まどかの輪姦学校

初出:エロパロ板「男の娘でエロパロ!」スレッド 122

 小学校最後の想いで作りのため、ボクは林間学校に参加することにした。
 だって、恭輔もいっしょに来るって言ってたからだ。
 なのに、恭輔ったら急にドタキャンしやがって。
 恭輔のバカ。
 そりゃあ、仕方ないのは分かってるんだ。
 だって、恭輔のお祖父さんが危篤なんだそうだ。
 でも、小学校最後の想いでになるはずだったのに。

「続いて、一組田中、二組鈴木、三組上中、四組専光寺の四人は、312号室だ」
 引率の霧島先生が部屋割りを発表していた。
 霧島先生はまだ、教師になって日が浅い。
 だから、先生先生していなくて、気さくで、明るくて、それにスポーツマンでカッコいいんだ。
 ボクのお気に入りの先生なのだ。
 もちろん、恭輔が一番だけど、先生は二番目に好き。
「専光寺。専光寺まどか!」
 二番目に好きな霧島先生がボクの名前を叫んでいる。
「は、はい。なんですか?」
 うっとりとして先生に見蕩れていたら、急に自分の名前を呼ばれて驚いて返事する。
「『なんですか』じゃないだろ? もうお前のルームメイトたちは、とっくの昔に部屋に行ってしまったぞ。お前も急げよ」
 先生がやれやれといった様子でボクに告げる。
「あ、はい。分かりました。あ、あれえ? ボク何号室でした?」
 自分の行くべき部屋が分からずにおろおろして尋ねた。
「312号室だ。大丈夫か? 専光寺」
 霧島先生に頭をポンと叩かれる。
 きゃあ、先生に触られた。
 あこがれの霧島先生にだよ。二番目だけど。
「はいっ。それでは行ってきまーす!」
 うれしくて、跳びはねるようにボクは部屋へと駆けて行く。
 恭輔のヤツはいないけど、なんと言っても、あの霧島先生が一緒だもんね。なんかいい想いでができそうな気がしてきた。
 えーっと。312号室は……、あ、ここだ。
 部屋のドアは開けっ放しになっていた。
 奥から声が聞こえる。
「それにしても、四組の専光寺って、なんかエロいよな。あいつ、本当は女子なんじゃないか?」
 大きなだみ声でしゃべっているのは、三組の上中だ。からだもデカイが、声もデカイ。
「ははは。まさか。確かにちょっと女っぽいですけどね。エロいっていうか、可愛いですよね」
 眼鏡を掛けた秀才タイプ、二組の鈴木が、いかにも正論ですと言わんばかりに訂正する。
「専光寺は間違いなく男子だヨン。この前、トイレで立ちションしてるの見たんだヨン」
 ヘンなところばっかり注目する、ちょっと変わった男子は一組の田中だ。
 あいつ、ボクがおしっこするのを注目してたんだ。キモイやつ。
「コ、コホン!」
 わざとらしい咳払いをして、ボクは彼らのいる部屋へ入った。

「やあ、みんな。遅くなってゴメン」
 一斉に三人の視線がボクに向けられる。
 つま先から頭のてっぺんまでを、まるで値踏みするような眼差しで見られるのは、あまり気分の良いものではない。
 特に上中の視線は、ボクの股間の辺りに釘付けになっていた。
 今日のボクは、下はデニムの短パンだったから太腿が露になっている。それが奴を刺激してしまったのだろうか。
 上はごく普通のTシャツだったし、それにボクは胸がないから、胸を見たってしょうがないからだろうか。
 それにしても、あまりにもしつこくボクの下半身を見ているので、ボクは上中の近くまで歩み寄った。
「どうかしたの? ボクの脚に何か付いてる?」
 そんなに見たけりゃ、もっと近くで見せてやるよ。
「う、うんにゃ、なあんにも付いてないぜ。専光寺まどかちゃん」
 だみ声の上中が、猫なで声でしゃべるもんだから、まるで盛りの付いたどらネコみたいだ。
「そんなことより、もうみんな水着に着替えましたよ。専光寺くん。君も早く着替えた方がいいんじゃないですか」
 眼鏡の位置を右手の人差し指で直しながら、鈴木が冷静に言った。
「あ、そうだね。湖畔でカヌーの実習があるんだったね。じゃあ、急いで着替えるね」
 鞄から水着とバスタオルを取り出すと、ボクは着替えるためにバスタオルを腰に巻きつけた。
 続いて、短パンとパンツを下ろして、両脚を抜いた。
 あとは水着を穿くだけだ。上に着ているTシャツは着たままでいいはずだった。
 鞄の上に置いた水着を手に取ろうと、しゃがんだそのときだった。
「おい、専光寺。お前、本当に男なのか?」
 背後から上中が、ボクの腰に巻きつけてあるバスタオルを捲り上げようと手を伸ばしてきたのだ。
「きゃあ。何すんだよう」
 ボクは跪きながら、必死に上中の手首をつかんで制しようと試みた。
 けれども、からだのデカイ上中に力で勝てるはずはなかった。
「見ろよ。白くて、エロいケツしてやがるぜ」
 バスタオルをつかんだ上中がだみ声をあげる。
「あ、本当ですね。これはエロいかも知れません」
 鈴木は冷静さを崩さない。
「もう、やめてよ。見ないでよう」
 バスタオルの端をつかんで必死に抵抗する。
「でも、見ろヨン。ほら、ちゃんとキン○マがぶら下がってるヨン」
 田中の奴、やっぱりヘンなところを注目してる。
 ボクは前から手を差し込んで、玉の袋を掌で隠した。
 片手をバスタオルから離した瞬間、上中の強力がボクの下半身を覆っていたバスタオルを引っ剥がした。
 ボクは三人の前で下半身丸出しの恥ずかしい格好になってしまった。
 とにかく、水着さえ穿けばなんとかなる。
 そう思って水着に手を掛けたとき、またしても上中が今度は水着に手を伸ばした。
「冗談はやめてよ。ボク、怒るよ」
 左手で股間を隠しながら、右手で水着を持って引っ張る。
「怒った? 怒った顔がまた可愛いな。まどかちゃん」
 所詮、ボクの威勢など上中には通用しないらしい。
 ニヤニヤしながら上中はボクの水着を引っ張ってきた。
 紺色の水着が双方から引っ張られて、びよーんと伸びている。
「離してよ。水着が伸びちゃうよう」
 ボクは、泣きそうになって懇願した。
 情けなかった。
 本当なら上中じゃなくて、恭輔が同じ部屋だったのに。
 助けて、恭輔。

