優也くん家のお姉さん


「ただいま」
「お邪魔します」

とある民家の玄関に二人の少年の姿があった。
二人とも中学校の制服を着ているが、片方は何故かずぶ濡れだ。

「あ、駿真(そうま)そこで待ってて、今バスタオルもって来るから」
「おう、悪いな優也(ゆうや)」
「だってそのまま上がったら廊下濡れちゃうじゃないか」
「おいおい、誰のせいでこうなったと思っているんだよ」
「感謝はしてるって」

事の起こりは下校中、優也の帽子が風に飛ばされた事にある。
飛ばされた帽子は運悪く川に落ちてしまい、どうしたものかと途方に暮れた時、一緒に居た駿真がひょいと川に飛び込み拾ってくれたと言う訳だ。

「あの川思ったより深いのな」
「普通いきなり飛びこむ?流れが緩やかそうに見えたって危ないのに」
「この俺が溺れるとでも?余計な心配だな」
「でもさ、靴と靴下くらいは脱いでからにしようよ」
「もたもたして流されたら優也困るだろ?」
「その行動力には凄いと思うけどもう少し落ち着いた方が良いよ。川の中で転んだし」
「ちょっと滑っただけだって」
「本当に気を付けてよね。僕の為に駿真が危険に合うなんて嫌だからさ」
「優也は本当に心配性だな」

二人は小学校低学年以来の友達でとても仲が良い。
まさに親友と呼べるような仲なのだ。
解りやすいくらいに性格が違うのだが、気は合う様でこうして二人で行動するのが当たり前と言うか自然となっており、お互い相方と言う言葉がしっくりくる。
お互い丁度足りない分を補うような形なので丁度良いのかもしれない。

駿真は少し呆れた様な顔を見せたが、優也はそんな顔に笑って見せバスタオルを取りに奥へ行くと、すぐに戻って来た。


「ほら、バスタオル」
「サンキュー」
「身体拭いたらシャワー使って良いから」
「んなのめんどくせーよ、いま拭いたらいいじゃん」
「拭いても服は濡れてるよ」
「ほっとけば乾くって」
「いいから、着替え用意するから駿真はシャワー浴びなってば」
「へいへい」

勝手知ったる人の家、優也の家に遊びに来る事も多い駿真は靴と靴下を脱ぐと迷う事なくお風呂場へ直行する。
その姿を見届けると優也は駿真の着替えを用意するのと、ついでに自分も制服から着替える為自室へと向かった。


※ ※ ※


「駿真遅くなってごめん。新品の下着を探すのに手間取っちゃってさ」

優也が着替えをもって脱衣所にやって来たのだが、脱衣所には人の気配があり、既に駿真がシャワーを終えて上がっていた様子が感じられる。
もともと駿真は風呂が早い、最速で5分も有れば頭と身体を洗い終えてしまうのはある意味早業である。
優也が自分の着替えをして、替えの衣類を揃えたのには15分以上は時間を要しただろうから、かなり待たせたかも知れないと脱衣所のドアを開けた時そこに信じられないものが目に映った。

「駿真?何しているの?」
「おう優也、遅かったな。なかなか来ないからここにあった服借りたぞ」
「借りたって、それお姉ちゃんの服だよ!?」

そう、駿真が着ていたのはどう見ても女物の衣類だった。
オフホワイトの薔薇柄なレース使いのシフォンチュニックに、同色の光沢のあるテロッとした素材に裾のシフォンが可愛いスカートに見える様なボリュームのあるキュロット。
それにフロントのレースとラッフルの二重衿がボリュームたっぷりなブラックの透かし網のニットボレロを羽織っており、ご丁寧にサワーベージュのヌードストッキングまで履いている。


「どうだ面白いだろ?」

ここまで完全に女装していると言うのに全く恥ずかしがる様子もなく感想を求めてくる駿真。
逆に見ている優也の方が恥ずかしい。

「面白いとかじゃなくて」
「ほら下着まで完璧だぜ」

言ってキュロットを降ろして見せるとフロントレースが鮮やかなクリームイエローのショーツが股間を包んでいた。
胸のあたりに膨らみも見えるのでブラジャーもしているのは間違いないだろう。

