お兄ちゃん

終業式が終わり、学生の大半は見たくもない通知表が帰ってきて憂鬱になると思うころ、今のところ俺、ハルヒ、こなたしかいない文芸部室で、俺はいつものように放課後、転寝をしていた。

ハルヒ「ちょっとキョン!起きなさい!」
キョン「せっかく気持ちよく寝ていたのに、いきなり何しやがる」
ハルヒ「今日は何の日か忘れたの!?」
キョン「終業式だが」
ハルヒ「何言ってるの!今日はゆたかちゃんの誕生日でしょ!」
キョン「え!?」
こなた「そうだよキョンキョン、今日はゆーちゃんの誕生日だよ」
ハルヒ「だから、今から準備してゆたかちゃんの誕生パーティーをするんじゃない!キョン、ゆたかちゃんへのプレゼントを考えて持ってきたでしょうね?」
キョン「何!?お前いつそんなことを言った?」
ハルヒ「おとといの夜にメールをしたじゃない」
そういえばおとといはいつもより早く寝てしまって、携帯なんかには一度も触れてなかった。
昨日も同じで、携帯には触れてない。
こなた「どうするのさキョンキョン、もうすぐゆーちゃん達が来ちゃうよ」
キョン「……………。」

12月20日 そうか、今日はゆたかの誕生日だったか。
しかし困ったな。ゆたかの誕生日をメールで知っていればそれなりのものを用意できたんだが、メールを見ていなかったからなぁ。
どうしようか……。……そうだ、これでいこうか…。

途中から、長門、古泉、朝比奈さん、鶴屋さん、かがみ、つかさ、みゆき、みなみ、ひより、パティがやってきて準備をした後、主役のゆたかがやってきた。
飾られた部室には、鶴屋さんやつかさが持ってきた料理が並んでいる。

ハルヒ「誕生日おめでとう!ゆたかちゃん」
ゆたか「きょ、今日は、私のためにこんなすごいサプライズを世、用意してくれてあ、あ、ありがとうございます!」
かがみ「いいのよゆたかちゃん。今日は、ゆたかちゃんが主役の日なんだから」
鶴屋「そうにょろ、めがっさ楽しむっさ!」
みなみ「……誕生日おめでとう……ゆたか……」
古泉「本当におめでとうございます」

さてさて、料理を一通り片付けた後、プレゼント渡しが行われた。
ちなみに俺以外の持ってきた人の持ってきたものは…。

こなた…自作ネットゲーム
かがみ…鷹宮神社のお守り
つかさ…バルサミコ酢
みゆき…ネックレス
ハルヒ…カチューシャ
朝比奈さん…ビーズの指輪
長門…カレーセット
古泉…腕時計
鶴屋さん…高そうな花瓶
みなみ…有名音楽家のCD
ひより…自作同人誌
パティ…コスプレ衣装
であった。

鶴屋「あれぇ、キョン君だけまだ渡してないにょろ~」
みくる「本当ですね、どうしました?」

さて、一か八か、これでだめなら自殺を覚悟してでもやってみるか。

 

キョン「すまん、ゆたか。お前に渡せるものを用意できなかった。そのかわりに、俺のできる範囲のことであればなんでも言ってほしい。それじゃあだめか?」

 

ゆたか「え!?えっと…、じゃ、じゃあ、きょ、今から一週間、私のお兄ちゃんになってください!」


あぅ~、恥ずかしいことをいっちゃったよ~///
で、でも、今日は私の誕生日だからいいよね…。
古泉先輩も含めて、SOS団のみんなは全員キョン先輩のことが好きなのはわかっているから、抜け駆けはよくないことはわかってはいるけど…。
けど、何でも言っていいといったから、もしOKだったらこのチャンスを使ってキョン先輩に振り向いてもらうようにがんばろっ!

