誰が為の幸せ


 目覚めの気分は最悪に近かった。
 昨晩は、お付きのメイドを連れて、兄夫婦の家に泊めてもらったのだが、慣れぬ寝具のせいか、妙に寝足りてない感覚だ。掛け布団を蹴飛ばしたのか、何だか寒いし、体のあちこちも痛い。とくに手首から肩にかけてが……。
 「!」
 体をよじった瞬間、自らの腕に走った痛みで、ゲーティ――ゲルトルード・アードルファ・ボラレアスは、ハッキリと覚醒した。
 肌寒さを感じたのも道理。いま、彼女は薄い夜着姿のまま引き起こされ、膝をついた姿勢のまま両手首を頭上で高小手に縛られているのだ。縛った縄の一端は、部屋の梁にくくられているようだ。
 「ほぅ……目が覚めたかえ。ほれ、あちらを見や」
 どこか聞き覚えのあるその声に従って目をやれば、暗闇の中で何かが蠢いている。
 「あれ、は……?」
 「ホホホ、もそっとよく見てみやれ」
 耳元で囁く言葉に一層目を凝らすと、それが"人"であるとわかった。
 同時に、そちらから聞こえる"声"も耳に入ってくる。
 「……フッ。いいぞ、レティ。もっと素直に感じるんだ」
 「あぁっ、兄君様ぁ……」
 「!」


 部屋のもう片方の端では、彼女の兄ザナックと、彼女が連れて来たメイド少女との交歓が行われていたのだ。
 ──否。メイド「少女」ではない。
 男嫌いの気があるゲーティが、先月、伯爵家に入ったばかりの見習い使用人の少年を戯れに女装させてみたところ、そのあまりの愛らしさを気に入り、そのままメイドとして自らの近くに置くようになったのだ。
 幸か不幸か他の使用人との面通しなどもまだ済んでいなかったため、そのまま少年レティアスは、「レティシア」という少女として邸内では扱われることになった。
 基本的に利発な子であるレティは、先輩メイド達に教わりながら、次々とメイドとしての知識や礼儀作法、身ごなしなどを覚えていった。
 また、「レティシア」は庶民の出(そして本当は男)とは思えぬほど可憐な容貌の持ち主で、かつ素直で従順な性格だったため、年配者の多い伯爵邸の使用人たちからは娘か孫のように可愛がられていた。
 おかげで、ゲーティが「彼女」を傍に置いても誰も反対せず、むしろ近い将来の伯爵令嬢付侍女(レディースメイド)候補として、現在の担当者(ゲーティたちの乳母)からも期待されているほどだ。

 しかし。
 今、その清純可憐な花は、ゲーティが敬愛する兄の手で摘み取られようとしていた。
 「レティ、おまえ、本当に可愛いな」
 そう言ってザナックはレティの身体を抱きしめると、ゲーティたちの方にちらりと笑ってみせ、優しくメイド服姿の"少女"を寝具の上に押し倒した。
 「兄君様……」
 完全に雰囲気に飲まれているのか、レティに拒絶する素振りはまったく見えない。むしろ頬を紅潮させ、うっとりとした瞳でザナックの方を見るばかりだ。
 嗚呼、こんなコトになるなら、巷で話題の通俗恋愛小説など読ませるんじゃなかった、とゲーティは心の片隅で嘆くが、 それでも倒錯的なその光景から目が離せない。
 「情事でその呼び方はイマイチだな。"ご主人様"と呼んでみな」
 「は、はい。ご主人様……」
 「ん、いいコだ。ちょっと、じっとしてな」
 耳元で囁かれ、その言葉にレティはびくんと反応する。
 ザナックは、首筋、耳たぶ、あるいは頬に何度もキスを繰り返しながら、"彼女"のワンピースのスカートに無骨な手を差し入れ、めくりあげる。
 ふんだんにレースで飾られたコーラルピンクのショーツがあらわになった。
 「ほぅ、なかなか可愛らしい下着だな。男の浪漫をよくわかっている」
 下着の上から、軽く"そこ"を撫でると、レティはビクンと身体を震わせた。
 その反応に満足したザナックは、今度はメイド服の胸元をはだけ、そっと口づけた。
 第二次性徴前だけあって、レティの裸身は未成熟で華奢な印象を与えたが、反面、妖精のような不思議な蠱惑に溢れていた。
 ほとんど脂肪ののっていない胸は薄いが、その分神経は刺激に敏感らしく、チロチロとザナックが舌を這わせるたびに、ピクピクと胸全体を震わせている。