「それじゃ変態だよ!」
「はっはっはっ、俺イケてね?東京ガールズコレクションに出れそうじゃん」
「テレビじゃないんだから無理だよ」
「だって流行ってるじゃん女装」
「そのコーディネートだと、ガールズファッションじゃないからダメだと思うよ。
どう見てもフェミニンな通勤用オフィスファッションぽいし」
「そうか?じゃあ優也の姉ちゃんの部屋行ってそれっぽいのコーディネートしてみようぜ」
「だからダメだって!そんな事してお姉ちゃんにバレたら大変だよ」
「固い事言うなって」

小学生の頃からまるで成長しない駿真の性格にいつも優也はいつも振り回される。
一見すると活発な駿真が引っ込み思案な優也をリードしている様に見えるのだが、その実は後先考えない駿真を放っておけずに優也が世話を焼く事が多いのだ。
そろそろ思春期を迎えても良いお年頃なのだが、女子に比べ男子はその辺がだいぶ遅れている。
とは言っても駿真の場合は極端な例だが。

「とにかく、それ脱ぎなよ」
「いや、せっかく着替えたし面倒だから俺の服乾くまでこのままで良いじゃん」
「良くないよ!いいからこっちの服に着替えてよ。ほら!」

脱ぐのを渋る駿真にしびれを切らし、優也は実力行使で姉の服を脱がせにかかる。


「うお、やめろよ」
「脱いでってば!」

女装少年の服を脱がそうとする男子と、それに抵抗する女装少年。
ある意味倒錯的な光景だが、本人達にその自覚などは無い。
優也にとっては服に悪戯した事が姉にばれると一大事なので結構必死だ。

「うわっと!」
「いてっ!」

そして、すがりつく様に脱がしに掛かった為、勢い余って倒れこんでしまった。
衣類が半脱ぎになってブラやショーツが見えている女装少年に覆いかぶさるように倒れこんでしまった少年の姿は、どう見ても誤解せざるを得ない光景である。
人に見られなければそれは二人だけの出来事で、事無きを得て済む所なのだが往々にして物事とは不慮の事態に陥るものだ。

その時脱衣所のドアが開いたのだ。

「ちょっと何やってるの?うるさいわよ」

そして現れたのが、缶チュウハイ片手にラップタオルタイプのバスローブ姿の女性、優也の姉である優香(ゆうか)その人だった。
その声に驚き、あまりの事に慌てる優也。

「お姉ちゃん!? なんでいるの??」
「なんでって、節電対策の早朝出勤のせいよ」

俗に言うサマータイムと言うもので15時に終業する為に、優香にとってはその半端な時間を持て余し気味なのだ。
暑い中にウインドショッピングと言うのも気が乗らないし、カフェでお茶など気取っているのも性に合わない。
さりとてこんな時間から居酒屋やバーなどと言うものどうかと考える。
結果、さっさと家に帰ってエアコンに効いたリビングでくつろぐのが吉と言う思考のもとの行動結果が今現在ここに居る理由である。

「て言うかあんた達やっぱりそう言う関係だったの?」
「いや、これは駿真が勝手にお姉ちゃんの服を着ちゃって」
「ゴメン優也の姉ちゃん、ちょっと借りて見た」
「うむむ、まさか駿真が受けで優也が攻めだったとは」
「? お姉ちゃん何言ってるの?」
「状況は解ったわ。駿真が私の服を着て誘惑をしたら優也が辛抱堪らなくなって押し倒したと言う訳ね。いや~そうか~、前から二人はおいしいと思ってたのよね」

優香は腐っていた。
誤解される光景ではあるが、そこまで都合のよい妄想力全開な見解が出来るあたり確実に腐っている。


「なあ優也、おまえの姉ちゃん何言ってるんだ?」
「知らないよ。とにかくその服脱いで謝っておこうよ」
「別に脱がなくても良いわよ。怒ってないから」
「怒ってないって本当か?」
「ええ、ただしさっきの続き見せてくれたらだけど」
「続きって何だ?」

駿真はまるで解っていない様子だが、優也にはなんとなく解った。
それは優也がトイレで優香が置き忘れた漫画をみたからだ。
漫画だったので興味本位で見て見たが、それは男の子同士が絡み合ういわゆるヤオイ本、しかもショタ系のものであったのだ。

