声変わりすらしていない少年のかん高い声が響く。
「止めてよ、リツコさん!
リツコさーん!!」
妖艶に笑うリツコ。
「恨むならお父さんを恨むのね、シンジ君」
薬を飲まされ手に力が入らないシンジ。
そして目の前の大きな鏡に映る自分の姿。
紺色のソックスにスカート、そう、中学校の女子の制服を身につけた自分。
「そうそう、これを忘れるところだったわね」
からかうように笑うリツコ。
その手には真っ赤なリボンがあった。
「さぁ、これを付けたらみんなに見てもらいましょう」
羞恥で手を震わせ、顔が耳の先まで赤く染まるシンジ。
鏡に映る自分を直視できず視線は宙を漂っていた。
最終更新:2013年04月27日 21:24