第20話(今週分)
http://www.star-driver.net/story/story20.html
第21話(来週分)
http://www.star-driver.net/story/story21.html
【感想キーワード】
1)20年前の三角関係
2)その一方、現代の恋模様
3)サカナ復活の下地
4)南十字島核爆撃説
5)リョウ先輩の行動に思うこと
いやぁ~、今週は実に素晴らしい内容でした。かなり漲ってきましたよ、これは。
……そして漲った結果、文章の長さが過去最高を更新。長文注意ということでお願いいたします。
1)20年前の三角関係の顛末
まずは今週の最重要ポイント、ヘッド&カタシロさん絡みの事実を整理しておきましょう。
<その1>
・ヘッドの本名はツナシ・トキオ。恐らく20年ほど前、島の外からやってきた画家である。
・カタシロさんにはソラさんという婚約者が居た。しかしソラさんは愛情表現に乏しいカタシロさんの態度が不満であった。
・そんな2人は浜辺でトキオと出会う。カタシロさんはトキオの絵に惹かれ、個人的な付き合いが始まる。
<その2>
・しかしソラさんはトキオ個人に惹かれ、次第に深い関係に。しかしその様はカタシロさんに筒抜け。当時、カタシロさんはシルシを持つ者であったが、その能力はどうやら「千里眼」的なものだったようで、見たくないその光景が全部丸見え状態だった模様。
・トキオはソラの美を適格に絵画に表現する一方で、カタシロの後ろに存在する「島の地下遺跡の極秘発掘プロジェクト」を掌握する野心を滾らせるようになる。しかし、トキオの父・イクロウさんは息子にシルシを譲ることを良しとしなかったため、自身が地下遺跡に眠る「オリハルコン素体(=サイバディ)」の操縦資格者、銀河美少年となることは出来ずに居た。
・トキオはシルシを持つ少年「マキバシンゴ」を誑かし、彼からシルシを譲り受ける約束を取り交わす。そして自らを「今日から僕は『ミヤビ・レイジ』だ」と自称(絵の画号についての『「R」は「未来の名前」』とは、この「レイジ」を指しているのであろう)。これで彼もまた銀河美少年となれるはずであった。
<その3>
・しかし、いかなる理由かは不明だが、シンゴ君はトキオとの約束を果たさぬまま、深い眠りに陥ってしまう。
・そこに、カタシロさんがトキオに対し、自身のシルシを譲り渡すことを申し出る。カタシロは見たくないものから目を背けようとし続けた結果、左目を失明。もはや能力に対する拘りを喪失していた。
・その一方で、トキオから半ば放りだされる格好となり傷心状態のソラに対し、カタシロは常に携えていた彼女の写真入り懐中時計を彼女に渡し、大切に思っていたことを遠回しに伝える。
・懐中時計を受け取ったソラさんは島を出る。その後、生まれた子供をイクロウさんに預けた後の行方はようとして知れない。
<その4>
・……そして現代。シンゴは未だ眠りの中にある。
・サイバディ復元シーケンスに内在する生命に関わるリスクを冒したくないヘッドは、彼を起こしてシルシを受け取り、そのサイバディの操縦資格を得る…という手段でサイバディを手に入れようとしていた。しかしシンゴは未だに目覚めようとしない……。
<判明したこと・推測可能なこと>
・ヘッド=タクトの父親=イクロウさんにとっての勘当息子。やはりヘッドの方がタクトの父親だったようですね。
・しかしソラさん=タクトの母親を大事に想っている度が高かったのは(少なくとも表面上は)カタシロさん。懐中時計もカタシロさんの所有物でした。
・「病院で寝ている人物」=「今週頬を赤らめていた人物」=まさかの男。アタリ・コウさんに続き、二度目の男女判定ミス…orz
・現在のヘッドのシルシはカタシロさんから受け取ったもの。つまり、レシュバルの持ち主も元々はカタシロさんなのでしょう。
・シンゴ君も20数年前の人物でありながら、ヘッドと同じく年をとっている気配がない。ひょっとして銀河美少年は、青年期が異常に長いサイヤ人体質ということなのだろうか?(だとすると、ミドリ先生って年齢的に実は相当ヤバイ人かも…とか思ったりするのですが。どうなんだろう。)
<まだ良く分からないこと>
・ヘッドの名前が今日から「ミヤビレイジ」の件、「ミヤビレイジ」って一体何の名前?
