おにいちゃん、だいすき



 ──その悪戯を始めたのは、些細なキッカケだった。

 ボク、千堂真樹(せんどう・まさき)と、ひとつ年上の姉である朋希(ともき)は、中学2年生の姉弟にしては、普段はそれなりに仲がいいほうだと思う。
 これは、朋希が女の子にしてはボーイッシュで活発な嗜好の持ち主で、逆にボクのほうがピアノのお稽古や家事手伝いを好む家庭的な傾向があるせいかもしれない。
 ボクらは双子ではないけど、11ヵ月違いの生まれで学年は同じだったから、あまり年の差を気にすることがないのも影響してるのかも。
 実際、友達の話を聞いてる限りでは、ふつうはこの年頃の姉はやたらと弟を迫害するし、逆に弟は何かと姉に反抗的な態度をとるものらしいし。
 ただ、ボクと朋希の場合、内気で男としては(遺憾ながら)少々頼りないボクのことを、勝気な姉の朋希が引っ張り、保護してくれてるという面があり、それなりにうまくいってたんだ。
 ──そう、あの日までは。


 キッカケは、朋希が市内の夏祭りで開催されるイメージガールコンテストに応募したこと。いや、正確には、朋希の名前を使ってミーハーなママが勝手にやったコトなんだけどね。
 何の手違いだか一次書類審査に受かってしまったのはともかく、勝手にそんなコトをされた朋希がヘソを曲げてしまった。
 まぁ、確かに、空手の有段者で、女子サッカー部エースストライカーでもある朋希に「イメージガール」という言葉は似合わないかもね。
 けれど、コンテストの賞品(有名な温泉に家族で二泊三日旅行に招待)に目がくらんだママは、せっかくの機会を惜しんだ。
 ……もう大体わかると思うけど、そこでボクが代役として駆り出されたんだ。
 二次審査は水着だから絶対無理だってボクは主張したんだけど……。
 「大丈夫、マキなら絶対似合うって!」
 ひらひらフリル付きの可愛いワンピース水着(ママが勝手に買ってきたモノ)を手に、ニヤニヤしながらボクに迫る朋希。
 「ごめんね、マキちゃん。でもでも、これも熱海二泊三日のためなの!」
 笑顔のまま、ボクの服を剥ぎ取るママ。
 我が家の二大権力者に迫られては、家庭内ヒエラルキー最下位に位置するボクとしては拒む術はなかった。
 (ちなみに、ママ>トモキ>パパ>ボクの順ね)
 「プッ……ククク、いやぁ、よく似合ってるよ、マキ」
 結局、ボクは朋希のワンピース水着を着せられてしまった。
 「うう。やっぱりちょっともっこりしてる気がするよぅ」
 「大丈夫よ! フリルのひらひらもあるし、マキちゃんのならちっちゃくて可愛いからバレないって」
 ……ママ、その言い草は、地味に傷つくんだけど。
 「あはは、怒らない怒らない。実際よく似合ってるんだし」
 確かに、鏡には女の子として見てもとくに違和感がないボクが映っている。
 「そうだわ! こうすればもっと……ホラ!」
 ママはボクの長めの髪をリボンでささっとツインテールに整える。
 「ほーらぁ、完璧でしょ」
 「う、うん……」
 鏡の中のボクは、自分の目から見てもかなり可愛い部類に入る女の子だった。

 そんなこんなでボクは14歳の少女「千堂朋希」としてコンテストに出場して、どういうワケか二次審査も突破し、最終選考で浴衣(もちろん女の子用)を着て、特技のピアノの弾き語りを披露。
 優勝こそできなかったものの、3位に入賞して、賞金3万円をゲットしたんだ。
(ちなみに副賞の温泉旅行ペアチケットは、ママとパパが使用。別にいいんだけど……なんか納得いかない)

