1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:04:44.14 ID:pNK+jCBE0
律「さてと」
カチッカチッシュボ
律「すうぅ・・・ふぅ」
律「じゃあな、澪。また来るから」
律「会社に行く前に得意先寄っていかないと・・・ん?」
唯「あ!りっちゃん!やっぱり来てたんだー!」
律「おぉ唯!久しぶり!」
唯「何々?りっちゃんタバコなんて吸っちゃって。似合わなーい」
律「うるさーい!専業主婦と違ってこっちは色々ストレスが溜まるんだぞ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:09:29.83 ID:pNK+jCBE0
唯「やっぱり違うね〜楽器の営業マンは」
律「まぁね。でもまさか唯が主婦なんてなあ。ちゃんと家事とかできてんの?」
唯「もう!いくら私だって高校生のときとは違うんだよ!最近卵焼きを作れるようになったんだからね!」
律「他には?」
唯「へ!?うーんと、目玉焼きとかゆで卵とか・・・」
律「ダメだこりゃ・・・」
唯「ま、まぁまぁそんなことより!ムギちゃんは?」
律「ムギは来れるかわからないって。仕事忙しいみたい」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:13:36.41 ID:pNK+jCBE0
唯「そっかぁ、せっかくだからみんなで揃いたかったね」
律「うん・・・」
唯「ぁ・・・ほらほら!りっちゃん今から仕事じゃないの?急がないと!」
律「そうだった。じゃあ、また今度な」
唯「うん、またね」
唯「さて、お花の水を替えて・・・っと」
唯(澪ちゃん、私達は相変わらず元気です。これからも見守っててね)
唯「よし!さぁ家に帰って一ヶ月ぶりに掃除するぞ〜」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:17:03.62 ID:pNK+jCBE0
会社
律「はい、その件でしたら後日直接伺いたいと思ってまして。ええ、ええ、わかりました。ではそのように調整します」
律「はい、失礼いたします」
律「ふぅ・・・なんでこう次から次へと仕事が」
後輩「先輩・・・」
律「うん?どしたー?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:20:50.32 ID:pNK+jCBE0
後輩「すみません・・・これ・・・」
律「あちゃー・・・これはこうしろって言ったじゃん」
後輩「すみません・・・」
律「私に謝っても仕方ないでしょ。先方に直接謝らないと」
後輩「は、はい」
律「・・・」
律「仕方ないか・・・ほら、私も一緒に行ってあげるから。すぐに準備準備!」
後輩「あ、ありがとうございます!」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:25:11.02 ID:pNK+jCBE0
律「はぁ疲れた・・・うわもう7時!?まだ山ほど仕事が残ってるのに・・・」
律「お?メールが着てる」
紬『りっちゃん、お久しぶりです。お元気ですか?』
律「おおう!ムギか!」
紬『今日は澪ちゃんの命日だから無理言って半休をもらったの。さっきお墓参りに行ってきました』
紬『それで、せっかくだから、今晩唯ちゃんと三人で飲みに行きませんか?返信待ってます』
律「行きたい・・・行きたいけど仕事が・・・!うああああ・・・」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:30:17.83 ID:pNK+jCBE0
後輩「先輩、どうかしたんですか?」
律「うぅ・・・今昔のバンド仲間から飲みに行こうって誘われたんだけど・・・お断りメールを送ろうと・・・」
後輩「なんでです?せっかくだから行けばいいじゃないですか!昔の仲間に会う機会なんて、そうそうないですよ」
律「そうしたいのは山々だけど仕事がねぇ・・・この通り今日も終電コースですよ・・・」
後輩「・・・」
後輩「先輩、その仕事僕に預けてくれませんか?」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:33:09.98 ID:pNK+jCBE0
律「へ?」
後輩「その仕事、僕にやらせてください」
律「いやいや、あんたの処理能力だったら終電どころか徹夜コースだよ」
後輩「わかってます」
後輩「先輩にはいつも助けてもらってるから・・・先輩が困ってる時くらい力になりたいんですよ!」
律「うーむ・・・」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:37:23.76 ID:pNK+jCBE0
律「じゃあお願いしちゃおっかな!」
後輩「任せてください!先輩は大船に乗ったつもりで飲みに行ってくださいよ!」
律「あんたの場合、泥舟になりかねないんだけど」
後輩「そりゃないっすよ先ぱ〜い」
律「嘘嘘wじゃあこれとこれ、頼むよ」
後輩「はい!よ〜し!やるぞ〜!」
