Mr.シスター
祭壇で一日のお勤めを果たしたお花やぶどう酒を片付けて、今日もおしまい。
「毎晩助かるわ…あなたは本当に働き者ね」
「とんでもない!シスター・エイミーこそ、ここは新参者にまかせて、早くお休みになってください!」
オルガンをピカピカに磨き終えた先輩シスターに優しくほほ笑みかけられ、ボクは慌てて首を横に振った。
「あら、そんなわけには…まあ、小さいのにそんなに持って!」
大布をかけた腕に花器と空の杯、燭台を抱えるボクを見て彼女は白魚のような手を差し出してくる。
「私も運びますわ」
正直、これくらい麦の束や小麦粉の袋に比べたら、なんてことない。お母さんを乗せて収穫後の荷車を押して畑から帰ったこともある。
それでも「ボクは女の子、ボクは女の子」と自分に言い聞かせ、先輩のお言葉に甘えることにした。
「はい!ええと…おそれいりますわ、シスター・エイミー」
ボクは今、お母さん似の息子ではなく、尼僧服に身を包んだ新米シスターなのだから。
πππ
十三歳以上十五歳以下の処女(おとめ)で、心身ともに健康な者…これが、巡礼の条件だった。
今、ボクの村にはお金も、それを稼ぐ力もない。
去年来たケタ外れな台風によって畑が全滅しちゃって、男手はボクのお父さんも隣のお兄ちゃんも、皆町へ出稼ぎに行ってしまったからだ。
とはいえ慣れない仕事で充分に稼げるわけもなく、彼らが自分達も苦しい中毎月送ってくれるお給金をやりくりして、年寄りや女子供しか居ない村はなんとか食いつないでいるという状況。
そんな時に舞い込んだ、破格の仕事は、修道院の短期巡礼への参加というものだった。
報酬はむろん奉仕料としてという名目だが、貧乏な村にこの話が入った時は、その金額に皆が沸き立った。
しかし、ボクの村には男手もないが子供も少ない。唯一三姉妹の居るお家も一番下が十六とギリギリ条件に満たない。
修道院の掲げた十三歳から十五歳という枠のみでは、ボクと隣の幼馴染みのフレアちゃんしかいなかったのだ。
女の子である頼みの綱のフレアちゃんは、この巡礼に参加できない。十五歳の誕生日に今町に出ている旦那さんと結婚して…その、お腹に赤ちゃんまでいるからだ。
「こんなに苦しいんだ、神様もきっと許してくださる」
村人総出で話し合った結果、身体も小さく顔もなよなよしいボクが村を救うために女装することとなった。
青い尼僧服を着て村を発つ朝、フレアちゃんはボクを抱きしめて泣いた。
『ごめんね、リオル。あたしが行ければ良かったのに』
『平気だよ、フレアちゃん。ボクが帰ったらそのお金でいっぱい美味しいものを食べて、元気な赤ちゃんを生んでね』
『いやだ、リオル…あんたなんでそんな格好してる時に、珍しく男らしいこと言っちゃうのよ!』
思えば、フレアちゃんが小さい頃木登り中に落ちて腕の骨を折った時以外にボクの前で涙を見せたのは、あの時が初めてだったかもしれない。
そんなわけで、当然ながら女性ばかりの巡礼に潜り込むことになったボクはなかなか大変な…ことにはならなかった。
各馬車に警護の人が付いて、明るいうちに行商用の安全なルートを通って次の町へ。村々の修道院からやって来たらしいうら若きシスターたちも、皆おしとやかなお嬢様ばかりで、夜休む時は一人一人にお風呂まで付いた小部屋をあてがわれる。
小さい頃から男の子も女の子もいっしょくたで、食事をしたりお風呂に入っていたボクはホッとしつつも、自分の村の辺鄙さにちょっぴりショックを受けてしまったが、そんな田舎者を世話役のシスターを始めとする皆はあたたかく迎えてくれた。
初日にうっかり「ボク」呼ばわりしてしまった時は肝を冷やしたが「あらまあ、そんなお転婆ではいけませんわよ」と事なきを得た。
この調子で一か月、地方の町々の修道院をくるりと一周すればお金…いや、奉仕料がもらえるのだ。
出稼ぎ三か月分のお金があれば、もっと効率の良い農具をそろえることができる。お父さんたちに暖かい服も送れるかもしれない。
そのためには、何がなんでもボクが男だとバレないようにしなくっちゃ…
「お外に大きなお風呂があるみたいだわ…よかったらご一緒しませんこと?シスター・リオル」
「おふぁっ!?」
片付けを終えて先輩と部屋に戻る途中、いきなり大ピンチに見舞われた。
「なっ、なっな…何を突然!?」