「それにしても、本当にエロ可愛いですねえ。特にこのお尻」
 冷静な鈴木の冷たい掌がボクのお尻を撫で上げた。
「ひゃああっ」
 思わずボクは水着を持つ手を緩めてしまった。
 あっ。しまった。
「こんなモノ穿いたら、せっかくのエロケツが台無しだぜ。まどかちゃん」
 上中が勝ち誇ったように舌なめずりをしている。
「か、返してよ。それがないと、実習に参加できないよう」
 必死になってボクは上中に訴える。
「俺はまどかちゃんがフルチンになって、実習に参加するところが見たいぜ。なあ、どうだい?」
 ボクの水着を指先でくるくる回しながら、上中はボクの顎に手をかける。
「ヤ、ヤダ。そんなの。絶対」
 上中の手で顎を上げさせられたボクの目から熱い水が零れ落ちる。
 屈辱でからだじゅうがワナワナと震えていた。
「こいつ、泣いているヨン。震えているヨン。でも、男だったろヨン。ち○ちん、付いてたろヨン」
 田中の言葉が癪に障る。
「確かに、それは可哀想だよな。じゃあ、いまここでオナニーして見せろよ。そしたら、水着を返してやってもいいぜ」
 上中のいやらしい目がボクを見つめている。
 オナニーだなんて。
 どうして、ボクがこいつらの前でそんなことしなきゃいけないの?
「ヤダ。そんなことできない」
 もはや、涙も震えも止まっていた。
 もう、いい。どうだっていい。
 実習に参加できなくったって構わない。
 どうせ、恭輔もいないんだから。
「ほおう。じゃあ、この水着はもらっておくぜ。それから、そんなに怖い顔すると、せっかくの美人が台無しだぜ。まどかちゃん」
 上中は相変わらずボクの水着を指先でくるくる回しながら部屋を出て行った。
「あ、待ってくださいよ。いいんですか? このままで。ねえ、上中くん」
 名残惜しそうにボクと上中を見比べながら、鈴木が上中の後を追っていく。
「お前、やっぱり男だヨン。なかなかの根性だヨン。でも、これで終わったと思うなヨン」
 田中の意味深な言葉をボクは頭の中で反芻していた。
 そして、ボクは途方に暮れた。

「専光寺くん、起きなさい。これ、専光寺まどかくん」
 誰かの呼ぶ声でボクは目を覚ました。
 声の主は、引率で一緒に林間学校に来ている橋本典子先生だった。
「うーん、何ですか、先生」
 なんで橋本先生がここにいるのか分からずに、寝ぼけ眼を擦りながらボクは起き上がろうとした。
 そのとき、下半身に違和感を感じた。
 否、むしろ違和感というよりも、いつもなら下半身を覆っている何かが足りなくて、スースーする感じだ。
 慌てて自分の下腹部に目をやると、バスタオルが掛かっていた。
 まさか。
 どうやら、三人が部屋を出て行った後、ボクは眠ってしまったらしい。下に何も穿かずにだ。
 何も穿いていないのにわざわざバスタオルを掛けて眠るはずもなく、これは誰かが掛けてくれたものに違いなかった。
 目の前で橋本先生が心配そうにボクの顔を覗きこんでいる。
 先生と目が合った瞬間、事態を理解したボクは、耳たぶまで熱くなるのを感じた。
「あ、あのう、これは、その……」
 言葉がうまく出てこない。
 なんと説明すればいいのか。
 モジモジしているボクに、橋本先生は優しそうな微笑を浮かべると、こう言った。
「時間になっても専光寺くんが来ないので心配して見にきたら、部屋で倒れていたのよ。どこか具合でも悪いの?」
 先生は、ボクが下半身丸出しでいたことには触れないで、ボクの身を案じてくれている。
「いえ、大丈夫です。ただ……」
 からだはどこも悪くなかった。でも、実習には参加できそうにない。ただ、その理由を言うのははばかられた。
「ただ、どうしたの?」
 先生はボクの言葉の続きを促した。

「水着がないんです。だから、実習には参加できません」
 正直に理由を言う以外に先生を納得させる方法はないだろう。
「水着、忘れたの?」
 決してボクを責めるような口調ではなかった。むしろ、母親のような大きな優しさが込められていた。
「いえ。持って来ました。でも……」
 水着は確かに持ってきた。でも、奴らが持ち去ったんだ。ボクはのどまで出かかった言葉を飲み込んだ。
「なんだか事情がありそうね。いいわ。それで、専光寺くんはカヌーやってみたくないの?」
 橋本先生は独身だった。いわゆるアラサーという年齢だったと思う。
 ボクから見れば、おばさんと言ってもいい年頃の女性だったが、独身のせいか若く見える。
 歳の離れたお姉さんといった感じの橋本先生は、ボクをまるで弟を見るような目で問いかけてきた。
「それは……やってみたいです」
 ボクは包み隠さずに本心を言った。
 カヌーの実習は、恭輔と二人で楽しみにしていたイベントだ。
 帰ったら、恭輔に土産話を聞かせてやろうと思っていた。
 だから、こんなつまらないことでできなくなってしまうのが悔しかった。
「じゃあ、ちょこっと我慢してくれたら、水着貸してあげるわよ。予備のが一着あるから」
 先生の言葉は、まるで天使のささやきのようだった。
「えっ? 本当ですか! ありがとうございます。で、我慢って、何を我慢すればいいんですか?」
 水着さえあれば、カヌーの実習に参加できる。そう思うと、どんな我慢だってできそうな気がした。
「うん、水着はあるんだけど、スクール水着なのよね、女子用の」
 先生の微笑に少しだけ陰りが現れる。
 どうしてそんなに困ったような顔をするの?
 スクール水着だってなんだって構わないよ、この際。
「スクール……水着ですか。女子用の!?」
 えっと、先生が最後に付け足したようなひと言はなんだっけ?
 女子用とかなんとか聞こえたけど。
「イヤかな?」
 先生の顔に再び天使のような微笑が戻る。
 笑みを崩さないように細心の注意を払いながら、ボクの反応をうかがっている。
「イ、イヤじゃないけど……。ハ、ハズカシイ……ような……」
 スク水、結構。しかも女子用、大いに結構じゃない。ボクは女の子用の衣装自体には全く抵抗がない。
 だけど、ここであまりにもすんなりと受け入れてしまうと、世間的にマズイのかなと思って、一応軽く抵抗を見せた。
「そうよねぇ。でも、専光寺くんなら似合うと思うんだけど。可愛いし。そうだ! 髪型もちょっと変えてあげるから、女子になりきっちゃえば?」
 橋本先生の表情からは冗談とは思えなかった。たぶん、本気でそう思っているらしい。
 女子用の水着を着るに際して、できる限りボクの抵抗感を軽減してくれようとしているのだろう。
「そ、そうですよね。ハハハ。じゃあ、ボク、なりきっちゃいます」
 せっかくの先生のご好意を無にするわけにはいかないよね。
 もっとも、ボクはさっきも言ったけど、女子用の水着を着ることに対して抵抗はないのだ。
 ボクの言葉を聞いて、ボクの気が変わらないうちにとでも思ったのか、橋本先生は脱兎の如く部屋を出て、スク水を持って疾風のように戻ってきた。
「さ、持ってきたわよ。着替えてみて」
 にっこりと微笑む先生の手から、ボクに紺色のスク水が手渡される。
「えっ? はい」
 ボクは受け取った水着を着るため、床の上にあったバスタオルを腰に巻きつけて、そそくさと着替えを済ませた。
 先生の目の前で着替えるのは、ちょっと恥ずかしかったので、後ろを向いていた。
「よし、それじゃ、こっち向いてみて。えっ? 何? どうしたの?」
 先生に促されて後ろを振り向こうと脚を動かす。
 そのとき太腿の動きに合わせて股間に妙な圧迫感を感じて、ふと視線を落としたボクは、ハッと気付いた。
「や、やっぱり。ボクが着るのには無理があるんじゃないかと……」
 ボクは無意識に股間を両手で隠していた。

