今日、私が部室に来ると誰もいませんでした。
どうやら一番乗りだったようです。
私はいつものようにメイド服に着替えて、みんなに淹れるお茶の準備をしていました。
お茶が出来た頃に涼宮さんがやってきました。
「あら、みくるちゃん…今日は早いわね」
心なしか涼宮さんは少し…腑に落ちない感じがしました。
「あ、涼宮さん…自分でもびっくりです」
「そうなの…まぁ、ちょうど良いわね。みくるちゃん、お茶」
「あ、はいはい」
涼宮さんの言葉が妙に引っかかりますが、気にしないことにしてお茶を渡しました。
涼宮さんはいつものように一口で飲み干すと、しばらくパソコンをいじってました。
私が他の人がいつ来ても良いように、お茶を準備をしていると、涼宮さんが私を呼びました。
「みくるちゃん」
「はい」
「ちょっとこっちに座って」
「はい…?」
何でしょう?疑問に思いながら涼宮さんの指さす椅子に座りました。
「唐突だけどね…みくるちゃん、SOS団を辞めてくれないかしら」
「ふぇ?」
思わず変な声が出るほど、涼宮さんの発言は突拍子な物でした。
「その…みくるちゃんももう受験とか考えないといけない時期でしょ?」
「あ、あの…」
「ん?何?」
「あ、いえ…確かに…そうですけど…でもそれとこれとは…」
私がパニックでしどろもどろな対応をしていると、涼宮さんは溜め息をつきました。
「ハァ…良い?みくるちゃん?よく聞きなさいよ」
「は、はい!」
思わず気をつけの姿勢を取ってしまう私。
「私はみくるちゃんに幸せに…というかちゃんとした進路に進んでほしいの」
「はぁ…」
「みくるちゃんはちゃんと勉強してるだろうし、問題はないと思うけど…でも、やっぱりダメなの」
「ダメって…」
「このSOS団の存在よ。今、SOS団はみくるちゃんにとって受験の足かせとなっている」
「いえ…そんなことないですよぉ。楽しいし、邪魔だと思いません」
「いいえ、そんなはずないわ。ただでさえここにいるだけで時間を食いつぶしているんだから」
「でも…」
「でもじゃない!」
突然の大声に私は何も言えませんでした。
「みくるちゃん…制服に着替えなさい」
「え…でも…」
「着替えなさい」
低く放った涼宮さんの声は恐怖を覚えるほどで私は慌てて着替え始めました。
着替えている間、私は色々考えていました。
これが涼宮さんの望んだこと…涼宮さんは遂に私を切り捨てに入った…。
そして懐かしいSOS団の思い出が走馬灯のように浮かんでは消え、私はいつの間にか…
涙を流していました。
それを…涼宮さんは…チラっと見たきり…私の方を向きませんでした。
最終更新:2008年03月12日 09:16