「だってあなたはいつも一人でお勤めをされているじゃない。そんなに小さいのに…本当はご家族と離れて寂しいのではなくって?」
「い、いえいえいえそんなっ!小さいったってボク十五歳ですしっ!きっと同い年ですしっ!」
「まあ」と目を見張る先輩はたしかにボクより身体が大きい。具体的に言うと…白い尼僧服を押し上げるお胸がボクの目の前の位置で、非常に心臓によろしくない。
「だったらなおさらそんな遠慮なさらないで。私たちもっと仲良くなれますわ!」
キラキラした黒い瞳がボクを映す。緑の目を困ったように垂らした、くるくるの茶髪が青い頭巾から覗く女の子。
「いや、恥ずかしがってるわけでは…あ!そ、そうそう!ボク今晩イリーナさんに呼ばれてるんでした!」
このセリフに嘘はない。世話役シスターの名に、先輩は「あら」と顔をほころばせた。
「私もこちらに入ったばかりの頃呼ばれたわ…美味しい紅茶を淹れてくださって、たくさんお話をして…とてもお優しい方よ。それに、とっても頼れる方」
それじゃあ私とはまた今度、ともったいないお誘いを最後に、ボクは先輩と別れた。
「おやすみなさい、シスター・エイミー」
「よい夢を、シスター・リオル」
うん、何度やってもこの挨拶に慣れないや。
ともあれ、突然世話役から直々にお呼びがかかったことに内心冷や冷やだったボクは、先輩の言葉に安心して自分の部屋のお風呂に入った後、イリーナさんのお部屋へと向かった。
πππ
「リオルです。よろしいですか?」
「…お入りなさい」
ノックとともに名乗ったボクに、柔らかな声がかけられる。
「失礼します」と扉を開けると、目の前にイリーナさんが立っていた。
『私のことは名前で呼んで、何でも相談なさい』
巡礼に参加した初日、ガチガチのボクの肩を抱いてイリーナさんは笑いかけてくれた。
正直緊張していたのは村を離れること以上に、女装がバレるんじゃないかという不安のためだったのだが、艶やかな面に浮かべられた笑みにボクはこっくりうなずいた。
見たことないけど、聖母のようなとはこんな人を指すのだろう。わけもなくドキドキしつつ、ボクはイリーナさんから目が離せなかった。
頭巾からこぼれるまばゆい金髪に、雲一つない空のような瞳。ミルク色の肌の上に、それらと形のよい唇や鼻といった、ボクと同じものとは思えないほど美しいパーツがバランス良く並んでいる。そのままお城のお姫様をした方が良いんじゃないかってくらい、キレイだった。
そんな彼女が、目の前に立っている。
各地の修道院から集っているので、色んな尼僧服を目にするのだが、中でも大都市の出身というイリーナさんのは個性的だった。
白と紺のシックな色合いで…胸がばーん!と開いていて、おっきなおっぱいの上半分が見えている。銀のロザリオの下半分は、白く悩ましい谷間に埋もれて見えなかった。
こんなエッチな服を着せるなんて!…って、まあボクも人のこと言えないけど。
頭巾や上衣は普通なんだけど、マイクロミニのスカートに太股までのピタッとしたスパッツ。村のお姉ちゃんたちが「この方がかえって女の子に見えるわよ!」と張り切って作ってくれたもので、たしかに動きやすいし「ボク」と言ってしまっても誤魔化せる、はずなのだが。
「…あなた、女の子じゃないでしょう?」
勧められた椅子に座り小さなテーブルを挟んで対面した、イリーナさんの第一声に、ボクは激しく動揺した。
「な、何ですかいきなり!?」
「あら、ちがうの?」
ガタンッと椅子から立ち上がり、悠然と座すイリーナさんに訴える。
「そんな、こんななりですけど…ボクは女の子ですっ!」
「なら、今すぐこの場で裸になってもらえるかしら?」
女の子なら、その証拠を見せてみろ。言外にそう詰め寄られ、証拠を持たないボクは立ち尽くすしかない。
「そんな…」
うろたえるボクの姿は、イリーナさんの指摘が正しいのを証明するには十分だった。
「ここに居るのは処女だけのはず…どうして男の子が紛れ込んだのかしら?」
もうダメだ…にっこりとほほ笑むイリーナさんの足下に、たまらずボクは跪いた。
「お願いですっ…どうか、どうか内緒にしてください…っ!」
断罪されたり罰を受けることより、ここで帰されてしまってはお金が手に入らないということがおそろしかった。
ボクがお金を持って帰らなければ、村はどうなってしまう?