「ほら優也、犯っちゃいなさいよ」

優香の目つきが危ない。
なにを要求したいのか解る優也には非常に身の危険を感じる目つきだ。

「駿真!部屋に行こう、今すぐ!」
「え?おい」

優也は駿真の手を引くと脱兎のごとくその場を離れて行った。
その素早い行動に虚をつかれた優香はつい見送ってしまい一人脱衣所に残された。

「なに?愛の逃避行ってやつ?」

それでも、脳内は相変わらず腐っていた。


※ ※ ※


駿真を連れ自分の部屋に戻った優也は、取りあえず一安心と胸を撫で下ろす。

「なんだよいきなり?それに優也の姉ちゃんの言ってたのってどういう事だ?」
「気にしなくて良いよ。ロクな事じゃないから」

まだ気にしている駿真に答えつつ、今度はため息をつく優也。
駿真は姉の服を着たままだ。
本人は悪戯のつもりだろうが、洗濯物を下着まで着こむなんて、本当ならその行為は変態と呼ばれかねないのだが自覚が全く見られない。

「ところでさ、優也の姉ちゃんっていい身体しているよな」
「な、何言ってるのさ」
「だってよ、あんなカッコでセクシー系ってやつだろ?美人だし良いよな」

駿真の突然の発言に慌てる優也。
自分の姉がそう言う目で見られて慌てた訳ではない、駿真がそう言う事に興味を持っていた事の方に驚いたのだ。

「頼んだらさ、裸見せてもらえね?」
「いや、ただじゃ済まないと思う」
「だってよ、大人な女の裸なんて本物見れたら凄いじゃん」

一瞬駿真が性に目覚める様になったのかと思ったが、やはりただの子供のノリだったようだ。
そう言う事に関しては優也の方がずっと多感であり、女性を異性として意識し始めている。
なので姉がああ言う格好でうろつくと照れてしまうし、実は精通を迎えているので悶々とした気持ちも抱いてしまうと言う思春期真っ盛りの一男子である。
思わず姉の裸を想像してしまい、俯いてしまう。

そんな折りだ。
部屋のドアが開いたかと思ううと、そこに居たのはさっきのバスローブ姿の優香だった。


「ねえ、二人とも私を退け者にしようなんてひどいじゃない。お姉さん寂しいわ」

まだ先程の妄想は続いている様だ。
少しアルコールが入って良い気分になっているせいもあるのかも知れないが、何だか声が艶っぽい。

「お姉ちゃん、いきなり部屋に入ってこないでよ」
「そんな事言わないで、私もまぜてよ」
「なんに混ざるのさ。良いから出てって服着なよ」
「あら~、照れてるの?優也もこの優香さんの魅力が解るお年頃になった訳か~」
「そんなんじゃないってば」

本人は秘密にしているが優也が精通を迎えているのは優香も知る所であり、解っていて煽る様な事をしている節がある。

「優也の姉ちゃん、ちょっといいか?」
「ん?何かしら」

そこに口をはさんだのは駿真だ。

「裸見せてくれたら仲間に入れてやっても良いぜ」
「ちょ!ちょっと何言ってるのさ!」
「あら~、駿真もお年頃な訳? 良いわよ」
「ホントか?やった!」
「裸を見せてあげるだけじゃなくてもっとすごい事教えてあげても良いのよ」
「まじ?」

駿真のとんでもない要求にあっさり承諾する優香、しかしその表情は何か企みを思いついた様に笑みを浮かべている。

「うんマジ。でもそれには私の言う事も聞いてもらうけど良い?」
「お姉ちゃん何考えてるの、ダメだって」
「交換条件か、良いぜ」
「駿真も」


勝手に話しが進行し、間に挟まれ不吉な予感しかしない優也にはたまったものではない。

「交渉成立ね。用意があるから少し待ってなさい」

言って優香は部屋を出て行く。
駿真は期待に胸を躍らせ優也に話しかける。

「やったぜ優也、裸見せてもらえるんだぜ」
「どうしてそう言う事本当にお姉ちゃんにお願いするんだよ」
「だって女の裸だぜ?裸。優也は見たくないのかよ」
「絶対に何かあるって」
「何かって何だよ。さては優也おまえ、姉ちゃんの裸何時も見てるから今更なのか?」
「見てないよ!」