「どうして? 似合ってるわ。とっても」
 先生はボクの頭の先から足元まで視線を動かして、最初は不思議そうな顔をしていたが、やがて前を押さえてモジモジしているボクの手を見て気付いたようだ。
「あっ。なるほどね。そうよね。男の子だもんね。前をなんとかしなくちゃ、恥ずかしいかな?」
 そう言いながら、鞄から白い布を取り出した。
「それは?」
 スカーフのようなヒラヒラとした透け透けの布に目を向けて、ボクは小首を傾げた。
「パレオよ。これを腰に巻いておけば、前のモッコリが隠せるから、全然違和感ないわ」
 白い布をボクの腰に巻きつけながら、橋本先生は安心感の溢れる微笑を浮かべた。
「あ、ホントだ」
 紺色のスク水の上から腰の辺りに巻きつけられた白いパレオは、いい感じでアクセントになっている。
 別に水の中を泳ぐわけじゃないんだから構わないよね、これで。
「それから、髪をヘアピンで留めて、女の子っぽくしておけば。ほら、鏡を見てごらん」
 部屋に備え付けの鏡台に自分の水着姿を映しこんでいるボクの後ろに橋本先生が立っていた。
 先生はボクの前髪を器用にヘアピンで留めておでこを出してくれた。
「あは、なんかいい感じかも?」
 ヘアピンひとつでこんなにも女の子っぽくなるなんて思ってもみなかった。
 ドキドキしながら鏡の中のボクに見入っていると、先生の顔がボクの肩越しに現れた。
「よし、決まり。さあ、一緒に行こう」
 先生の言葉に振り返ったボクは、ついうれしくなって思わず橋本先生に抱きついた。
「ありがとう! 橋本先生!」
 先生の髪からいい香りがした。

「あれ? 誰だ? あのコ。あんなコいたっけ?」
 橋本先生に伴われて湖畔に到着したときには、林間学校に参加している生徒たちは全員整列していた。
 遅れて着いたボクの姿を見て、訝しげにつぶやく声が聞こえる。
「ごめんなさい。みんな、お待たせしました。これで全員揃ったわ。じゃあ、お願いします」
 遅れてきたボクの代わりに、橋本先生が挨拶してくれたので、ボクはただペコリと頭を下げるだけで済んだ。
「はい。注目! それでは、こちらが本日みんなを指導してくださる指導員の本宮先生だ」
 全員が揃ったのを確認すると、引率の霧島先生がカヌーの指導員の先生を紹介する。
「本宮です。今日初めてカヌーに乗るという人、手を挙げて……」
 本宮という指導員の挨拶の言葉を聞きながら、ボクはホッと胸を撫で下ろした。
 間に合ってよかった。
 これで、恭輔に話ができるね。

 橋本先生のお陰で、どうにかカヌーの実習を終えることができた。
 心地よい疲労感が全身を覆っている。
 夕食までの間は自由時間だ。
 部屋に戻って何をしようかと思案しながら歩いていると、後ろから聞き覚えのあるだみ声がボクを呼び止めた。
「おい、専光寺。専光寺まどかちゃん!」

 そのまま知らんぷりして行こうかとも思ったけど、部屋が同じだったことを思い出して、渋々歩みを止める。
「なんだよ? なにかボクに用なの?」
 ボクは後ろを振り向かずに尋ねた。
「お前、恥ずかしくないの? 女子のスク水なんか着ちゃってさ」
 何言ってるんだ? 本当は鼻の下を伸ばしてボクのお尻をずっと見てたくせに。
「元はと言えば、君たちのせいだろ? とやかく言われる筋合いはないよ。それより、ボクの水着返してよ」
 相変わらず前を向いたまま右手だけを後ろに伸ばして催促する。
「知らねえよ。お前の水着なんか」
 上中はしらばっくれるつもりなのか? 実習が終わったとは言え、お気に入りの水着を盗られて頭にきていた。
 けれども、争いごとは好きじゃない。ボクは憤りをグッとこらえた。
「……」
 さすがに怒りで言葉が出ない。
「おい、無視すんなよ」
 相手にするのをやめて、再び歩き出そうとしたボクに上中が怒気を込めて言った。
「それにしても、専光寺くんは女装が似合いますねえ。男の子とは思えないくらい似合っていますよ」
 鈴木はいつものように冷静で物腰が柔らかい。
「ついにカミングアウトしたのかヨン。いいお尻してるヨン」
 なんか心の中を見透かされたようで、気分が悪くなる。田中がボクのお尻を注視していると思っただけで鳥肌が立つ。
「なんだよ。ついて来ないでよ」
 田中の言葉にゾッとして、一刻も早くその場を立ち去りたいと思ったボクは歩き始める。
 すると、奴らも同じようにボクの後ろを歩いてくるのだ。
「俺たちもこっちに用事があるんだよ!」
 邪険にされて、上中が吼える。
「あっそ。じゃあ、ボクはあっちに行くから。じゃあね」
 奴らから離れたい一心で、ボクは反対方向へと踵を返した。
 すでに他の生徒たちは、宿舎へ帰ってしまった。
 湖畔に残っているのはボクたちだけだ。
「やっぱり、俺たちもあっちに行くことにしたぜ」
 宿舎と反対の方向なのに、いったいどんな用事があるっていうの?
「なんなの? ボクは君たちと一緒にいたくないの。ついて来ないで!」
 ついにボクは奴らの方に向き直らずにはいられなくなった。
 気がつくと、ボクは蔑みの目を奴らに向けていた。
「いまのツンとした感じ、いいですね。女の子以上に可愛いですよ」
 落ち着き払った鈴木の眼鏡が光る。
 眼鏡の奥でどんな目をしているのかは、光のせいで判別できなかった。
「へっへ。いいケツしてやがるぜ。まどかの奴。プリンプリンしてる」
 舌なめずりをしながら、上中が口元を歪める。
 あいつの頭はボクのお尻のことしか考えられない仕掛けでもしてあるのか?
 巨体がボクの方へと近づく。
「俺たち、もう我慢ができないヨン。専光寺をレイプするヨン」
 キモイ田中の口から『レイプ』という言葉を聞いて、ボクはついに身の危険を感じた。
「な、なに言ってんの? ボク、男の子だよ。『レイプ』だなんて、おかしいよ」
 奴らに迫られて後ずさりしているボクの声は微かに震えていた。
「おかしけりゃ、笑えヨン」
 爬虫類のような顔の田中の目は笑っていなかった。
 マジでボクをレイプする気なんだ。