出稼ぎのお金ではとても足りないのは、お父さんたちも知っている。だからいつまでも帰れないし、ボクたちも苦しい生活を知られたくないから帰ってきてとも言えない。
ボクがこの仕事を終えれば、また家族で一緒に暮らす日が近くなるかもしれない。
力仕事をしていたボクの代わりに、身重のフレアちゃんや裏のおじいちゃんが、病弱なお母さんを助けてくれると言っていた。
ボクが出発する日、そんな余裕なんてないはずなのに村の皆はこうして服を用意してくれたり、自分たちもお腹がすいてるのにたくさんお弁当を持たせてくれた。
ボクの持ち帰るお金のを待って、皆必死で貧しい生活を耐えている。
お母さんが、おばあちゃんが、お父さんが、フレアちゃんが…
「……リオル?」
「…っおねが、です…っ!ここに……ひっく…」
しゃくり上げるボクの顔を、不意に柔らかく温かいものが包んできた。
「泣かないで、リオル」
席を立ったイリーナさんがボクを抱きしめている…どうして?ボクは彼女に問い詰められていたはずなのに。
「大丈夫よ。あなたが悪い心をもって私たちを騙そうとしたのではないことは、あなたと私が知ってるし…神様もきっとご存じよ」
豊かな胸にボクの顔をうずめて、イリーナさんが優しくささやいてくれた。柔らかなぬくもりと声に、さっきとは別の意味で涙があふれてくる。
「っく……ごめんなさい…っ…」
なかなか泣きやめないボクの頭を撫でながら、イリーナさんが静かに続ける。
「あなたの村の境遇は知っていました…リオル、あなたもあなたのご家族も、どんなに辛かったでしょう。そんな中でこうして優しい子に育った子を、どうして見捨てることができるかしら?」
「……?それじゃあ、イリーナさん」
びっくりして涙も引っ込む。胸の間から顔を上げたボクに、彼女はにっこりと笑いかけた。
「大丈夫よ。私はあなたを追い出したりなんかしない……ただ」
「ただ?」
まだ何か問題があるのか不安になったボクの目を、イリーナさんの青い瞳がじっと見つめてくる。
「あなたを試すために、私はひどいことをいってしまったわ…それでもあなたは私を頼ってくれるの?」
「そんな…」
床に座り込んだまま、イリーナさんから身を離す。
「ボクは…ボクは、許されるのならここに居たいです!あなたのそばに居たいです!」
自分を偽ったボクに優しくほほ笑みかけてくれたイリーナさん、責められ罰されても文句も言えないボクを慰めてくれただけでなく、当然のことをした自分自身を省みるイリーナさん。
彼女はとっても魅力的な女性だけど、それ以上に素晴らしい人だ。それこそ聖母か慈母のように。
「それは…私のもとで、女の子として過ごすということかしら?」
「はい、ボクは女の子になります。どうかお願いします!」
頭を下げるボクに、イリーナさんがふっとほほ笑むのを感じた。
「…シスター・リオル、顔をお上げなさい」
「はい」
言われた通りにすると、目の前にはイリーナさんの満面の笑み。その美しさと可愛らしに思わずドキンとしてしまう。
いけない、女の子が女の人にドキドキしちゃおかしいじゃないか。
熱くなるボクの頬に気付いているのかいないのか、笑みを浮かべたままイリーナさんがボクの顎に手をかけた。そして、
「……!?んぅっ…」
薄くルージュを引いた唇が、ボクの口をふさいだ。ていうか、キスされた!
「んっ、んん……っ!?」
ペタリとして、ぷるんと柔らかい、初めての他人の唇の感触とイリーナさんからただよう良い匂いに抗うこともできずウットリしてると、にゅるんと何かが口に入ってきた。
「ふぇ?……っひゃ!ん、むっ……」
し、舌!舌が、イリーナさんの舌がボクの口の中を舐めている。唇の裏や歯茎、上顎をくすぐって…あ、あ?
