アナタ好みのパートナー
「じゃあね、亜理紗。本当に送っていかなくていいの?」
「うん。わざわざ悪いし……それじゃあ、またね」
玄関先で、手を振って彼女と別れる。
彼女の名前は新藤亜理紗。僕と同じ中学のクラスメイトで、駆け出しのアイドルだ(芸名は「神堂ありさ」)。
元々、とあるティーン向け雑誌の表紙モデルとしてこの業界にデビューしたんだけど、予想外に人気が出たので、事務所の方針でモデルからアイドルに転向したらしい。
僕と亜理紗が出会ったのは、ふたりともまだ中学に入ったばかりだった去年の今ごろ。
芸能事務所をやってるウチのお母さんからの依頼(当初予定してた子が急病で来れなくなった)で、不本意ながら僕が、撮影モデルの代役を務めることになったのがキッカケ。
──うん、まぁ、大体予測がつくとは思うけど、その時の僕、女装させられてました。
自分で認めるのはシャクだけど、僕って元女優の母さんに似て結構女顔だし、体格もあまりいい方じゃない。だから、人手が足りないときは、時々ピンチヒッターとして女児モデルとかに駆り出されるんだよね。
そういう時のために、わざわざ本名の「白川洋司」じゃなく芸名の「江本つかさ」で事務所に登録してあるし(ちなみに、「江本」はお母さんの旧姓。「社長の姪」ってことになってるんだ)。
で、その時の撮影の相方(と言うかメイン)がデビューしたての亜理紗だったってワケ。
その時、向こうは僕の正体(男)を知らないまま仲良くなって、メアド交換したり、亜理紗のオフの日に一緒に遊びに行ったりしたんだ──僕の方は、「つかさ」として女の子の格好したままで。
当時の亜理紗は軽い男性恐怖症気味なところがあったからね。
で、紆余曲折の末、僕が本当は男だと告白して、恋人になりたいってことも一緒に告白。ダメ元であきらめてたけど、亜理紗は真っ赤になりながらも、「つかさ」じゃなく「洋司」としての僕を受け入れてくれたんだ。
それから1年あまり、僕らの「おつきあい」は続いている。僕らの歳ではちょっと早いかもしれないけど、時々、お母さん達の目を盗んで、ヤることもやってるワケだけど……。
最近、ちょっと行き詰まり気味なんだよね。
いや、決して亜理紗に飽きたとか、ましてや嫌いになったってワケじゃないんだよ?
ただ、一応、彼女は現役アイドル(それも徐々に人気が出始めた)だから、おおっぴら外にいっしょに出かけるワケにもいかない。基本的に僕ん家(=事務所の社長の家)に来て、おしゃべりしたり、一緒にご飯食べたり、ゲームしたりくらいしかできないんだ。
まぁ、学校が同じで今年はクラスも一緒になれたのが救いだけど。
そうなると、デートとかがどうもマンネリ気味なんだよね。亜理紗自身、内気でおとなしい性格なんで、あんまり自己主張しない性格だし。
そもそも芸能界ってすごくシビアな業界だし、性格的に亜理紗に向いてないんじゃないかなぁ。このままじゃあ、嫌味な先輩とかにいびられて、ヒドいメに合うんじゃないかと、彼氏としては心配だよ。
だから、彼女が帰ったその時、玄関先で僕はふと溜息まじりに呟いたんだ。
「亜理紗が、もうちょっと……ううん、それなりに積極的になればなあ」
──その願い、叶えて進ぜよう……
どこかから、そんな声が聞こえたような気がした。
「えっ?」
キョロキョロと辺りを見回してみたけど、誰もいない。
気のせいかと思って、そのまま部屋に戻り、何だか無性に眠かったからベッドの上に寝転んでうたたねししちゃったんだけど……。
後から考えれば、その「声」の意味するところを、もっと真剣に考えておくべきだったのかも。
……まぁ、所詮は後の祭りなんだけどさ。
* * *
そのまま眠ってしまったのだろうか。目が覚めると、部屋の中も外もすっかり暗くなっていた。
まだ眠い目をしばたたかせながら、起きようとした彼は……けれど、それが果たせなかった。
幸い首から上は自由に動かせたので、何とか状況を掴むことはできた。
清潔に片付けられた、どこからか甘い匂いがする少女の部屋。
何者かによって、この見知らぬ部屋に運び込まれたのだ。
──いや、本当に見たことがなかったろうか?
