【第二話 綺羅星十字団の挑戦】
「少年は恋をした。そう、浜辺で出会った少女に、少年は燃えるような恋をした。
そこは…魚の惑星。少年は、腕のいい漁師だった。名前は…サムでどう?
少年サムは出会った少女と二人、眩い銀河の世界へ旅立つことを夢見た。
…けれど、サムが恋したのは、その少女だったのか。それとも銀河の世界だったのか。
人生という冒険は続く…。」
【第三話 おとな銀行】
「ああ、サムの話ね。そうね…魚の惑星には銀河の世界へ行ける船が一隻だけあったの。その船は王様が持っていた。
(ヘッド「いい船はただでは手に入らない…」)
そうね。でもある日のこと、王様がお触れ書きをだしたの。イカ大王を倒して、その青い血を持ってきた者には、なんでも望みのものを与えると。
魚の惑星には、夜になると我が物顔で暴れまわる、イカの大王がいたの。
少年サムは、銀河の世界に旅立つ船を手に入れるため、イカ大王と戦う決意をした。
人生という冒険は続く…。」
【第四話 ワコの歌声】
「チャンスを逃すな。少女はそう思ったの。何としてもイカ大王を倒して、銀河の世界に旅立てる船を貰うのだ。
そこでサムは、モリでイカを突きさす訓練を始めた。
イカ大王と戦うその日に備えて、えい、えいっ!!
イカ刺しサムの名は、程なく国中に広まった。
少女はそんなサムの帰りを、いつも海辺の小屋で待っていた(当たり前じゃない。お盛んな年頃の少年少女よ?)
そして、2人は秘密を持った…
イカを食べたの。魚の惑星では、イカは悪魔の使い…
決して口にしてはいけないのに、2人は、2人でイカを食べた。
けれど、秘密を共有したことで2人の絆は一層深まった。
人生という冒険は続く…。」
【第五話 マンドラゴラの花言葉】
「欲しいものがあったら躊躇うな!少女はそう言ったの。
遂にイカ大王の居場所は分かったけれど、そこは一年中激しい嵐による危険な大時化に囲まれた海だから、
流石のイカ刺しサムもその船出を躊躇った…
けれど躊躇うサムを少女は叱った。
(ヘッド「欲しいものがあるならリスクを恐れちゃいけない。その少女はいいことを言う…)
イカ刺しサムは少女を海辺の小屋に残し、一人危険な海へと漕ぎ出した。
人生という冒険は続く…。」
【第六話 王の柱】
「戦いが始まる…危険で暗い夜の海。銛を手に、サムは今戦いを挑む。
そして、言葉では到底語り尽くせない激しい格闘の末に、イカ大王を仕留めたサムは、遂にその青い血を手に入れた。
瓶に詰めたイカ大王の血は、蒼く煌々と輝き、夜の海を照らし出す。
その青い血を携えてサムは王様に謁見する。王様!約束の青い血です。これがそうです!
王様は歓喜に震え瓶を受け取ると、いきなりその青い血を飲み干した。
その青い血は不老不死の魔法にかけられた王様が、永遠の人生を終わらせることができる唯一の薬だったのだ。
ありがとうサム。これで今宵眠りにつけば、私はもう二度と目覚めぬ。
人生という冒険は続く…。」
【第七話 遠い世界】
「王様は王位を譲ると言った。
王様は最初から、呪いを解く青い血を持ってきた者に、その王位を譲るつもりだったのだ。
けれどサムは、その申し出を断った。
王様、僕はただ、あなたが持っているという、銀河の船が欲しいだけなんです。
それに乗って、眩い銀河の世界に旅立ちたいのです。
だから王位などいりません。国など欲しくはありません!
すると王様は言った。
よかろう若者よ。望む物は何でも与える約束だ。違えるつもりもない。
あの銀河の船を譲ろう。
…だが若者よ、イカ刺しサムよ。心して聞くがよい。
あの船を動かすには、お前が恋する少女の赤い血を、一滴残らず、そのエンジンに注がねばならぬ。
そう、恋する少女を殺さねばならん。
そうしなければ動かぬ…
さあ持っていけ。たった今からお前の物だ…
人生という冒険は続く…。」
【第八話 いつだって流星のように】
「…サムは少女を殺した。
眩い銀河の世界に旅立つために、少女の赤い血を船のエンジンに注いだ。
結局サムが恋したのは少女ではなく、銀河の世界への憧れだった。
恋する少女は最初から憧れの旅路を飾る花でしかなかったのだ。
船は、サムを乗せ銀河の世界へと旅立つ…
けれどもすぐにサムは気付いた。
あれほど憧れた銀河の世界…だが、それらの星々は生まれ育ったあの魚の惑星と、どれほど違いがあるのだろう。
あの魚の惑星も同じ銀河の星の一つ…銀河は遠い世界ではなく、サムは最初から、その眩い世界に住んでいたのだ。
では、何のために、サムは少女を殺したのか…」
「……人生という冒険は続く。」(Fin…?)