コロン、と舌の上に何か落ちた。
「……飲みなさい」
ボクの口を放して、イリーナさんが言う。
ファーストキスの余韻にポーッとしたまま、ちっちゃな飴玉みたいなのをボクは飲み込んだ。
「いいコね」
もう一度唇を重ねられる。今度は上唇と下唇を舌先でチロチロと舐められた。さっき自分の部屋でお風呂入った時、歯も磨いてて良かったと今さら思う。
「あ…の……イリーナさん?」
「どう思った?」
ボクの頬を両手で挟み、イリーナさんが首を傾げる。
「…え……?」
「お口を吸われて、あなたはどう思ったの?」
ほっぺたをつつかれ、口の中でのイリーナさんの舌の動きを思い出し、またドキドキしてきた。
「そ、その……ビックリしました…」
「ドキドキしてる」
「………はぃ…」
「悪い子ね」
ニコニコしながらイリーナさんはそう言い放つ。
「女の子なのに、私にキスされてドキドキするなんて、あなたはまだ男の子だわ」
女の子でもいきなりされたらビックリすると思うんだけど…さっき別れた先輩とかは、しないのかな?
とはいえ自分から言い出したことなので、ボクはさっそく誓いを破ったことに小さくなった。
「ご、ごめんなさい…」
下を向くと、イリーナさんの胸の上半球が丸見えだ。抱きしめられた時感じた、尼僧服越しのおっぱいの感触を思い出し、胸の奥がキュンとした。
顔を赤らめて視線をどこに向けるか困ってるボクに、イリーナさんは鷹揚にうなずく。
「いいのよ、リオル…他の子と同じく、あなたも私が責任を持って『女の子』にしてあげるわ」
そしてイリーナさんはボクを軽々と抱き上げると、さっきまでついていたテーブルや椅子を通り過ぎ…ベッドに下ろしてくれた。
「い…イリーナさん?」
「他のシスターと生活していく中で、さっきみたいに真っ赤になってドキドキしてたら怪しまれるわよ。あなたがちゃんと女性らしく振る舞えるように、今から訓練します」
きびきびと告げられ、ベッドに寝かされたままボクはこっくりうなずく。
「よ…よろしくお願いします…」
なんかよく分からないけど、ボクが女の子としてやっていけるようにしてくれるみたいだ。屈んだイリーナさんの胸の谷間からこぼれたロザリオをうらやましがるなんて、不謹慎なこと考えてちゃいけな……あれ?
な、なんか身体がおかしいぞ?
「…あら、もう顔が真っ赤だわ」
「ぁ……」
頭が熱でもあるみたいにポーッとするんだけど、身体はフラフラするどころか、服や頭巾、背にしたシーツが擦れるのも敏感に感じて…な、なんかお腹の奥がジンジンしてきた。
「い、イリーナさぁん…」
「なあに?リオル」
「なんか…なんか身体が変ですっ!ピリピリしてきてぇっ…!」
たまらず起き上がろうとしたら肩を押さえつけられ、それはかなわなかった。
「…あ、あ……」
イリーナさんが寝転がったボクに身体を寄せてくるが、それどころではない。
フレアちゃんはもうお母さんになるというのに、時々朝に下着を濡らすだけの、その…
ボクのオチンチンが膨らんでしまっているのだ。
ぴったりしたスパッツとスカートで見えないはずなんだけど、腿を擦り合わせるボクに気付いたのかイリーナさんは「あら」と言った。
「そこ…大きくなってるの?」
「……っなんで……ぁ!」
思い当たるモノを少し前に飲まされたことに今さら気付いたボクに、先生みたいな顔をしてイリーナさんはうなずいた。
「他の子も、それを乗り越えて『女の子』になれたんだから、頑張りましょうね」
「…ほ……ほか、の?」
「あら、気付かなかったの?あなたの他にも、シスター・アリスはアレン、シスター・エミルはエーミール。どっちもれっきとした男の子だったけど、今ではすっかり貞淑なシスターよ」
ボクと同じようなのが他にも居たのか…だからボクみたいのが受け入れられたり、巡礼とは思えないほどの待遇だったのかと納得するが、身体はそれどころではない。
スカートの下に手を突っ込んでたしかめると…マズい、なんかジュワッてした。
またも泣きそうな顔をしてしまったボクの頭巾に、イリーナさんが手をかけた。
「汚してしまう前に、脱いでしまいましょう、ね?」
「嫌です」なんて言えるわけもなく…というか、頭がぼうっとして身体がムズムズジンジンして、話すどころじゃないボクの頭巾や服を、イリーナさんが剥いでゆく。畑仕事で日焼けした肌が、どんどんあらわになっていった。
横たわったままスパッツ一枚にされたボクの服を丁寧に畳むと、イリーナさんはさっきまで自分が座っていた椅子に置く。
次にあれらに袖を通す頃には…ボクは女の子になってるのだろうか?