少なくとも一度だけこの部屋に招かれたことがあるような……。
頭の片隅で警鐘が鳴るのを感じつつ、彼はロクに動かせない自分の身体に視線を落とす。
フリルの多い、白いワンピースを着せられていた。服の下の感触からして、ご丁寧に下着まで女物に着替えさせられているらしい。スカートの裾から覗く足先も白いニーソックスに包まれているようだった。
それだけならまだしも、その格好のまま、ベッドに手足を縛り付けられているのだ。ちょうど両手両脚を対角線上に四隅の脚に括り付けられている。
ミニ丈のワンピースは少し動いただけで、ショーツまで見えてしまいそうだ。
「……あ、目が覚めたんだね。おはよう、つかさちゃん……」
信じられなかった。信じたくもなかった。
そこにいたのは、ちょっと内気で恥ずかしがり屋だけど、優しくて控えめな彼の恋人──亜理紗だったからだ。
彼女の手が、優しく彼の髪を撫でる。
それは、普段の甘えがちな亜理紗に似合わぬ、年上めいた仕草だった。
「あ、亜理紗……やめてよ。どうして僕にこんなコトするの?」
彼女は、どこからもなく取り出した鞭で彼をピシャリと打った。
全身に電撃のような痛みが走った。
「つかさちゃんは女の子なんだから、『僕』なんて言っちゃダメよ」
「ぼ、僕は男だ!」
再度彼女の鞭が彼を打ちすえる。
「いいえ、つかさちゃんは女になるの。白川くんが私にしてくれたようにね……」
たった二度の打撃。それでも、か弱い女の子がふるった鞭によってもたらされたとは信じられないほどの痛みを感じて、彼は観念するしかなかった。
知らず、青ざめているのが自分でもわかる。
「──つかさちゃん。怖いの? でも……そっちのほうが好都合ね」
「ぼ……アタシをどうするつもりなの。これ、解いて。帰して、帰してよ!」
不覚にも涙声になった。恐怖のあまり、涙が止まらなくなった。
「泣くほど怖がることはないのよ。いまに私だけじゃなくて、つかさちゃんもタップリ楽しめるんだから……」
彼女がゆっくりと近づいてくる。彼は無駄だとわかっていながら体を揺さぶって逃れようとした。
「ち、近づかないで! 離せ! 離して! ぅあああああっ!!」
彼女がガッチリと彼の腕を掴む。女の子とは思えない力の強さだった。
そのまま馬乗りになってくる。
「やっぱり可愛いわ。つかさちゃん。このまま大人になったらすごく綺麗になれるわね。
でも……うふふ、私、そんなに待てないの。だから、私が今、大人にしてあげる」
「や、やめるんだ! やめろ! やめてよ……」
彼の哀願も、彼女がごそごそと何かを取り出して顔に突きつけると、悲鳴に変わった。
「ひぃー!!」
迸る悲鳴を、彼女の手が塞いだ。
「静かにしてね。あんまり騒ぐと、また鞭を御馳走しなくっちゃならないから」
「ん、んぅ!」
彼は涙目で必死に頷いた。またあの痛みを与えられるのはたまらない。
彼女は彼の反応を楽しみながら、腰につけたペニスバンドを目の前にかざしてゆらゆらと動かす。おぞましいと思いながらも、彼の視線はついそれを追ってしまっていた。
彼ももちろんその道具の近い道は知っている。亜理紗と「初体験」する前に、その手の本で色々知識を集めたからだ。
それは、本来、女性が女性と繋がる時に使う道具であったはずだ。
だが、彼は──こんな格好させられているとは言え、男だ。
たとえ、女顔で、14歳になってもロクに声変わりしてなくて、成長期なのにちょっと身長が伸びたくらいで全然筋肉がつかなくても、彼の股間には男性特有の突起がある。
なのに、どうして……。
(ま、まさか……まさか!)
