文学シリーズ~こころ~
夏目漱石が手がけた名作……を無礼承知で改造。(
姫彦が)
恐ろしいネタになった。
私的にギャグ漫画日和あたりで出してほしい。
ちなみに、
姫彦オリジナルではなく、あくまで原文にそった形で収録。オリジナルはもっと短い且つ笑えます。
~原文1~
彼の口元をちょっと眺めたとき、私はまた何か出てくるなとすぐ感づいたのですが、それがはたして何の準備なのか、私の予覚はまるでなかったのです。だから驚いたのです。
彼の重々しい口から、彼のお嬢さんに対する切ない恋を打ち明けられたときの私を想像してみてください。
私は彼の魔法ののために一度化石にされたようなものです。
口をもぐもぐさせる働きさえ、私にはなくなってしまったのです。
~改造文1~
彼の口元をちょっと眺めたとき、私はまた何か出てくるなとすぐ感づいたのですが、それがはたして何の準備なのか、私の予覚はまるでなかったのです。だから驚いたのです。
彼の重々しい口から、彼の私に対する切ない恋を打ち明けられたときの私を想像してみてください。
私は彼の魔法ののために一度化石にされたようなものです。
口をもぐもぐさせる働きさえ、私にはなくなってしまったのです。
~原文2~
私は突然「奥さん、お嬢さんを私にください。」と言いました。奥さんは私の予期してかかったほど驚いた様子も見せませんでしたが、それでもしばらく返事ができなかったものとみえて、黙って私の顔を眺めていました。一度言いだした私は、いくら顔を見られても、それに頓着などはしていられません。「ください、是非ください。」と言いました。「私の妻として是非下さい」と言いました。
奥さんは年を取っているだけに、私よりもずっと落ち着いていました。「上げてもいいが、あんまり急じゃありませんか」と聞くのです。私が「急にもらいたいのだ。」と答えたら笑い出しました。そして「よく考えたのですか。」と念を押すのです。私は言いだしたのは突然でも、考えたのは突然ではないというわけを強い言葉で説明しました。それからまだ二つ三つの問答がありましたが、私はそれを忘れてしまいました。男のようにはきはきしたところのある奥さんは、普通の女と違ってこんな場合にはたいへん心持ちよく話のできる人でした。「よござんす、差し上げましょう」
~改造文2~
私は突然「奥さん、私に鞭をください。」と言いました。奥さんは私の予期してかかったほど驚いた様子も見せませんでしたが、それでもしばらく返事ができなかったものとみえて、黙って私の顔を眺めていました。一度言いだした私は、いくら顔を見られても、それに頓着などはしていられません。「ください、是非ください。」と言いました。「私に鞭を是非下さい」と言いました。
奥さんは年を取っているだけに、私よりもずっと落ち着いていました。「上げてもいいが、あんまり急じゃありませんか」と聞くのです。私が「急にもらいたいのだ。」と答えたら笑い出しました。そして「よく考えたのですか。」と念を押すのです。私は言いだしたのは突然でも、考えたのは突然ではないというわけを強い言葉で説明しました。それからまだ二つ三つの問答がありましたが、私はそれを忘れてしまいました。男のようにはきはきしたところのある奥さんは、普通の女と違ってこんな場合にはたいへん心持ちよく話のできる人でした。「よござんす、差し上げましょう」
最終更新:2007年05月20日 13:44