そんなことを思ってる間にイリーナさんはベッドに戻り、屈み込んでボクの顔をじっと見つめてきた。青い瞳の中に、頬を染め見上げる…男の子の顔。
「可愛いわよ、リオル」
ボクの短い巻き毛に指を絡ませ、「もっと可愛くしてあげる」とほっぺたにキスされた。窮屈なスパッツの中で、ボクのオチンチンが悲鳴をあげる。
もじもじするボクにイリーナさんはニッコリ笑いかけて、そして、
「うひゃっ!?」
胸の先をつまみあげられ、驚きとくすぐったさに変な声が出てしまったボクにお構いなしに、長い指でボクの胸やお腹を這いまわる。
「ひゃう…ひゃ、く、くすぐったいっ!」
「あら、そうなの?…困ったわね」
きれいな眉を寄せてしまうイリーナさん。な、なんかマズかったのかな?
「女の子は、ここをこうされると気持ち良くなるのよ」
「そ、そうなんですか?」
初耳だが、こんなにおっきなおっぱいを持つ彼女がいうのだから、きっとそうなんだろう。
「くすぐったがってごめんなさい。ボク…」
せっかくイリーナさんがボクのためにしてくれているというのに、薬のせいとはいえオチンチンを濡らしちゃったり、気持ち良くならないなんて、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
ポーッとした頭のまま落ち込んでしまったボクに、イリーナさんは首を横に振って優しく髪を撫でてくれた。
「大丈夫よ…じゃあ、ここから女の子になっていきましょうね?」
こっくりうなずくボクの手を、イリーナさんの大きく柔らかい手がシーツから離す。そのままそうっと引き上げてくれて…
「はい」
さっきからずっと気になってた、自分のおっきなおっぱいに当てた。
「は…はい?」
ほゆんというか、たゆんというか…とにかくうまく言葉にできないけど、柔らかい感触がボクの手のひらから伝わってくる。正直、嬉しい。でも…でも、女の子が女の人の胸を触って喜ぶわけにはいかない。
「私がやるように指を動かして。一緒に気持ち良くなりましょう」
「はい!?」
あの、つまり、その…さっきされたみたいに、このおっきくって柔らかいのを触れってことなのだろうか?
ドキドキしてしまうボクに、先生の顔をしてイリーナさんは尋ねる。
「お返事は?」
「は、はいっ!」
どうしよう…イリーナさんの豊かな乳房を両手で掴んでいるという現実に、まだ頭がついていかない。当たってるのは服越しなんだけど、ボクの目には屈み込んだイリーナさんの、むき出しの上半球が当てられた手にまあるく持ち上げられてるのが、息遣いに合わせてふるんと揺れるのがばっちり入ってくる。
…でも、ちゃんと言われた通りしなくっちゃ。女の子になるためには胸で気持ち良くならないといけなくて、そのためにはイリーナさんのおっぱいを…って、あれ?
「あん…そういうふうに、ちょっと痛いのが好きなの?」
「ぁ…ごごごごめんなさいっ!」
緊張で力が入ってしまったようだ。慌てて手を離すと、むぎゅるんと指に食い込んだのが元に戻る。広く開いた襟ぐりからは、それがぷるるんと震えるのがよく見えた。
「怖がらなくていいのよ、リオル。ほら…やってみて?」
怖がってるわけではないけれど…あ、胸を撫でられた。
自分がされたようにしてみるが、何分ボクのは真っ平らなのに対しこちらはポヨンポヨンなので、おっぱいが押し上げる服をクルクルすることになる。
「…ふふ……そんなやり方では、それこそくすぐったいわよ。しっかり掴んで、揉んでみて?」
「もっ……!?」
「あら?女同士なんだから、何も恥ずかしくないじゃない」
女の子でしょと言われては従うしかない。
初めての感触に緊張しながら、さっきみたいに力を入れすぎないよう気をつけて、イリーナさんのおっぱいを揉む。
「あ、あ……えぇ、そうよ…っん…」
小さく声を上げるイリーナさんの吐息がボクの胸にかかり、くすぐったさは変わらないはずなのに変な気持ちになった。
ボクは女の子、女の子…気持ち良い、気持ち良い…
目を閉じて、ボクの胸をいじるイリーナさんの手の動きに集中すると、時折ちょっとゾクッとする場所があることに気付いた。
これが…気持ち良いってことなのかな?