自分にもひとつだけソレが入るだろう場所がある事に思い至って、彼は血の気が引くのを感じた。
さして経験のない彼には、目の前の奇妙な玩具が自分の小さな菊穴に入っていくなんてことは、どうしても信じられない。想像すら出来ない──いや、したくなかったのだ。
「これ、通販で買ったの。ピンク色で、とってもかわいいでしょ?」
彼女が微笑む。
「これで、存分につかさちゃんを可愛がってあげるね」
彼の視界の中で、彼女のそれがふてぶてしく反り返る。
先端部は、「本物」と違って入りやすいよう先細り構造になっていたが、だからこそ確実に彼の内部へと潜り込み、体内を蹂躙するに違いない。
「時間はたっぷりあるわ。思い切り、楽しみましょ」
彼女は彼の首筋に舌を這わせ、腰に手を回して体を密着させる。
尻から腰、脇にかけてゆっくり、それでいて触るか触らないかくらいの力加減で全身を撫で回した。
「あ、あ、亜理紗……亜理紗ちゃん、やめて……」
彼は力なく彼女の名前を口にした。くすぐったさのせいか、全身に力が入らない。
亜理紗は視線を「彼女」のワンピースの胸に向ける。
あっ、と思ったときには、胸に両手を当てられていた。
「つかさちゃんのおっぱい……小さいけど……柔らかいね……」
嬉しそうに笑いながら、「彼女」の胸をゆっくりと揉みしだいていく。
密かなコンプレックスのひとつでもある、たくましさが欠片もない胸部を女の子のように弄ばれて、「彼女」は屈辱に顔を曇らせた。
「……ぼ、ボクは男だよ……」
「ううん、つかさちゃんは女の子よ。私の可愛いかわいいカノジョなの……」
亜理紗は目を細めながら、ワンピースの胸のボタンをふたつみっつ外す。
少女らしいシンプルなデザインの白いブラジャーが露出した。
「あは、こんな小さなブラじゃおっぱいが窒息しちゃうかもね。助けてあげなくちゃ」
「あ、あ、あ」
ブラジャーが下から剥き上げられた。プルンと若々しい弾力を持った思春期特有の胸板が露わになる。
まだ外されていないブラジャーのワイヤーに押えられて、苦しげに飛び出すような形になったそこは、まるで本当に膨らみかけの乳房のように見えた。
薄い桜色の乳輪がぽってりとふくらみ、その上に小指ほどもない小さな乳首が持ち上がっている。
「うふふ、綺麗な色ね。いじめ甲斐がありそう」
亜理紗の口が「彼女」の胸に吸い付いた。丸ごと口に含み、ゆっくりと舐め回す。
ちゅーちゅーと乳首を吸い上げ、下でこねくり回す。
「ぃ、いゃああああ!!」
たまらずに悲鳴をあげる「彼女」。頭ではわかっていても、身体が抑えることが出来ない。
亜理紗はうるさそうに目を細めると、つとベッドの下から拾い上げた布切れを猿轡代わりに「彼女」の口に押し込む。それは、間違いなく亜理紗のショーツだった。
「む、むぅぅぅぅっ!」
恥ずかしさと恐怖、そして屈辱が「彼女」を襲う。
まるで自分が本当に女になって男に犯されているような恐怖に襲われていた。
しかも胸を揉み、乳首にかじりついているのは、自分に従順だったはずの恋人の女の子なのだ。驚天動地とはまさにこういう事態を言うのだろう。
(ど、どうして! どうしてみんなコトに……ひっッ!!」
「彼女」の自問は、自らが挙げた悲鳴にかき消されてしまう。
亜理紗の手がプリーツスカートを捲り上げ、ショーツを撫で回し始めたのだ。
「きれいな脚ね。ミニスカートはいたら、街中の男の子の視線は釘付けよ♪」
にこやかに微笑みながら、亜理紗は「彼女」の股間にするすると指を滑らせていく。
大の字に広げられた「彼女」の脚は、侵入してくる指を拒むことも出来ない。
「──うふふ。やっぱり女の子は、かわいいパンツをはかないとね♪」
以前、亜理紗が履いていた記憶のあるショーツを、「彼女」は穿かされている。
そう、初めてこの部屋でふたりがひとつになった時に亜理紗が履いていたモノを。
それが意味することは……。
亜理紗の指がショーツの股間の布地をさすりあげ、膨らみに沿って何度もなぞり上げた。
「あぅっ!」
「彼女」は小さく悲鳴をあげて全身をよじろうとした。
「あらぁ? ココは男の子なのね」
