第2話
~最後のピース~
結構、走った成果もあってか、どうにか学校に着いた。
校庭には桜も咲いている。どうやら本当に四月だと感じられる。
とりあえずさっきの衝突で怪我した場所をハンカチで塞ぎながら俺は校門を見た。
どうやらこの高校は陵桜学園という場所らしい。
陵桜…?どこかで聞いたことがあるところだな…。
こうして考えていると後ろから声が聞こえた。
「おはようございます」
俺は後ろを見ると、いつものスマイルを見せる奴、古泉一樹がいた。
さらに後ろには、長門に朝比奈さんもいる。
俺は古泉に、
「古泉、この状況が分かるか?」と聞いた。
「ええ。どうやらあなたも分かっていますか」
「ああ。ということは、やはりハルヒの仕業か?」
「はい。たぶんそうだと思います」
「機関はどう見てるんだ」
「いえ、機関は全くいつも通りなんです。昨日閉鎖空間が現れたということも聞いていません」
「そうなのか?」
「はい。というより、この不自然さにも気づいていません」
ということは、今回はもっと凄い改変をしたのか…
「わかった。朝比奈さんはどうですか?」
俺は古泉の隣にいた朝比奈さんに聞いてみた。
「いえ…同じように気づいていないんです…。まるで最初からこうだったかのように…」
「そうですか…」
「あと、今日より過去に行けないんです…」
マジですか…。過去に行けなくちゃ原因が分からない…。
「長門、お前の親玉はどうなってる」
俺は最後の期待を長門に賭けた。
長門はいつもの無表情で、
「思念体も機関と同様。」とだけ言った。
おいおい、何なんだよこの状況。
時間は戻るだけならまだしも、北高は無くなってるし、本当に何なんだよ。
さらに、機関も長門の親玉も気づいていないとは。
俺は頭痛を感じ頭を押さえていると、
「どうやらただ事ではないので、少しまとめましょう」と古泉が言った。
「そうだな」と俺は言った。
「とりあえず状況を確認しましょう。昨日は確かに二年生の二学期も終わりが近い十二月の中旬でした。
しかし今日は二年生の始まりである四月の始まりのころです。明らかに不自然ですよね」
「そうだな。だが機関も思念体も朝比奈さんの組織も何も気づいてないんだよな」
「その通りです。今のところこの状況に気づいているのは我々くらいです」
「そして、この改変はハルヒがやったのか?」
「それは間違いないでしょう。しかし気になる点があります」
「何だ?」
「我々の前の高校、つまり北高は関西にあります。しかしこの高校は関東地方にあるのです」
「そうなのか?」
「ええ。今のところわかるのはそのくらいです」
「ああ。長門、古泉、解決策はあるか?」
「今考えている。だが、思念体もわからないから答えが出せない」
長門は無表情で
「そのうえ、TPDDによる時間遡行ができない以上、原因を見つけるのは難しい」
「僕もですね。それにまだ情報が少ないですからね」
あと、と古泉はつなげ、
「これは推測ですが、世界は昨日できたんだと思います」
「そうなのか?」
「はい。多分そうですね。しかしわからない点もあります」
「何がだ?」
「何故涼宮さんは、改変したとき、北高ではなくこの高校を選んだのか、という点ですね」
「そういえば…もしかしたらそれが重要なヒントかもしれないな」
「そうですね」
とりあえず、まず改変した張本人を探さなくては。
「とりあえずハルヒもこの高校にいるのか?」
「そこはわかりませんね…。とりあえず確認はした方が良いんじゃないですか?ちょうどいいものもありますし」
そう言いながら古泉が見たのは二年生のクラス分けの紙だった。
俺はそのクラス分けの紙を見た。
とりあえず俺と同じクラスにハルヒの名前があったので安心した。
「とりあえず、今、我々がやるべきことはわかりました」
古泉はいつもの口調で
「なぜ、涼宮さんはこのような改変を行ったのか見つける必要がありますね」
