目を開けると目の前には日下部みさおがいた。
「キョン…心配したんだぜぇ」
まて。待ってくれ。俺は何がどうなっているのかさっぱりだ。
体中が痛いわ、動かないわ…。
「おぉう!キョンキョン!目が覚めたんだね?」
泉…か?この天上には見覚えがある。どこかの誰かさんに刺され気付いたときにいた病室だ。
しかしなぜ俺はこんなところにいるのだろうか。
記憶の引き出しを片っ端から開けてみたがさっぱりだ。さっぱりだを何回言うつもりだ、俺。等を3秒くらいで考えつつなんとか体を動かそうとするが、びくともしない。
「さ、キョンキョン!愛しの彼女に抱きつきなされ~♪ほれほれっ」
は……………?
泉?今、おまえは、なんて、言った?
「何いってんのさ。いやだなぁキョンキョンー。キョンキョンの愛しの彼女!みさきちにー。こう、ガバッと」
「や、やややめろよ!!」
日下部が赤面している。
すまん。状況がよく分からないんだが……。
「っ!?わ、忘れちまったのかよぅ」
「いやだねキョンキョン。イイ加減にしないとおこるよっ!」
すまん。本当に分からないんだ。
「ぇぅぁ…」
日下部が泣きだしてしまった。その泣き顔を可愛く思ってしまうのは俺だけではないだろう。多分。めいびー。
*
なるほど。すると俺は日下部に告白され付き合いだしたわけだ。
それが4日前。そこそこ熱々に過ごしたのだろう。
そして昨日。俺は日下部と帰ってる途中にトラックが突っ込んできて…。
「それで…キョンはあたしをかばってトラックに……ぅ…」
なかなかやるじゃねえか俺。
まぁそんなことを考えてる場合ではないのだが。
いろいろと話を聞いたがいまだ半信半疑である。俺は事故ってプチ記憶喪失になってしまった。
挙げ句の果てに彼女(らしい)を泣かせた最低な男にランクダウン。
気が付いたらもう深夜だった。ハルヒが持ってきてくれたパソコンをいじりつつ、脳内で俺数人で会議を行っていた。
しかしその会議も何の答えも出さずに終了し、ネトゲに集中していた。いかん。そろそろやめないとこなたになっちまう。やれやれ。
翌朝のことである。
まだ7時だというのに日下部が見舞いに来てくれた。有り難いものだ。
普段は女らしいことひとつしない奴、だとおもっていたがりんごの皮むいてるじゃないか。
危なっかしい手つきではあったが、一生懸命さはかなりつたわった。うむ、うまい。
昨日も今日もありがとうな。
「気にすんなよー」
その…色々とすまなかったな。
「た、大丈夫だよっ!付き合って…いるんだし」
そう言って頬を赤らめるすがたが何とも言えない。
まじで一生そばにおいておきたいと思った。
「その…今日はもう帰るよ!!安静になっ」
ありがとうな。日下部。
「また…前みたいに…」
なんだ?
「なっなんでもない!」
俺は本当に日下部のことを好きなのだろうか?
本当に一生大事にできるのだろうか?
『おまえはさっきあんなにも可愛いと思っただろう!?』
無理だろう。
『それが好きというんじゃないのか。』
好き…。なのか?
『お前は今の俺にはなるな。みさおを傷つけるんじゃない』
俺…か。
振り向くと確かに俺がいた。
「そんなのわかってる」
俺は俺にいった。そしてみさおを追い掛けに走った。
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最終更新:2008年03月22日 11:21