深夜に差し掛かる時間帯に、銭湯を利用していたとある男。
ちょうど新しい客が入ってきた。番台の声が気になりふとそちらを見ると……何故か、男湯に女の子が入ってきたではないか。
あまりにも斜め上な展開に男の脳内は混乱の極みを迎える。……気付けば、その子の方に足が向いてしまっていた。
『まずいだろう、これは』という理性と『どうせ向こうは好きで来てるんだろ』という本能のせめぎ合いの中で、男は物陰に隠れて彼女を観察していた。
一枚、一枚、と着ている物が無くなる度に、男は恐ろしいほどの興奮を味わう。そして……彼女が下着姿になったあたりで、ある違和感が生まれた。

……その違和感こそが『彼女』がここにいる答えだと知ったのは、それに気付いてから数秒後だった。

「っな……!?」
驚きの声を上げてしまい、しまったと口を閉じるが、『彼女』はすでにこちらを向いてしまった。
「……あ……あぁ…………」
「……いや、覗くつもりはなかった……そうじゃなくて、ごめん。えっと……」
違和感であり答えに気付いた後でも、どうにも気まずさが拭えない。……『彼女』の顔が驚愕と絶望の色を映していたから。
「……人、いないって言ってたのに……」
低くはあるが、まだ女性としても聞き取れるような声。
「あ、あー……あの爺さん、ボケが入ってるんだよな。俺もたまにしかこんな時間に使わないし」
『彼女』から視線を逸らして頭を掻きながら、男は『彼女』の疑問に答えた。……ようやく頭は理解してくれたが、まだ心が理解を拒んでいる。
『彼女』の胸には布製の詰め物が入っていて、さらに言えば明らかに女性のそれではない。そして……
「……というか、君、男の子だったんだね……」
ショーツの股間部には、性別を二分する象徴……男性器のふくらみがあった。


この後は湯船の中でおいしく頂くもよし、お持ち帰りしていただくもよし。

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最終更新:2013年04月27日 21:27