568 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/19(水) 16:10:30.63 ID:hOTfj7LY0
【カレーとけいおん】 
澪は駅近くのスーパーに来ていた 
今日は親が家にいないので、自炊しなければならないのだ 
(カレーにでもしよっかな…夏だし) 
『とろけるカレー』をカゴに入れ、レジに向かって歩き出した 
すると、すぐそばの曲がり角から唯がひょっこりと出てきた 
「あ、みおちゃんっ!」 
「どうしたんだ唯、こんなところで…」 
「ばんごはん買いに来たんだっ!」 
嬉しそうに言う唯の後ろには憂の姿が見えた 
「あれっ、憂ちゃんもいっしょなんだ」 
「あ、澪先輩っ。お姉ちゃんがお世話になってます」 
そう言って憂はペコリと頭を下げた 
569 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/19(水) 16:12:58.10 ID:hOTfj7LY0
「いやいや、そんな大げさな・・・」 
「ねぇねぇ、澪ちゃん、よかったら家でごはん食べない?」 
「えっ?」 
「今日カレーにするつもりだからさっ、ねぇ、一緒に食べようよ」 
「なんか恐縮なんだが…憂ちゃんはいいの?」 
「えぇ、歓迎しますよっ!ぜひいらしてください!」 
(相変わらず良い妹さんだ…) 
そう思いながら澪は2人に着いて行った 
「そうだ!どうせだったら軽音部のみんなも呼ぼうよ!」 
結局、夏休みということもあり、唯は他の3人も呼ぼうと言い始め、憂もそれに賛成した 
「隠し味に板チョコいれよっ!」 
「おねーちゃんっ、それホワイトだよっ!」 
「ちょっとマイルドなのいれてみようか」 
そう言って澪はブラックを取った 
571 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/19(水) 16:15:14.95 ID:hOTfj7LY0
いきなり沢山の人間が家に来て、大丈夫なものだろうかと澪は思ったが 
(楽しそうだし、まぁいっか) 
と、気楽に考えてみたのである 
「おーい、みんなぁ」 
スーパーの前で待っていると 
「おいーっす!」 
「憂、元気だったぁ?」 
「バイトがちょうど終わったんで来てみました」 
相変わらずの3人がやっきたので
「じゃ、いこっか」 
と、6人は唯の家に向かって歩き始めた 
572 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/19(水) 16:17:23.25 ID:hOTfj7LY0
ほどなくして家に着くと、唯が玄関のカギを開けた 
「そういえば唯、お父さんとかお母さんは」 
「第20回新婚旅行に出かけてるよっ!」 
「…ラブラブなんだな」 
「うらやましいですわ」 
憂がリビングの電気をつける 
「じゃぁ、みなさんはここでくつろいでいてください。カレー作ってきますね」 
そこで澪が立ち上がる 
「今日はみんなでカレー作らないか?いつもいつも憂ちゃん大変なんだし」 
「そうだよ、うい。今日は私たちに任せてちょ~だいっ!」 
「おねぇちゃん…」 
憂は少し目に涙をためてから 
「ありがとう」 
とつぶやいた 
573 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/19(水) 16:20:55.18 ID:hOTfj7LY0
「た、玉ねぎ目にしみるぅ…」 
「な、夏合宿以来ですなっ、りっちゃん隊員っ!」 
二人は大粒の涙をすでに流していた 
「カレー作りなんて久しぶりですわ」 
「お肉炒めるの楽しいですっ」 
「ご飯も炊かなきゃな」 
澪は炊飯器をセットした 
「みなさんっ、テーブルのほうはもう準備完了しました~っ」 
憂はすでに食器もすべて並べ終わっていた 
「は…早い!」 
「うれしかったんで…テヘ」 
「さすがは…ういだぁ…ひぐっ」 
「泣かないでっ、おねーちゃん」 
「…まだ玉ねぎ目にしみるのか…」 
574 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/19(水) 16:23:12.05 ID:hOTfj7LY0
「できた~っ!」 
唯が鍋ごとテーブルに持ってきた 
「すごいいいニオイが…って、なんか入ってる?」 
律が鍋の中を覗き込む 
「ちょ、チョコそのまんま?」 
鍋の中には黒くて平べったい正方形の塊が浮いていた 
「あれ、溶けてないのか」 
「…澪が入れたのか?」 
「そのままじゃまずかったかな?だめ?」 
澪は苦笑した 
「いいわけないだろ~っ!!」 
澪はカレーをもう一度しっかりと煮込む羽目になったのであった 
(でも、なんか幸せだ…) 
煮込み直したカレーは、とてもとても美味しかったそうである 
Fin 
最終更新:2009年08月20日 02:13