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201-300

201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:06:02.48 ID:KgUBnGFH0

「…だから…リテイクです」

そして彼女は俺の目の前で静かにその瞼を降ろす。


なんかダメっすよマジこれ。
こんな事言われたら、頭がフットーしそうだよぉっ!!


「…いや、でもだって、お家の前ですよ?」

フットーしつつもチキンな俺。
どうにかしてくれこの性格。

203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:10:07.24 ID:KgUBnGFH0

「…むー。はやくー」

たたらを踏む俺にわざと唇を突き出すような格好の彼女。
よく見れば、その足元は背伸びしていた。

ちくしょう、可愛すぎだろ、常識的に考えて。


「…仰せのままに」

俺は彼女の肩に手を載せると、伸びていたつま先をそっと地面に下ろし、軽くしゃがみ込む。
間近で見る彼女の肌は、絹のように滑らかだった。

205 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:13:48.75 ID:KgUBnGFH0

そして、何時間かぶりの口付け。

彼女の唇がモゴモゴと動くのがくすぐったくて、可愛かった。


「えへへー…二回目ですっ」

ピースサインまで決めて、赤くなった顔で満足そうに笑う彼女。
この笑顔を重要文化に指定しないか、安部さん。


208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:17:54.04 ID:KgUBnGFH0

「じゃ、じゃあ俺帰るわ! またな!」

その笑顔にあてられた俺は逃げるように振り向く。


だがその時、背中から引力が働く。

「…はい?」

後ろを振り向けば、彼女が俺の服の裾をちょんと摘んでいた。


「…なんスか? この手」

211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:24:09.27 ID:KgUBnGFH0

「…ここであたしからセンパイに朗報があるんですが、聞きます?」

「はぁ、是非」


朗報?
俺の知らない間に朝鮮が爆発したのだろうか。



「…いいんですか? 聞いちゃうんですか?」

「まぁ、聞いちゃいます。っていうか聞かないと離してくれなそうなんですが」


俺の服の裾はしっかりと握られていて。


212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:26:07.79 ID:KgUBnGFH0

「…ほんっとーにいいんですね? 言っちゃいますよ?」

「はい、言っちゃって下さい」


握られた裾は、気持ち震えていた。






「……今日、お家、誰も居ないんです」



…爆弾は二つ仕掛けられていたんだ、スネーク。


215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:30:11.04 ID:KgUBnGFH0

「………」

「………」


無言で俺を見上げる彼女。
無言で彼女を見下ろす俺。

彼女の顔は先ほどよりも真っ赤だった。


そのうち彼女が目を逸らし。
そののち俺も目を逸らす。

でもやっぱり気になって彼女の方を伺うと、彼女は俯いていて。
その内ぷるぷると頭を振り出して。
気が済んだのか俺の方をキッと見上げ。


「って、なんか言ってくださいってばっ!」

そんでキレた。

217 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:32:44.32 ID:KgUBnGFH0

「いや…あの…えっと…あばっばばばばばばば」

「セ、センパイっ!?」

「ワレワレはチキュウジンだ」

「…知ってますけど」

「ワンモアセッ! ワンモアセッ!!」

「……あの、そろそろ本気で怒っていいですか?」


サーセン。

223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:38:37.77 ID:KgUBnGFH0

「…それぐらい今のは、破壊力高かったんだ」

普段から結構ICBMなコイツだが、今のは核爆発クラスだった。


「…あたしも勇気出して言ったんですから、それぐらいの破壊力なきゃ割に合わないです」

にへらっとイタズラっぽく笑う。


「…それは、お邪魔してもよろしいという意味でしょうか、オーバー?」

「それ以外に何かあるんですか、オーバー?」


至近距離でトランシーバーごっこ。
それぐらい俺たちのテンションはおかしくなっていた。

226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:44:35.78 ID:KgUBnGFH0

「…そうだとは思うけど。…いや…でもな…その…」

なんでここに来てビビり入ってんだ俺。
誰か俺を作り変えてくれ。



「……だって、センパイ、嬉しかったって言ってくれたでしょ?」

彼女が俺を見上げる。
その赤く染まった頬は街路灯に照らされて輝いて見えた。


「…あたしも…嬉しかった、し」

彼女のつま先が落ち着きなく地面を軽く二回蹴る。


「…だから…キスの続きもしたら…もっと嬉しくなる…かなって…。
 …なってくれる、かなって…。…その……常識的に、考え…て」

その潤んだ瞳は。
その途切れ途切れの声は。
俺をチキンから、男にした。


228 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:46:44.47 ID:KgUBnGFH0

そうだ。
彼女から言い出してくれたんだぞ?