指先で脇をツィーッとなぞって、乳首の周りをクリクリってされると、腰から背中にかけてキュッと痺れたみたいになる。
「…っひゃ……あ…」
思わず裏返った声が出たのが恥ずかしくって、誤魔化すようにボクはイリーナさんの服の上から、ツンと尖ったところを同じようにクリクリした。
「ひゃん……ふふっ…気持ち良くなってきた…?」
「…は、はい……きゃうっ!?」
イリーナさんに顔を寄せられ甘くささやかれ、ドキドキしてたら急に乳首を強くつまみ上げられた。痛い!…と思ったら、さっき飲んだポーッとするのが回ってきたのか、ビリビリと刺激が腰に下りてくる。たまらずお尻をモジモジさせながら、必死にイリーナさんを止めようとした。
「あ、あっ…イリーナ、さんっ!」
「あらあら、手がお留守になってるわよ?…そんなに、気持ち良いのかしら?」
人差し指と親指でクルクルとこね回され、ボクはあれほど気持ち良かったのにイリーナさんのおっぱいから手を放してしまう。下半身を締めつけるスパッツが、なんかジンワリしてきた。
「や、やだぁっ…あ、気持ち良いっ!気持ち良いですぅっ!だ、だから放して…ひゃあっ!」
堪えきれずじたばたするボクの足に乗り上げ、乳首をいじったままイリーナさんはスパッツのウエストに手をかける。下から見上げるお胸も、素晴らしく形良く迫力があった。
「っあ、だめっ…!」
ボクの制止もむなしく、湿ったスパッツが引き下ろされる。ブルンっ!とエッチな汁をこぼしながら、ボクの…その、あんまりおっきくないオチンチンが飛び出した。
「あら、びちょびちょね」
「はうぅ……っ」
恥ずかしさに顔を覆ったが、よく考えてみたらこの両手はイリーナさんのおっぱいを掴んでたんだ。
顔に手をやることに葛藤するボクにお構いなしに、イリーナさんはボクの恥ずかしいところをしげしげと眺める。
「こんなに濡れちゃうなんて…本当に気持ち良かったのね、合格よ」
「はぁ……」
は、恥ずかしかったけど、どうやら良かったみたいだ。ホッと息をつくボクの胸から手を離し、イリーナさんがボクの身体の上から退いた。
そのままボクも起き上がろうとすると、太腿を強い力で押さえつけられる。
「あら、まだ終わってないわよ?可愛いけれど、コレもちゃんと女の子にしなくっちゃ」
「え…え、えええっ!?」
あの、それってあの…
「やだあっ!切らないでえっ!」
パニックになるボクにイリーナさんは首を傾げる。そ、そりゃあイリーナさんにはないモノだから分からないかもだけど、ちょっとぶつけるだけで痛いのだ。いくらその…ち、小さいからといって、女の子になるから「はい、どうぞ」って取れるモノじゃない。
「…何を言ってるの、リオル?」
ボクの懇願にキョトンとしていたイリーナさんが、声をあげて笑った。
「そんなひどいことするわけないじゃない。これから女の子として馴染めるよう、さっきのなんかじゃ何ともないくらいにしないとねって意味よ」
「そ…そうなんだ…」
ひとまず安心はしたけれど、じゃあなんで気持ち良くなるまで胸をいじったんだろう?女の子って難しい。
「さ!誤解も解けたところで、いっぱいココに教えてあげないとね!」
楽しそうな声とともに、イリーナさんのキレイな手がボクのオチンチンをむんずと掴んだ。
「ひゃあっ!?」
「まだ薄いけど、ココもちゃあんと茶色いのね。可愛いわぁ」
指がベタベタになるのも構わず、イリーナさんの手が動く。昼に賛美歌を弾いた指でボクのオチンチンを絡めて、ぎゅうっと締めあげてきた。
「ひゃ…っああっ!?やだやだ…っあ、あっ!」
痛いのと気持ちいいのと身体の奥がムズムズするのと、ボクの頭が処理しきれない。
たまらず目をつぶっていると、先っぽを覆われなんかクチュクチュされた。そして、
「はぁうっ!?」
「ほら、ご覧なさい。ツルンとして、とっても可愛らしいわよ」
触ったこともなかった皮を剥かれ、充血したそこがヒリヒリピリピリする…自分のモノじゃないみたいだ。
目を離せないでいると、イリーナさんが顔を近付けてきた。
「ねえ、リオル?」
「は…はい?」
「私のココは、どうだった?」
言って、ボクのオチンチンを触ってなかった方の手で乳房をグイッと持ち上げる。服越しにもいやらしくたわんでるのが丸分かりで、ボクは自分のそこがピクンとしたのがバレないか心配だった。
