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Snowfall

七誌◆7SHIicilOU氏の作品です。



「今日一緒に帰りませんか?」

 学校帰り、渡されたプリントの束を鞄に詰めて
さぁ長期休暇だと悠々自適に帰宅体制に入ったと同時に
そういう風に声をかけられた

「…構わないさ」

 両手を腹部の辺りで組んで、指先で鞄の持ち手をいじりながら
伏し目がちに俺に声をかけてきた彼女に、俺はそれ以外の答えを有するわけも無く
いまにも涙をこぼしそうな潤んだ目を下から少し覗くように見つめて
俺はそういって、鞄を持って立ち上がった

「行くぞ? どうせならどっか寄り道してくか」
「はい!」

 三々五々、クラスの連中がまだ三分の一も居なくなっていない中
少々以上に視線を感じ俺は些かあわてて教室から退散した


「すいませんキョンさん」
「いや、別に構わないといった筈だが? 気にするなよ」

 眼鏡越しの桃色の瞳はどうにも迷いというか困惑というか戸惑いというか
そういった感情の色を感じさせ、見てる俺を不安にさせた
なにかやっちまったんじゃないか? とかそういう思いに駆られる

「なにか、話したいことがあるんじゃないか?」

 ふいに言葉が口をつく
彼女は少しはっとした表情を見せて、そして微笑んだ

「やっぱりキョンさんにはお見通しなんですね」

 そう微笑む彼女は本当に綺麗で
あぁ、可憐って言葉はこの少女のためにあるのかと
変な納得をしてしまうほどで

「そうなんです、私ずっとキョンさんに言いたいことがあって」

 あいだもずっと動かしていた足をとめる彼女
並んでいた肩が少し離れる俺も合わせてその場に止まるものの
しかし俺のなにかが今の距離を保っておけと言う

「キョンさん、覚えてますか?」

 そう前置きしてから、訥々と彼女は…いやみゆきはこの一年の思い出を語る

「初めて話すきっかけになった日」

 閉まった図書室の扉の前で両手一杯に本を抱えて立ち往生していたみゆき
あの頃は俺はみゆきが同じ学年ということ以外知らなかったな
それからたまに図書室で話すようになったのだっけ

「同じクラスになって、隣の席になったんですよね」

 委員長とか高良と呼ぶようになった頃
そして俺が無意識に集会とか、ふと廊下にでたときに
あの特徴的な桃色のかかった長い髪を探すようになった辺り

「ずっと、です」

 みゆきが一拍置いてから、多分本題に入ったのだろう
俺をまっすぐに見つめてくる
それを正面から俺は見つめ返す

「ずっと想っていたんです」

 はちきれんばかりのその想いを
まっすぐにぶつけてくるみゆき

「好きです」

 俺は、何も言わず
離れた距離を二歩、歩いて縮める
決して低いわけじゃないが、至近に並べば俺との差は歴然で
みゆきは必死に涙の浮かんだ瞳で俺を見上げてくる
その必死さに、小動物チックなものを感じ苦笑し
俺は彼女の眼鏡をそっと外し

「これ、キスには邪魔だろ?」

 言って、更に距離を縮めた
唇が触れるだけの軽いキス
そっと少しだけ顔を離し、頬を染めたみゆきの瞳を
レンズ越しではなく、キチンと見つめて俺はやっと

「今度の休みにさ、どっか二人で行こうぜ」

 そういった
みゆきはとうとうせき止めていた何かが決壊したようで
ぽろぽろと涙をこぼしながら、はい、と頷いた

 

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最終更新:2008年07月02日 22:54
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