 「ひぐぅっ……」
 豆粒のように小さな乳首を唇で覆ってちろちろと舌を動かすと、レティはしゃくりあげるような声をあげて腹筋を動かした。
 「反応もなかなかだな」
 楽しそうにささやくザナックを、レティはぼんやりとした目で見返した。細めた目の長いまつげに涙がにじみ、桃色の唇からかすかな吐息を漏らしている。
 背中までの長さに伸ばされた黒髪が、薔薇色に染まった頬にかかり、歳不相応な色気を醸し出している。
 どう見ても、"若きご主人様に悪戯されている幼いメイドさん"だ。どこを捜しても、少年らしさは見つからない。喘ぎ声から、身じろぎの仕方に至るまで完璧に美少女のそれで、スカートから伸びる足さえ、力なく外側へと折られている。
 だが、ひとつだけ隠しようがなく"彼女"の本来の性を物語っている部位があった。
 ふとそこを見つけたザナックが微笑む。
 「ここも正直だしな」
 大きくまくりあげられてのぞくピンク色の下着の中に、ザナックの小指ほどの物体がくっきりと浮かび上がっていた。ザナックは下着の上から優しく手をかぶせ、丸めた手のひらでそっと撫でさする。
 「あ、ああっ、うぅ……」
 レティはそこを刺激する快美な感覚に呻き声をあげた。いまだ自慰もしたことがないであろう"彼女"のそこは、予想以上に敏感なようだ。
 「可愛い反応をしてくれるなぁ」
 ストッキングと下着をまとめてずり下ろす。あらわになった内股を撫で上げられ、レティは思わず脚を震わせた。

 次にザナックが口づけた場所は大腿だった。長靴下の保護から解放されたそこに顔を近づけ、はむ、真っ白な柔肌を甘噛みする。
 「ひゃうぅんっ! だ、だめですぅ~、ご主人様ぁ……」
 レティの漏らした抗議には頓着せず、さらに舌を滑らせ、うぶ毛も生えていない細いすねからふわふわしたふくらはぎまで、ぐるりと唇をめぐらる。
 さらにもう片方の脚で同じことを始めた時点で、とうとうレティは音を上げた。
 「ご、ご主人さま……私、もう、おかしくなっちゃいますぅ……」
 「ははは、スマンスマン。ちと意地悪だったか」
 足にキスをしながらも、ザナックはずっと股間を優しく撫で続けていたのだ。先程以上にそこは充血し、頂上にうっすらと染みをにじませている。
 ザナックはニヤリと"メイド少女"の足下から身を起こした。スカートを持ち上げ、僅かに少女にはあり得ない膨らみを見せている女物の下着を凝視しながら、レティの耳元に顔を寄せる。

 「最後に選ばせてやるよ。レティ、このまま俺に"女"にされるか? もし、どうしてもイヤだって言うなら、ここで止めてやってもいいぜ」
 「……私、女の子になれるんですか?」
 「ああ。お前さんだったら、とびきり可愛くてとびきりエッチな女の子になれるだろうな」
 答えは聞くまでもない。このひと月間、ゲーティによって男性として価値観を打ち壊され、侍女(メイド)としてのソレを植え付けられてきたのだ。
 すでに、レティシア自身の自己認識は、ほとんど「女の子」になっていた。
 それでも、ザナックはあえてそれを本人の口から言わせる。
 「……なる。なります! 私、女の子になりたい!!」
 「いいのか? いまここで俺がしなくても、将来お前を女の子にしてくれる男が現われるかもしれんぞ?」
 「いいえ、兄君……いえご主人様がいいです! どうか、私を"女"にしてください!!」
 「オッケー。了解だ。とびっきりホットに可愛がってやるぜ」


 不意に、レティの唇を奪うザナック。
 一瞬驚いたレティだが、ザナックの舌に口腔内を蹂躙されるにつれ、目をトロンとさせ、力を抜いて彼の口づけを受け入れる。さらには、おずおずと自らも舌を差し出してからめ始める。
 しばしの間、クチュクチュと軟体どうしがからみあう音が辺りに響き、やがてふたりの唇が名残惜しげに離れた。
 「ご主人様ぁ、いまのが……私のファーストキス、です」
 「ほほぅ、そうか。でも、今からもっとスゴいこともしちゃうぜ。このままだど、レティの初体験は全部、俺がもらっちゃうことになるな」
 「ぅん、いいですよ。私の初めて、全部ご主人様にあげます♪」
 ザナックの指示に従って、レティは背中から彼の腕の中に収まる。ザナックの手が再びメイド服のスカートの中に滑り込んだ。
 ぞくっ、とする感覚にレティは背中を震わせた。これが"快感"と言う名の甘い媚薬であることは、すでに知っている。このまま身を任せていれば、ご主人様が、さらなる"快楽"を与えてくれるだろうことも。
 ピンッと尖ったレティのそこに、ザナックは手を伸ばしてきた。"少女"の求めることは、正確に読み取られているようだ。スカートの中で充血したそこを、ザナックは巧みに刺激する。
 「どうだ、レティ?」
 「んっ、んっ……い、いいっ、ですっ!」
 唇を歪めていた少女が、はっと目を見開く。尻に当たるものに気付いたのだ。
 「ご主人様も……興奮してる?」 
 「ああ。おまえがあんまりにも可愛らしいからな」
 「……私が欲しいんですか?」
 「ああ、レティ。お前さんが欲しい。可愛くて柔らかくてあったかいお前の"中"に、入りたくてたまらねぇ」
 レティの胸の奥がジーンと疼いた。
 (男の人に求められることが……こんなに心地いいなんて)
 「はい……存分にどうぞ。今だけは……レティは、ご主人様の恋人(もの)です」
 "少女"は頬を真っ赤に染めながら目を閉じ、覚悟を決めたように両脚を大きく開いた。

