雪茶◆yukichanHA氏の作品です。
今日は日曜日。
涼宮さんの街中散策もないのでかがみさんとデパートに来てみました。
お茶の葉も切れ掛けてましたし。
「2人で歩くのって初めてですね」
「そうですね、くじ引きでも当たりませんでしたし」
一つ下でも少し大人びてるかがみさんは、私服になるとまた大人っぽい。
「朝比奈さんも可愛らしいですよ?」
ニコッと笑い掛けてくる。
”可愛い”とは言われるけど、”大人”っぽいとは言われないんですよね…。
キョンくんも多分そうだろうし。
「キョンは女心を理解してないですから…」
はぁ、と溜め息を吐く。
「キョンくんは鈍感ですからね」
「ホンットそう!あいつはいつも気付いてなくて…」
もっとアプローチすればいいのに、とは言えないくらいアプローチしてるのは知ってるからそれに関しては触れない。
「キョンは朝比奈さんのコトにはすぐさま反応するのに…」
いや、こっちを見られましても……。
「先輩だからじゃないですかね」
「でも、鶴屋さんにはあんまり、ですよ」
また深い溜め息を吐く。
「お客様、どうですか?」
騒然としてる店内で女性がピンポイントで声を掛けて来た。
女性が手で示すのはタッチ式の画面。『DomohornWrinkle』と大きく書かれている。
「恋のお悩みでしょう?」
何でも知ってますよ、みたいな顔で笑い掛けてくる。
それに反応してかがみさんは頬を紅潮させる。
「当社のホームページではお肌の力のテストがありまして、
チェックした後でそれに見合う化粧品を使えば、振り向かせたい彼は振り向いてくれるかも知れませんよ?
お忙しくなければ是非如何ですか?」
こちらに間髪入れる暇さえ与えないトーク。涼宮さんを思い出す。
「かがみさん、やってみたらどうでしょうか」
別に私は恋してないですし。
「え、でも…」
少し身動ぎするかがみさんに店員は更にジャブを浴びせる。
「あ、現在お試し中で無料ですよ。更にそのお肌に合う化粧水を小瓶でプレゼントさせて頂きます」
「別に忙しくはないですし…ね?」
「そ、それじゃ…」
かがみさんは恐る恐る人差し指を伸ばして、『チェック開始』というボタンを押す。
「ありがとうございましたー」
店員のお辞儀に礼で返して、化粧品コーナーを後にする。
かがみさんは透明な液体の入った小さな瓶を眺めていた。
「良かったですね」
私がそう言うと、
「……本当に振り向いてくれるのかな…」
と独り言を呟く。
「大丈夫ですって、きっと振り向いてくれますよ」
「………そうですよねっ、頑張ってみます」
ぐっ、と瓶を握り締める。
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最終更新:2008年04月06日 17:11