<リンク集>
位置づけとしては「教科書・参考書」。
<作品概要>
- <◆基本情報>
- 著者:グレッグ・イーガン
- 訳者:山岸真(ハヤカワSF文庫)
- 収録作品
- 貸金庫
- キューティ
- ぼくになることを
- 繭
- 百光年ダイアリー
- 誘拐
- 放浪者の軌道
- ミトコンドリア・イヴ
- 無限の暗殺者
- イェユーカ
- 祈りの海
- 主な受賞歴
- <◆あらすじ一覧>
- 貸金庫 / The Safe-Deposit Box
- (あらすじ)「わたし」はこの街の一定年齢の男性の身体の間を不規則に渡り歩く、心だけの存在。今日の目覚めも、再び別の宿主~ジョン・オリアリーの身体で迎えることになった。今度はこの男の身体での経験も、貸金庫に隠した記録の一部となるのだ。
- キューティ / The Cutie
- (あらすじ)子供を持ちたくて仕方がない私は、見解の相違から妻のダイアンと離婚。簡易妊娠キット「キューティ」を利用し、自分の望むままの娘を生みだすことを決意した。だが、この妊娠キットで生みだされた子供は、例外なく4年で寿命を迎える運命にあった……。
- (主要人物)
- フランク:主人公。キューティを使用し、自ら妊娠する。
- エンジェル:キューティを使ってフランクが産み落とした愛娘。
- ぼくになることを / Learning to be Me
- (あらすじ)<私は宝石か人間か?> 生身の脳を持つ者は、いずれ必ず、自身のパーソナリティを完全にコピーしてその通りにふるまう無機物「宝石」に、身体の主権を「スイッチ」することが常識となった時代。私は「スイッチ」に小さからぬ疑問を抱き続けていたが……
- 繭 / Cocoon
- (あらすじ)生命向上インターナショナル(LEI)社の研究所が何者かに襲われた。研究されていたのは、人間の胎児をウイルスや毒物から完全に保護する、新型の「繭」。襲撃者たちは、この「繭」のフィルタリング機能に、ある恐るべき「異種皆殺し[ゼノサイド]」の可能性を見ていた……
- (主要人物)
- ジェイムズ:探偵。襲撃事件を調査。
- マーティン:ジェイムズと同棲している同性愛者。
- メンデルスン
- ランシング:LEI社の研究員。
- 百光年ダイアリー / The HUndred Light-Year Diary
- (あらすじ)「時間逆転銀河」の発見により、過去へと記憶を送ることができるようになった西暦2070年代の世界。1日あたり約100語の「未来からの日記」により、日々の営みを予め知りつつ行動する人々が太宗を占めるようになっていた。しかし、私はある事件により、「未来の記録」に疑問を抱くこととなる……。
- (主要人物)
- ジェイムズ:主人公。
- アリスン:妻。
- リサ:ジェイムズと関係を持った女性。
- 誘拐 / A Kidnapping
- (あらすじ)デイヴィッドのもとに、犯人からの誘拐宣言と、妻ロレインからの助けを求める通信が届くが、ロレイン本人は浚われてなどいなかった。しかし数日後、再び同じ誘拐宣言がデイヴィッドの下に届く。彼らが本当にデイヴィッドから奪ったものとは一体何なのか。
- 放浪者の軌道 / Unstable Orbits in the Space of Lies
- (あらすじ)人々の意識がむき出しになり、相互に影響を与えあうようになった時代。無数の思想引力の波の中を渡り歩いてきた主人公と友人・マリアに、謎の老婆はこう告げる。「これだけ軌道を周回すれば、すでに吸引域の全ての地点はそれぞれのアトラクタに属するようになっているはずだ」
- ミトコンドリア・イヴ / Mitochondrial Eve
- (あらすじ)全人類が一人のイヴを祖先に持つという教義を拠り所とする教団<イヴの子供たち>。教団に心酔しているリーナを恋い慕う生物学者の私は、イヴの存在を示す「大家系図[グレイト・ツリー]」完成のための研究に、心ならずも取り組むことになる。その結末は……
- 無限の暗殺者 / The Infinite Assassin
- (あらすじ)現在蔓延している新型薬物「S」。望む世界を夢想し、自分の分身が生きている並行世界で自分が生きているかのような夢を見ることのできるクスリである。しかしごく稀に、その望む世界への「物理的な」移動能力を身に付け、次元間の不安定領域<渦>を生み出してしまう危険な存在が発生する。私の任務は、そんな「現実のシャッフル」の影響を限定区域内に食い止めることだ。
- イェユーカ / Yeyuka
- (あらすじ)ヘルスガード社の指輪が人々の健康管理の大半をカバーできるようになった時代。外科医である私は、実際の手術がいまだ必要とされている環境を求め、新たな奇病「イェユーカ」が蔓延しているウガンダへと旅立った。私がそこで目にした現実とは……
- (主要人物)
- 祈りの海 / Oceanic
- (あらすじ)兄の後を追って<深淵協会>の儀式を受け、そこで奇跡体験を得たマーティン。長らくこの奇跡体験は彼の行動指針になっていたが、成長して海洋微生物学を研究するようになった彼は、水生「ズーアイト」の特性に隠された驚愕の真実を目の当たりにすることとなる。
- (主要人物)
<関連情報、その他雑感>
- メモ
- 「最新の科学があきらかにする世界観(現実がどう動いているか)は、日常的・常識的なものの見方となじまないことが多く、それをドラマチックに仕立てることはむずかしい。だがぼくは、地動説が最初に提唱されたときに人々が感じただろうような驚きを、最新の科学の成果-時空や心の構造といった問題-を追及することで読者にあたえたい」
- 「量子力学や大脳生理学が描く現実像は、あるいは人工現実や生命工学が示唆する世界像は、あなたがいま生きている世界、あなた自身の姿にほかならない」
- 主観的宇宙論三部作「宇宙消失」「順列都市」「万物理論」
- 「観測される自己について興味がある。観測という厳密性に、彼は全幅の信頼をおいており、それゆえに観測がもたらす不思議さに魅せられている。観測は科学によってなされ、その結果を判断するのは個人の認知である。したがって彼は、自己を探るために文学的なアプローチをとらず、観測手段としての科学に意義を感じ、量子力学や遺伝子工学、人工現実感に関する科学技術やロボット工学などをこのんで扱う。」
最終更新:2012年10月08日 21:43