最終話 僕たちのアプリポワゼ

2011年4月3日(日)

STAR DRIVER 輝きのタクト 最終話 僕達のアプリポワゼ

OGINに続き、STAR DRIVER輝きのタクトも遂に最終回。
先日、歳のせいか4月という季節に特に感慨を抱かないようになってしまったと愚痴りましたが、
半年間追い続けてきたものが2つ続けて終わってしまうと、流石に寂寞の感が少なからず湧いてきますねぇ…。



最終話(最終話分)
http://www.star-driver.net/story/story25.html



【感想キーワード】
1)最終演目の始まり
2)祭りの終焉
3)そして終わらない青春
4)残された謎





1)最終演目の始まり
先週、ひが日死の封印が解かれたことで、遂にその姿を現したキング・ザメク。

最後に皆水の巫女の封印が解除されれば、ザメクは現実世界に現出する。
そしてその時、スガタは世界の王になる。世界はスガタのものになる……。
ヘッドに向かい、そう絶叫するケイトさん。


しかしヘッドはそれを嘲笑。
自身が拘り続けてきたサイバディ・シンパシーの力……
他のサイバディとアプリポワゼ出来る能力
でもって、キングザメクにアプリポワゼ。早々にザメクを自身の手駒とします。

更にヘッドは続けて曰く、
「ザメクの本当の力をお前達はまだ知らない」。
目覚めたザメクは飢えている、現実世界に現出した瞬間、この星のリビドーを全て吸い尽くす
それによって地球は死の星になる……。しかしそれと引き換えに、ザメクは時を操る力を手にすることになる。
タイムトラベラーとなった俺は、好きな過去を何度も繰り返せる。
そしてカタシロさんに向かい、俺は全てを取り戻すよ、と宣言。
それに対し、まだ『あの時』に囚われたままなのか……そう呟くカタシロさん。


ゼロ時間のように、永遠に止まった時を生きる……
サカナの惑星の王と同じ世界を生きることを願うヘッド。


そしてその勢いそのままに、タウバーンを、タクトを潰しにかかるヘッド。
しかしそれを横入りで食い止めたのは、ワコがアプリポワゼした皆水の巫女のサイバディ。

18話ぶりの採用となった『モノクローム』をバックミュージックに、最終演目の幕が上がります。



2)祭りの終焉
キングザメクを手駒として従えたヘッドは、その力でこれまでに破壊されたサイバディを一挙に蘇生。
再生サイバディ軍団を一斉にタウバーンにけしかけます。

多勢に無勢、蹂躙されるタウバーン。
そしてそれを沈痛な面持ちで見つめる、反ヘッド派の綺羅星メンバー達。
自分達がサイバディに関わってきたことは、これまでやってきたことは間違いだったのか?

しかしそれは「違う……違うと思う」とシモーヌさん。
「サイバディは私達が辿りつくべき未来の可能性の一つ。
ただ、今回はあの男、ヘッドがサイバディの間違った使い方をしただけ。
そしてザメクが間違ったサイバディであるだけ。
そう言ってる、ダレトスが。私を求めてる……」

その言葉と共に、甦る7つのシルシ。
シナダ寮長のページェント。
ホンダさんのレイジングブル。
ゴウダさんのテトリオート。
ワタナベ奥様のベトレーダ。
タカシくんのツァディクト。
シモーヌさんのダレトス。
ミドリ先生のヨドック。
ザメクの呪縛を逃れ、虹色の輝きを放つ7体の攻撃が、再生サイバディ軍団を一蹴。
7人の戦士は、勢いそのままにザメクを討ち取らんと立ち向かいます。

とはいうものの、そうそう上手く事が運ぶこともなく、ザメクは「王の柱」を全力で発動、ザメクとシンパシーを守護する結界を形成。
流石にザメクも「王」たるだけの事はあり、下級戦士である7体の力ではどうにもなりません。
数で太刀打ちできない相手となれば……?そうです。満を持しての真打ち登場。
この結界を突き抜けることが出来るのはただ一体、底知れぬ主人公パワーを内に秘めたタウバーンのみ。

タクトは叫びます。
「僕には見えている……まだ僕には見えている!」
恐らくこういう趣旨の発言ではないのでしょうが、空気感的には既に「勝利への軌跡が」とでも付け足したくなるような雰囲気でした。
無事に王の柱を突き抜けたタウバーンは、シンパシーの顔面を殴打一閃、シンパシーは為すすべもなく爆散。
同時にザメクの封印も解かれ、ここにヘッド主催の最後の祭りは終焉を迎えました。





3)そして終わらない青春
ヘッドも倒れて第5フェイズの解放も阻止され、何事もなく幕引きとなるかと思われた最後の宴。
しかし、そうは問屋が下ろしません。

なんとスガタは、ザメクをそのまま自分ごと閉鎖空間へ封印し、全てにケリをつけようとします。
彼は最初っから人身御供になる気で、ザメクのドライバーになる道を選んだのです。

……こんな結末でいいのか?
これで全てを終わらせてしまって、本当にいいのか?
この刹那、タクトとワコにはおよそ言葉で言い表せない圧倒的な葛藤が押し寄せたことでしょう。
しかし決断は一瞬でした。


ワコの方に向き直ったタクト、サイバディを胴からバッサリ。

これにより、遂に第5フェイズが解放され、ザメクを封じ込めていたゼロ時間は崩壊。
ザメクは宇宙空間へ向けて上昇しつつ、まるでブラックホールの如くに全地球上の生命エネルギー・リビドーを吸い込み始めます。正に地球存亡の危機。
しかしこの2人、そんなことは百も承知です。
ワコは叫ぶ。
いっけぇぇぇぇぇ!!!