律(ありがとね、後輩君)
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:40:17.91 ID:pNK+jCBE0
律「メールメールっと」
律『OKだよ〜ん。場所は**だよね?すぐに行きます!』
律「おっしゃあ!今日は浴びるほど飲むぞ〜!」
律「じゃあ後輩君!後はまかせた!」
後輩「どんとこいです!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:45:54.21 ID:pNK+jCBE0
唯「あ〜りっちゃんこっちこっち!」
律「おお!ごっめ〜ん!遅れた!」
紬「いいのいいの。私こそ急に誘ってごめんなさい」
律「大丈夫大丈夫。仕事もなんとかなったからさ。それより早く入ろうよ!もうお腹ぺこぺこ」
紬「そうね、行きましょうか」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:54:23.85 ID:jVM/ysoFO
律「乾杯...って日でもないわな」
唯「ま、まぁまぁ暗くならずに。せっかくだから楽しく飲もうよ!乾ぱ〜い」
律「おーい!それは私の役目だろー!」
唯「え〜、りっちゃん乾杯って日じゃないって言ってたじゃ〜ん」
律「それは言葉のあやだよ!空気よめよな〜」
紬「今のは唯ちゃんが悪いわね」
唯「乾杯って言っただけでこの仕打ち...ひどい...」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:56:14.48 ID:jVM/ysoFO
紬「今日でちょうど10年ね」
律「だな。時がたつのは早いもんだよ」
唯「りっちゃん親父くさ〜い」
律「なんだと!いつまでも子供っぽい唯には言われたくねぇ!」
唯「うんうん、その元気があってこそのりっちゃんだね!」
紬「フフ、二人を見てると高校時代を思い出すわ」
紬「澪ちゃんのことも」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:57:07.91 ID:jVM/ysoFO
紬「澪ちゃん...」
律「忘れられねえよ...」
唯「うん...」
律「うぅ...グス...」
唯「また、すぐ泣くんだから。はい、お鼻」
律「あんがと...」ズビー!
律「特にあの日のことはな...」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:58:01.33 ID:jVM/ysoFO
10年前
律「ここ変えるか?」
澪「うーん、どうだろ」
ジャガジャガ
唯「あいた!」
律「どしたー?」
唯「指の皮剥けちゃった」
律「うわ、痛々しー」
唯「血が〜澪ちゃんも見て〜」
澪「」フラ
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:59:53.77 ID:jVM/ysoFO
律「おいおい、そこまでかよ。大丈夫か?」
澪「あ、うん...なんか...」フラ
唯「あー!澪ちゃん鼻血鼻血!」
澪「へ?」ポタポタ
澪「」ドサッ
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:06:06.48 ID:jVM/ysoFO
律「え?」
唯「なに?」
澪「」ドクドク
律「澪!」
唯「澪ちゃん!」
律「せ、先生呼んでくる!唯はなんとかしてて!」
唯「ええええ...な、なんとかって言われても...」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:13:07.95 ID:jVM/ysoFO
唯「澪ちゃん、大丈夫かな?」
律「救急車まで呼んで...えらい騒ぎになったな」
紬「ちょっと心配ですね...鼻血を出して倒れるって...」
唯「鼻血を出して倒れると何かあるの?」
紬「いえ...きっと杞憂です。後でみんなでお見舞いに行こう」
唯「そだね〜。あ!」
律「どうした!?」
唯「指の皮剥けてたの忘れてた...」
律「お前ってやつは...」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:16:54.60 ID:jVM/ysoFO
澪「う...ぅん...」
澪母「澪!目が覚めた?あんた大丈夫なの?」
澪「お母さん?大丈夫って何が?」
澪母「あんた学校で鼻血出して倒れたのよ!」
澪「あ、あぁ。そうだったんだ...」
母「目が覚めたら精密検査をするって。看護師さん呼んでくるわね」
澪「精密...検査...」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:23:08.30 ID:jVM/ysoFO
医師「率直に申しますと...白血病です」
澪、母「え...?」
医師「心配になるのも無理はありません。ですが白血病は不治の病というわけではない。ただ闘病生活は厳しいかもしれませんが...」
澪(私が白血病?嘘だよ。なんで?なんで私が?死ぬの?)