「た、田中くん、冷静になりましょうよ。目がマジになってますよ。ねえ、上中くん」
 常に冷静なはずの鈴木が少し狼狽していた。
 たぶん、この中で唯一良識を持っていそうだ。
 鈴木が二人を止めて……くれそうにないか。
 だって、この中で一番ケンカが弱そうだから。
「あ? ああ、そうだな。まどかちゃんはエロいから、エッチしてみたいけどな、レイプはマズイんじゃないか」
 野獣のような風貌の上中の言葉とは思えないくらい、常識的な言葉だった。
 ボクは思わぬところから救世主が現れるのを期待した。
「なに、甘いこと言ってるんだヨン。お前らも専光寺をおかずにオナニーしてんだろヨン。だったら、せっかくのチャンスなんだヨン」
 爬虫類のくせに野獣に歯向かうつもりなのか?
 ボクは二人の間で飛び散る、目には見えない火花を固唾を呑んで見つめていた。
「それも、そうだな。だが、乱暴なことはしたくねえんだ、俺は」
 野獣が狡猾な爬虫類に言いくるめられようとしていた。
 でも、野獣には意外な優しさがあるみたい。
 がんばれ! 野獣!
「ま、まあ、僕も専光寺くんのからだをじっくりと観察してみたいとは思っていましたから、できれば、その、エ、エッチなこともしてみたいと思いますけど」
 な、何ふざけたこと言ってんのよ! あんたが唯一の良識だって、さっき褒めてあげたばかりなのに。
 このムッツリスケベ。
「こ、来ないでよ。ヤダよう。ボク、君たちとなんかエッチしたくない!」
 結局、三人に囲まれて迫られていた。
 この場合の最善の策。それは逃げること。
 ボクは、三人の隙を衝いて逃げようと構えた。
「待てよ。まどかちゃん。痛くしないからよ、俺たちの言うことを大人しく聴けって」
 ボクの意図をいち早く察知した野獣に手首をつかまれる。
 そして、そのまま地面に押し倒された。
 湖畔の地面は海辺と同じように砂地だった。
「痛い! 痛くしないって言ってるくせに、痛いよう。離してよう」
 転倒したときの衝撃は砂地のせいか、さほど痛みは感じなかった。
 けれども、倒れたボクの上に野獣の巨体がのしかかっていたため、からだじゅうが痛かった。
「君が暴れなければ痛くないんですよ。専光寺くん。さあ、大人しくしなさい」
 事の成り行きを冷静に見守るように鈴木が口を挟む。
 続いて野獣の顔がボクの顔に急接近する。
「うぐぅぅぅ……んぐっ」
 恐れていたとおり、野獣はボクの唇を塞いだ。
 水分の少ない、かさついた唇だった。
「うーん、甘くていい香りがするぜ。まどかちゃん。さあ、素直に口を開けよ」
 上中は一度ボクから唇を離すと、にやけた顔でボクに命令する。
「いやあぁぁ。やめて。あんぐごご」
 恐怖でひきつった声を挙げたボクは、不覚にも思わず口を開けてしまった。
 そこで間髪入れずに野獣の舌がボクの口内に差し込まれる。
「う~む、実にエロ可愛いですね。まるで上中くんが可憐な美少女の唇を無理やり奪っているかのようです。ああ! 唾液が専光寺くんの口の端からあふれ出して、耳の方にまで垂れてきてる」
 冷徹な分析家の鈴木がまるで官能小説を朗読しているかのような解説を加える。
 上中の舌は軟体動物みたいにぐねぐねとボクの口の中を這い回った。
 ボクの舌は軟体動物との接触を避けようと必死に狭い口内を逃げ回る。
 よだれが垂れるのも構わず、ボクの舌は野獣の舌とせめぎ合った。
「スク水の中で専光寺のち○ぽが勃ってきてるヨン。やっぱり、こいつ男が好きなんだヨン」
 無理やりとはいえ、舌先を絡めあう行為は少なからずボクを悦楽の淵へと誘うのだった。
 ああ、ボクはこんな野獣を相手にしているにもかかわらず、興奮しはじめているのだろうか。
 抑えようとすればするほど、いけないと思えば思うほど、野獣の荒々しいキスに翻弄されてしまう。

「確かに。勃起してますね。ちょっと擦ってみましょうか」
 こんなときでも落ち着き払っている鈴木が、ボクの敏感なところをスク水の上からつかんで擦り上げてきた。
「ふむぅぅぅ!」
 上中の唇で塞がれたボクの口は、言葉にならない叫び声をあげた。
 いやだ、こんなの。
 好きでもない男の子たちに、からだをおもちゃのように弄ばれるなんて。
 巨漢の上中に押さえつけられて、身動きできないボクはひたすら身悶えするしかなかった。
「クネクネといやらしい腰つきになってきてますよ。キスだけでこんなにも興奮しているなんて」
 鈴木が眼鏡を直しながら、ボクの顔を覗き込む。
「ぷはっ! 柔らけぇぜ。まどかちゃんの唇はよぉ」
 長い間ボクの唇に吸い付いていた野獣は、ようやくボクから唇を離した。
 野獣の唇からつーっと糸が引いていた。
 唇は離されたはずなのに、まだボクの唇と野獣の唇は唾液の糸で繋がっている。
「やぁだよぅ。鈴木くん、やめて。擦らないでぇ。痛いよう」
 ボクは糸を断ち切りたくてわざと頭を振った。
「おい、鈴木。貸してみろ。まどかちゃんのおち○ちんはデリケートなんだからな。優しく撫でてやらなきゃな」
 ボクのからだにのしかかっていた野獣は、自分のからだの向きを変えて、ボクの敏感な部分を撫でる。
「はんっ。タマ揉まないで。あっ!」
 おち○ちんを擦り上げるだけの鈴木とは違って、上中はボクの大切なタマの納められた袋を優しく揉み始めた。
「上中、お前、扱いが上手いな。慣れてるヨン」
 爬虫類のような目で田中がじっとこちらを見つめている。
「はうっ。ダメ。そこは……」
 ボクのナイーブなタマを弄くっていた上中が、その手を後ろのほうへ滑らせていく。
「こっちの方が感じるんだろ? まどかちゃんは見た目も女の子みたいだけど、感じるのも女の子みたいに穴の方がいいんだな」
 いやらしい目つきで上中はボクを見下ろして、ボクの後ろの穴を指の腹でこねくりまわしている。
 もう一方の手でボクの胸の辺りをさすりながら。
「ヤダ! 言わないで。そんなことないもん」
 図星だった。
 恭輔しか知らないはずのボクの性癖。
 本当のボクの姿を見透かされたような気がして、耳たぶまで熱くなる。
「ウソをついてもすぐにバレるぜ。ほら、乳首がこんなに硬く隆起してきてるぜ」
 あまつさえお尻の穴を弄くられているのに、おまけに乳首まで同時に擦られているのだ。
 興奮するなと言う方が無理なのだ。
 当然、上中にはお見通しだった。
「あん。ああ、コリコリしないでよう、そんなとこ」
 ボクが乳首を勃たせているのを知ると、上中は執拗にボクの乳首を指先でつまんでは転がした。
「うわあ、専光寺くん、乳首を弄られる度にち○ぽをビクンビクンさせてますよぉ」
 解説者の鈴木がボクのアソコの反応をつぶさに観察しては言葉にする。
 その言葉にボクはなぜかからだが熱くなっていった。
「男のくせに乳首で感じるとは、とんだ変態くんだヨン」
 それにひきかえ、田中の言葉はただ癪に障るだけの雑音に過ぎなかった。
「うっ、うううぅぅ」
 田中の心無い言葉にボクは悲しい気分になってしまった。
「よく泣きますねえ、専光寺くんは。泣き虫なんですね。よし、泣き虫まどかくんのち○ぽがどんな風になってるのか水着の中から出してみましょう」
 水着の中で硬くなっているボクのアソコを鈴木が凝視している。
「きっと、ち○ぽの先からも涙が出てるんだヨン。ほら、見てみろヨン。スク水にしみができてるだろヨン」
 田中なんか消えてなくなってしまえ。
 デリカシーのかけらもない嫌な奴。