ショーツの中身はすっかり堅くなり、亜理紗の手の下で脈うっているのを感じる。
「つかさちゃん、実はこうなることを期待してたんでしょ?」
膨らみを撫でながら亜理紗が笑う。猿轡でしゃべれないと気づいたのか、ようやく口からショーツを出してもらえたが、「彼女」は弱々しく首を横に振るばかりだった。
「あ……亜理紗、ちゃあん……なんだか怖いよぉ……」
「彼女」は思わず女の子のような口調で弱音を吐いてしまっていた。
「ふふっ、素直じゃないのね。そんなこと言ってしっかり堅くなってるじゃない。
かわいい子……。食べちゃいたいくらい……」
「あっ……うっ……」
叫ぶ間もなくのしかかられて、「彼女」の唇は亜理紗の形の良いピンク色の唇で塞がれていた。
防御する隙も与えず、生暖かな感触とともに舌先が口腔に侵入してくる。
舌が絡めとられて弄ばれ、亜理紗の柔らかな口の中に吸い込まれた。
ちゅうちゅうと音を立てて吸い立てられるままに、「彼女」は弄ばれるばかりだった。
「うふっ……これで、「つかさちゃん」のファーストキスの相手は私だからね♪」
亜理紗とキスするのは初めてではなかったけれど、女装した格好でキスをされるのは、当然、未体験だ。
男としての誇りを踏みにじられたような気分だった。
亜理紗の方から口を塞がれ舌を吸い尽くされる屈辱に、「彼女」は泣きそうになっていた。
とろとろと唾液が送り込まれてきた。息苦しさと羞恥をおぼえたが、口を塞がれている「彼女」はそれを飲み下すしかなかった。
「どう? おいしかった、つかさちゃん?」
「うっ……やだっ……もぅやだよぉ……」
身動きできない状態で、肢体を震わせながら目尻に涙を浮かべつつ「彼女」は訴える。
あまりの屈辱とショックに、すでに意識が朦朧とし始めていた。
亜理紗が最後の扉を脱がせにかかっているのを、「彼女」は他人事のように見ていた
(……ああ、ショーツを脱がされないよう抵抗しなくちゃいけないのに……)
どこか第三者的な思考しか出来なくなっていた。
亜理紗は「彼女」のショーツの両サイドを掴むと、一杯に持ち上げた。おとなしいローレグのショーツが股間に食い込んでいく。
さらに伸びきって細かくなったフロントの布地をぎゅっと握ると、思い切り絞り上げた。
紐のようになったショーツの脇から、「彼女」の性器はすっかり露出している。
「あら、あんまり大きくなってないわね……ま、でもその方がいいかしら」
亜理紗はソレを引っ張ったり、しごくように上下にさする。
「んんんっ!」
「彼女」は言葉にならない苦痛と……密かな快楽をおぼえた。
「じゃあ、そろそろショーツ取っちゃうね。いよいよつかさちゃんが女になる時間だから」
あらためて亜理紗がペニスバンドをかざすと、「彼女」は思わず目を伏せた。
「目をつむっちゃダメだよ。ちゃんと入るトコロを見てないとね」
亜理紗は、絞り上げて紐のようになってしまった「彼女」のショーツをゆっくりと引きおろした。
「おとなしくしててね」
そうして両足のロープを解いた。下半身が自由になったと思ったのも束の間、亜理紗が両の足首を持って頭のほうにひっくり返した。
(あああ! 何、なんなの? いやだ! 恥ずかしいよ……!)
両足が顔のあたりまで来ている。もちろん左右に大きく割り広げられていた。
尻が浮き上がり、股間が天井を向いてしまう恥辱のポーズだった。あとで「まんぐり返し」と呼ぶのだと知って恥ずかしさが倍増した。
「フフッ、いい眺めね」
ほんのり膨らみ熱を持った「つかさ」の分身は、お腹に押し付けられている。
亜理紗の視線は、「つかさ」のアヌスに注がれているのを感じた。
「ちょっと味見してみましょうか」
「彼女」の足首を持って広げたまま、彼女が脚の支点に顔を埋めてきた。
肉穴に唇が吸い付き、舌が舐め廻す。
「いやだぁぁぁああ……! やめろ……やめてよぉおおおお!」
「つかさ」は精一杯の声で叫んだつもりだったけど、口から出たのは、蚊の鳴くようなか細い悲鳴だけだった。
「つかさ」の哀願にも耳を貸さず、亜理紗は奔放な舌の動きで「彼女」の恥ずかしい場所をねぶりまわしている。