医師「ふぅ...とにかく闘病は大変辛いものになります。特に薬の副作用は女の子にとって耐え難いものでしょう。」
母「そんな...澪が...なんで」
医師「これは試練だと思って受け入れる他ありません。辛いでしょうが頑張りましょう。私も最大限の手助けをするつもりです」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:25:52.36 ID:jVM/ysoFO
唯「白血病ぉ!?」
紬「やっぱり...」
律「嘘だろ...」
唯「って何?」
さわ子「友達には黙っててって言われたけど、あなたたちには言っておいた方がいいと思ったの。お見舞いには行ったの?」
紬「何回も行ったんですけど、その度に寝てるからって澪ちゃんのお母さんに言われて...ずっと会ってないんです」
唯「ねぇねぇ、白血病ってなに?」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:27:58.32 ID:jVM/ysoFO
さわ子「すぐに病状がどうこうなるってわけではないみたいだから...副作用のせいかしら?」
律「副作用?」
さわ子「白血病のお薬は副作用で髪の毛とかが抜けちゃうのよ。だからみんなに見られたくないのかもしれないわね」
律「あいつ...そんなこと気にしやがって」
律「唯、ムギ!今から澪のとこに行くぞ!」
紬「そうね。ちゃんと澪ちゃんとお話したいわ」
唯「ね〜、白血病って何〜?」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:30:00.75 ID:jVM/ysoFO
病院
律「おばさん!澪に会わせて下さい!」
母「今寝てるから...」
律「じゃあここで待ちます!何時間でも!」
母「ほら...澪も初めての入院で気が滅入ってるから...ね?今日は帰って?」
律「むむ...澪ー!聞こえてるかー!」
紬「ちょっと!りっちゃん!」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:35:10.71 ID:jVM/ysoFO
唯「あわわ...病院では静かに」
律「澪ー!お前がなぁ!薬でどうこうなろうがそんなこと私達に関係ないんだよ!」
紬「りっちゃん...」
律「そんなことでなぁ!私とお前の友情が壊れると思ってんのかぁ!ふざけんなぁ!」
看護師「こら、何してるのあなたたち!ここは病院よ!」
律「聞いてんのかー!返事くらいしろー!ばーかばーか!」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:37:04.70 ID:jVM/ysoFO
紬「澪ちゃん!私からもお願い!顔を見せて!」
唯「普通の唯からもお願いぃ!」
病室
律『澪ー!返事くらいしろー!』
澪「もうやめて...帰ってよ...辛いんだよ...」
律『坊主頭がなんだってんだぁ!もし澪のことを笑う奴がいたらなぁ!私がそいつをボコボコにしてやるよ!』
澪「律...」
律『お前のことはなぁ!私が守ってやるよ!ウザいって言ってもやめないからな!澪の困った顔見るのが私の趣味なんだぁ!』
澪「...ぅぅぅ...律、律ぅ...」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:38:51.87 ID:jVM/ysoFO
看護師「いい加減にしなさいあなたたち!」
律「ハアハア...くそ...」
看護師「ここは病院なのよ!高校生にもなって...迷惑って言葉もわからないの!」
唯「うぅ...怒られた...」
医師「まぁまぁ、その辺で」
看護師「先生...でも...」
医師「高校生はこれくらい元気があったほうがいい。それに...澪ちゃんはいい友達を持ったね」