 ザナックは満足げな表情で自分も下着を脱ぎ、息子をあらわにする。その部分はすでに十分勃起して、先端部はぬるぬると黒光りしていた。
 あおむけになったレティと向き合うような形で、その股間へと身を割り込ませ、"少女"の蕾の部分に、指で触れる。
 自らのモノの粘液を指先になすりつけていたこともあってか、熱く潤ったそこは呆気ないほどすんなりとザナックの指を受け入れ、飲み込んだ。締めつけ自体はキツいが、内部はヌルヌルと湿っており、指を前後に動かすことはたやすかった。
 「指を入れてるけど、どうだ?」
 「んん……ハァ………すごく、熱い…です」
 どんどん深くにまで、ザナックの指が入って来るのがわかる。ぞわぞわと背骨を這いあがるような違和感を感じるが、すぐにそれが快感へと変換され始める。
 「苦しくはないか?」
 「いい、え……気持ち…いい、かも」
 その言葉に嘘や無理がないことを確認したザナックは、最後の一線を越える決断をした。
 「それじゃあ、いくぞ。大きく息を吐いてみな」
 「はい……」
 可憐な"蕾"に自らのモノをあてがうと……レティが息を吐くのに合せて、ザナックは力を込めて、そこを貫いた!。

 「! うぅっ……」
 「もうちょっとだ。もっと力を抜いてみろ」
 灼熱の塊りが食いこんでくるのを感じながら、レティは、さらに深く息を吐いた。その拍子に、ヌルリとザナックのそれが潜りこんできた。
 「大丈夫か、レティ?」
 「はぁ……い……」
 きつくシーツを握り締めたレティは、何かに耐えるようにその身を震わせている。まだ幼い顔に汗が噴き出していた。
 ザナックはレティの頬に口づけして、舌先でその汗をぬぐってやった。
 「あ……」
 「よく頑張ったな。痛いか?」
 「ちょっとだけ……でも、へいき、です」
 「そうか。もう少しリラックスしてみな。楽になるから」
 その言葉にレティが素直に従い、全身の力を抜いた。途端に、ザナックの息子を包む腸壁から堅さが消え、心地よい柔らかさが残った。ザナックは満足げに微笑み、ゆるゆる腰を動かし始めた。