「とりあえずまず、必要なのは情報だな。今日は午前中だけだから終わったらまたここに集まってくれ」
そう俺が言うと、
「わかりました」と古泉が言った。
「長門と朝比奈さんは?」
「わかった」「わ、わかりました」
長門と朝比奈さんも頷いた。
「では、放課後会いましょう」
そう言いながら、古泉達は学校に行った。
「やれやれ…」
俺も口癖となったセリフを呟きながら教室に向かった。
私たちは途中みゆきと合流し学校に着いた。
「そういえば…」
校門付近でみゆきが何か考え始めた。
「ゆきちゃんどうしたの?なにかかんがえごと?」
つかさがそう聞いたらみゆきは
「はい。今朝、母から閉校した学校の生徒が編入するって言われたんですけど皆さん、聞きました?」
「えぇ!そんなの聞いてないヨ?」
「私もよ」
「そうですか…でも一ヶ月前から決まってたって言ってましたし…」
「一ヶ月前から!?そんなの聞いてないわ!」
「ふむふむ。これは謎ですな~」
なんで知らなかったんだろう。
みんなで考えていると、
「とりあえず今はクラス分けの紙を見ようよ~」
つかさに言われて私たちはクラス分けの紙を見た。
………………な、ない…
「か、かがみん。元気だしなヨ」
「そ、そうだよ!まだ三年生があるから」
「かがみさん。落ち込まないで前向きに」
「そ、そうね…。みんなありがとう…」
まぁ、みさお達とは今年も同じクラスだし、三年生があるからね。
「とりあえず教室に行きましょう。もう他の人たちは行ってしまいましたし」
「そうだネ」
とりあえず私たちは教室に向かった。
さて、とりあえず教室に着いた俺はまわりを見て、とりあえずハルヒに話しかけた。
「よぉ」
「キョン。まさか北高が閉校になるなんて思わなかったわ」
ああ。俺もだ。こんなことになるなんて思わなかったぞ。
とりあえずハルヒが俺のこと覚えていたので安心した。
まず俺は、ハルヒに質問してみた。
「なぁハルヒ。昨日は何月だ?」
「はぁ?あんた今、何質問してるかわかってる?四月に決まってるじゃない!」
ああ。そうですか。ならば、次の質問。
「SOS団はどうする」
「作るに決まってるわよ。SOS団はどんなことがあっても永久に不滅よ」
「わかった」
そう言いながら自分の席に向かいながら考えた。
とりあえずハルヒはSOS団の事を分かっていたので安心した。
だが、やはりこの不自然には気付いていないな。
…そういえば今回、ハルヒが俺の後ろの席じゃない。
俺の後ろの席は空席だった。まだ来てないのか。
まぁとりあえず今は谷口と話をして時間をつぶそう。
「よぉ。谷口」
「キョンか。また同じクラスだな」
「国木田も一緒か」
「今年もよろしく、キョン」
「こいつは誰だ?」
俺は谷口や国木田と話していた人について尋ねた。
「こいつは白石。俺達の新しい友達だ」
「白石みのるといいます。これからよろしく」
「よろしく。俺は…」
「こいつの名前はキョンだ」
谷口…後でボコる。
「はい。よろしく、キョンさん」
「ああ」
こいつ…白石はやけに谷口に声が似ている感じがする。というかDNAや遺伝子まで似ている気がする。
…ん?
また違和感が来た。
白石っていう奴どこかで見たこと…というか、聞いたことがあるような…。
今日は違和感ありまくりの日だな。
とりあえず、今日感じた違和感をまとめよう。
もしかしたら、これが何かこの世界のヒントにつながるかもしれない。
1、見たことがあるような学ラン。
2、聞いたことがあるような高校『陵桜学園』。
3、登校中見た(ぶつかった)女子二人。
そしてアホの谷口に似てる白石みのるという奴。
かなりのピースがある。
だが足りない…この謎を解く決定打となるピースが・・・。
俺はおもむろに教室の戸を見た。
そしたら図ったかのように、戸が開いた。
そして女子が三人入ってきた。
その女子を見た瞬間、パズルがすべてうまったのを感じた。
最終更新:2008年06月16日 00:17