見る機会はあるのかもしれないが、優也がまともに見られる訳がない。
そんな事をしたら、優香と顔を合わすだけでも恥ずかしさに目を背けるようになってしまう事間違いなしだ。
ただのスケベと男の子の思春期は違うのだ。

そうこうしているうちに優香が戻って来た。
相変わらずバスローブ姿なのは変わらないが、手にはなにやら衣類をもっている。

「おまたせ。さあ、優也これに着替えてくれるかしら?」
「な!これ!」

優香がもって来た衣類は女物、しかも明らかに女児ものである。

「さあさあ早く」
「早くじゃないよ!これ優菜(ゆうな)のでしょ!?」
「そうよ」

優菜は一番下の妹で5年生の女の子だ。
スポーツ少女と言う訳ではないが、運動は得意な方で水泳をやっているほか最近はダンスにも興味があるらしい。
姉と似たような性格をしており小さい事を気にしないタイプだ。

ちなみにこれは全くの余談だが、この家は父親の名前が優一で母親の名前が優子と言う名前に『優』が全員つくのである。


「絶対着ないって」
「優也だったら似合うと思うのよね」
「嫌だって、第一優菜にばれたらどうするのさ」
「大丈夫よ。洗濯物だからまた出しておけば」

今日、優菜はスイミングクラブへ通う日であり、行く時はジャージに着替えて出て行くのだが、何時も面倒くさいからと言って予め水着も着て行くのだ。
もちろん着替えを忘れるほど間抜けではない。
なので優香が持っているのはその時優菜が脱いだものがフルコーデで揃っているのだ。
そんなもの優也がますます着られるものではない。

「全然大丈夫じゃない!大体何で僕が着ないといけないのさ」
「だって女装少年って見て見たいじゃない、せっかく駿真もしてるんだから優也もしなさいよ」
「その理屈はおかしいってば」
「ぐだぐだ言わない。駿真、優也を脱がすの手伝って」
「おう、任せろ」
「ちょ!やめて」

優也は抵抗するが、さすがに優香と駿真の二人が掛かりでやられては、まだ少年な男子が抵抗できるはずもなく服を脱がされてしまう。
素っ裸にされた優也は恥ずかしさに蹲っているが、そこで優香の追撃の手は緩まない。

「さあ、これを着るのよ。着てくれたら私の裸見せてあげるから」
「だから、絶対嫌だって」
「優也着れよ、裸見れるぞ裸」
「い~や~だ」
「強情ね。着てくれないとお母さんにあんたと駿真が私の洗濯物の下着を悪戯したって言いつけちゃうわよ?」
「うわ、お姉ちゃんずるい」
「もちろん優菜にだって言っちゃうからね。さあ、どうするの?着るの?着ないの?」

姉の下着に悪戯など母親にばれたらタダで済むはずがない。
しかも、妹にまでその事が知られれば変態兄のレッテル確定で、口も聴いてもらえなくなるに違いない。
そんな弱みを盾にされては優也はたまったものではない。


「うぐ、解ったよ、着るからそれはしないで…」
「解ればよろしい」

どう行動してもこの危機は免れそうになく、優也はもう折れるしかなかった。
その様子を見て満足そうに頷き、優菜の子供ショーツを差し出す優香。
優也はもう黙って履くしかない。

「(うう、優菜のパンツ履くなんて変態だよ)」

女物と言っても女児用ショーツは前に余裕がないだけでブリーフとあまり変わりない。
ただ淡いピンクの生地にヒップにサクランボとハートをあしらったプリントロゴが付いており如何にも女児っぽい。
それに、優菜が履いていたものだと思うと余計恥ずかしい。
実際に暑い中に履いていたショーツは汗で湿っていたのだが、そこを意識するまでの余裕は優也には無かったようで羞恥に耐えるのに必死だ。

