いが接近していた。
2人は目の前の敵に意識を集中させていたため、その存在に気づいていなかった。
だがもう1人が彼らに攻撃を仕掛けることはないだろう。
なぜなら・・・
自分がスタンド使いであるということを気づいていないスタンド使いだからだ。
彼の名前は・・・「神城 静夜(カミシロ・シズヤ)」。
『神城 静夜/スタンド:スレイヤー』
ト”ト”ト”ト”ト”・・・・
――遡ること数時間前・・・――
街の郊外の木々が生い茂る洋館・・・そこが神城静夜の家だった。
父・祖父がともに考古学者の家系で神城静夜は生まれ育った。
そのためか、周囲からは静夜も考古学者になると思われていたが、彼自身もそうなることが当たり前だと思っていたし、そうなりたいとも思っていた・・・
現在この洋館で静夜は1人暮らしている。
祖父は数年前、友人のイギリス人考古学者とある街へ研究で赴いたときに事故で、
父も1年前にローマの地下遺跡に研究に行ったきり消息を絶っていた。
神城静夜の家族関係は薄幸だったが、2人からたくさんの『愛』を与えられていた。
2人のことを思い出すといつも指先の傷が疼く・・・
勝手に入った祖父の書斎で静夜は「何か」で指を切り、
それが直接の原因かはわからないが、42度の高熱を出し数日間意識を失っていた。
目を覚ましたとき2人が目の前に座っていた。
その後、医者からどちらか一方は寝ずに自分を看病してくれていたという事実を聞かされた。
静夜は確かに『愛』を与えられていた。
それは彼の心の中の『思い出』が証明していた・・・
学校が終わり、帰ってきた静夜は窓を開けた。
吹き抜けてくる風が髪をなで、鳥のさえずりや木々のざわめきが耳をくすぐった。
ふと下を見ると・・・
塀の上で悪趣味な服を着せられた奇妙な猫がうたた寝をしていた。
静夜は窓際のいすに腰掛けて買ったばかりの雑誌を読み始めた。
たわいもない噂話ばかりが載っているこの雑誌を静夜は気に入っていた。
読み終わった後にパラパラとページをめくると、ある記事が目に飛び込んできた。
―切り裂き魔―
深夜にある町で度々出没する怪人の話だった。
記事「巨大な鎌を持った怪人が夜な夜な出没し、住人を恐怖のどん底に陥れている。― 奇妙なことにこの切り裂き魔は毎回違う姿をしていて男性だったり女性だったり老人だったり子供だったりした。」
静夜はこの記事を見て驚愕した。
「切り裂き魔」の想像図の横に載っているもう1つの写真はこの町のものだった!!
このような場合、普通の人は恐れおびえるものだが、静夜は違った。
2人から与えられた『愛』は強い正義の意志となって残っていた。
だがこの「切り裂き魔」に関してはそれ以上に別の『何か』が彼の心を占めていた。
静夜「・・・この切り裂き魔に会わなければいけない。・・・そんな気がする。」
そう呟いた静夜を見届けると塀の上の奇妙な猫は鳴いた後、塀から飛び降りて町のほうへ消えていった・・・
数時間後、静夜は出会うことになる。
2人のスタンド使い、そして切り裂き魔に・・・。
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