・シンゴ君はなぜ眠りに陥ってしまったのか、そしてなぜ目覚めないのか?
2)その一方、現代の恋模様
上記のように、20年程前のこの島では相当ドロドロした事件があった模様ですが、その影響でしょうか。
先週あれだけフェアネスな空気でいっぱいだった現代の三角関係の方にも、少しばかり影が落ちています。
スガタ邸のお気に入りの場所で昼寝をしているワコ。
そんな彼女にそっと唇を近づけるスガタ。
そしてそれを遠巻きに目撃してしまうタクト。
落ち込む彼の前に姿を現すケイトさん。
そしてタクトに対して秘密を守ってくれたお礼を言い、ワコ×スガタとの過去を語り、更には彼に対し解毒治療(口づけによる毒吸い出し)。
まるで絵に描いたようなこじれまっしぐら展開です。
しかし、私は今回は騙されませんよ。
20年前と現代、2つの時代でそれぞれに展開される泥沼方向への布石と思われる事項……
これらは全てデコイ。間違いない。
まず現代の方については、これだけキスシーンが頻発している本作において、スガタが唇をワコに接触させている明確な描写がないこと。
これは私には「キス?してないよ」のフリにしか見えません。どろどろと思わせて結局綺麗に纏めあげるという、これまでにも何度か見られた展開です。
特に15話→16話の時にみっちり鍛えられましたから、今度は騙されんぞ…!
そして過去の顛末については、こちらを思い出していただければと。
3)サカナ復活の下地
本話からさかのぼること4か月…第8話「いつだって流星のように」から。イカ刺しサム物語の最終幕。
「…サムは少女を殺した。
眩い銀河の世界に旅立つために、少女の赤い血を船のエンジンに注いだ。
結局サムが恋したのは少女ではなく、銀河の世界への憧れだった。
恋する少女は最初から憧れの旅路を飾る花でしかなかったのだ。
船は、サムを乗せ銀河の世界へと旅立つ…
けれどもすぐにサムは気付いた。
あれほど憧れた銀河の世界…だが、それらの星々は生まれ育ったあの魚の惑星と、どれほど違いがあるのだろう。
あの魚の惑星も同じ銀河の星の一つ…銀河は遠い世界ではなく、サムは最初から、その眩い世界に住んでいたのだ。
では、何のために、サムは少女を殺したのか…」
細かい点にはいろいろ問題がありますけど、サカナちゃんのこの話、ヘッド自身に向けてのものだった…と考えるといろいろと合点が行きます。
「銀河美少年になり旅立ちの時を迎える」という夢を叶えることを渇望しているヘッド。
しかしそのためには、大切に想った女性すらも捨て……ある意味犠牲にして、先に進まねばならない。
そしてサカナちゃんは言う。進んだ道の先に何があるのかと。今生きているこの世界が既に、眩い銀河そのものじゃないかと。
それを受けてカタシロさん、同話においてこのように言っています。「お前はいつも、一時の感情で大切なものを取り逃がす」…と。
「あんな奴、僕の野望の道具にしか過ぎないよ」的な、冷血非常なヘッドさんと見せかけて、どこかで大切なものへの想いを吐露する、或いは号泣する……そんな展開が目に見えるようです。
2週ほど前に立てた予想、「ヘッドさんの出番は残り僅かかもしれない」がひっくり返りそうなのは若干反省点ですが、とにもかくにもこれらは全てデコイ。最終話に向けて、これらの展開は全て爽やかな結末へ、鮮やかにひっくり返る……現時点ではそんな展開を予想します。
そして図ったように、来週はちょうどサカナちゃんが復帰する模様。13話ぶり登場の彼女は、果たしてどのようにヘッドを諭してくれるのでしょうか。楽しみにしたいと思います。
………長々3節も使って自説をぶちまけた後に言うのもあれですが、本日、ここまでは前振り。
私が見ていて大変ハッスルしてしまったのは、ここから先の内容になります。
4)南十字島核爆撃説
問題の部分の第一は、冒頭、バニシングエージ内でかわされていた会話の内容。
しれっととんでもないことが述べられています。
・ゼロ時間を解除して外に出た瞬間、この島が核攻撃を受ける可能性も、なくはないよね?