次になにを着ればいいか迷ったが、パフスリーブのTシャツがあったのでそれを着る。
袖の部分は白いチュールになっており濃いイエローの生地にアイスクリームのイラストが大きくデザインされたブランドロゴの女児用Tシャツはまだ成長期を迎える前の優也にもサイズ的な難は無い。
ただこちらも優菜が素肌に直に着ていたものなので汗で湿っており、頭からかぶる時に優菜の匂いを感じて恥ずかしさを更に覚えたのは言うまでもない。

「(次はスカートかな?)」

恥ずかしさを紛らわす様に手に取ったのは、黒にピンクの水玉の3段フリルシフォンスカートだ。
正面に大きなリボンが付いているのもキュートである。
ウエストはゴムなのでこちらも簡単に履けた。

Tシャツとスカートだけで優也はもう普通に女の子に見える。

「あとは、これとこれね」

仕上げに優香が差し出したのは、白いリボン付きのニットビスチェとピンクのフリルレースが付いた黒いソックスだ。
優也は受け取ると、ニットビスチェをTシャツの上に羽織って前のハート形のボタンを閉じようとした所、優香に止められた。

「あ、そこはしめない方が可愛いわよ」

そう言えば、朝にこの服を着ていた優菜も前は閉じていなかったのを思い出し、いまその服を自分が着ているのを思うとますます恥ずかしさがこみ上げてきた。
恥ずかしいからと言ってどうにもならないので、もう自棄になり座ってソックスも履いてしまう。
自分の靴下でも一日履いたものをまた履くのは嫌なのに、妹のものとは言え他の人が脱いだ靴下を履くのは本当なら拒む所だが、靴下だけ拒否した所で既に下着まで優菜のを身に付けている現状ではその考えは無意味だ。


優菜の衣類をフルコーデで着てしまった優也は、何だか自分が優菜になってしまった様な錯覚に陥ってしまいそうだった。
中学生になった時に身嗜みに気を付ける様にと、この部屋に備え付けられた全身鏡に映る自分の姿は本当に女の子そのものだ。
派手目な色彩なコーデだが、これは優菜がお気に入りのブランドのRONIで統一されており、着こなしは抜群だ。
優菜いわくカラフルポップなキュートコーデらしい。

「良い!グッジョブよ優也!」

その姿に優香は大はしゃぎだ。
自分の服を着ている駿真と見比べて更に御満悦だ。

「そうして見ると優也は本当に優菜みたいね。服を交換して髪をいじれば優菜と入れ替わっても解らないかもよ? 今度やってみなさいよ」
「勝手な事言わないでよ」
「駿真が私って言うのは無理があるか」
「そんな事より優也の姉ちゃん、早く裸見せてくれよ」
「ああ、そう言えばそう言う約束だったわね。良いわよ」
「ちょっとお姉ちゃん本当に脱ぐ気なの?」

優也は慌てるが、優香は全然恥ずかしがるでもなくあっさりとした態度だ。
二人の事を完全に子供扱いしているので平気と言うか、逆に反応を楽しんでいるのである。

「じゃあ行くわよ。ほら」
「うお~すげー」
「っ!?」

色気も何もなく一気にバスローブを脱ぎ去る優香。
スタイルには多少自信ありの身体を見せつける様に胸を張って見せる。
その姿に駿真は喜び、優也は思わず顔を背けて目をつぶってしまう。
そしてその反応を楽しむ様に優香は言葉を続ける。

「裸を見せるだけじゃ終わらないわよ。あんた達に女の神秘って言うのを教えてあげるわ」
「おお!」

興奮する駿真に優香は余裕の笑みを浮かべ優也の方も見る。


「胸ばかり見てる様だけど、本当に凄いのはここなのよ?」

言って指を差したのは股間の陰部、つまり女性器の他ならない。
その事に息をのむ駿真だが、優也は相変わらず見ざる聞かざるをしようと明後日の方向を見ている。
それが、優香には気にいらなかったしい。

「ちょっと、優也ちゃんと見なさいよ」
「見ないってば」

優也の肩をつかむと強引に自分の方へ向き直させて、見せようとする。
優也も恥ずかしさから必死に抵抗するが、その事で逆に体制がもつれてしまいスカートがめくれ女児ショーツがあらわになる。
はっきり言って痴腐女が女装少年を襲っているようにしか見えない。
実際間違っていない様な気もする。
そしてもつれているうちに、優香はある一点に目がとまり何かに気が付く。