最初はまだ快感ともなんともいえない感触だったが、執拗に肉穴を舐めしゃぶられているうちに、全身がボワっと熱くなってくるのを感じる。
「……ああぁっ! んんんっっっ!」
気が付けば、「つかさ」はまるっきり女の子みたいな甲高い声で呻きを漏らしていた。
それでも、亜理紗の舌は執拗に菊門を攻め続けている。
「ふふふ。味は悪くないわね。薄い塩味だけど匂いはほとんどないし」
そんな寸評を交えつつ、飽きもせず舐め続けている。
股間のおぞましい快感に「つかさ」の目からはいつしか涙が溢れ、幾筋も頬を伝って落ちた。
亜理紗はそのまま十数分も「つかさ」の肉穴を舐め、弄んでいた。
「彼女」は顔を覆うこともできずに泣きじゃくるしかなかった。
「さて、そろそろ、つかさちゃんもオンナノコになれる準備が整ったわね」
亜理紗が尻の谷間に指を滑らせる。なぞるように臀部の割れ目をさぐり、少しだけ凹んでいる部分に右の親指をあてがう。
そのまま拇印を押すように、親指を強く押し込むと、小さく窄まった「彼女」の肉の蕾はパクッと口を割り、第一関節の半分ほどが埋まってしまう。
亜理紗は一度指を抜くとベビーローションを指に塗り、そして再び指をゆっくりと奥へと埋めこみはじめた。
ゆっくりと円を描くようにして、「つかさ」の肛門を穿っていく。
「いやだっ……ああひぃ、ひぃっ……」
排泄器官としか思ったことのないところを貫かれるなど、とても耐えられない。
「うふふ。つかさちゃんがヒクヒクして私を咥えているね」
亜理紗は人差指の付け根まで埋めた。
えも言われぬ圧迫感が「つかさ」を襲う。今の「彼女」には、歯を食い縛りつつ、ヒクヒクおののくことしかできない。
そして肉体の奥からは、熱くとろけるような禁断の波が打ち寄せているようだった。
「気分はどう? つかさちゃん?」
「………………」
「つかさ」は必死に首を左右に振る。そうしないと、男として大事なもの崩れ堕ちてしまいそうだったからだ。
「ふふふ。さて、つかさちゃんが大人になる時間よ……」
亜理紗がクスリと微笑む。
股裂きのような姿勢をとらされている中で、自分の股の向こうで亜理紗が笑うのを見て、「つかさ」は底知れない恐怖を感じていた。
亜理紗は枕を「彼女」の腰の下に敷くと、ペニスバンドをかまえて股間にあてがう。
「い、イヤだっ……そんな恐ろしいこと、やめろっ……ヤメてぇ~!!」
「つかさ」は全身をよじって抵抗しようとした。しかし……。
「いい子でいてね」
亜理紗は低い声で凄み、それでもまだ「彼女」が弱々しく抵抗するのをみると、さっきの鞭を手にとってピシャリと振った。
反射的に身体がすくむ。
「──私だけのつかさちゃんを見たいの。つかさちゃんをヨがらせたい、狂わせたい。我儘でごめんね、つかさちゃん」
つかさは涙目で沈黙する。男の矜持・見栄・信頼、なにもかも失ってしまい、怯えのあまり感情の均衡が崩れ、みじめに涙があふれてしまう。
彼女は、つかさのこぼれる涙を指で優しくぬぐう。
「つかさちゃんは、じっとしていればいいのよ。そうすれば、私がいろんなことをしてあげるから……」
亜理紗は、剥き出しになったつかさの肛門にペニスバンドの先端をあてがう。
次の瞬間、ズルンとその先端部がはまりこんだ。
「あヒィン! ひぃあッ……ひぃーっっ!!」
太い棒をグイグイと押しこまれた、「彼女」の肉穴はメリメリ音をたてて裂けるようだった。
灼けた鉄火箸で貫かれたような痛み。つかさはたちまちしとどにあぶら汗にまみれた。
眼の前でパチパチと火花が散り、全身の血液が沸騰するような気がした。毛穴という毛穴から脂汗が噴きだしているのではないかさえ思った。
「んぐーっ! んぐぐ……っぐっ!!」
「ほら。息を吐いて、力を抜いて。苦しさもいっしょに鎮めてあげるから」
亜理紗はつかさの肩をしっかりとつかんで残りの腰を進めようとする。
堰を切ったような涙は止まり、代わって肉体の苦しさが「彼女」を支配する。
そうこうしているうちに、疑似ペニスは、とうとう根元まで埋まってしまった。
「ほうら入っちゃった。大人になった感想はどう?」