そうです。


この2人、


全世界が滅亡するかもしれないというリスクを躊躇なく冒し、
友人1人を助ける可能性に賭けたのです。



ザメクを屠ればスガタは助かる。
反対にザメクを仕留め損ねれば、スガタも自分も含む地球の全生命体があの世行き。
分が悪いというより、あまりに割にあわない博打です。
スガタがどれだけかけがえのない友人であったとしても、非合理的な選択という結論は覆りようがないでしょう。


しかし、その一方でこうも思うのです。
この合理性に囚われない選択こそが、まさしく青春というものの本質なのではないかと。
このいかにも近視眼的な、しかしそれ故に一切ぶれのない直線的な勢い。失敗した時の逃げ足など毛ほども残さないノンストップ爆走フォーム。
この境地に達すれば、大概の事は合理・非合理に関係なく「為せば成る」。
そしてそれを可能たらしめる要素こそが、「若さ」と「青春」ということなのでしょう。

最終的に、タクトはザメクを粉砕し、地球を無傷に保ったまま、スガタの奪還に成功します。
ご都合主義と言われれば、確かにそうかもしれません。かく言う私も初見時はそう感じました。
しかしそれは、捨て身という姿勢を取ることを許されない、最高の理想を追い求めることのできない、
青春の日々を遠い昔に失ってしまった、枯れた大人が抱く感想と言えるかもしれません。
青春謳歌を標榜して南十字島に辿りついたタクトは、青春が持つ無限の可能性を、最後の最後まで見事に体現し続けたのです。



そしてもう一点。スガタが無事に救われたことにより、ワコは最終的にタクトとスガタのいずれかを選ぶことなく、トライアングラー状態のまま物語は終幕を迎えました
「こんなにも2人の男の子を同時に深く好きになるなんて」などとのたまうワコに対し、これまた初見時、私は「綺麗事を言いやがって優柔不断女が!」との感想を抱きました。
しかしながら、仕事であれ恋であれ、定められたレールに乗った時点で、全てを捨てる大英断の余地はどんどんと無くなっていきます。そしてその果てに迎えることになるのが「青春の終り」なのでしょう。
そういった観点から見れば、彼らは、終わることのない青春の大海の中を泳ぎ続けたまま、終幕を迎えることが出来たわけです。
本件、一見優柔不断エンドのように見えますが、こうして考えると最高に幸せな結末と言えるのかもしれません。


こうした作品って、大概どこかで「青春気分からの脱却」「大人への階段」を意識させる作りにするものですが、
「青春のままでいいじゃない」というこの作品の開き直り具合!終わりのない青春……なんと甘美な響きでしょうか。
誠にもって、枯れた大人の目にはあまりにも眩しく映る(人によっては「眩しすぎて直視できない」恐れもありますが……)作品でありました。





4)残された謎
……さて、それはそれとして。

本作への想いの丈を書きなぐっていたら何となく満足してしまったのですが、ここで終わらせてはいけませんよね。


明快な答えの提示がないままの事項があまりにも山積しているのも捨て置けぬ事実ですから。
今後、何らかの媒体での補完が行われることに期待を込めて。
ここに未解明のまま残った事項を備忘しておきましょう。



・南十字島にサイバディが降りてきたのはいつ頃のことなのか。発見・発掘されたのはここ数十年というものの、関連の家系は随分昔からサイバディ封印の役目を司っていたようだが。そして、巫女らの島からの脱出を阻む結界を作り出していた存在は何なのか。ザメクは外の世界に出たがっていたわけだから、ザメクではないはず。四方の巫女のサイバディか?

・エンドウ部長と副部長、この2人(1人と一匹)は結局どこから来た何者なのか。他に同じ文明の出身者はいるのか。今何歳ぐらいなのか。彼らがサイバディを作ったのか。それとも彼らの先祖か。

・タウバーンも彼らが創ったのか。それとも他のサイバディとは何か違う起源を持つ機体なのか。ヘッドは「ツナシ家のサイバディ」と口走っていたが、ツナシ家と関係のある機体なのか。ひょっとして、ツナシ家の家系は外宇宙が起源なのか。

・サカナちゃんの正体は何者か。何故イカ刺しサムの物語を知っていたのか。ヘッドとの関係は何なのか。島を出た彼女は、今どこで何をしているのか。

・島を出たと言えば、ミズノさんマリノさんケイさんコウさんは今頃どこで何をしているのだろうか。

・黒幕風に登場していたレオンワタナベ氏、彼は水面下で何をしていたのか。そして何がしたかったのか。

・綺羅星に技術協力していた企業、その企業の株を売買していた者、そして万一の際に南十字島に核攻撃を仕掛ける可能性があった勢力、これらはそれぞれ何者か。各国政府は南十字島をどう見ているのか。

・第3.5フェイズでは、スタードライバーとサイバディは完全に一体化していたが、最終話、第4フェイズが解放された後、そんな現象は起こっていない。当然サイバディを破壊しても命に別状はなかった。これは何故か。

最終更新:2011年05月08日 20:54
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