「ちょっと優也、あんた一丁前に勃起してるの!?」
「あ!いや」
「ボッキってなんだ?」

ショーツの中で元気にそそり立つ優也の一物を見て、優香は思わずにんまりとする。
企み顔とはこう言う顔を言うのだろう。

「(優也の反応がここまで早いなんてね、もう少し興奮させてからと思ったんだけどこれなら一気に行けるわ)」


先程思いついた企みを実行するべく、次の手に移る。

「あらあら、こんなに大きくしちゃって」
「あうっ」

優香はショーツの上から優也の勃起したものを人差し指で優しく撫でた。
精通はあっても自慰経験のない優也はそれだけのことで、背中に寒気が走る様なゾクゾクとした感覚に囚われ声を漏らしてしまう。
優香はそのまま今度はショーツの上から優也のものをつかむと、握って刺激をした。
声を漏らす事には耐えたが、優也はそれに快感を感じてしまい口を閉じるのに必死だ。

「気持ち良いんでしょ? 我慢しなくて良いのよ」

そんな優也の反応にどんどん気分が乗って来た優香は、今度は女児ショーツをずらし優也のいきり立つ一物を直接つかみ上下にしごき始める。

「う、あ、お姉ちゃん、ダメだよ、はぁ…」
「本当に優也のコレ、大きくなったら立派じゃないの。驚きの膨脹率ね」

言われるだけ本当に優也の一物は中学1年生にしてはなかなかの大きさで、身体と共にこれからもっと成長するのかと思うと、優香的に将来がとても楽しみだ。
駿考えつつも優香が一物をしごく手の動きを早くして行くと、優也の亀頭部から透明な液が滲み始める。

「あぁ、うぅ…」
「そろそろ出るんじゃない?」

優也はいけないと思う背徳感と、刺激される快感が合わさって身体を巡るゾクゾクとした感覚に悩ましく見悶えるしかない。
そんな様子を頃合いと見た優香はしごく手を陰茎から亀頭部の下の方へと攻めを移す。
そこをつまむ様に刺激してやると、とうとう耐えきれなくなった優也の熱い迸りは限界を迎える。

「うぁ、う、あ、あ」

それは始めての夢精ではない精射だった。
女児服でコーデされた優也がめくり上げたスカートとずり下げた女児ショーツからそそり立つ一物より白濁液が勢いよく何度も噴き出している。
優也は快楽の絶頂にただただ奔流されるばかりだ。


「結構出たわね、でもこれで終わりじゃないのよね。ねえ駿真」

絶頂を迎え惚ける優也を余所に、今まで何をしているのかと動けずに姉弟の情事を見入ってしまっていた駿真に優香は声を掛ける。

「え?なに?」

呼ばれた駿真はいまいちこの状況が飲み込めておらず、呼ばれて初めて我に返った。

「今のこれね、優也が大人だから感じる事が出来るとっても気持ちの良い事なのよ」
「大人だから…」
「でもね、これはセックスじゃないの。知っているセックス?」
「セックス?」
「大人のエッチよ。それさえ経験すれば優也より大人って事になれるわよ、駿真にはそれを体験させてあげても良いんだけどね」
「ほ、本当か?」
「ただ、それにはテクニックが必要なのよね。今の私と優也の見てたわよね?」
「ああ、見てた」
「じゃあ、今度は駿真が優也にして上げて、さっきの白いの出させなさい」
「ええ?」
「ちょっとお姉ちゃん、それは!」

惚けていた優也だったが、さすがに聞き捨てならない話しに我に返り声を上げる。

「優也の意見は受け付けないわ。さあ、駿真やるのよ。それがテクニック習得に繋がるのよ」
「そうなのか、分かった」

口から出まかせも良い所だが、単純な駿真がそれを真に受けるのは容易かった。
駿真はすぐさま優也に飛びかかる様に覆いかぶさると、精射して元気を失いつつある優也の一物をつかむと乱暴に握りしめた。