 まぁ、そこまでなら、単なるひと夏の笑い話で済むんだけど。
 困ったことにあれ以来、朋希はボクを女装させるのがお気に入りになってしまった。
 夏休みなのをいいことに、朝からボクの部屋に押しかけてきて、可愛い服に着替えさせて、ボクを外に連れまわす。
 パパもママも笑って見てるだけ。ていうかむしろママなんか面白がってて、朋希と一緒に服のカタログ見ながらボクにどれ着せようか和気あいあいと相談してる始末。
 最初のころは、外出の度にドキドキしてたけど……人間、何事も慣れるモンなんだね。実際、何度か知り合いに遭遇したけどバレてなかったし、いつしかボクも開き直って、この一風変わったお出かけを楽しむようになってたんだ。


 そんなある日。
 「んーっ! 今日も楽しかったね、真樹!」
 「うん、そうだね。別人になったみたいで、結構楽しいかな」
 今日は、近所の映画館まで姉弟デート(?)。
 例によって、ボクは(主にママの趣味より)ノースリーブでくるぶし丈のサマードレスと女性用ストローハット、足元はオシャレなサンダルといういでたち。
 逆に朋希の方は、髪をベリーショートにしたうえ、カーゴパンツに洗いざらしのTシャツとスニーカーという格好だから、どこから見たって「男の子」。
 しかも、朋希の方がボクより3センチばかり身長が高いから、はたからは「兄妹」にしか見えないだろう。
 「真樹ったら、すっかり女の子生活に馴染んじゃった?」
 「まぁ、誰かさん達のおかげで、ね」
 確かに、こうやって女の子の格好してる時の挙動とかは、色々慣れてきちゃったと思うけどね。内股で歩くとか、スカートの裾を気にするとか。
 「こうなったら、新学期からは、セーラー服着て……モガッ!」
 ボクは慌てて朋希の口を塞いだ。カズくん──従兄の和也さんが向こうから歩いてきたのが見えたから。
 「ん? よぉ、朋希! 相変わらず男前なカッコしてんな」
 「あ、ちーっス、カズくん! クラブ終わったの?」
 カズくんは、僕らにとってはお兄ちゃんみたいな人で、朋希にとってはサッカーの師匠でもあるから、尊敬の意を込めて「カズくん」と呼んでるみたい。
 「ああ。ったく、この炎天下でボールを追いかけるのは正直たまらんぜ。汗が2リットルくらい絞られた気分だ。
 お、そっちは友達か?」 
 カズくんはボクの方を見たので、ドキッとした。
 見ず知らずの人ならともかく、カズくんには、さすがにこの距離だとバレるだろーなぁ。なんだか首をひねってるし。
 「へへへ、カズくんったら気付かないの?」
 けれど、そんなカスくんをからかうような言葉を朋希は投げかける。
 「何がだ? ま、まさか、お前の彼女なのか!? お、男前なヤツだとは思ってたが、そこまでとは……」
 ガクッ! どーゆー勘違いだよ!
 「アハハハハ! そりゃいいな。でもハズレ。このコ、マキだよ。可愛いでしょ?」
 「え? マキって……真樹か!? お、お前、いつから女の子に……」
 びっくりしたようにボクを見つめる。
 身内にそんな目で見られると、さすがに恥ずかしい。自然に頬が赤らんでくる。
 「と、朋希に無理矢理女装させられたんだよ~」
 モジモジと体をくねらせていると、見下ろすカズくんの視線が、ボクの体に絡みつくように感じて、余計にドキドキしてくる。
 「そ、そうなのか? いや、しかし、可愛いな……まるっきり女の子じゃないか」
 あれ、カズくんも真っ赤になってる? 
 「ちょっとカズくん、何赤くなってんの? コイツ、真樹だぞ?」
 「ん? ああ、そりゃそうだな。でも……」
 その先を聞くのが怖くなったボクは、その場から走って逃げ出した。そのまま、家まで帰り、走り込んでドアを閉める。
 「はぁ、はぁ、はぁ……なんで、ボク、こんなに……ドキドキしてんだろ。それに……」
 ワンピースの下に履いた女物のショーツの下で、ボクのソコが固くなっていることがわかった。


