「やぁやぁ! はじめましてだねっ!」
俺は腹の疼痛を堪えて先刻まで自分が腰掛けていた椅子の残骸に手を掛けて
、なんとか身を起こしそいつに目をやる。それは紛れも無く人間で、少女で、
そして、その下半身は俺の目に付くところに無く、見る限り上半身が俺のなん
の変哲も無い机の引き出しから現れてるように見えた。
窓から身を乗り出して流れる雲の形を見て、自分の記憶の中の物と照らし合
わせる。あの山の頭にかかってる雲はなんとなくポップコーンにみえるなぁと
俺は徒然な思考に身を委ねる。ボケッとしながらこういったのんびりとした時
間に身を任すのは、好きだ。ゆったりとした気分で落ち着いた心が全身を和や
かに癒してくれるように感じる。……錯覚なのだろうけど。
「ねぇねぇ、勉強の邪魔したのは悪かったよ~」
そう、錯覚なのだ。いかに見てみぬ振りをして窓の外の雲に目をやって、耳
を風の音や鳥の囀り、木々の葉擦れの音に傾けても、現実ってのはそっと俺の
肩を叩いて否応無く実力行使で振り向かせるのだ。しかも今回のはまたびっく
り、勉強の途中の俺の机の引き出しから青い少女が勢いよく飛び出しながら両
手に勝訴の変わりに現実と書かれた紙をかざしながらやってきたようなもんだ
。
まぁ実際には青い少女はそんな紙を持っては居なかったが俺の腹の前にある
それから飛び出してきた時に俺を障害物かのように吹き飛ばし、その際俺が腹
部に食らった多大なる物理的ダメージはやはり現実だと俺に知らしめていた。
…ついでに言うと青い少女というのは実際に黄色人種、白人、黒人の様に肌が
青い漫画の悪魔の様な外見をしてるわけではなく、腰よりも長い髪が抜けるよ
うな空色に近い青だったからだ。
「勉強の邪魔はまぁいい、元より真剣に取り組んでなど居ない。それより問題
なのはお前が俺を吹き飛ばした際に破壊した椅子と、そのフレームの歪みきっ
た机の引き出しだ」
「……えへ?」
少女に嘆息しながら振り返り、現実逃避から無事かどうかは置いたうえでな
んとか帰還を果たした俺は部屋の中心で軸が折れた元椅子に寄りかかる少女に
冷たい目を向け、次に見るも無残な俺の机を見る。……結構愛着あった長年使
ってる机だったのだがな、まぁ机という本来の機能自体は失われていないが、
これではふと机に身を寄せた際に、とがった金属部分で腹筋が割れる事になる
、物理的な意味で。……なんでこんなことになったんだろうか?
「お前、名前は?」
「ん?」
「お前とか、君とか、その手の二人称はあまり好きじゃないんでな。できれば
名前がわかるほうがやりやすいし、…はぁ面倒だがお前のさっきの話も少しだ
け興味をそそられたのも事実だからな」
「そうかそうか、う~ん、話どおりだねキョン君。
私の名前はこなた、こなたもんだもん」
ファーストコンタクトは……、やはりどの角度から見てもそれは一つの言葉
でしか表現のし様がなかった、俺は決して語彙の多いほうじゃないが、仮にそ
れがもっと多くて、広辞苑もびっくりであろうとも、多分同じ言葉を選ぶのだ
ろうと俺は自己分析と、目の前の少女―こなたを思う。
つまり『最悪』と
最終更新:2008年03月27日 22:43