・科学ギルドの計算では、サイバディは核ミサイルの攻撃にも十分耐えられる
・だけどその時、サイバディにアプリポワゼしていない人間はどうなる?
・ミナミの巫女の封印が破られる瞬間には、サイバディとアプリポワゼしていた方が安全だ…
ここ数回、どんどん目が薄くなってきていると思っていた「南十字島異空間説」が俄かに息を吹き返す重大発言です。
この件もちょっと整理しておきたく、島に関するここまでの描写も振りかえってみます。
(1)綺羅星十字団の背後にはグラントメール財団及び技術協力をしている企業連合体が存在する。彼らは数十年程前に発見された古代遺跡を発掘するプロジェクトに参加している。この計画の目的は、「この島で古代銀河文明の遺跡が発見されて数十年…これ以上封印しておくことは出来ない。ならば安全に管理していくしかない」(12話、ミセスワタナベ)という点からすれば、(少なくとも「おとな銀行」にとっては)サイバディの安全な管理と位置付けられているようだ。
(2)綺羅星十字団が銀河美少年に敗北する度、株価が大変動していた。つまり、綺羅星十字団が美少年に敗北→十字団のプロジェクトが遅滞するということをネタに巨額の株売買をしている人間がいる。第1話ヘッド及び第3話ミセスワタナベの態度からするに、インサイダー取引の線は薄い(そもそも、プロジェクトに協力し合っている身内の株価を下げに行って、いい事は何もないだろう)。つまり、綺羅星の計画進捗はある程度世に出ている情報であると考えざるを得ない。
(3)この島の地下遺跡について、マスコミが入って大騒ぎになったような形跡はない。そしてここまでの描写を見る限り、島内外の出入りは(巫女や王を除いて)自由であり、御近所の島とも交流があるようだ(第13話:剣戟大会)。従って、この島は世間から取り立てて注目されているわけでも、また隔離されているわけでもない。
(4)力を持った巫女に限定してだが、彼女らの島外への脱出を阻むキラークィーン結界が島全体を覆っている。
(5)第17話のレオンワタナベ氏発言「程なくサイバディの存在は、全世界が知ることになる」→全世界は、少なくとも今は取り立てて南十字島に注目していない、と取れる。
(6:今週)サイバディが現実世界に出てきた瞬間に南十字島が核攻撃を受ける可能性がある……ということは、サイバディをゼロ時間の外に出すという綺羅星の最終目的を、核の行使力を持つ何者かが危険視しているということである。そしてバニシングエージの間では、サイバディによる世界制圧が仄めかされている。これは(1)のおとな銀行方針とはかなり異なる印象を受ける。
従前からの懸案だったのが、2と3・5の矛盾。この島は世間から注目されているのか、いないのか、という点が大きな謎でした。
私は当初、2に注目して『世間から注目されている→しかし南十字島民はそれを知らない』(=情報隔離的な意味での異空間)派だったのですが、3・5のために軌道修正を余儀なくされていたところ。
しかし今週判明した6は、やや「注目」路線に回帰する材料のように見えます(勿論、得体のしれないバケモノが現れて大暴れを始めたら、各国首脳は当然核を使うだろ?その時どうする?っていうifトークの可能性は否定できませんが)。
とはいえ、これらの一見相反する事実を矛盾なく接合するストーリーとは一体何なのかが浮かばないのもまた事実。
私の実力では、グラントメール財団による超大がかりな情報改竄という大技でも使わなければストーリーの予想すら立たないのですが、それはいかにも美しくないですよねぇ…。