 そんな事のあった夜。ボクのケータイにメールが届いた。
 「あれ? カズくんからだ。珍しいな……」
 メールを開くと、そこには思いがけないメッセージがつづられていた。
 『明日、いちばん可愛い恰好して、俺んちに来てくれ』
 え? コレって……どういう意味? ま、まさか……でも、なんで……。
 ボクは悶々としながら布団に潜り込んだ。

 * * * 

 次の日。悩みながらも、ボクはカズくんちの家の門をくぐった。
 ガレージに車が無いところを見ると、叔父さんは外出中みたいだ。
 ──ピンポーン!
 入口の呼び鈴を鳴らすと、すぐにインターフォンから応答があった。
 「誰?」
 「こ、こんにちは。真樹、です」
 「お、よく来たな真樹。ちゃんとオシャレしてきたか?」
 「えっと……うん、たぶん」
 今日の僕の服装は、薄いピンク色のフレアミニのワンピース。白いオーバーニーソックスとショートブーツを履いて、髪型はいつかみたくツインテールに結わえている。
 (自分では、結構可愛いと思うんだけど……)
 カズくんもそう思ってくれるか、ちょっと心配。
 ──心配? なんで?
 自分でもよくわからない感情に心を乱されながら、ボクはカズくんの家に上がった。
 リビングに置かれたソファにカズくんは座って待っていた。
 「へーーー……昨日のお嬢様っぽいカッコも良かったけど、そういう可愛らしいのも似合ってるじゃんか」
 褒められて知らず頬が熱くなる。
 「あ、ありがと……それで、カズくん、いったい何の用?」
 「…………」
 無言のまま、カズくんがソファから立ち上がった。
 高校生で、サッカー部のキャプテンをやってる身長180cmのカズくんは、身長150センチちょっとのボクからすると見上げるくらい大きい。
 そのままつかつかとボクの側に近づくと、いきなりがしっと肩を掴まれた。
 「マキ、やっぱ、お前、可愛いな」
 ギュウッと抱きしめられた。
 部活で鍛えたカズくんの力に、非力なボクはとても逆らえない。押しつけられた胸板から、むうっと男の匂いがする。
 「ちょ、待ってよカズくん、ボクは男だってば!」
 「そんなの関係ねぇ! 昨日、女の子の格好してるお前を見た時から、俺、マキが好きになっちまったんだよ……マキのこと、俺のモノにしたいんだ!」
 「ひゃああ………ちょ、ちょっと、おちつ…んぷっ、んむ…ん……」
 カズくんの唇がボクに無理矢理押しつけられ、舌が絡んでくる。「キス」という言葉で思い描いていたのより、ずっと荒っぽく、唾液を吸い上げられる。
 「んぷぅ…んぐ……ぷ…はぁ……」
 そのキスで、ボクはすっかり体の力が抜けてしまった。
 「マキ、マキぃ……」
 カズくんはうわごとのようにボクの名前を呼びながら首筋、胸元を舐め回してくる。
 けれど、男にそんなことされてんのに全然気持ち悪くない。ううん、むしろ、キモチイイ。
 ワンピースの胸元をはだけられ、乳首にキスされた時、ボクはあまりの気持ちよさに、全身を震わせた。
 「可愛いよ、マキ………どんな女の子よりお前の方がいい……」
 「はぅ! そ、そこはやめ、うあぁ…」
 カズくんの指がボクのおちんちんに触れる。さっきからボッキしっぱなしの所を愛撫されてビクビクっと腰が動いた。
 「ふふ、パンツも女物なんだな」
 カズくんはクスリと笑った。
 「す、スカートがめくれた時に見えると、困るから………」
 ボクが俯くと、スカートの裾が大きくまくり上げられた。
 そして、水色のショーツに手が掛けられ……そのまま、スルリと下ろされる。
 「マキ……」
 「カズくん……」
 「昔みたく、「お兄ちゃん」って呼んでみな」
 「お…おにいちゃん……」
 「ん。いいコだ」
 再び唇を奪われる。今度はボクも抵抗しなかった。
 カズくんの舌がボクの口中を蹂躙すると同時に、カズくんの指はボクの下半身を愛撫する。