医師「そろそろ出てきたらどうだい?」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:39:42.12 ID:jVM/ysoFO
澪「...」
律「澪...」
紬唯「澪ちゃん!」
澪「みんな...」
律「お、起きてるならさっさと出てこいよな!心配しちゃったじゃん!」
澪「ありがとう律...」
律「なに?」
澪「なんでもない」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:41:18.46 ID:jVM/ysoFO
澪「私...髪が...」スッ
律「...」
紬「...」
唯「澪ちゃん!?そのあたmムゴゴゴゴ」
紬「唯ちゃんは黙ってて!」ヒソヒソ
律「ぁ、ああ。なん〜だ!思ったより普通じゃん!全然気にすることないよ」
澪「長い髪...好きだったのに...!自慢の...私」
律「澪...」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:43:35.74 ID:jVM/ysoFO
澪「なんで私が...!こんな...!うぐっ」
律「...」
澪「つら、ヒグッ辛いよ律ぅ...ぅ...」
ギュッ
律「辛かったな。澪はいっつも一人で抱え込むから...今から私達も一緒だ」
澪「律...律!律ぅ!うあああぁあぁぁぁあ」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:44:30.59 ID:jVM/ysoFO
律「でな〜唯の奴、澪の分までお菓子食べるもんだから2週間で3キロも太ったんだぞ」
澪「はは、相変わらずだな」
唯「ちょ、りっちゃんひど〜い!2.8キロだよ〜!」
律「いや〜変わんないから」
唯「まったく!りっちゃんは乙女心ってものを何ひとつわかってないね!」
律「あの〜私も一応乙女なんですが」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:57:16.37 ID:jVM/ysoFO
澪「そろそろ面会時間終りだ」
律「そっか、長居しちゃったな」
紬「それじゃあ澪ちゃん、また来るわね」
澪「うん。待ってる」
律「あぁそうそう、看護師さんたちに謝っといてな。うちら騒ぎすぎちゃったから」
唯「主にりっちゃんが」
律「そんなことを言うのはこの口か、このやろ!」ギュウ!
唯「あだだだ!ギブ!ギブ!」
澪「フフ、アハハハ!」
律「澪...」
唯「澪ちゃん...」
律「よーし、オラオラここか!ここがいいのか!」
唯「あひぃ〜」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 17:59:42.78 ID:jVM/ysoFO
律「私トイレ寄っていくから」
紬「うん、ロビーで待ってるわね」
紬「っと、やっぱり私もトイレ行っておこう...唯ちゃんは?」
唯「私はいいやぁ」
紬「そう、じゃあここで待っててね」
唯「ほいほい」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:01:15.44 ID:jVM/ysoFO
紬「トイレトイレ」
「グスッ」
紬「?」
「う...なんで澪が...ううぅ...」
紬(りっちゃん...)
律「クソックソッ...澪が何をしたってんだよ...こんなのってひどすぎるよ」
律「澪...澪...う、うわあああああん!」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:02:52.67 ID:jVM/ysoFO
律「おまたへ〜」
紬(りっちゃん...)
唯「遅いよりっちゃん。便秘?」
律「おま、そういうこというな!」ギュウ!
唯「ま、また...!ギブギブ!」
紬(りっちゃん、私達に悟られまいとして...)