キスのお膳立てだってそうだ。
俺がチキンだから。
自分からは何も出来やしないから。

それなのに彼女にここまで言わせて、それでビビってどーすんだよ。

あぁ、俺は童貞だよ。
しかもどうしようもないチキンだ。

でもな、俺だって、コイツの事が、好きなんだ。


232 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:50:36.83 ID:KgUBnGFH0



「…分かった。お邪魔しようではないか」


そう意気込んで彼女の家に侵入したのはもうかれこれ30分前。
人の家というのは何故こんなにも無駄に緊張するのだろう。
それが彼女の家とすれば尚更だ。

案内された彼女の非常に女のコな部屋に、俺の男は既にED気味だった。


238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 21:56:23.12 ID:KgUBnGFH0

「センパイ?」

「ひゃ、ひゃいっ!?」

声裏返りすぎだろう、俺。
ちょっとは落ち着けよ、な?
ほら、クッションも柔らかいし、この暖色のカーペットだって落ち着けるじゃないか。

そうだ素数を数えようぜ。
1.2.3.5.6.7.8.10.11


「…えへへっ、センパイー、さっきから緊張しすぎですよ?」

見慣れた彼女の笑顔はちょっとだけ俺の心を落ち着かせてくれた。

「……すまん。女のコの部屋に入ったのとか初めてなんだよ」


「そんなコト言ったら、あたしだって男の人を部屋に入れたのなんて初めてですよ?」

241 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 22:01:58.57 ID:KgUBnGFH0

そうだよな。うん。
彼女だって緊張してるんだ。
今のテンパった俺には分からないが、彼女だって緊張してるハズだ。

そうだ、もっとどっしりと構えよう。
よし、何があっても動じないぞ。



「じゃ…センパイ、何、します?」

「ベントラーベントラー」

「…あの、家でUFOを呼ぶのはちょっとヤかもです」

249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 22:06:34.70 ID:KgUBnGFH0



そんなくだらないやりとりをしている内、段々と俺の心も落ち着いていった。
それもこれも全て彼女のおかげだったのだが。

彼女の方が年下なハズなのに、完璧に甘えてしまっているな。
反省しなければいけない。

もっと頼れる男っぷりを見せなきゃいけない。
そう、今夜、頼れる男っぷりを。

…ビビんなよ、俺。マジで。





………だけれど、その決意は。
予想とは全く違った方向に転がっていく。

256 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 22:13:35.76 ID:KgUBnGFH0

「………」

「………」

マズイ。話す事が無くなってしまった。
どうしたらいい。どうするべきなんだ。
正直、さっきからベッドが気になって仕方ない。
彼女も気のせいじゃなければ、何度か視線を送っていたみたいだし。

…分かってる。やるべき事は分かっているのに、そこまでの過程が分からないんだ。
くそっ、こんな事になるなら古き良きホットドッグとか読んどくべきだった。
がんばれ、おれ。


257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 22:14:11.65 ID:KgUBnGFH0

「…センパイ?」

コイツは敏感だから。
そうやってすぐに気を回してくれる。
でも、それじゃダメなんだ。
俺から何かを始めないといけない。



「あー…んっと…、だな」

「…はい、なんですか?」

彼女の雰囲気もいつも違っていて。
穏やかなだけじゃなく、凛とした強さみたいなものが見えた。


264 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 22:19:46.00 ID:KgUBnGFH0

「えっち、したいです」


だが、がんばった挙句に出た言葉は、そんなんで。
やっと回って来た俺のターン!
だったが、間抜けを攻撃表示で出しただけだった。




「…あははっ、センパイ、ストレートすぎですっ」

だが凍りついてもおかしくない流れを、笑い飛ばしてくれたのもまた彼女だった。
…俺はずっとコイツに頭が上がらないだろうな。


「…えへへ、あたしもしたいです。」

そう笑ってくれる彼女は本当に可愛くて。
俺にはマジでもったいねぇよ。


268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 22:24:54.19 ID:KgUBnGFH0

「…サーセン。なんかこう、空気とか作れなくて」

「いいんですってば、そんなの。そういうフツーなのが、センパイとあたしってコトでしょ?」


このコは国際フォロー検定があったら間違いなく1級取得者だろう。


「じゃあ…えっと…センパイ。あたし、お風呂、入ってきてもいいですか?」

お風呂。そうだよな、常識的に考えてまずそれだ。
っていうか俺はそんな事にも気が回らなかったのか。


280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 22:29:30.93 ID:KgUBnGFH0

「ういっす、どーぞごゆっくり」

「センパイも入りますか?」

…お風呂。どうなんだろう。
やっぱり、こういうのは入るべきなんだろうな。
童貞だし。


「あ、うん。後で入らせてもらえると嬉しい」

「…えへへー、なんなら一緒に入りますか?」

284 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/11(水) 22:32:36.03 ID:KgUBnGFH0

…このコは、たまに、素で、クリティカルヒットを出すから困る。
その笑顔は今までにないくらい、とろけていた。

「…ととととととかちつくちて」



「あははっ、また壊れちゃいましたね。ごめんね、センパイっ」

そう言うと彼女は扉に手をかけて振り返る。




「あ、でもー…、のぞいちゃダメですよ?」


軽く飛ばされたウィンクは、俺の意識を月までぶっ飛ばした。

最終更新:2007年12月09日 22:44
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