 「んぐ…んむぅ…おにぃちゃぁん、そ、そんなにしたらボク、出るぅ………」
 「ああ、いいぜ。出せよ。イくとこ見ててやるから」
 カズくんの太くて大きくて暖かい指がボクの乳首をこりこりと刺激する。それだけでボクは達してしまった。
 「あ、ぁあーーーーーーああッッッッ!」
 先走りとも射精ともつかない不思議な感覚とともに、ボクのおちんちんから生ぬるい液体がドクドクと溢れ出る。
 「はは、いっぱい出たな、マキ。びしょびしょだ」
 「はうぅぅぅぅぅ……」
 羞恥で真っ赤になるボクは、再三カズくんにキスされた。今度はボクのほうからも積極的に舌をからめる。
 「ん……ぬ……ちゅ……ぬぷっ……はぁはぁ」
 「いいぜ、マキ。じゃあ、今度は俺も気持ちよくしてくれよ?」
 「うん、お兄ちゃん……」
 カズくんは服を全部脱ぐと、ソファに座った。カズくんのちんちんもカチンカチンにボッキしてる。ボクのとは比べものにならない大きさだ。
 ボクはカズくんの開いた股の間に跪く。
 「あぁ……熱い……んと、これでいい、お兄ちゃん?」
 ボクはそれに手を添えて、懸命にシゴく。
 「あ、あああ…キモチいいぞ、マキ…もっとだ!」
 両手を使って擦り上げるようにするとカズくんが声を上げる。
 「うん、わかった」
 真っ赤に腫れ上がり、先走りでぬるぬるになったカズくんのちんちんを、ボクは口に含んだ。
 「んぐ……ふぐぅ……ちゅっ……ごんながんじ?」
 「うぁ、マキぃ…そ、それいいぞ。あぁ!」
 お兄ちゃんが喜んでくれるのが嬉しくて、ボクはますます熱心にソレをしゃぶり続ける。
 「んむ…んん…んぷ」
 カリの裏とか触ると気持ちイイよね…とか思い出しつつ、お兄ちゃんのその部位舐めて上げると、お兄ちゃんは気持ちよさそうな呻きを漏らした。
 「んぷ…んむ…ね、キモチいい、お兄ちゃん? 出そう?」
 「ああマキ、すごくイイよ。出る…イきそう……」
 口の中のお兄ちゃんのちんちんがビクって震えて、お兄ちゃんの体にグッと力が入る。
 あっ、と思った次の瞬間、びしゃっと熱い液体がボクの喉にぶちまけられた。
 「!! んぷぅ…んぐ………」
 「あ、はぁあああ、マキぃ!」
 生臭くて、すごく濃い液体がボクの口の中に広がる。
 一瞬吐き出そうかと思ったけど、ボクはそのままごくんと、飲み込んだ。
 「マキ、お前……飲んだのか?」
 「うん、飲んじゃった。お兄ちゃん、イヤだった?」
 「バカ! んなワケあるか! すごく嬉しいぜ、マキぃ!」
 また思い切り抱きしめられると同時に、体にまだ堅くて熱いちんちんも押しつけられる。
 「なぁ、マキ。俺、出したばっかなのに全然収まんないよ……このままシていいか?」
 「うん……いいよ、お兄ちゃんなら」
 どうしてだろう。
 ボクは今、カズくん――お兄ちゃんになら何をされてもいい気分だった。むしろ、もっとしいろんなコトをして欲しい。
 ソファに座ったお兄ちゃんの太ももに、ボクは向かい合うように跨がった。
 「マキ、お前……もちろん、そっちの経験、無いよな?」
 「うん……て言うか、こんなエッチなコト、他人とする事自体、初めてだよ!」
 「あはは、そりゃそうか。まだ中二だもんな」
 そんなコトを話ながら、つかのまお兄ちゃんのちんちんとボクのおちんちんがヌルリと触れ合う。