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:03:57.93 ID:jVM/ysoFO
学校
律「文化祭まであと一ヶ月です!」
唯「モグモグ」
律「残念ながら澪の復帰は望めません」
唯「ふぁべーふふおふんぼ?モグモグ」
律「待ってやるからとりあえずマドレーヌを飲み込んでから喋ってくれ」
唯「ふぃふぁほふはふぁはびゃ!モグモグ」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:09:28.62 ID:jVM/ysoFO
律「落ち着け」
唯「うん...それでベースどうするの?一ヶ月しかないって...初心者を入れてもどうにもならないよ...」
律「それなんだけど...さわちゃんにベースをやってもらおうと思う」
紬「さわ子先生に?」
律「うん、先生なら一ヶ月も練習すれば澪並にはなると思うんだ」
唯「そだね!それが一番確実かも!」
律「よし!そうと決まれば交渉開始だ!」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:10:16.31 ID:jVM/ysoFO
律「山中さわ子、生徒だけでなく先生たちからも人気がある」
さわ子「あのう!」
律「その人気はファンクラブができるほどである」
さわ子「ちょっと!」
唯「せんせ〜」
紬「先生、私達のライブにベースとして出ていただけませんか?」
さわ子「え、えええ!?」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:11:15.42 ID:jVM/ysoFO
さわ子「顧問自らステージに立つって...前代未聞すぎるわ!」
紬「私達、先生しか頼る人がいないんです...」
さわ子「そう言われても...。そもそも私ギタ」
律「澪並のベースを弾けるのは先生しかいないんです!」
さわ子「だからギt」
唯「先生のベース大好きです!お願いです!」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:12:36.75 ID:jVM/ysoFO
さわ子「あーもうわかったわよ!」
唯「先生!それじゃあ!」
さわ子「出ます。出るけど条件があるわ」
律「条件?」
さわ子「条件は澪ちゃんに見せても恥ずかしくない演奏をすること。いいわね?」
律「先生...!はい!」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:13:37.63 ID:jVM/ysoFO
さわ子「そうと決まればさっそく練習よ!ついてらっしゃい!」
唯「ラジャー!」
律「ノリノリだぁ」
紬「良かったね、りっちゃん」
律「うん、私達が頑張ってる姿を見ればきっと澪の病気だって治る。絶対に」
紬「りっちゃん...」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:15:51.67 ID:jVM/ysoFO
ジャガジャガジャーン
律「って感じのオリジナルなんですけど」
さわ子「うーん、色々言いたいことはあるけど...とりあえずボーカルはいないの?」
律紬唯「あ」
さわ子「もしかして、歌詞もまだ?」
律「忘れてた〜...」
さわ子「あんたたち!それで学園祭に出るつもりだったの!」
唯「怒られたぁ...」
さわ子「こんなものじゃ恥ずかしくて澪ちゃんに見せられないわ!やる気あるの!?」
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:16:48.58 ID:jVM/ysoFO
律「というわけで歌詞書いてくれよ」
澪「わ、私が?」
律「うん、澪はライブに出られないだろ?せめてこういう形で参加してもらおうと思ってさ」
澪「でも...私歌詞なんて」
律「いいからいいから!期待してるよん!」
澪「もう...わかったよ。頑張ってみる」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:17:39.29 ID:jVM/ysoFO
唯「澪ちゃーん!歌詞できたって?」
澪「う、うん。まあ」
律「見せて見せて」
澪「え!?もう?」
律「もうって。そのためにみんなで病院にきたんだぞ」
澪「ま、まだ心の準備が」
律「いいから早く見せろー!」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:18:23.84 ID:jVM/ysoFO
君を見てるといつもハート ドキドキ
揺れる想いはマシュマロみたいに ふわふわ
律「お、おおお...痒い...」
澪「ダメ...かな?」
律「ちょっと...イメージと違うかな〜?」