「じゃあ、俺がまどかちゃんのおち○ちんを引っ張り出してやるぜ」
 ボクの後ろの穴を弄んでいた上中が、スク水の端に手を掛けてめくり上げる。
 すると、ボクはついに三人の前に恥ずかしい部分を丸出しにされてしまった。
「おお、綺麗なち○ぽですねえ。しかもビンビン。おや? お尻の穴も丸見えになっちゃいましたよぉ」
 鈴木の言葉責めにボクは顔だけじゃなく、全身が熱くなるのを覚えた。
「ヤダー。見ないで」
 恥ずかしいところが少しでも見えにくくなるようにと、ボクは懸命にからだをくねらせる。
「ケツの穴がヒクヒクしてていやらしいぜ」
 上中は吐息がかかるくらい、顔をボクのまたぐらに近づけてきた。
「上中、指入れて刺激してみろヨン」
 田中が余計なことを言った。
「お前の指図は受けねえよ。入れたけりゃ自分で入れな」
 上中も田中の言葉が癪に障るのだろうか。
「分かったヨン。自分で入れるヨン」
 でも、あの田中に指を入れられるくらいなら、上中にされた方がマシだったのに。
 やめて、やめてよう。
「ひやあっ! あんっ!」
 指先をひと舐めして、田中がボクのお尻の穴に指を挿入してきた。
「な、な、なんと! お尻の穴を触ると、乳首もち○ぽもビンビンに勃ってきましたよぉ」
 興奮の芯に火が点いた鈴木が、スポーツの実況中継さながらの解説を加える。
 気持ちが悪いのに、気持ちいい。
 あんな奴に触られるのは死ぬほど嫌なのに、からだはボクの意に反して感じていた。
 きっとこれは不随意反応なんだよ。
 ボクの意思とは無関係。
 そう考えることでボクは心の平静を保とうとした。
「まどかちゃん、俺のち○ぽもビンビンなんだ。くわえて気持ちよくしてくれよ」
 お尻の穴に気を取られている隙を衝いて、不意に上中がボクの目の前に屹立した陰茎を突きつけた。
「はっ。うぐっ。はむっ!」
 勃起した上中のペニスが唇にあてがわれて、ボクは苦しくて思わず口に含んでしまう。
「くっ! はあぁぁぁ。気持ちいいぜ。なかなか上手いじゃないか。やったことあんのか? まどかちゃん」
 上中が恍惚とした表情を浮かべている。
 一旦口にくわえてしまった以上、吐き出すわけにもいかずにボクは舌先で上中の巨根を刺激し続けた。
「うぐぅぅっ」
 口にくわえたままなので言葉にならなかった。
「なんだって? よく分かんねえぜ」
 ボクが何を言ったのか知りたかったのだろう。
 上中がペニスをボクの口から引き抜いたのでようやく言葉を発することができる。
「や、やったことないもん!」
 ボクは嘘をついた。
「ウソつけ。絶対やったことあるはずだ。相手は誰だ?」
 やはり上中には見抜かれていた。
「……」
 決して恭輔との間の関係を口にすることはできなかった。
「まあ、いいさ。それより、そろそろまどかちゃんのおま○こに入れちゃおうかな?」
 その言葉にボクは戦かずにはいられなかった。
 だって、恭輔にしか許したことないのに。
 そんな簡単に言わないで欲しい。
「おま○こ? 上中くん、なにを言ってるんですか? 専光寺まどかくんは男の子ですよ!」
 真面目人間の鈴木が上中の言葉を訂正しようとする。
「けっ! 受け側のケツの穴のことをおま○こに見立てて、そう呼ぶんだヨン」
 お前の解説なんて要らないよ、田中。
「へえー。それにしても、田中くん、詳しいんですねえ」
 鈴木が素直に感心している。
「や、やめてよう。お尻の穴になんか入れないでよう」
 ボクが処女でないことを悟られないように抵抗を試みる。
「ふっ。本当は入れて欲しくてウズウズしてるくせによ」

