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the report of …

小泉の人◆FLUci82hb氏の作品です。


とある日のことである。
俺は何気ない平和な日常に感謝しながら机の上で、腕を枕にしながら寝ていたのだ。
窓から射し込む午後の光が特にまどろみを誘うので、逆らわずに素晴らしき午睡に身を任せていた。
意識がほわほわと消えかける直前に俺の目が捉えたのは長く、それでいて全く傷みの見えない艶やかな青髪。
目を輝かせてこちらを見る泉の瞳。
その小さな手に握られた「メガネ男子」という本─────────本?
……というか泉がこちらを見ている?
腕の上で眠気に身を任せていて頭が働いていない俺であるが、ここ最近出番の無かった危機感知能力が警報をあげた。
それによって眠気が潮の引くような感覚で一気に消えていく。
「………」
泉は俺の様子をうかがっている。
このまま寝たふりをすれば謎の、外れたことのない俺の危機感知能力が報せる危険を回避できるかもしれない。
しかし泉の観察眼も侮れたものでは無く、寝たふりがバレない可能性もまた低いかもしれない。
どうする?いきなり立ち上がって帰るのもありだろうか?
正解はどれだ…?
危険を感知できても正解を知ることはできない俺の中途半端な第六感を恨みつつ、二択の問題に悩む。
依然として腕に頭を乗せて寝ているようにしか見えないだろうが、俺はこんな風なことを考えていたのさ。
「……グー」
あくまでもわざとらしく過ぎない程度に寝息を立てる。
感じる…奴は今、俺に視線を固定して真偽を確かめているのだろう。
泉にも人としての良心があるならば寝ている人を無理やり起こす筈は無い…と思いたい。
顔は腕に隠れて見えない筈だしこのままでいればやり過ごせる…か!?
何を考えているのかわからんが、俺の二十年足らずの人生で育て上げた虫の知らせが危険を予知しているのだ。
特にあの顔を伏せる直前に覗かせたあの瞳の輝き。
あれは人で遊ぼうと画策する意志が見えていた。
よーく知ってるぞ。ハルヒもよくあんな目をしているからな!
「キョンキョーン…」
ぼそり、と俺を呼ぶ泉。
しかし俺は寝ているという設定を維持するので返事をする訳がない。
そのまま無視して寝ていると
「ふぅー」
泉の野郎は丁寧に擬音付きで息を吹きかけやがりました。
だが流石にここまでして起きないなら諦めて……
と、その時。ふたりきりで残っていた俺たちに声がかけられた。

「こなたー?帰らないの?」

こ、これは天の助け!?
おそらく声からしてかがみ。
たぶんいつまでたっても降りてこない泉を不審に思い、迎えにきたのだろう。
「おや、かがみん」
「おや、じゃないでしょうが!一体いつまで教室に残ってるつもりなのよ!」
「うーん…」
いいぞ柊!そのまま泉を連れて帰ってくれ!
やはり端から見れば居眠りしてるだけなのだが、内心はガッツポーズなどしてたりする。
聞き耳だけはしっかりとたてて、行く末を見守る。
「でもキョンキョンがさぁ」
「キョン君?……いや、寝てるんだからそっとしてあげなさいよ」
ナイスだ柊!!お前に惚れた!勿論嘘だが!

「実はキョンキョンに用事があってサ」
待て。初耳だぞ?
思わず声をあげる所だったが、ギリギリで押さえ込む。
どうにも俺の立ち位置というのはツッコミのようで、泉の珍態にはついツッこむ癖が付いてしまった悲しい俺のサガである。
「用事?…って何?」
うむ。俺の心の代弁感謝する。
そんな俺らの疑問をよそにすんなりと答える泉。

「放課後に少し一緒に遊ぼーねって」

……………。
「…………」
オイ、少し待て。
初耳に初耳を重ねた話題だぞ?
嘘か?お前何嘘吐いてるんだコラ!?
「あ、あっそうなの?…ゴメン。お邪魔だったよね」
待て待て待て!!!??絶対誤解してるぞ!?
なんだお邪魔って!?
むしろ助けに…あぁぁ!!!足音が段々離れていくのが聞こえる……。
…って待てよ!?柊が居るのに何故俺は寝たふりを続けているんだ!?
パッと起きて柊に泉を任せてそのまま帰って昼寝の続きを満喫すればいいんじゃ
ないか!
なんという馬鹿か……俺って奴は……。
柊が完全に去る前に起きて任務を達成できれば全て丸く収まるじゃないか!
……いや、もう遅いか。
足音が離れていくのをこの耳で聞いたのだ。
ならここで立って逃げようとしても泉に起きていることを教えるだけに終わるかもしれん。
ならこのまま寝たふりでやり過ごすのが最善な
「ふぅー」
「うぉああ!!!????」
ガタン!と椅子を倒しかねない勢いで後ろに推しながら立ち上がってしまった。
それは耳に吹き込まれた息のあまりの不快感によるむず痒さが襲ってきたからで。
「何をする!?」
「あ。やっぱ起きてたんじゃん」
いけしゃあしゃあと自分に非が無いような態度を示しながら俺を指さす。
そしてわかりやすいように頬を空気で膨らましてなんぞいる。
「寝たふりとか女の子にしたら傷つくよ?」
「一応言っておくと普通に眠かったからな?」
「ところでキョンキョン暇だよね」
「全く話を聞こうとする姿勢を見せる気は無いのか」
「ないよ」
そう宣言すると手に持っていた本…"メガネ男子"を俺の机に置く。
ふむ。
「ところでさ、」
「そうか」
机の横に掛けてあったカバンを取り、立ち上がる。
ガンガンガンと警鐘をならす俺の第六感が今ここで抜け出さなければ危険なことになると叫んでいる。
なのでいささか強引であるがスルーして帰ることにしたのだ。
「ってなんで帰ろうとしてるのさ!!」
教室の扉に手をかけた所で俺の両肩に抵抗がかかった。
肩に視線をやってみればそこには白い指が全力で俺の歩みを止めようと頑張っていた。
しかし悲しいかな、体重差がありすぎるのでろくな抵抗にすらなっていない。
「……」
「ぬぁーっ!!??」
ずるずるとそのまま進む。
後ろから変な鳴き声が聞こえるが気のせいだろう。
廊下にも温かな日差しは射し込んでいて体をゆるやかな温かみを与えてくれる。
こんな日は布団にもぐりこんで惰眠をむさぼるのもいいしシャミにかまってやるのも楽しめるだろう。
おや、あんなところにスミレが咲いてら。なんともささやかな平和だなぁ。
あのフェンスの向こうには犬がいてこちらを見つめている。
うーむ、野生動物のあの感の良さってなんなんだろうな。