澪「やっぱり...ダメ?」ウル
律「いやいや!頑張ったのはわかるぞ!じゃあ、ちょっとだけ歌詞変えようか。なあ唯?」
唯「すごくいい...」
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:19:44.27 ID:jVM/ysoFO
律「マジで!?」
唯「私はすごく好きだよこの歌詞!」
澪「ホントに!?」
律「む、ムギはどう思う?」
紬「はぁ...」
律「超うっとりしてる!」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:20:41.95 ID:jVM/ysoFO
律「ムギも気にいったの?」
紬「はい...」
律「こういうのアリ?」
紬「うん...」
律「ほ、ホントに?」
紬「イエス...」
律「マジで?」
紬「どんとこいです...」
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:21:29.89 ID:jVM/ysoFO
律「せっかく澪が頑張ってくれたし...これでいくかぁ」
唯「はぁ!良かったね澪ちゃん!」
澪「うん」
律「よーしそうと決まれば練習だ!」
唯「今日もぉ?澪ちゃん聞いてよ〜最近毎日夜の11時まで練習なんだよ〜」
澪「そんなにやってるのか!?」
律「澪に恥ずかしいところは見せられないからな。まっ、そういうわけで今日は帰るわ。じゃねっ」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:22:39.12 ID:jVM/ysoFO
学校
律「せんせ〜歌詞できました!」
さわ子「どれどれ」
さわ子「お...おおぉ...破りたい...!」
さわ子「だ、ダメダメ。せっかく澪ちゃんが頑張ってくれたのに」
さわ子「それでボーカルは?」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:25:03.31 ID:jVM/ysoFO
律「うちらそんなに歌うまくないしな...さわちゃんやって?」
さわ子「それは無理ね」
律「なんでよ!?」
さわ子「澪ちゃんの穴を埋めるためのベースだったら喜んで引き受けるわ。でもボーカルとなると話は別よ。」
律「はぁ...」
さわ子「澪ちゃんがあなたたちのために書いた歌詞、あなたたちが歌わなくて誰が歌うの?」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:26:08.79 ID:jVM/ysoFO
紬「確かにそうですよね...せっかく澪ちゃんが具合悪くても頑張ってくれたのに」
唯「うん」
律「だな。危うく澪の気持ちを無駄にするところだった」
律「よっし!みんな!作戦会議だ!誰がボーカルやるか決めるぞぉ!」
唯「おー!」
さわ子(頑張りなさい、みんな)
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:27:24.62 ID:jVM/ysoFO
病院
医師「あまり芳しくないね。微熱も続いているし」
澪「先生、明日は文化祭なんです。みんなの晴れ舞台だから...絶対に見に行きたいんです!」
医師「うーん...外は信じられないくらい沢山のウイルスがいるんだよ。まして体育館なんて」
澪「そんな...ちょっとだけでもいいんです...お願いします...」
医師「うーん...よし、わかった。なんとか外出許可が取れるように手配しよう」
澪「先生...!」
医師「ただ具合が悪い時はすぐに言うこと。軽音部の演奏が終わったらすぐに病院に戻ること。いいね?」
澪「はい!」
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:52:34.81 ID:jVM/ysoFO
文化祭当日、病院
澪「それじゃあ先生、行ってくるね」
医師「ああ、気を付けてね。楽しんでおいで」
澪「ケホッ...ケホッ...うん」
医師「お母さん、何かあったらすぐに...」ヒソヒソ
母「はい...」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:03:54.47 ID:jVM/ysoFO
院長「医師君!なぜ彼女に外出許可を出したのかね!」
医師「今日は彼女にとって初めての文化祭なんです」
院長「文化祭だと?そんなことで許可したのか!彼女の容態は君が一番よく知っているだろう!もしものことがあったらどう責任を取るんだ!」
医師「約束しましたから」
院長「約束だと?」
医師「彼女と約束したんです。最大限の手助けをすると。今こそ...彼女が文化祭に行くことこそ最大の手助けになると思ったんです」