「ど、どうって…?」
「気持ち良かったか、もう二度と触りたくないか」
なんてひどい選択肢なんだろう。
「………きもち…よかった、です…」
「そう、嬉しいわ!」
怒られると思ったら、ほっぺたにキスしてくれた。胸の谷間からこぼれたロザリオがむき出しの肩に当たって、ヒヤッとする。
「じゃあ、もっと気持ち良くしてあげるわね」
言って、イリーナさんは半ばほど胸を覆っていた服を片手でグイッと下ろした。当然、中のモノがポロンとこぼれ出る。
「…ぁ……!?」
ぷるるんっと弾んで、おっきなおっぱいが完全にあらわになった。ボクとは違って柔らかな曲線を描く二つの隆起はシミ一つないミルク色で、先端をぷりんとした赤い乳首が飾っている。
思わず凝視してしまってから、慌てて両手で目を覆う。
「ぃ…イリーナさんっ!?」
「あらあら、女の子なのに…それに、あんなにいっぱい揉んでおいて、今さら恥ずかしいのかしら?」
イリーナさんの笑い声が耳元から離れ、そして、
「ひゃうっ!?」
オチンチンを何か温かいモノが包み込んできた。乾いた感触が、露出したばかりの先っぽや、袋の方までする。
おそるおそる目を開いて、ボクは言葉を失った。
「……な、な…っ!?」
イリーナさんのふくよかな胸が、ボクのオチンチンを挟み込んでいる。彼女の両手が両脇から押さえつけているので、動かされる度にムギュムギュッといろんなところが刺激された。
「ぁ…ひゃふっ!?や、やだぁっ…!」
気持ちいいのか苦しいのか…気持ちいいんだろう。ボクのいやらしいオチンチンはエッチな汁でイリーナさんの白い胸を汚していく。
「ふふっ…ほら、リオル。あなたのだけですごいグチュグチュ言ってるわよ?」
「ひぁ、あんっ…やだ、あ…っ!きゃうっ!」
イリーナさんの言葉通り、ボクの悲鳴の合間には大きなおっぱいとボクのオチンチンが擦れる濡れた音が聞こえてきた。
恥ずかしい、すごく恥ずかしいのに…気持ち良くてたまらない。
挟まれたそこが弾けてしまいそうなのを必死に耐えるボクをからかうように、イリーナさんは激しくおっぱいを押しつけ、ボクのオチンチンをグチュグチュにしてきた。
「ひゃ、あ、あぁ……んぁあっ!」
イリーナさんの胸の間から、起きている時は初めての白いネバネバが噴き上がる。止めようとしても止まらないそれは挟まれたおっぱいだけでなく、イリーナさんの服や顔まで飛んでしまった。
「ひぅっ……ご、ごめんなさぃ………っ」
はしたない声をあげた上に汚してしまって、申し訳なさにボクは縮こまるのだが、飴玉のせいなのかオチンチンは再び起き上がってきている。それどころか、それを伝って下に…お尻の方に汁が流れてくる感触に、おかしいほどにゾクゾクッとした。
「ん…ひぅっ……!」
「あら、やっと効いてきたみたいね」
肩をすくめるボクの目の前で、顎に付いたボクのネバネバを指で掬ってチュルンと舐めながらイリーナさんは涼しい顔をしている。
「き…きいてきた…?」
「ええ、さっきあなたに飲んでもらったお薬には、二種類の媚薬が入ってたのよ」
「びやく…?」
耳慣れない言葉に首をひねるが、たぶんこんな風にポーッとしてエッチな気分になるのだろう……って、
「に、二種類!?」
ということは、今までと同じようなのがさらに出てきちゃうの!?
「そんな…ボク、もうダメぇ……」
「何言ってるの、リオル。まだ一つ残ってるわよ…女の子にならないといけないトコロが」
言ってイリーナさんは、ボクのオチンチンを先から指でなぞる。
「んあ……や…」
ツツーッと根元へ、袋へ、さらに後ろへと指は進み、
「即効性のと…遅効性で」
ちゅぷん。
「ひゃあんっ!?」
「ココが気持ちよくなっちゃうお薬」
ボクのお尻の穴に、イリーナさんの長い指が入ってしまった。
「い…イリ…ナ、さんっ…汚いっ!汚いよぉっ!」
慌てるボクに笑いかけながら、イリーナさんはさらにもう一本指を入れてきた…なんで入っちゃうの!?
「心配しなくて大丈夫よ、特殊なお薬だから…『そういう趣味のない方も安心してアナルファックライフ!』がコレのコンセプトだもの」
言葉の意味は分かんないけど、そういう問題じゃないのは分かった!お尻の穴が開きっぱなしで、中を動き回る指の感触に、なんかムズムズくらくらしてきた。これもその、ちこーせいとかいうお薬のせい?