「ぎゃ、痛いって駿真」
「おっとわりー、なんかさっき出たのでヌルヌルしてんなお前の」
「駿真までやめってってば」
「協力しろよ優也、俺が大人のエッチを体験する為だ」

女児女装をした少年の一物を握るこちらも女装した少年。
倒錯した光景がそこに広がっていた。

「(これよこれ!女装少年同士の絡み!これが見たかったのよ!)」

その光景に鼻息も荒く大興奮な優香。
これで鼻血でも出しながら写メを取りまくれば完璧に絵に描いた様な腐女子像だが、そこまで行かなくても、こう言う事を望むあたり充分に腐っている。


未だ朝立ちや勃起を経験した事もない駿真は当然自慰経験もなく、どうすれば一物が勃起するのかなど解っていない為、さっきの優香が優也に行った行為を見様見まねで真似ているのだが力加減が解っておらず、ただひたすらに優也の一物をしごいていた。

「うーん、アングルが悪いわね。駿真あんた優也の後ろに回って背中からしごきなさい」
「おう、解った」

言われて駿真は優也の背中に回り込み後ろから一物をしごき始める。
お姉さん系の女装をした少年が女児女装をした少年に後ろから密着しした体勢でスカートから頭を出している一物をしごく姿は倒錯的で、女児女装をしている少年の頬が上気し淡く桃色に染まっているのがまた扇情的だ。

「(素晴らしい、素晴らしすぎるわ!ここは私の理想郷、ここのあったのね私のイーハトーブ)」

思い描いた情景を目の当たりにして優香は最高潮に気持ちを高ぶらせていた。
未だかつてない興奮に理性が無くなりそうだ。

「お、またでかくなってきた」
「あうう」

乱暴な愛撫でもしごかれれば反応して勃起してしまうのが中学生だ。
一度出したからと言って萎えて立たなくなるものではない。
優也はまたもやゾクゾクとした感覚に囚われ、身体がふわふわと力が入らなくなってしまう。

「よし優也、このままさっきの白いのだせよ」
「はう、あっ」

優也の一物が再び元気になると止めとばかりに駿真はしごく手を激しくして行ったのだが、一度精射を済ませた優也の一物は中々熱い白濁液を吹き出そうとはしなかった。
結果、駿真の乱暴で激しい愛撫が優也を責め立て続ける。

「なあ、早く出せよ」
「そ、そんな、こと、言ったって…」

責められる優也も押し寄せる快感に意識も朦朧となりトリップ状態になっているが、責める駿真にも腕にだんだんと疲れが見えてくる。

「(このままだと出そうにないわね。せっかくドピュッと勢い良く出た精液が自分の顔面に掛かってしまうって言うのが見れると思ったんだけど)」


この光景をずっと見ていたい優香だったが、このままでは不完全燃焼で終わりかねないと腐った思考で新たな閃きを思いつく。

「しょうがないわね。そう言う時は口でくわえて舌でなめるのよ。そうすれば確実に出るわ」
「ええ~、チンポを口の中入れるのかよ。汚ねえって」
「そう?やっぱり駿真はお子様ね。大人はそれ位普通に出来るものよ」
「なにー?出来るよそんなもん」

嘘八百な優香の挑発にあっさりのってしまう駿真。
本当に単純な思考の持ち主である。

「あむ」
「うひ」

体勢を入れ替え前に回ると駿真は優也のいきり立つ一物を躊躇なくあっさりくわえ込む。
優也は自分の一物が温かくしっとりとした感覚に包まれるのを感じ、更に快感を募らせて戸惑いに変な声を上げてしまった。
女装少年同士のフェラチオはやはり倒錯的で優香を興奮させる。

「駿真良いわよ。そのままアイスミルク食べる時見たくするの。そして口の中で舌もつかって舐めるのよ」

優香の言葉通り駿真は、駄菓子屋で良く食べる一番安い棒アイスを楽しむ時の様に口にくわえ舐めとるように優也の一物を刺激していった。
その刺激は精通を迎えたばかりの優也にはあまりにも心地よすぎた。先程の激しいしごきも充分に快楽の奔流に誘うものであったが、これはまた別な快楽が感じられる。

