「『へヴィー・クライ』ィィィッッッ!!!」
カンベエのスタンド、『へヴィー・クライ』の豪腕が、うなりを上げて
佐藤に襲い掛かる。
その一撃を受け、佐藤はのけぞるようにして吹き飛んだ。
「誰にも邪魔はさせねぇ……この俺が!
犯罪を犯すのはなァ~~~~!」
「……なるほど」
佐藤は、ゆっくりと仰け反った体勢を戻す。
「君のその『スタンド』……
スピードとパワーに優れた、非常に強力な『力』のようだ」
落ち着いた所作でカンベエを見つめるその顔には、傷一つ無い。
スタンドの腕だけが佐藤を囲むように発現し、カンベエの一撃を防いだのだ。
「私は、この世の全てを愛している。自然も、動物も、人間もだ。
だが、嫌いなものが、三つだけあるんだ。
一つ目は……暴力。相手がどんな悪人であろうと、私からは決して
攻撃しない。
二つ目は、日本語の乱れ。『犯罪を犯す』は重複表現だ。
『罪を犯す』なら正しい」
「国語の教師かオメーはよォォォォ!」
再び佐藤に襲い掛かる『へヴィー・クライ』
「その通りだ。だから、嫌いなものの三つ目は……聞き分けの無い生徒なのだよ!
『オールラブ』! 既に! チョークを『頭上高く打ち上げている』ッッ!」
ガガガガッ!
『オールラブ』の放ったチョークが、『へヴィー・クライ』に降り注ぐ。
質量こそ少ないものの、高速で落下する無数のチョークは弾丸の様に
『へヴィー・クライ』を貫く……はずだった。
「『素通り』しただと……ッ!?」
チョークは『へヴィー・クライ』をすり抜け、すべて地面に落下していた。
驚愕する佐藤の鳩尾に、今度こそ『へヴィー・クライ』の拳が突き刺さった。
「無駄無駄。俺の『へヴィー・クライ』は無敵だ……
どんな攻撃もすり抜けちまうんだからなァ~ッ!
もし俺を倒し、罰せるものがいるとするなら! それは『神』だけだ!
アンタ、『神』じゃあないようだなぁ……先生ヨォ~!」
「……確かに、私は神なんかじゃあない。しがないただの一教師だ……
だが! 『神』であろうと、倒せる可能性があるというなら!
『無敵』というのは、正しい日本語じゃあないな……」
「講釈はそれまでだ。テメェの脳髄、ブチ撒け……ハッ!?」
佐藤に止めを刺そうとするカンベエの腕が、ぴたりと止まる。
ト”ト”ト”ト”ト”・・・・
「何だ……? これはッ! 『いつ』!
てめぇ、『いつ』付けやがったァー!」
いつの間にか、『へヴィー・クライ』の腕に、白い線で絵が描かれている!
「『オールラブ』……チョークで落書きを描いた。
1秒間にきっちり線を一本ずつ、全部で10本……描かれている線は5本!
どうやら、その能力……5秒ほどしか持たないようだな」
「だったら何だってんだァ~~~~~ッ!
その5秒間で、お前をブチ殺してやるぜッ! 『へヴィー・クライ』ッ!」
凄まじい速度でラッシュをかける『へヴィー・クライ』
スピード、パワー共に、『オールラブ』を上回るその攻撃に、佐藤はじりじりと
押されていく。
『オールラブ』はスピードで劣る分、精密な動きで的確に防御していくが、ダメージは
少しずつ蓄積していく。
だが、佐藤には勝算があった。
(5……4……3……2……!1……!)
『 た っ た 一 撃 』!
『 た っ た 一 撃 入 れ ば 』!
「ゼロッ! この一撃で、お前は更正するッ!」
『へヴィー・クライ』の効果時間が切れる、その瞬間。
『オールラブ』は初めて、その拳をカンベエに叩き込んだ。
二つの影が交錯し、そして……停止する。
「何……だ、と……!?」
カンベエは、驚きに目を見開いた。あまりの衝撃に、スタンドで攻撃することさえ出来ない。
そして、それは佐藤も同様だった。
「……何だこれはァーーッ!?」
声と同時に、ぼとぼとと辺りに血が飛び散る。
カンベエがナイフで殺した……いや、殺したと思っていた男。
瀕死に見える、その男の持つ鎌の刃が、佐藤の腹から飛び出していた。
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| 大丈夫です。心配ないですよ。 この病気が悪化するなんてことまずありえません。例えば、例えばですよ?飛行機でテロをおこそうと爆弾を持って乗る狂人。そんな狂人が二人もいる便にのりあわせるくらい確率が低いですよ。 そう言って医者は笑った。 俺も笑った。 そして2週間後、、、泣いた。 これは3年前の話。そう俺の兄貴は3年まえに死んだ。初めはなんてことのない病気だった。ただ、、、その病気が予想外の行動を起こし、予想外の結果を起こしたってだけだ。この世に偶然はない。兄貴の死は必然だったのだろう。 たまに、昔兄貴の言っていた冗談を思い出すことがある。 いいか、純。お前も飛行機に乗っていたら爆弾を持ったテロリストなんかと一緒の飛行機に乗ることがあるやもしれん。そんなことやだろ?うん、俺もいやだ。そこでだ!絶対に爆弾魔と一緒の飛行機に乗らずにすむ方法があるんだ。どうすると思う? 先に自分が爆弾を持って飛行機に乗ってしまうんだ。一人なら爆弾魔はいるかもしれんが、同じ飛行機に爆弾をもった人間が二人も乗ると思うか?確率的にありえんよな?これで自分は大丈夫ってわけだ!どうだ!? そう言って兄貴は馬鹿みたいに笑っていた。 俺もつられて笑ってしまった。 二人で馬鹿みたいに笑っていたんだ。。 兄貴の主治医にこの話はしていない。だが、医者は兄貴の死ぬ2週間前にこの話と似たようなたとえ話をした。 なかなか面白い確率だな。いや、、面白くはない、、、な。 この3年前の事をきっかけに、俺のまわりでは次々に普通なら「ありえない」ことが続いた。 親友の死、恩師の失踪、学校のガス爆発、などなど。俺が金持ちと間違われ誘拐されるってこともあったな。そして、、、兄貴に続き両親との永遠の別れ。。。 これらの事件のおこりかたはすべて普通の交通事故なんてレベルではなかった。 まわりが(俺も)普通なら「ありえない」と言ってしまうないような内容だった。 爆弾をもった二人のテロリストと同じ飛行機に乗るような確率みたいに。。。 このようにどういうわけか俺は呪われているようだ。 俺のまわりでは「ありえない」ことがよくおこる。 偶然って言葉が嫌いになるくらいな。 俺のまわりの災厄、これはもう必然だ。 運命なんだろうもう、、、慣れた。。 こんな俺だ。この後どうなるかわかるだろ? そう、俺は出会っちまったんだよ。あの惨劇の場に。。。 俺の名は揚蝶 純。普通の・・・普通の学生さ! |
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