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:06:50.62 ID:jVM/ysoFO
院長「馬鹿な...非常識すぎる...」
医師「医者がこんなことを言うべきではないですが...彼女達に賭けてみたくなったんです」
医師「きっと処方されたどんな薬よりも部活の仲間の笑顔こそが、彼女にとって一番の良薬になる」
院長「言いたいことはそれだけか?」
医師「ええ、言いたいことが言えてすっきりしました。私も彼女たちのおかげで何か大切なものがわかった気がします」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:07:46.22 ID:jVM/ysoFO
院長「もういい!貴様はクビだ!」
医師「もとより覚悟の上です。ただ」
院長「なんだ?まだ言いたいことがあるのか?」
医師「私には彼女を最後まで見届ける義務がある。その義務を果たしたら...喜んでこの病院を去りましょう」
院長「ふん、勝手にするがいい」
医師「ありがとうございます。では失礼します」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:08:33.26 ID:jVM/ysoFO
学校
律「いよいよだな」
唯「うん!澪ちゃん来てるかな?」
紬「メールでは特別に外出許可をもらったって言ってたわ。きっといるわよ」
さわ子「唯ちゃん、喉は大丈夫?」
唯「バッチリ!大丈夫!オールOK!」
律「よっしゃ!桜高軽音部、いっくぞー!」
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:16:27.12 ID:jVM/ysoFO
体育館、客席
澪「こんなにお客さんが...すごい...」
澪「お母さん、律達大丈夫かな?失敗しないかな」
母「りっちゃんはしっかり者だから大丈夫よ」
澪「だといいけど」
母「親友のあんたが信じてあげないでどうするの」
澪「うん、そうだな。頑張れよ、みんな」
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:19:14.11 ID:jVM/ysoFO
『次は軽音部によるバンド演奏です』
ざわざわ
「あにあれかわいー」
「あれ、先生じゃね?」
「がんばれよー」
律「んんっ!あ、あ、あー」
律「桜高軽音部です。えー今から演奏する曲はみなさんのためにやるわけではありません」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:23:40.99 ID:jVM/ysoFO
ざわ...
「なにどういうこと?」
「意味わかんね」
律「私達のバンドには今闘病中の子がいます。この曲は...その子のためだけに演奏したいと思います」
律(澪、私の声聞こえてるか)
律「それじゃあ、澪!聞いてください。曲はふわふわ時間。1・2・3・4」
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:25:48.99 ID:jVM/ysoFO
澪「律...う、うぅ...」
母「ほら、りっちゃん達、あんたのためだけに演奏するって。ちゃんと聴いてあげな」
澪「うん...」
唯「君を見てるといつもハートドキドキ!」
紬「揺れる想いはマシュマロみたいにふーわふわ」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:28:21.51 ID:jVM/ysoFO
いつもがんばるキミの横顔
ずっと見てても気づかないよね
夢の中なら二人の距離縮められるのにな
澪「あぁカミサマお願い 二人だけのドリームタイムくだーさい...」
母「澪...」
唯「お気に入りのうさちゃんだいてーえ!今夜もおーやすみ!いえー!」
澪唯紬律「ふわふわターアイ ふわふわターアイ ふわふわターアイ」
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:29:58.75 ID:jVM/ysoFO
澪「うっ...ゲホッ!ゲホッ!」
母「澪!?あんたやっぱりずっと無理して...」
澪「うぐっ...」
母「澪!しっかり!澪!」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:31:49.83 ID:jVM/ysoFO
ざわざわ
「すげー」
「うまいねー」
「やるじゃん」
唯「わぁ!」
律「おっしゃあ!」
紬「うん」
さわ子(私グッジョブ!)
唯「みんなーありがとー!」
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:34:31.22 ID:jVM/ysoFO
アンコール!アンコール!
