俺は今屋上で白石と弁当を食べている。
白石と食べる理由は、白石とはcoco壱のアルバイト仲間であり、弁当を食べるついでにメンチカツの揚げ方のコツなどを教わろうと思ったからだ。
なぜアルバイトをするようになったかというと、SOS団の人数が増えたせいで毎回不思議探索で遅れる俺にとっては出費がどんどんかさみ、このままでは、財布がもたないという事になったからである。
ちなみにアルバイトをする奴はこなたや古泉がいたが、こなたのバイトはコスプレ喫茶のため男の俺はできないし、古泉のバイトは超能力者ではない俺はできないだろう。第一、毎回毎回やつれている古泉の姿をよく見るため、超能力者であってもやりたくはなかった。それで、知り合いの白石から店長にお願いをして俺はcoco壱でアルバイトをさせてもらっている。おかげで財布はなんとかもっている。
それにしても、声は谷口とそっくりなのに性格はとても親しみやすい性格で、白石と話すのがとても楽しい。そのうえ、たまにおっちょこちょいな一面を見せるためとても面白い。
さて揚げ方のコツをしっかりとメモしてお礼を言った後、白石と何気ない会話をしていた。誰かが、屋上のドアから覗いている気がするが気のせいだろうか?
白石「そういえばキョンさん、彼女はいるんですか?」
キョン「あいにく誰もいない。」
白石「意外ですね。キョンさんに好意をもっている方はたくさんいらっしゃるのに。」
キョン「俺なんかに好意をもっても得はしないと思うのだが…。第一、好意をもつならイケメンで成績優秀で性格のいい古泉を選ぶべきだと思うが。」
白石「確かに古泉さんは完璧超人でしょう。でも気づきませんか?あなたに近づこうとしている人がいることを。」
キョン「いったい誰だ?」
白石「ではなぜ、長門さんが毎日coco壱に来店するのでしょう?キョンさんがアルバイトする以前は、一週間に一度でしたよ?」
長門はカレー好きなためcoco壱によく行くとはアルバイトする以前から聞いていた。しかし確かに白石の話からすると、来店する回数が極端に増えているはおかしい。長門が俺目当てに来ることがあるのか?
白石「しかも、長門さんだけではなくキョンさんがバイトし始めてから毎日とまではいかなくても、よくこの店に涼宮さんや朝比奈先輩、泉さんに柊姉妹、高良さん、日下部さん、峰岸さん、小早川さん、岩崎さん、田村さん、パトリシアさんなどが来店していますよ。しかも注文するときは絶対あなたを呼ぶでしょう?余談ですが店長からしてみれば、キョンさんが来てから売り上げが伸びたらしいので喜んでいますが。」
キョン「おいおい、それは本当か?」
白石「はい。つまり、あなたはたくさんの麗しい女性の方々から好意をもたれているのです。」
キョン「気がつかなかったな。まだまだ慣れてないから接客に精一杯で、知り合いが来た回数までは覚えていなかったからな。しかし、俺目当てで来る奴がいるとは思わなかった。」
白石「まあそれが現実です。それより、あなたはどんな女性が好みですか?」
キョン「おいおいおい、難しい上に答えによってはショックを受ける奴がでるような質問をするなよ。」
白石「まあいいじゃないですか。それに、揚げ方のコツをあなたに伝授したのは誰でした?」
キョン「ハァ…、わかったよ。…そうだなぁ、人を例に出したら悪いが、俺は性格的には、古泉とみゆきを足して2で割ったみたいな奴がいいと思う。理由はいつも俺やハルヒだけではなく、周りの人間に対してもあれだけ優しくできるからな。本人の前では恥ずかしくていえないが、毎回毎回本当に感謝しているし、いつも尊敬している。白石、言っておくがその二人にだけ感謝しているわけではなく、もちろんハルヒや朝比奈さん、長門、こなた、柊姉妹、みさお、あやの、ゆたか、みなみ、ひより、パティにも、なにか親切にしてもらったときには感謝してるさ。」
白石「そうですか。ではもう一度訊きますが、そのようなタイプの方が好みであることということに間違いないですね。」
キョン「ああ、ない。」
白石「キョンさんに近づく方の気持ちがよくわかりますね。」
キョン「どういう意味だ?」
白石「いえ、あ、もうすぐお昼休みが終わってしまいますね。そろそろ戻りましょう。」
キョン「あぁ。あ、あと揚げ方のコツに関してだが、本当にありがとな。おかげで、知り合いがメンチカツをたのんでも、うまいのがだせるようになったと思う。」
白石「いえいえ、お役に立ててうれしいです。」
戻ろうとした瞬間、屋上につながる階段からドタドタとものすごい速さで駆け下りていく音が聞こえたと思う。
そして、教室に戻ったときハルヒたちが顔を赤く染めていたのは気のせいだろうか。