「あ、あう、うう、ああ、あぁ」
「うえっぷ!」

その快感に耐えきれず、優也は口中での舌の愛撫にすぐさま熱く白い白濁液を吹き出してしまった。
駿真はそれをまともに口腔内に受けてしまい、口の中が性液まみれとなる。

「ぺっぺっ、いきなり出すなよ。少し飲んじまった」
「はぁ、はぁ、はぁ…」

さすがに連続して二回も精射するともなれば、若くても子供の体力にはきつかったのか優也はぐったりだ。


「良くやったわ駿真。素晴らしいわ」
「本当か?じゃあ、早く俺に大人のエッチを教えてくれよ」
「そうね、さっそく教えてあげても良いんだけど、その前に一つ確認するわね」
「なんだよ?」
「駿真あんたのソレ、優也のみたくちゃんと立つの?」

言われて駿真ははっとするが、優也人比較にさせれば負けん気のある性格では立たないとは言えない。

「立つに決まってるだろ」
「本当に?じゃあ見せて見なさいよ」
「よし見てろ!」

言って駿真はキュロットと淡いイエローのショーツの上から股間をあらわにさせる。
毛が全く生えておらず、まだ皮もむけていないウインナーの様な一物はまさに子供そのものだ。
しかしながら、股間をさらけ出す女装少年と言う図は優香的にはおいしい画ではある。

「立ってないじゃない」
「見てな、こうやって」

先程優也にした様に駿真は自分の股間をしごいて見るが、まったく堅くなる様子はない。
駿真は気持ちよさを感じるどころか逆に股間が痛くなって来た。

「全然ダメじゃない。それじゃ大人のエッチは出来ないわね」
「ええ~、そりゃないって」
「エッチはまた今度ね。それまでにあそこを大きくする方法を優也にでも教えてもらっておくことね」
「あ、待てよ」

優香は優也と駿真の痴態を見れるだけ見るとさっさとその場を去り部屋を出て行ってしまった。

「(ご馳走様。眼福だったわ、女装少年の絡みには興味あるけど、ショタと寝る趣味は無いのよね、悪いけど。それにしてもあんなもの見れたら興奮が収まらないわ、さっそく部屋に帰ってお楽しみよ)」

こうしてまんまと優香の企みは成就した様だ。

部屋に残された優也と駿真はと言うと、精射後の虚脱感で女児女装のままショーツを膝上にずり下げた姿で一物を晒し動けなくなっている優也に、駿真はずり下げたキュロットから覗くショーツの上からさらけ出した立たない自分の一物を握りしめ、どうすれば立つのかと問い詰めると言うシュールな光景を繰り広げていたのだった。


※ ※ ※

――数日後、優也の家のリビング――

優香が暑さにやられリビングでアイスを食べていると、キッチンの方から母親と優菜の話す声が聞こえてきた。

「ねえ、お母さん私のショーツ知らない?シスタージェニィのやつ、お気にいりのなんだけど」
「知らないわよ」
「おかしいな、他の洗濯物はちゃんとしまってあったのに」
「気になるなら、今度からしまう時は自分でしなさいね」
「うーん、お母さんやって」
「まったく優香といい優菜といい、ずぼらなのは誰に似たのかしら」
「お母さんじゃない?」
「お母さんは違うわよ!」
「あははは」

何気ない会話だが、優菜のショーツの行方について優香には思い当たる節があった。

「(あちゃ~、ちょっと優也の奴に変な性癖つけちゃったかな)」

ちょっと気まずそうな表情を浮かべるが、すぐに気を取り直してアイスを口に運んだ。

「うん、美味し♪」

アイスに舌鼓をうちくつろぐ今の優香には知る由もないが、この後の話し、男の娘な弟と犯罪に成りかねない年下な彼氏が出来る事になろうとは心にも思わないだろう。
自縄自縛、ヤブヘビと言う言葉があるがまさにお鉢が回るとはこの事だ。
もっともそれで懲りないのは優香らしいと言えばそれまでの話である。

今はただアイスで涼をとり、一時のくつろぎを満喫するだけであった。

「また、女装少年の絡みをじっくり堪能したいわね~」


~おわり~

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最終更新:2013年04月27日 23:31