原因と結果

『ストーキング』という言葉を聞いて良い思いになる人はいないだろう
ストーキング行為は度を越えた愛情表現などにより生まれるものであり、歴とした犯罪でもある
ただ、時には止むを得ないストーキングもあることを理解して欲しい

今日は古泉がバイトらしく、俺は泉と2人でオセロをやっていた
ハルヒはパソコンをいじっているし、かがみと長門は読書そしてつかさと高良と朝比奈さんは談笑をしていた
それにしても、古泉と比べると他のやつはやっぱり強いな。それほど古泉が弱いって事なのだが
「ねーねー、古泉くんって何のバイトしてるの?」
勝負の最中泉が聞いてくる
泉たちはあいつらがどういった人間なのかを知らないわけだし、バイトの内容は言えたものではない
「さぁな、そこらへんのことは詳しく教えてくれないんだよ」
「ふーん。私もバイトしてるけど、バイト先ぐらい教えてくれても良いのにネ」
確か泉はコスプレ喫茶でバイトしてるんだっけか?確かにコイツらしいといえばそうなのだが
「普通はそういうものよ?バイト先には来て欲しくないでしょうからね」
読書をしているかがみが泉に言った
「なんで?私の場合来て欲しいけどネ」
「アンタの場合、見せるバイトだからでしょ?古泉くんの場合友人に見せれないバイトかもしれないじゃない」
「友人に見せれないバイトって……一体どんなバイトなんだろうネ」
友人に見せれないバイトか、俺は以前見た事があるのだがな
それにしても、何でこんなときにバイトがあるのだろうか
見たところハルヒは機嫌が悪そうではないし、閉鎖空間が発生するとは思いづらい
専ら、機嫌が良いというわけでもないのだが

そう思っていたらパソコンを見ていたハルヒはいきなり机を叩き出した
そしてその後、団長は解散宣言をすると同時にカバンを持ち少し早歩きで外へと出て行った
「どうしたんだろうネ?ハルにゃん」
少し驚いた様子でハルヒの出て行ったドアを泉が見ている
「さぁな。まぁとりあえずは解散だ」
結局、この後皆帰路へつくこととなった

……なったと思ったんだけどな

俺も部室を出ようとすると、携帯が震えだした
手に取り、連絡先を見ると『古泉』の名前が書かれてある
嫌な予感がしつつも通話ボタンを押すしかない
「どうした?」
「今日は一日いなくてすいません。なにしろ、ここ最近閉鎖空間の発生率が多くなっていますので」
「らしいな。因みに、さっきも機嫌悪そうに出て行ったぞ」
「そのようですね。実は先ほどまた閉鎖空間が出現いたしまして、こちらも急いで対応しているのですが、なにぶんこちらも忙しくて」
「で、俺に電話してきたのは愚痴をこぼすためだけか?」
「いえいえ。その言い様だと原因はあなたではないようですから」
確かに、今回はハルヒが勝手に怒ってるだけだからな、俺は心当たりは無いからな
「ですので、あなたに原因を調べて欲しいのです」
「原因?あいつは人に素直に不満を述べるようなやつではないぞ」
「ええ、ですので長門さんの力を借りてください。詳しい事は長門さんに言います。そこに長門さんはいますか?」
長門の場所を見ると、まだ長門は本を読んでいた
「長門、古泉から電話だ」
そう言って携帯電話を差し出すと、長門は一度だけ縦に頷き携帯電話を取った

会話はあっという間に終わったらしく、長門は俺に携帯電話を返してきた
「それで、俺はどうしたらいいんだ?」
「はい。まず、長門さんにあなたの姿を縮小化していただきます。人の目では見えないほどに」
そんなことが可能なのか?長門
「……出来ない事は無い」
「そして、その姿のまま涼宮さんの後をつけて行ってください」
つける?俺にストーカーになれということか?
「悪く言えばそうですが、良く言えば探偵のようなものです」
「どちらもいい気はしないがな」
「そう言わないでください。これも世界平和のためだと思って、よろしくお願いします」
はぁ、何で俺は一般人なのに、こんなことに巻き込まれなきゃならんのだ
「では、ぼくも閉鎖空間の方へと行かないといけませんので」
そう言うと古泉は電話を切った
俺も携帯をポケットに突っ込む

「……今からあなたの姿を縮小化させる」
「ああ、やってくれ」
すると長門は人には理解しがたい呪文を唱えだす
唱え終えると見る見るうちに長門の姿が大きくなっていく
いや、俺が小さくなっているだけなのだが
「俺、浮いてないか?」
「浮いている。そして、あなたは今最高速度30km前後まで出す事が可能」
結構早いな、電柱にでも当たったらから体が潰れるな
「気をつけて。……今、涼宮ハルヒは商店街にいる」
「そうか。ありがとうな、長門」
こうして俺のストーキングは始まった

そういえば戻り方聞いてないな


これが、俺の止むを得ないストーキングだ
モチロン、度を越えた愛情によって行われるものでもない
ハルヒに追いついた俺はハルヒの2,3m後ろをつけている
ハルヒもどうやら俺の存在には気づいていないらしい
それにしても、飛ぶというのは案外難しいものである
意識しないと降下していくし、風などの配慮も考えなければいけないのだから
おっと、ハルヒが店の中へ入ろうとしてやがる
自動ドアだからハルヒが入ると同時に入らないと入れないからな

間一髪で入る事ができた
どうやらここは本屋らしい
ハルヒは一直線へと、とある場所へと向っていった
「パソコン関係の場所か?」
するとハルヒは一冊の本を取り出した


『もてるホームページの作り方』

ハルヒはその本のとあるページを熱心に読んでいる
……なるほど、そう言うことか

原因がわかった俺は、長門の家へ行き姿を元に戻して貰った後、古泉に俺なりのハルヒの不満の原因を述べた
古泉はそれを聞いた後すぐにその対処法に乗り出したのか、次の日はハルヒの機嫌がよかった

「昨日話してたんだけど古泉くんって何のバイトしてるの?」
今日は古泉はバイトが無いらしく、俺と一緒に将棋をしている
昨日泉と勝負をやった後だからより一層弱く感じるな
「そうですね……パソコン関係とでも言っておきましょうか」
「へぇ~。んじゃ私と同類だネ」
「あんたと一緒にするな!古泉くんがかわいそうだろ」


「見なさいキョン。昨日から今日にかけてこんなにアクセス数が増えたわよ!」




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最終更新:2008年08月29日 20:19
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