諸刃の対処

「あなたは一目惚れ、と言うのを信じますか?」
 いつものように部室で古泉とオセロをやっていると古泉が呟いた

「どうだろうね。俺自身、そんな事した事ないからわからんな」
 黒色の石がが次々と白色へと変わっていく
「そうですか。泉さんはどう思います?」
 そう言って古泉は俺の隣で携帯ゲーム機を持ってゲームをしている泉に尋ねた
「ん~、どうだろネ。ギャルゲとかならよくあるけど、実際の所は私もしたことはないからネ」
 と、ゲームをしながら適当に返事をする
 古泉、お前は質問相手を間違っている。俺や泉みたいに恋愛経験値がほぼ皆無な奴にそんなことを聞いてどうするんだ
「……それは酷くない?キョンキョンや」
「それより、何でいきなりそんなことを聞いてくるんだ?何か意図があっての質問だろう」
「ええ、実は先程ここへ来る途中一人の女性に会いまして。恋文、世間一般で言うラブレターを貰ったのですよ」
 その言葉を聞いた瞬間、泉はゲームをやめ糸目の目を開き、輝かせた
「おぉ、流石は学校随一の美少年。常にフラグ立ちまくりだネ」
「ありがとうございます。それを読んでいるとどうやら僕に一目惚れをしたらしくて」
「うんうん。それで?」
 俺自身、こんな話に興味はないのだが泉はやたらと敏感に反応している
 コイツはリアルでゲームをしている気分にでもなっているのだろうか

「どう返事をしようか、困っていた所なんです」
「そんなの付き合っちゃえばイーじゃん」
「まぁ急かすな泉。古泉はどうしたいんだ?」
「どう、と言いますと?」
「付き合いたのか付き合いたくないのか。それと、一目惚れに対して、お前はどう思っているのか」
 古泉は、勝率が0パーセントとなっているオセロに最後の一つを置き話し始めた
「僕は一目惚れというのは余り信じない方ですので。付き合いたくない、と言ったらあれなのですが……付き合う余裕が無い、と言った方が妥当でしょうか」
 確かに、古泉は世界の命運を握っている超能力者なわけだし、付き合っても長くは続かないんだろうな
「ええー、付き合っちゃえば良いのに」
 泉はあれだな。自分が人一倍恋愛に縁がないから他人の恋愛にやたら首を突っ込むタイプなんだな
「失礼だネ。私だって人並みに恋愛してるヨ」
 ほほう。誰にだ?
「そんなの言えるわけ無いジャン。乙女の悩みは乙女にしか言わないものなのヨ」
 そう言って泉は見開いていた目を再び糸目に戻した
「だったら、何で私にも教えてくれないのよ」
 本を読んでいたかがみが泉に言った
「それはかがみんが乙女じゃない……っていったぁ!」
 かがみの拳骨が泉の頭にクリーンヒットし、泉はイスから落ち、のた打ち回っている
「今度から言葉に気をつけなさい。こなた」
 その笑みがとても恐ろしく見える

「では、本題に戻ってよろしいでしょうか」
 オセロの片づけをしていた古泉が笑みを浮かべ俺に言った
 俺は悪くないぞ?悪いのは泉だからな
「それで、どうやって断ったら言いのか分からなくて」
 なんだ、お前みたいな学校でも1,2番を争そうようなイケテルメンツでも、そういったのを知らないものなのか
「ええ、直接の告白は幾度かありますが、ラブレターを貰ってからの返事だとどうしたら良いのか」
 別に羨ましく無いのは何でなのだろうか。それは古泉の持つ「もててますオーラ」にどことなく嫌な感じも混ざっているからだろうか
 とりあえず、谷口が今ここにいたらお前を殺しにかかると思うから、気をつけておけ
「そんなの普通にゴメンって言えば良いんじゃない?」
 泉に拳骨をした右手を押さえながらかがみがいった
「そうかもしれんが、呼んでおいて返事はこれだけかって感じになったら後味悪いぞ」
「その通りです。ですので、もっともらしい理由が欲しいのですが……」
 まぁ、そのもっともらしい理由も嘘になるわけだな
「恐らくは、そうなるでしょう」

「だったら簡単だヨ」
 頭に出来たタンコブを押さえながら泉が言った
 再び、目に輝きが戻っているのは気のせいではないだろう
「他に好きな人がいるって感じの事言っちゃえば良いんだヨ」
 他に好きな人って……誰だ?とか聞かれたらどう答えるんだよ
「そこらへんは私に任せて。一つ聞いとくけど、古泉くん」
「なんでしょうか?」
「とりあえず、高校生活で彼女作る気はないんだネ?」
「ええ」
 おい泉、何を吹き込むつもりだ?
「これは諸刃の剣なのだヨ。運悪ければ一生彼女ができなくなるけど、それでも良いかネ?」
「……は、はぁ」
 古泉は少し事が大袈裟になったな、と言った感じで泉の方を向いている
「だったら……」
 泉は古泉の方へいき足りない身長を必死に伸ばして耳打ちをしている
 古泉の顔が少し引きつってるが気のせいか?

 後日、古泉はその相手としっかりとケリをつけたらしい
 それにしても、泉は一体どんな事を吹き込んだのだろうか
 そして、それ以降古泉に告白しようと言う女子は減ったようだ。女子には
 その一方で古泉は再び別のことで悩まされる事となる

「あなたは、同性愛好者をどう思いますか?」






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最終更新:2008年09月13日 16:58
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