 お兄ちゃんは、ボクの腰を持ち上げて、自分のちんちんを、ボクのお尻に押し当てた。
 「じゃあ……マキの処女、もらうぞ?」
 「!! うんっ、お兄ちゃんに、ボクの処女、あげる……優しくしてね」
 そういながら、ボクは自分からそっと腰を落とした。
 熱いお兄ちゃんのちんちんがボクのお尻の穴を広げるように押しつけられて…亀頭部分が飲み込まれていくのがわかる。
 「うぁ……クッ、気持ちいいぞ、マキ!」
 「あ…あああ……」
 ボクの腰がグイと掴まれ、お兄ちゃんはジワジワと、けれど確実に自分の腰を打ち込んできた。
 じゅぷっと、ボクの奥までお兄ちゃんのモノが侵入する。
 「ぅあ! はぁ、はぁ………くぅうう、キツい」
 「ああ、マキぃ……マキのオマ●コ、きゅうきゅうに締まって、すげぇ気持ちいいぞ!」
 ボクのお尻を貫いた熱い塊がゆっくりと上下に動き始めた。
 ちょっと痛い。痛いけど………。
 「あはぁ…おにぃちゃぁん………は、激しいよぅ」
 「ああ、マキ……マキ…可愛いよ………マキぃ…」
 突き上げられる度にぬるぬるが分泌され、それと同時に身体の奥底から快感が波のように押し寄せてくる。
 (ああ……女の子ってこんなキモチなのかな?)
 ボクは朦朧としながらそんなことを考えていた。
 「はぁ、はぁ…マキ、俺出そうだ……出してイイか?」
 次第に腰の動きは速く激しくなり、もはやガンガンっと突き上げるような動きになっていたけど、ボクも完全にこの快感に飲み込まれて、今にもイきそうだった。背筋に痺れるような快感が走る。
 「あ、あああ、いいよぉ! お兄ちゃんのちんちん……ボクの体内(なか)にいっぱい出していいよ!!」
 「マキ! うぁ、イくッ!」
 グイグイと腰が突き上げられ、同時にお尻の中に熱いモノをぶちまけられる感触。
 「あふぁぁ…きたぁ…あついよぉ……」
 お腹の中に熱いものが広がる感触を感じるとともに、ボクも今日二度めの絶頂を体験していた。
 ビクンビクンと身体が反り返る。お尻には、まだまだ射精されてる最中で、溢れた精液が入り口から吹きだしてるのがわかった。
 「はぁ、はぁ…」
 ボクはお兄ちゃんの胸に倒れ込んだ。
 同時にぬるっとボクのお尻からお兄ちゃんのちんちんが抜け、ごぽっと精液が流れ出す。
 「気持ちよかったぜ、真樹……」
 「ん、ボクも……お兄ちゃん、大好き♪」
 「ああ、俺もだ」
 また抱き合ってキス。
 (もう、ボクどうなってもいい……ううん、お兄ちゃんと、ずっとこうしていたい)
 ゆっくりと微睡みに落ちながら、そんコトを思った。

 * * * 


 「!」
 目が覚めると、まだ早朝だった。
 「な、なんていうエッチな夢を……」
 おまけに布団をめくると、夢精までしていた。
 ボクは真っ赤になりながら、汚れた下着を始末する。
 「メールは……っと。ああ、これは夢じゃなかったんだ」

 ――さて、どうしたものか?
 なんて考えたのは、自分の気持ちを、欲望を認めたくなかったから。
 それでも、本当の気持ちを偽ることなんてできっこない。
 その証拠に、ボクは、あの夢の通りの服を着て、お兄ちゃんの家の玄関に立っているのだから。
 ……いや、ちょっと違うか。
 服装とか髪型は同じだけど、顔には見よう見まねだけど薄くお化粧しているし、下着もちょっと過激でセクシーなブラとショーツを選んできた。
 (ああ……ボク、期待してるんだ……)
 カズくんに……お兄ちゃんに、可愛いって思って欲しい。
 もっと淫らに……大胆に、激しく抱いて欲しい。
 ──ピンポーン!
 入口の呼び鈴を鳴らすと、夢の通りにインターフォンから応答があった。
 「誰?」
 「こんにちは、お兄ちゃん。マキです」
 ボクはうっすらと微笑みながら、お兄ちゃんのいる家へと入っていった。 

-FIN-

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最終更新:2013年04月27日 22:11