「無視反対!!!!!!」
「うおっ!?」

ドーン!!と今度は背中全体に重い衝撃がのしかかった。
「ぐぅっ!」
ゴキン、と嫌な音が腰から脳に響いたような
「う、お、ぉ………?」
「いや直球で言うけどメガネかけよーよ!メガネメガネ!!」
「腰が、痛…」
「キョンキョンもメガネ絶対意外と似合うって!」
先ほどまで俺の肩に添えられていた手はがっちりと首の前で交差して、泉の腕はがっちりと首をホールドしていた。
つまりそれは泉が俺に飛び乗ったわけで、三十キロ超の物がいきなりのしかかってきたのと同じである。
そりゃ腰を痛める筈である。
「…どしたの?」
「いいから、降りろ」
なるべく眉をしかめるような顔を作り、怒りと痛みを表現してみせる。
しかし全く通じてない。泉は俺におんぶされたような体勢のまま動こうとせずにそのまま話を続ける。
「降りたらキョンキョン逃げそうだし…」
「腰を痛めた。俺は帰って湿布を貼って寝る」
「またまた、本当に痛かったら立ってられないってば」
「あ」
どうやら通じてないという話ではなく見透かされていたという話だったか。
策を色々弄してみたが、これですべて無駄に終わった訳で、泉は恐らく俺がつきあわん限り背中から降りようとしないだろう。
「ああわかったわかった。暇つぶしに付き合ってやるから降りろ」
「だが断る。私の最も好きなことは土壇場で逆転しようとする奴の策を踏みつぶしてやることなのさ!!」
街をこの恰好(見た目幼女をおんぶ)で歩けと?
一体どんな羞恥プレイだ…

思い返せば、頭のなかの天然危機感地装置はすさまじく音量を増しながら鳴っていた筈なのだがあんないい天気のせいか、それとも少なからず泉を憎くは思ってなかったからか。
このときの俺は別にいいか、と思ってしまっていてのさ。





「この黒ぶちの太いフレームがいいね!萌えるよ!さっすがキョンキョン!」
「あまり耳元で息を荒げるな」
「御兄妹ですか?」
「いえ恋びt」
「ただの友達です」
「お似合いですね」
「そうでしょう!」
「いや、少しは俺の話を」
「あ、いらっしゃいませー」
「あの店員さん?俺の声は聞こえてますか?」
「あらキョン、……と泉さん?」




さて、この会話で何を想像されるかは各人の自由である。
客観的な事実とハルヒがここに来た理由だけをここに記しておく。
皆はハカセ君を覚えているだろうか?
そう、俺と朝比奈さんがカメをあげたあの少年だ。
彼は視力が落ちてきたために眼鏡を新調するので、ハルヒにセンスのいいフレームを選んでもらおうと頼んだらしいのだ。
その下見をしていたらしく、俺が教室で惰眠をむさぼってられた…つまりハルヒが俺をひったてに来なかったのはそれが理由だったらしい。
顔を見合わせた後、数瞬だけフリーズしたハルヒは俺たちに満面の笑みを向けた。
そして…その、だな……実はこの書いている文章はハルヒによる強制的な『泉と俺のデート』についてのレポートなのだ。
あんな事になった経緯を書き記せと言われたのだがもうここらでいいだろう。
もちろんこのグダグダと書いている部分は後で消してハルヒに渡すつもりだ。
つまり俺の現状を客観視したいがための部分である。
はぁ、なぜ俺はこんなことを書かなきゃならんのだ?
俺に罪は無いし、あの虫の知らせに従っていればこんな文を打たずに済んでたしハルヒの大暴れの被害も受けなかっただろう。
ああちなみに大暴れってのは店でjなnハルヒが後ろにいt











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最終更新:2008年05月03日 12:34
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