亜理紗の腰が密着し、つかさの中を埋めていた。
その事実がつかさの心から男子の尊厳を粉々に砕き壊してしまう。
(あんなモノをボクが受け入れてしまうなんて……)
だが、次の瞬間、彼女はさらに信じられない光景を目にすることになる。
尻穴を貫いていた彼女の腰が、ゆっくりと前後に動き始めたのだ。
「うううぅぅぅッッ!!」
たちまちつかさはのたうった。粘膜を抉られるたびに、たまらない刺激が彼女に襲いかかる。
ぶるぶると頭部を震わせ、肢体がそれでも懸命にひきつる。
すでにこれが痛みなのか快感なのかすらわからない。
「つかさちゃん……どう?」
彼女が、もう逃げられる心配はないとばかり、つかさの手を縛る縄を解く。
ようやく自由になったのだが、つかさはそれどころではなかった。
「ゆっ、許して……お願い、亜理紗ぁぁ!」
直腸の膜を、引きずりだされてしまいそうな恐怖がつかさを襲っていた。
舌を突きだし、ガクガクと揺らす。
地獄の悦楽というものがあるとすれば、今味わっているのがそれであろう。
とろけきった粘膜をこすりながら、ずっしりと突きあげてくる剛直。
その律動が彼女の理性を狂わせ、神経を蝕んでいく。
もう身も心も灼けきるのは時間の問題だった。
「ああ、ああぅっ! あ…ううっ! い、いいよぉ、気持ちイイッ!!」
つかさはいつしか悲鳴から快楽の呻きへと変わった叫びを上げる。
それを聞いた亜理紗は、ニコリと微笑むと、さらに抽送のピッチを早めた。
いまやつかさは、全身を襲う快楽の嵐に耐えるだけだった。
やがて痛いほどの快感が衝きあがり、腰全体がぶるぶると震えた。
下半身がグズグズに溶けてしまいそうだった。
「あっ、亜理紗……ありさぁ……」
つかさの肉体は内部から犯され、極限まで張り詰めていた。
懸命に唇を噛んで嗚咽を殺そうとしても、こみあげる重苦しい官能は、容易に押しこめるものではない。
つかさは太腿を痙攣させ、肢体をのけ反らせて絶叫した。
「い、イクっ……う、うっ、あ、あ、亜理紗ぁあああ……」
「つかさちゃん、感じてくれてうれしいわ……さ、イッちゃいなさい」
優しい声とともに耳朶をカプリと噛まれ、同時にひと際深く体内の深奥部を抉られる。
その瞬間、つかさは股間の分身から液体を噴き出すこともなしに、快楽と恋人への想いによって絶頂に達していた。
意識が白み、世界が遠い彼方へと離れていく。
彼女の部屋が、光の射さない水底に思えた瞬間、つかさは歓喜の闇へと身を委ねた。
* * *
「ん……」
カーテンの隙間から差し込む日光に目を覚ます。
あたしは彼女の部屋のベッドで布団にくるまっていた。
サイフォンから漂うコーヒーの芳ばしい香りが鼻をくすぐる。
「つかさちゃん。おはよ。ちょっと待っててね」
彼女が入れたてのモーニングコーヒーに角砂糖を入れている。
「お砂糖は二つだったよね」
ノロノロとベッドの上で半身を起こしたあたしに、彼女がマグカップを差し出す。
その姿は、いつものようにおとなしくつつましい彼女そのものだ。
もしかして昨日のアレは夢だったのかと、あたしが思い始めた頃、ポツリと彼女が呟いた。
「──きのうはかわいかったね、つかさちゃん」
「!!」
……
…………
………………
──その日から、あたしは、ママに頼まれた仕事の時以外にも「つかさ」でいることが多くなった。
おもに、亜理紗と一緒のときにだが、時には「つかさ」のまま、別のお友だちや知り合いとと遊びに行くこともある。
休日も含めれば、たぶん一週間のうち半分以上の時間(と言うか、学校にいる時以外のほとんど)を女の子の"つかさ"として過ごしているんじゃないかな?
そんなあたしの様子を、ママはむしろ肯定的に受け止めてくれている。
最近では、亜理紗ちゃんと組ませてツインユニットアイドルとして売り出そうと考えてるみたい。
(それも……いいかもしんない)
亜理紗ちゃんと一緒に雑誌のモデルとして写真を撮られながら、そんな風に考えているあたしは、もはや手遅れかもしれない。
-Happy End?-
最終更新:2013年04月28日 00:10