「さて……面倒くさい事になってきた」
ムトウが出て行った喫茶店で一人ため息を付く女性。
(しかし、紳士的な奴だと思ったのに女嫌い……ましてや『ホモ』だったとはねぇ)
「ま、何にせよ色々と話を聞けただけでも良しとするか」
そうつぶやくと彼女はおもむろに席を立つ。
しかし、その足取りは出口に向かうものとは少し違っていた。
「きゃ……あ、ありがとうございます!」
転びそうになった喫茶店の店員に手が添えられる。
まるで、そこで店員が転ぶのを察知していたように……。
「ここ、少し濡れてるみたいだから拭いといた方がいいよ?」
店員の体勢を整えてあげると彼女は床を指して店員に微笑みかける。
「(もう少しで可愛い店員さんのパンツを拝めたのに……)」
「(だから、そんな事は止めとけって言ったんだよ……)」
なにやら隣の席でボソボソと男達が話しているが、気にせず彼女は会計へ向かった。
「ありがとうございました~」
彼女が会計を済ませた後、バツが悪くなったのか先ほどの男達が会計を済ませていた。
「エェーッ!?そんなに注文してたっけ!?」
「しかし端末にはしっかりと記録されてますし……」
「お前結構食べてたし…」
何やら会計が予想より高くなっていた事に驚く男。
そして、事実だと認めるその友人。
「女の子を転ばそう何て卑劣な事をするからよ……そう思わない?ワールド・ワイド・ウェブ」
その、奇妙な現象は彼女の能力によって引き起こされたものだった……。
【本体:コウ/スタンド/ワールド・ワイド・ウェブ】
「『立ち向かうもの』かぁ……無知を装って色々聞けたのだけれども……出来れば立ち向かいたくは無いものだわね……」
そう言いながら彼女は『情報』を求めに向かう。
戦いを『避ける』為に……。
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ムトウタチバマという男、そしてコウという謎の女性が喫茶店を後にした、ちょうどその時
ピッ ガガーーッ
「よし、退勤、、と。 じゃあ、先にあがりますー。」
先ほどの喫茶店からさほど遠くない、隣の繁華街にある別の喫茶店「CAFE DEUX MAGOTS」
オープンテラスのあるすこし洒落た店で、名物はチョコレートパフェ。
最近若者達に人気のこの店での仕事を終え、その男は店を出た。
「うーーん、今日はお客さんも少なかったし、結構暇だったなぁ。」
「あ、裕。もうあがり??」
「ああ、今日は楽な1日だったよ♪ じゃあ。」
そうやっていつもの様に差し障りのない会話を同僚達と交わし、裕の足は家ではなく、商店街の方へと向かう。
「まだ居酒屋のバイトまで時間あるし、、、本屋でも行こうかな。
そろそろ新しい本がでる頃だしな。」
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「ん、、おお! コレ探してたやつじゃん!
あ、あの本は、、、、!!
くぅ、、やっぱいいなぁ、石波文庫は、、
あ、あれも、、、、、
げ、高ぇ、、、。」
ずらりと並ぶ本棚を前に、若者とは思えない食いつきで本を物色している。
裕は本屋で過ごす時間が好きだ。
幼い頃から父親の書斎に入っては、壁一面に敷き詰めれた本を何冊かとり、いつも時間を忘れて読みふけっていた。
やがて、彼は書斎の本を全て読んでしまい、次第に図書館にも足を運ぶ様になった。
だが、彼の1番の場所は本屋だ。
「やっぱ、本屋はさ、、新作が、こう、、ズラッて並んでるのがいいよなぁー。
人気売れ行きランキングとか、注目のアーティストとかさぁ。
買ってくれ! オレは面白いゾッ!!って本が訴えかけてくるんだよなぁ。
ネットでもたくさん情報は手に入るけど、あれじゃダメなんだよ。
好きな時に好きなページをゆっくり読めなきゃな。
やっぱ、この紙の質感、この香り、、!
図書館もいいけどさ、なーんかあそこは生気がないんだよなぁ。まぁ、内容量の深さは認めるけど、、、
やっぱ、自分のモノにしたいじゃん?返却日とかきにしないでさぁ。
んで、、ゆっくりお気に入りの本を読みながら酒を飲む、、、
あぁー、 最ッッ高、、、!」
そんな訳で今日も裕は本屋でニヤニヤしながら独り言をつぶやくのだった
「で、それ、、買うの??」
店の奥から店主が呆れて裕を見ている。
「、え!? あ、ああ!すみません!!
えっと、、 あ。」
「??」
「、、、、すみません、この本お取り置き出来ないですか、、?」
財布の中身を確認し、裕は申し訳なさげにその本を店主に渡した
『世界の超人達☆素晴らしきその肉体』
「、、、、、それ、そんなに人気でてないから、取り置きするまでもないけど。
まぁ、馴染みのお客さんだしね。 とっとくよ。」
「やった! ありがとうございますッ! あ、もうこんな時間だ!バイトに遅れちまう! それじゃ!!」
裕は慌てて店を出た。
「やば、、間に合うかな。
さっそく使うか、、。『アボガドスキー』ッッ!!」
とたんに裕のスピードが速くなる。
「さすが、、!世界の超人達はスゴイなッ♪
でも、こんどはめくるだけじゃなくて絶対買ってやるぞ!」
そういって彼は黒人の様なバネをもっているかの様に、颯爽と商店街を走り抜けていった。
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