 一方、レティの身体も、おぞましさと気持ちよさの入り交じった未知の感覚に、徐々に慣れ始め、早くもそれを受け入れていた。
 (あ……腰から下が、あったかいお湯で満たされてるみたい……)
 一度快感を意識すると、それはたちまちにより大きな快楽へと転化し始める。
 何度も出入りを繰り返しつつ、ついにザナックのそれが身体の深奥部まで入ってきたとき、レティの目からは、涙がにじんでいた。痛みからではない。快楽と幸福感のあまり、自然と涙が出てきたのだ。
 「ふわぁ……いい……きもち、いぃよぉ……」
 "ご主人様"に犯されるのが、狂おしいほど気持ちよく、また嬉しかった。
 己れの体内で律動するザナックのモノを感じながらレティは、紛れもなく"女の幸せ"を感じていた。
 「ごしゅじん……さまぁ……あったかい? 私の中、気持ちいい?」
 「ああ……いいぜ、レティ……お前の中がこれほどとは……」
 普段は愛らしく整った顔を紅潮させ、だらしなく口を開いて喘ぐその様子は、その幼い歳に似合わぬ紛れもなく発情しきった"牝"の顔だったが、ザナックはそんな"彼女"を愛しいと感じる。
 「好きだぜ、レティ!」
 「きゃうっ、ん!」
 "彼女"の両足を持ち上げて胸元に抱え込み、真っ白な尻を開かせてより一層深い結合を求める。
 「ご、ごしゅじん……さまぁ……」
 レティが切なげに鳴き声をあげた。
 ぐりぐりと圧力を加えられて、体内がさらに開発されている。
 おへその裏辺りまで、ザナックの先端が届いているのがはっきり分かったる。
 女しか味わえないはずの身体の内側まで愛される快感に、"少女"は酔いしれていた。
 「もっと、して……ずっと私の中で、動いて! これぇ……すごいのォ……」
 「そうしたいのは、ヤマヤマだが……わりぃ、そろそろ限界だ。出すぞ?」
 「だ、出す……って?」
 無垢にして無知な幼いメイドの様子に、ザナックは苦笑しつつ、簡単に説明する。
 「えっと……男はサイコーに気持ちよくなると、アソコから白い液が出るんだ」
 女の中で男がそれを出すと妊娠――赤ちゃんが出来るんだ、と付け加える、
 「つまり……赤ちゃんの種?」
 どうやら、幼いこの子にも、女性が胎内で赤ん坊を育てるというくらいの知識はあったらしい。
 「私、もう女の子なんですよね? だったら、私も赤ちゃんができるんですか?」
 「……もしかしたら、な」
 そんなはずはないと思いつつも、この一時だけは"少女"の夢を壊すまいと嘘をつく。
 「私とご主人様の赤ちゃん……ふわぁ……」
 ザナックに突かれて、絶頂寸前のまま喘ぎながらも、一瞬レティの瞳に夢見るような色が浮かぶ。
 「どうする。外に出すか?」
 「ううん、私、体内(なか)で受けとめたい! ご主人様お願いします!」
 熱に浮かされたようなレティの興奮を感じつつ、ぐいぐいと最後の突き込みを与えて、ザナックは"少女"とともに絶頂へと駆け登る。

 「じゃあ、いくぞレティ! 俺の"子種"、たっぷり受け止めろ」
 「わっ、私も……いくっ! イキますぅ……あっ、ああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」
 思いきり自分を抱きしめた憧れの男性が、自分の体内に熱い奔流を流し込み、お腹の中をいっぱいに満たしていく。それに触発されて、生まれて初めて"イク"のを感じながら、思わずレティは叫んでいた。
 「兄君様、私、妊娠しちゃうううーーーーーーーッッ!」


 「ハッ!」
 朝日……というには少々明る過ぎる光に起こされるゲーティ。
 周囲を見回せば、何のことはない。王都にあるボラレアス伯爵邸にある、いつもの自分の部屋だ。
 「もしかして……夢なの? わ、わたくしったら、なんて夢を……」
 敬愛する兄夫婦に加えて、妹も同然に可愛がっているコまで巻き込んだ一大エロエロ妄想の発露に、さすがの彼女も朝からズズーーンと気分が沈んだ。
 とは言え、夢とわかって安心したことも確かだ。もし現実なら、今後どんな顔をして兄や義姉に会ったらいいかわからない。

 「お嬢様、さすがにそろそろ……って、あ! 起きられたんですね。おはようございます!」
 「え、ええ。おはよう、レティ」
 毎日、身近にいて世話を焼いてくれる、このメイドの少女(いや、本当は少年だけど)にも、妄想とはいえ申し訳ないことをしてしまった。
 「あ、そう言えば、ご主人……じゃなくて兄君様から、お手紙が届いてましたよ」
 ! いま、何と言いかけたのか、この子は?
 ふと自分の手元を見れば、何か縛られたような痕が……。
 (お、落ち着きなさい、ゲルトルード。あれは、夢。ただの夢なんだから)
 そう自分に言い聞かせながら、彼女は兄からの手紙を開いた。
 ──預けた蝶を、近々そのうち引き取りに行くのでよろしく。byザナック
 「い、いやぁぁあああああああああああああああああーーーーーっ!!!」

  • FIN-


#以上。コレがワタシの全力全壊! 正真正銘ネタ切れです。誰か投下プリーズ!
#レティのイメージは、11、2歳くらいの某人形じゃないメイドさんか鬼四姉妹の三女で。
#ちなみにRPG風にキャラを現わすとこんな感じ
 ・ゲーティ:貴族(ノーブル)Lv4、射撃手(アーチャー)Lv1、賢者(セージ)Lv1
 ・ザナック(兄):貴族(ノーブル)Lv1、槍使い(ランサー)Lv8
 ・ミランダ(嫂):東方の巫女(シャーマン)Lv3、射撃手(アーチャー)Lv5
 ・レティ:侍女(メイド)Lv2

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最終更新:2013年04月27日 22:20