「ひゃだ…抜いて、抜いてぇえっ!」
「だぁめ。まだ入れたばっかりよ」
甘い声でボクの訴えを一蹴し、ボクのお尻の中でイリーナさんの指がグリュンッと曲がった。
「きゃあうっ!?」
爪先から頭のてっぺんまで電流でも流されたような衝撃。
「ココを…女の子のアソコみたいにしてあげないとね」
艶やかにほほ笑みながら、イリーナさんの指がそこを強く擦る。ボクはそれこそ女の子みたいな高い悲鳴をあげ続けた。そして…
「ひゃっ、ぃやあっ!あっ…も、もっとぉっ!」
「あらあら、すっかり感じちゃってるみたいね?」
「はぁう、ん……っ」
お尻をいじられるのがこんなに切なくって気持ち良くなっちゃうなんて…今までの胸への刺激も、オチンチンに直接触られるのも、この目のくらむような感覚にはかなわない。
「はぁっ……ぁ…?」
頭が真っ白になるような刺激が不意にやみ、お尻の中を擦りあげてた指が手前まで出ていってしまう。
そのまま浅いところで出し入れされ、たまらずボクは声をあげた。
「やだぁっ…にゅ、ニュルニュルしないでぇえっ!」
「あらぁ?じゃあ、どうして欲しいのかしら?」
小首を傾げて意地悪してくる。
もう一度、さっきのところを思いっきり擦りあげて欲しい。何がなんだか分からなくなるくらい頭の中をトロトロにして欲しい…もう、我慢なんてできない!
「お、お尻にいっぱいゴリゴリしてっ!オチンチン、イかせてぇっ!!」
口やオチンチンから涎を垂らしながらボクは泣き叫んだ。みっともないけど、今のところじゃなくて、もっともっと強く抉って欲しい。お尻を気持ち良いのでいっぱいにして欲しい。
「お尻に欲しいだなんて、すっかりいやらしい女の子になっちゃったわね…いいわよ」
クスリと笑って、イリーナさんはボクのお尻から指を抜いた。ニュプンっとはしたない音がして、消えてしまいたいくらいなんだけど…ダメだ、こんなエッチな音にすらドキドキしちゃって、オチンチンがビクンビクンする。
今度はどんな恥ずかしい…気持ち良いことをされるのか、熱に浮かされたような頭の中にあるのはそれだけだった。
「それじゃあ、女の子の仕上げに入りましょうね…私もあなたも気持ち良く、ね」
さっきまでボクのお尻をズポズポしていたとは思えないくらいチャーミングに、それでいて色っぽくウィンクし、イリーナさんは半脱ぎだった修道服をストンと床に落とした。
慌ててそっぽを向いたボクの目の前に、脱いだのか黒いヒモみたいな下着を見せてくる。こんなエッチな服を着て、神様はお怒りにならないのかな?それとも神様もイリーナさんにメロメロ?
あれだけ素敵なおっぱいだから、お尻もお股もとっても素敵なんだろう…そう思ってこっそり(がっついてるみたいで、恥ずかしいじゃないか)視線を下ろしたボクは息を呑んだ。
「……っ!?」
「あら、驚いた?」
イリーナさんのむっちりとしたおみ足の間には、その……お母さんやフレアちゃんに付いてたのじゃなくって、ボクと同じだけどそれよりずっとずっと立派なモノが、黄金の茂みの中からニョッキリと生えていた。
「大丈夫よ、これであなたのお仲間もすっかり女の子に、身も心も貞淑なシスターになれたんだから」
慈母の笑みを浮かべる、凶暴な男性器を持った修道女。
それはとても異様な光景なはずなのに、イリーナさんの美しさのまえには「おっぱいもナニもあって当然ですから!」ってな気にされてしまう。
「はぁん……あぁ…」
もうお尻にとどめをさしてくれるのなら、ソレが何でも…イリーナさんのモノでも、いや、イリーナさんのモノだからこそ欲しくなってしまっている。
…お母さん、お父さん、フレアちゃん、皆ごめんなさい。ボクはエッチな女の子になります。
涎を垂らしてだらしなくイリーナさんの股間を見上げるボクに、イリーナさんはその豊かな胸と立派なおチンポを揺らして妖艶に笑う。
「ふふっ…大丈夫、夜はまだまだ長いわよ……?」
その一晩でボクは、身も心も女の子にされてしまいました。
(おしまい)
最終更新:2013年04月27日 15:24