 何でもお見通しの上中には、ボクの演技なんて通用しないらしい。
「そんなこと……ないよぅ……あっ!」
 ボクが否定の言葉を言い終わらないうちに、上中は猛々しい男の象徴をボクの秘密の蕾にあてがったかと思うと、間髪を入れずにずにゅりと挿しこんだ。
「入ったぜ。意外とすんなり入ったな。まどかちゃん、やっぱりやったことあるだろ?」
 すでに亀頭はボクの穴の中にめり込んでいた。
 上中は満足そうにボクを見つめた。
「あんっ! あっ。あっ。あう」
 ボクが上中から視線をそらすと、奴はゆっくりと腰を動かし始めた。
 思わずボクは声を漏らした。
「気持ちいいぜ。口もいいけど、おま○こもいいぜ。まどかちゃん」
 上中のモノがボクのお腹の中でいっぱいになっている。
「あはっ、あはっ。あ、あたっ、当たってる」
 膝を抱えるようにして、お尻を高く上げているボクのからだにのしかかるように上中がペニスを抜いては挿し、抜いては挿しを繰り返す。
 最初は浅かった挿入も次第に深く奥へと貫いてくる。
「どこにだ?」
 ボクの言葉に上中が反応した。
 奴の陰茎はボクの腸内でとても敏感なポイントにヒットするのだった。
「だめぇ。突っつかないで。そこ」
 お腹の中が切なくて苦しい。それでいて気持ちいい。そんな複雑な感覚が、上中の抜き挿しによって生まれていた。
「ここか? ここがいいんだな?」
 どうやら上中にボクの感じるポイントを知られてしまったらしい。
 奴はその場所を知ると、徹底的にそこを責め立ててくる。
「ああぁぁんんっ!」
 官能の大きな波がボクの頭上に降りかかる。
 波に飲まれたボクはそのまま悦楽の沖へとさらわれて、奈落の底へと沈んでいく。
「うおっ! 急に締め付けがきつくなってきやがった。い、逝きそうだ」
 絶頂に近づいているのだろう。
 ボクのお尻の穴が反射的に上中のペニスを締め上げていく。
 ものすごい形相で上中は激しくピストン運動を繰り返しながらも、ボクの敏感な乳首をつまみあげてくる。
「ああん。ダメ、乳首触っちゃ、いやあっ! ボクも逝っちゃうぅ」
 上中の熱い奔流がボクのお腹の底を打つ。
 お尻と乳首の両方を責め立てられながら、ボクもついに絶頂を迎える。
 それと同時にボクのおち○ちんの先端からもなにかがしぶいた。
「ああっ! 専光寺くんのち○ぽの先から何か出たっ!」
 本当は見られたくない。
 だけど、ボクの逝く瞬間を冷徹に観察していた鈴木が、突然興奮したように叫ぶ。
「けっ! ところてんしただけだろヨン。ん? なんだ? 白くないな。精液じゃないみたいだヨン」
 知ったかぶりの態度で田中が驚いたようにつぶやく。
「射精じゃないんじゃないですか? これは」
 驚くなら鈴木のように素直に驚けっつーの。
「『潮吹き』ってやつだろ? たぶん」
 今度は少し自信なさげに田中がつぶやいた。
「へえー。あれだけお尻の穴を掘られて、射精せずに逝けるなんて、本当にまどかくんのからだって興味深いですね」
 鈴木はボクに興味津々といった感じで興奮している。
「けっ! 専光寺は男だって言ってるだろヨン。ち○ぽをしごきながら、ケツま○こ突っついてやれば、一発でザーメンをぶちまけさせてやるヨン」
 射精を終えて賢者タイムに入っている上中の巨体を押しのけるようにして、今度は田中がボクのお尻の穴に自分の怒張を突き立ててくる。
「あんっ! また入ってくるぅ」

 ただし、上中ほどの巨根ではないから比較的すんなりとボクの穴に収まった。
「おら、おら、どうだ? 俺のち○ぽはヨン?」
 優しさを微塵にも感じさせないセックスだった。
 荒々しく自分のペニスを挿入して、ボクのおち○ちんを乱暴に擦り上げるだけだった。
「はああぁぁ。ダメ。おち○ちん、しごかないで」
 こいつはボクが普通の男の子のように射精するところをみたいだけなんだよね。
「ち○ぽだけじゃなくて、タマも揉んでやるヨン。精子が出やすくなるようにヨン」
 どうしてそんなにボクの射精にこだわるの。
「やめて。タマ揉まないでよう」
 やだよ。痛いよ。そんなに乱暴にタマを揉んじゃ。分かってないなあ、もう。
 こんな奴、さっさと逝かせてしまおう。
 いつまでも、繋がっていたくないもん。
「な、なんだ? 専光寺のち○ぽが急に萎えてきたヨン。あっ、な、なんだ? 逆にケツま○こがまるで生き物のように吸い付いてくるヨン。ああ、うっ!」
 呆気なく田中はボクのお尻の中で果てた。
「田中くんのは、全然気持ちよくない! だって無理やりボクに射精させようとするんだもん。ボク、そういうのキライ!」
 田中が果てた今なら言える。
 お前なんてサイテーだよ。
 どうして、ボクをボクとして見てくれないの?
 ボクが男かどうかなんてどうだっていいじゃない?
「それじゃあ、最後に僕が専光寺まどかくんを気持ちよくさせてあげましょう」
 今まで静かな傍観者としての立場にいたはずの鈴木が、急に積極的に動き始めた。
 しかも、妙に自信ありげなその態度にボクは驚きを隠せなかった。
「やっ! なにを?」
 スッと伸ばしてきた鈴木の手がボクのからだに触れる。
「まず、からだを締め付けているこのスク水を脱がせてあげましょう」
 鈴木の手が水着に掛かる。
「えっ? あ、待って……」
 ボクは有無を言う暇もなく、着ていた水着を脱がされてしまった。
 全裸でボクは浜辺に横たわっていた。
 改めて恥ずかしさがこみ上げてくる。
「ああ、やっぱり。まどかくんのからだは本当に美しい。この美しいからだをよく観賞させてもらいますよ」
 胸と股間に手を当てて隠しながら、ボクは鈴木をじっと見つめ返した。
 見るからに優等生タイプの鈴木が、いまは淫猥な陵辱者の目でボクを見ている。
 じりじりと奴がボクのからだに迫ってくる。
「あんっ! そこは……」
 鈴木はボクの手を静かに退けながら、胸に顔を埋めてくる。
 奴の唇がボクの胸の突起にそっと触れる。
「ピンク色の綺麗な乳首をしていますね。ああ、からだから香るこのライムのような香り。男心を惑わす魔性の美少年ですよ、君は」
 くんくんと鼻を鳴らしながら、鈴木はボクの匂いを嗅いでいる。
 満足げにニヤリとほくそえむと、そのまま胸から腹へと唇を滑らせていく。
「ああ。おへそ、ダメ」
 鈴木はボクのへその辺りで一度顔を止めて、舌先を伸ばしてへそを舐める。
 思わずボクは仰け反った。
「まどかくん、君のペニスはまるで熟成したウインナーソーセージのように弾力性に富んでいます。それでいて、魚肉ソーセージのようにしなやかです。とてもおいしい」
 おへそへの愛撫のあと、ついにはボクのペニスへと到着した鈴木の唇は優しくキスをしたあと、ぱっくりとボクの陰茎をほおばった。
「そ、そんなこと言われるの、初めて」
 恭輔にさえそんなこと言われたことないのに、鈴木に思いがけず言われた賞賛の言葉は、ボクの心の琴線に触れたのだった。

