736 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/31(月) 21:45:07.75 ID:x4VPQ9rn0
【選挙の夜】
登校中、選挙カーからの声が聞こえた。
そういえば8月30日は総選挙だっけ。
まぁいいや、私は選挙権も持ってないし関係無いか。
そんな回想にふけっていた矢先、澪が息を弾ませて音楽室に入ってきた。
737 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/31(月) 21:45:48.67 ID:x4VPQ9rn0
「律!ニュース見たか?出口調査の結果が凄いぞ!」
「何が凄いって?」
「民主党が320議席獲得の見込みらしい。これは歴史的な転換期になるかもな!」
「だから、それの何が凄いんだって」
私は澪がこれまでにないぐらいに活き活きとしているころに驚いた。
しかし、やはり政治のことには興味がない。ここは軽くあしらっておこうと思った。
「とにかく、これは凄いことなんだ!あっムギ、聞いてくれ!」
「あら、どうしたの澪ちゃん」
ムギが音楽室に入ってくると、澪はムギに矛先を変えた。
それにしても、歴史的、歴史的って…
歴史なんてこの一分一秒今この時間が歴史になってるだろ。
そんなにわーわー騒ぐことでもなかろうて…
私はソファでクッキーをかじりながら眠りに落ちた。
738 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/31(月) 21:46:28.83 ID:x4VPQ9rn0
再び私が目を開くと、4人がワンセグを見ていた。
すっかり辺りは暗くなっている。
「あっ!また民主に入った!」
唯の興奮気味な声が聞こえた。
「どの地区も民主民主、これは確かに歴史的ですわ」
ムギが食い入るようにワンセグの画面を見つめている。
「やっぱり、出口調査は正しかったんだ」
澪は相変わらずだな…
そして、ふと思った。
あれ、なんで私まだ学校にいるんだ?
739 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/31(月) 21:48:06.24 ID:x4VPQ9rn0
「なぁ、もう暗いから家に帰らないと…」
「何言ってんだ律?今日は学校にお泊まりだぞ」
「え、そうだっけ?」
私は混乱してきた記憶を今一度頭の中で整理した。
確かにみんな寝袋を用意している。
そして私も…持ってきていた。
そうか、今日はお泊りだったのか。
741 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/31(月) 21:48:46.75 ID:x4VPQ9rn0
私は体を起こして4人の後ろからワンセグを覗き込んだ。
「今どんな感じなんだ?梓」
「民主党の圧勝ですぅ」
梓の言うとおり、そこにはとんでもないい状況が映し出されていた。
民主党は自民党に圧勝していた。
しかも、自民党の大物政治家が民主党の新人候補相手に次々と落選していた。
なんだこれは。
なんだかすごいことになっているということだけは分かった。
742 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/31(月) 21:49:32.35 ID:x4VPQ9rn0
「笑えるよな。今まで大臣とかやってたのに、新人に負けるなんて」
「ほんとですわ。まぁ今までのツケを払わなくてはいけない時にきたんですわ」
2人は意気揚々と会話していた。
なんだか画面に映し出されている状況が、現実じゃない気がした。
なんだか、夢みたいだ。
そうか、これはもしかしたら夢なのかもしれない。
私はソファに戻り、横になった。
そして、ほどなくして眠りに落ちた。
Fin
最終更新:2009年08月31日 23:37