PAI-1は分子量約50,000の一本鎖の糖蛋白質で、組織型・ウロキナーゼ型PAと複合体を形成してその作用を抑制するセリン酵素である。 血漿中には約20ng/ml 存在する。
PAI-1 はプラスミノーゲンアクチベータを抑制し、プラスミン生成を妨げ、フィブリンからの fibrinogen degradation product 生成を低下させる。つまり、PAI-1 の増加は線溶活性を低下させ、血栓形成傾向に傾く。
脂肪が蓄積した状態、とくに内臓脂肪蓄積に伴い脂肪組織での PAI-1 遺伝子発現量が増加し、この上昇に比例して血中 PAI-1 濃度も上昇する事が見出された。
それまで、血中 PAI-1 のおもな産生場所は肝であるとされていたが、脂肪蓄積に伴い、肝の PAI-1 発現量には変化は見られなかったが、内臓脂肪のPAI-1 発現量は増加し、肝レベルを凌駕した。
肥満形成に伴い、蓄積脂肪から直接分泌される血中 PAI-1 の上昇が肥満と血栓性疾患とを直接結び付ける因子である事が示された。
最終更新:2007年09月29日 12:35