「はむ。この二つの睾丸はマシュマロのようにふかふかで、中にオスの種が詰まっていることを全く感じさせない優しさに満ち満ちています」
 なんなの? こいつ。
 どうして、そんなにボクを喜ばせるの?
 鈴木は普段は冷静な理論家なのに、いざというときには思い切りロマンチストになるタイプなんだろうか。
「あ……、ダメ……。鈴木……くん。も、もっと吸って」
 敏感なタマの袋を口に含んで吸い込んでもらうと、ボクの萎えていたアソコも再び元気を取り戻した。
「ああ、おいしいですよ。まどかくんのペニスの先からどんどんジュースが溢れてきています」
 タマを吸われれば吸われるほど、ボクのペニスはビクンビクンと反応する。
「す、鈴木くんのも、しゃぶってみたいな、ボク……」
 いつしかボクは無理やりに手篭めにされているのも忘れて、自分から鈴木のモノをねだっていた。
「じゃあ、お願いしましょうか」
 仁王立ちになった鈴木の前に跪いて、ボクはあいつの陰茎に両手を柔らかく添える。
「これが、鈴木くんの……」
 舌先で鈴口をちろちろと舐めてから、上下の唇で亀頭を包み込むようにしてくわえた。
 そのまま、唇を陰茎の根元まで滑らせていく。
「おおっ! こ、これは確かに上手です。と、蕩けそうな心地よさです」
 根元までくわえこんだら、そのあとはゆっくりと唇を亀頭の先端まで戻す。
 そして、再び根元までくわえ込む。
 この動作を次第にスピードを上げながら何度も繰り返した。
「お願い。鈴木くん、ボクのアソコに、入・れ・て」
 鈴木のペニスがギンギンに硬くなったのを見計らって、ボクは思い切り淫らにカワイコぶりっ子してみた。
「もちろんですとも。いまから入れて差し上げますよ。まどかくん」
 ボクの誘惑は、素直な鈴木にヒットした。
 あいつはボクを優しく横たわらせながら、仰向けにすると両脚を抱えた。
 ボクは恥ずかしい格好をさせられているにもかかわらず、昂る気持ちを抑えられないほど興奮していた。
 お尻の穴は鈴木が来るのをひたすら待ち受けていた。
 そして、ついに鈴木のモノがボクを貫いた。
「あうっ! は、入ったよ。鈴木くんのが入った。ゆ、ゆっくり動かしてね」
 鈴木の陰茎は太さはそれほどでもなかったが、長さがかなりあった。
 だから、あまり速く動かされるのは少し怖かった。
「ゆっくりいきますよ。どうですか?」
 どこまでも紳士的な態度を崩さない鈴木に、ボクはすべてを委ねてみたいと感じた。
「ああ、そう、そんな感じ。いい」
 優しさがにじみ出るようなセックスだった。
 野獣のような荒々しい上中のセックスよりも、数段上に感じた。
 ボクはいつしか恭輔のことも忘れて、鈴木との情交に身も心も奪われてしまいそうだった。
 ボクのからだが鈴木の精を欲しがった。
「ああ、締まる。締まってますよ。まどかくん」
 体内に挿入された陰茎から精液を搾り取ろうと、肛門が収縮を繰り返す。
 鈴木の分身はボクのお腹の中の一番感じるポイントを的確に突いた。
「いい。鈴木くん。いいよぅ。いい……」
 思わずボクは犯されていることも忘れて、鈴木を求めていた。
 腕を伸ばして鈴木のからだに抱きついた。
 あいつもボクのからだを思い切り抱き寄せた。
「ああ、僕もう逝きそうです。ああ!」
 鈴木のからだがピクピク痙攣したかと思うと、ボクのお腹の中であいつの精が迸った。
「あ、当たってる。奥に熱いものが。ボクもイク」
 全く触られてもいないのに、ボクのおち○ちんの先から真っ白い液体が吹き零れた。
 このボクに射精させる男の子が恭輔以外にいたなんて。ボクは罪悪感に苛まれた。
 恭輔以外の男の子相手に本気でイクなんて、ボクはただの淫乱だったのだろうか。
 ウソだ! きっとこれは悪夢なんだ。
 快感の余韻に浸っている鈴木を押しのけた。
 気がつくと、ボクは走っていた。
 あの場所から一刻も早く遠ざかりたかった。

「はあ、はあ」
 ボクは息を切らしていた。
 どれくらい走ったのだろう。
 とにかく疲れた。どこかでゆっくり休みたい。
 そう思って木陰で休んでいるとき、ふと人の気配がした。
「だれ?」
 ボクは誰何した。
「専光寺! どうしたんだ? その格好」
 霧島先生だった。
「べつに……」
 答えかけて、ハッと我に返った。
 いまのボクは素っ裸だった。
「こ、これは……」
 そう言って、ボクは先生に背を向けた。
「いったい、何があったんだ?」
 先生は心配そうな声だった。
 レイプされました、なんて言えるはずもなかった。
「とにかく、宿舎へ帰ろう。一緒に来なさい」
 そう言うと、先生は自分の着ていたパーカーをボクに掛けてくれた。
 先生のサイズだから大きくて、ちょうどボクの膝上まであった。
 霧島先生は、それ以上何もボクに訊かないで、黙って肩を抱いてくれた。
 ボクも何も言わずに、先生に肩を抱かれたまま宿舎へと戻った。

 霧島先生は、ボクを部屋に戻さずに自分の部屋へ招き入れてくれた。
 先生が先に中に入り、ボクはあとから入った。
 部屋に入ると、先生は柔和な笑みを浮かべてボクの顔を見てひとこと言った。
「シャワー浴びるか?」
 ボクは黙ってコクリとうなずく。
 そして、浴室へ行きかけて、振り返り、言った。
「先生……」
「なんだ?」
 霧島先生は柔和な表情を崩さなかった。
 ボクは先生のもとへと駆け寄り抱きついた。
「先生、ボク……」
 先生の分厚い胸板に顔を埋めた。
「大丈夫か? 具合悪くないか?」
 ボクのからだをそっと抱きしめながら先生は囁く。
「えっ?」
 驚いたボクは先生の方を見上げた。
「野良犬に噛まれたと思って忘れろ! なんて一昔前のドラマのような陳腐なことを言うつもりはない。ただ、お前のことが心配なだけだ。具合が悪いなら、いつでも医者に連れてってやるから言えよ」
 先生はまっすぐボクを見てくれた。
 慈愛に満ちた大きな瞳だった。
「分かってたんですか?」
 上目遣いに先生を見ていたボクは、先生の真摯なまなざしに耐えられなくなって視線を逸らした。
「当たり前だろ? お前のような美少年が裸で呆然と立っていたら、誰だって分かるさ」
 努めて明るい調子を装い、先生はボクに話しかける。
 そのとき、ボクはきっと深刻な顔をしていたに違いない。
 先生の優しい笑顔を見ていたら、なんだか素直に話せそうだった。
「ボ、ボク、輪姦されちゃったんです」
 意を決して事実を告げる。