というわけでこの点については、今後の超展開に期待しながら、心静かに大人しく待つこととしたいと思います。
5)リョウ先輩の行動に思うこと
取り上げたい部分の第二は、今週スポットライトを浴びているバニシングエージイケメン3人衆最後の一人、キャメルスターことリョウ・ギンタさんの行動について。
彼の第1フェイズは「動物に憑依して自在に操る」ことらしいのですが、今週はこの能力を二度発揮します。
1度目は作品冒頭、カラスに憑依してワコの様子を探っています。禊のまっただ中、素っ裸の彼女を……です。
(しかも今回、ワコの陰部を光が隠すとか、そういった自主規制ゼロの今までで最も際どい描写となっております。勿論肝心な部分が描かれているわけではないのですが、はっきり言って凄い……ゴホン)
この行為、どう考えても「覗き」という犯罪行為だと思うのですが、覗いたリョウ先輩は悪びれる様子…というか、性的な興奮を覚えている様子が一切ありません。それゆえ、2週前の「打ち明け花火大会」同様、本件は完全にスルー。その際にも書いたことですが、本作には青春学園ものを標榜する作品としては珍しく、男性キャラクター側にエロスな煩悩が大幅に欠落しています。
しかし思い返してみると、ワコを筆頭に女子は煩悩満点ですよね。そう考えると本作のこの描き方、女性にとっての学園ものというスタンスなのでしょうか。更に言えば、男性キャラクター陣は某ホスト部に引き続き、ホストとしての精神が息づいている、それゆえに冷静……という風に言えるかもしれません。尤も上述の通り、男性視聴者にとってのサービスカット自体は少なくないので、一概に女性向けとは言いきれないのですが。
2度目はBパートにて、ハブに乗り移ってタクトに噛み付いた後、間を置かずにサイバディ戦に移ります。
今までにない頭脳プレーと評価したいところではあるのですが、それなら噛み付いた直後にゼロ時間に突入すればいいじゃんと思ったのは私だけではないはず。
救急車が駆けつけてきて、血清を打って、命の危険がなくなったところでのゼロ時間タイムですから、ツメが甘いことこの上ありません。血清を自ら持参しておけば、噛んだすぐ後にサイバディ戦に突入し、血清が欲しければ降伏しろ、タウバーンを自壊させろ……と言えば、タクトが意地を張りさえしなければ目的を達成できるはずなのです。
これはもう、綺羅星側としても、相手の搭乗者の生命が失われるリスクを万に一つも負ってはならない、という方針があるとしか考えられません。
数週前、確かミセスワタナベでしたが、タクトに対し「相手の生命を奪う事は出来るか?」と、彼の覚悟を問うような発言をしました。
恐らく、これは綺羅星側にとってのジレンマでもあったのでしょう。彼らもまた、何らかの理由で相手の生命を奪うことは出来ないのではないでしょうか。
……一応備忘的に、今週のサイバディ戦について。
今週のサイバディ戦は、相変わらずタウバーンの作画が凄すぎでした。
一方のギンタ君のサイバディ(名称不明)、特徴は背中のパーツが分離すること。分離パーツはタウバーンそっちのけで、いきなりワコ狙いの作戦に出ます。
が、それを良しとしなかったコウさんのコフライトに邪魔をされ(これ、つまりゼロ時間には複数体のサイバディが同時に存在できるということですね)、怯んだ隙にタウミサイルでジ・エンド。
いろいろ面白いことをしでかしてくれたリョウ先輩ですが、サイバディ戦で波風を立たす事は出来ませんでした。ハブ戦略、まではよかったんですけどね…。