律「す、すげぇ...」
さわ子「りっちゃん、どうするの?続ける?」
律「うん、まだとっておきが残ってるから!唯、紬!」
唯「ほいほい!」
紬「どんとこいです!」
律「それじゃあもう一曲。曲は翼をください。1・2・3・4」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:37:54.61 ID:jVM/ysoFO
和「お疲れさま」
唯「和ちゃん!へへ〜、大成功だよ!」
和「見てたよ。頑張ったね」
唯「えへへ」
唯「あれ?りっちゃんは?」
紬「澪ちゃんを探すって出て行っちゃった」
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:39:37.46 ID:jVM/ysoFO
律(澪、澪どこだ。見てたか?私達の演奏)
律(澪のために頑張ったんだよ。この日のために毎日夜遅くまで練習して)
律(澪、会いたいよ澪)
律「澪?」
律「すみません、澪を知りませんか?」
通りすがり「澪?誰それ」
律「あの、澪って子を探してるんですけど」
DQN「はあ?意味わかんね。あっち行けよ、しっし」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:40:44.90 ID:jVM/ysoFO
律「澪がいない」
唯「ええ!?来れなかったのかな...」
先生「さわ子先生」
さわ子「はい?」
先生「病院から連絡がありまして、秋山澪がたった今意識を失って病院に運ばれたとか...」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:42:46.96 ID:jVM/ysoFO
律「へ?」
紬「嘘...」
唯「澪ちゃんが...?澪ちゃん...うわあああああん!」
律「嘘...ですよね?ああ、ドッキリ?先生も人が悪いんだから。あ、もしかして澪が病気なのもドッキリとか?」
さわ子「りっちゃん落ち着きなさい」
律「なあ!ドッキリって言えよ!澪を返せよコラア!」
パシッ
さわ子「落ち着きなさい!」
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:46:40.60 ID:jVM/ysoFO
さわ子「何も死んだと連絡が来たわけじゃないでしょう...!」
先生「そ、そうだぞ。ただ病院に運ばれただけで」
律「だって...だって...」ウル
ギュウ
紬「りっちゃんも我慢する子だから。女の子なんだから隠れて泣かなくていいんだよ。一緒に泣いてあげるから」
律「う、うわああああああん!」
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:48:31.28 ID:jVM/ysoFO
唯「せんせ〜じゃあ澪ちゃんは私達の演奏聴いてないってこと?」
さわ子「そう...かもしれないわね。仕方ないわよ...」
紬「聴かせてあげたかったな...澪ちゃんに...」
律「...グスッ」
律「さわちゃん!先生!お願いがあります。実は」
さわ子「ええ!?」
先生「そんな馬鹿な話があるか!無理に決まってる!」
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:50:25.40 ID:jVM/ysoFO
律「お願いします!じゃないと澪は...澪は...」
さわ子「うーん...協力してあげたいけど...」
先生「無理だ無理!諦めろ!馬鹿が!」
校長「うおっほん」
先生「こ、校長」
校長「話は聞かせてもらいました。私にできることならばぜひ協力したいのだが」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:54:02.39 ID:jVM/ysoFO
さわ子「校長先生!」
校長「君たちを見ていると何か熱い気持ちが込み上げてきてね。こんなことくらいしかできないが...」
律「いえ、充分です!ムギ、唯!すぐに準備だ!澪のところに行くぞ!」
唯「ほいほい!」
紬「どんとこいです!」
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 19:55:47.21 ID:jVM/ysoFO
病院
ガラガラ
澪「ハアハア」
母「澪...澪...」
院長「なぜここまで放置したんだ!」
医師「澪ちゃん!聞こえるかい!返事をするんだ!」
院長「医師君!絶対に彼女を救いたまえ。彼女と約束したんだろう?」
医師「ええ、絶対に助けてみせます。最善は尽くした、なんて言葉で逃げるつもりはありません」
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 20:05:10.34 ID:jVM/ysoFO
病院
ブロロロ、ガチャ
律「早く早く!急いで準備!ドラムはそこ!アンプはここ!唯!病院の中からコード引っ張ってきて!」
看護師「ちょちょちょ!一体なにしてるんですか!」
さわ子「先生!お願いします!」
先生「あーもう!どうにでもなれ!うおー」
看護師「キャー!キモい!」


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最終更新:2009年07月27日 17:37