「そうか」
 意外にもあっさりとした返事が返ってくる。
「でも、そんなことは、どうでもいいんです」
 ボクは続きを話さなくてはならなくなった。
「そうか」
 再び、先生は軽くうなずいただけだった。
 だから、ボクはさらに話を続けることができた。
「ボク、彼氏以外の男の子とのセックスで気持ちよくなってしまったんです」
 苦しい胸のうちを吐露するのはつらい。
 でも、誰かに話さなくてはいけないような気がした。
「そうか」
 またしても、先生はうなずいただけだった。
「ボクは彼のことを裏切ってしまったんです」
 一番気がかりなことを告白した。
 ボクは本当に恭輔のことが好きなのか。
 気持ちよければ誰だって構わないのではないか。
 そんな思いが頭の中を交錯していた。
「そんなことないさ。からだは奪われてしまったかも知れないが、心まで奪われたわけじゃないだろ? 彼氏のこと嫌いになったわけじゃないだろ?」
 霧島先生はボクの腕を解くと、両肩に手を乗せてボクの目を見つめて言った。
 確かに恭輔のことが嫌いになったわけじゃない。
 気持ちよかったからといって、鈴木のことが好きになったわけじゃない。
「うん」
 自分の思いを確かめると、ボクはコクリとうなずいた。
「だったら大丈夫だ」
 先生はボクの頭を撫でて、にっこりと微笑んだ。
「でも、ボクのからだの中にまだあいつらの……」
 そう言いながら、ボクは自分の下腹部に視線を落とした。
 奴らが放った精がボクのお腹をいっぱいにしていた。
 このままでは妊娠してしまうのではないかとさえ思えた。
「陵辱の痕跡が残っているんだな」
 先生は真顔になって訊いた。
 ボクは黙ってうなずく。
「だったら、先生がいまからお前のからだの中をキレイにしてやる。安心しろ」
 ボクの下腹をさすりながら先生は再び優しい表情に戻った。
「えっ? キレイにするって?」
 先生に下腹を撫でられると、不思議なくらい気分が落ち着くのだった。
 でも、ボクには先生の言葉の意味が理解できなかった。
「任せておけ」
 そう告げると、先生は部屋を出て行った。

 しばらくして、霧島先生は手に何かを持って部屋に戻ってきた。
 白いビニール袋になにやら入っている。
 カチャカチャと音が鳴っているから、ガラス瓶かなにかなのだろう。
「待たせたな。さあ、準備は整った。四つんばいになって、お尻をこちらに向けろ」
 袋を持って浴室へ行くと、先生は洗面器に水を張って運んできた。
 洗面器には大きな注射器のようなものが水に半分だけ浸かっていた。
「せ、先生……、それは?」
 これから何が始まるというのだろう。
 四つんばいになりながら、ボクは恐る恐る先生に尋ねる。
「浣腸だよ。お前の腹の中には強姦魔たちの精液が詰まっているんだろ? だから、ここでキレイに洗い流してやるって言ってるんだよ」
 あのガラス製の大きな注射器は浣腸をするための器具だった。
 先生は浣腸器に洗面器の水を吸い込ませたり、吐き出させたりを繰り返している。
「わ、分かりました。先生」
 ボクは唾をゴクリと飲み込んだ。
 そのときはまだ浣腸の恐ろしさを知らずにいた。

「さあ、入れるぞ。ゆっくりと息を吐くんだ」
 霧島先生にお尻を向けているため、ボクは先生の表情をよく見ることはできなかった。
 冷たいガラスの嘴がボクのお尻の穴に当たったかと思うと、すぐに中にまで侵入してきた。
「あっ! ああ、は、入ってきます。先生……」
 ぐぐぐぐっと水圧がボクの腹腔内にかかる。
 下腹がぎゅんとして軽い疼痛に見舞われた。
「我慢するんだ。まだ出しちゃダメだぞ」
 先生はまるでボクの心の中がみえるのか、いまにも浣腸器の中に液を逆流させそうなボクを叱咤する。
「は、はい。先生」
 目をつむり、歯をくいしばる。
「よし、200cc入った。あと、800cc入れるからな」
 200ccも入ったのに、まだ入れるなんて、耐えられそうにない。
 しかし、先生の意志は固そうだった。
「ええっ? い、1リットルも入れるんですか? そんなの無理ですぅ」
 1リットルだなんて、口からでもなかなか飲み込めないのに、ましてやお尻の穴から入れるなんて。
「大丈夫だ。先生が付いているから」
 先生はそう言いながら、ボクの肩を優しく抱いてくれた。
「ああ、く、苦しいです。もうダメ」
 ようやく半分の量が体内に注入された。
 力を緩めれば、いますぐにでもお漏らしをしそうだった。
「なにを言ってる。まだまだ入るはずだ」
 先生の手がボクのお尻を妖しく撫で回す。
「で、出ちゃいそうですぅ。た、助けて」
 ボクは歯の根が合わなくなっていた。ガチガチと歯を鳴らしながら、ブルブルと全身を震わせた。
「ようし、全部入った。ほう、お腹がまるで妊婦のように膨らんでいる。いいぞ」
 先生が満足そうにボクの下腹を撫でながら、お尻の下に洗面器を差し入れた。
「も、漏れる。あ……ダメ。ああっ!」
 先生に腹をさすられながら、ボクは限界を迎える。下品な音とともに液体や気体が次々にボクの肛門から吐き出されていく。
「おおっ! 出てるぞ。いいぞ。その調子だ。専光寺」
 先生が驚嘆の声をあげる。
 いまボクはあこがれの霧島先生の前で、とても恥ずかしいあられもない姿を見せているのだと思うと全身が熱くなった。
「はう。み、見ないでください。先生。ああっ! お、おしっこも出ちゃいますぅ」
 他人に見られながらの排泄がこんなにゾクゾクするものだなんて思わなかった。
 後ろからだけでは済まずに前からもボクの体内に潜んでいた羞恥の素が噴出した。
「み、見てるぞ。まどか。お前のような美少年だって、う○ちやおしっこもするんだ。美しさと醜さの両方を持ち合わせている。それが人間なんだ!」
 先生も興奮しているらしい。
 声が上ずっている。
 ボクみたいな男の子の排泄姿を見て興奮するなんて、先生の意外な一面を垣間見たような気がした。
「でも、せ、先生、恥ずかしいです。先生にボクのこんな姿を見られるなんて……」
 霧島先生がボクのこんなはしたない姿を見て興奮してくれるなんて思わなかったから、正直言ってうれしかった。
 先生にこんな姿を見られているにもかかわらず、ボクも興奮していた。
「なにを言うんだ。いますべてをさらけ出しているお前はとても美しい。この世で一番だ!」
 先生はボクを抱き起こすと、思い切り抱きしめてくれました。
 ボクは頭の中がボーっとして何も考えられなくなった。
「せ、先生……」
 ボクはそっと目を閉じた。
「まどか」
 先生の唇がボクの唇に触れた。
 落雷に撃たれたように、ボクの脳髄に衝撃が走った。
 そのあとは、先生にすべてを委ねることにした。
 ひとしきり体内のものを出し切って、ボクはきれいなからだになった。
 そんなボクを先生は一晩中、優しく愛してくれました。
 傷ついた身も心も、すべてが癒される至福の夜でした。

 恭輔、ゴメンね。土産話ができなくて。
 だって、これはボクだけのひと夏の想いでなんだもん。

おわり

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最終更新:2013年05月04日 14:09