 

キョン「……そんなことでいいのか?もしそれでいいのなら構わないが」
ゆたか「(こ、これってOKってことだよね、やったー///)あ、ありがとうございます!お兄ちゃん」
キョン「///おいおい、いきなりそんなよび方になるのか、…まあいいか」
ゆたか「(う、うれしすぎてたまらないよ~)」


ハルヒ「(何よキョン、何でゆたかちゃんにはやってあたしの時にはそのサプライズをやってくれなかったのよ……)」
長門・みなみ「「(………うらやましい)」」
つかさ「(いいなぁ~、ゆたかちゃん)」
みゆき「(微笑ましい光景ですね。しかし、同時にうらやましくも思います)」
ひより「(すごすぎるッス!わたしにはそんなことも思いつかなかったッス…)」
古泉「(僕もキョンたんをお兄ちゃんと呼んでみたいです……)」
パティ「(ソノセメかたもあったんですネー)」


自殺覚悟でやったアレの答えがこれになるとは思わなかった。
実の妹からお兄ちゃんと呼ばれない俺にはとても嬉しいことだったから、とてもよかった。
しかし、1週間とはいえども、兄としては妹のゆたかに一体何をしてやればいいのだろうか。

 

ゆたかが1週間、俺の妹になってからというもの、誕生日前と変わらぬいつも通りの日々を過ごしていた。
変わったことといえば、以前より会話の数が多くなったことと、キョン先輩ではなく、お兄ちゃんと呼ばれたことだろうか。

 

さて、誕生日から6日たった12月25日、ゆたかは、甘えるようにして俺に尋ねてきた。

ゆたか「お兄ちゃん、明日の予定はあいてますか?」
キョン「まぁ、あいてはいるが」
ゆたか「わ、私と買い物に付き合ってください!」
キョン「買い物か…。よし、行こうか」
ゆたか「(や、やった~///)なら、明日、朝9時に駅前でいいですか?」
キョン「わかった、楽しみにしているよ」
ゆたか「は、はい!」

やったぁ~///お兄ちゃんとデートすることができるんだ!
明日は何を着ていこうか。
お弁当を作ったほうがいいよね!
あぁ~明日が待ち遠しいよぉ…

朝、私はいつもより早く起きて弁当作りにかかった。
弁当を作っていると、何度も何度もお兄ちゃんが嬉しそうに弁当を食べている姿が頭に浮かんでもう大変。
お兄ちゃんが満足してくれたらいっそ天国にも飛べちゃうよ~。
…まだ死にたくはないけど。
弁当を作り終えた後、私はこなたおねえちゃんが起きるよりも前に家を出た。
駅前には30分以上前についてしまったけれど、それでも私は構わない。
待つ時間が長ければ長いほど、会えたときに嬉しさは増すものだから。
今日は、振り向いてもらえるようにがんばろっ!

…約束の時間まであと3分のところで、お兄ちゃんはやってきた。
キョン「すまん、ゆたか。待たせてしまって」
ゆたか「いいんですよ。全然気にしてないですから」
キョン「そうかい、じゃあいこうか」
ゆたか「は、はい!」

それから私とお兄ちゃんは、洋服屋をのぞいたり、雑貨屋をのぞいたりした。
お兄ちゃんといるととても楽しい。
しかしやっぱり1週間の兄ではなく、恋人同士の仲になりたい。
やっぱりだめなことなのだろうか。
ううん、そんなことはない。絶対に恋人同士の仲にしてみせる!

お昼になり、大きな公園で私が作ったお弁当を食べた。

キョン「モグモグ…、ゆたかが作ったこのお弁当とてもおいしいなぁ。毎日でも食べたいぐらいだ」
ゆたか「ほ、本当ですか!」
キョン「あぁ。実の妹はこんなことをしてくれないからな。こんな妹だったら本当に嬉しいよ」
ゆたか「やっ、やったぁー」

…今日、俺はゆたかの買い物に付き合っているのだが、ゆたかを見ていて、正直かわいいと思う。
誕生日前はまったく考えもしなかったことだが。
もちろん外見もそうなのだが、仕草や性格がとてもかわいかった。
ゆたかと一緒にいると幸せな気分になれる。
今のところは俺の1週間の妹ということになっているのだが、もう少し発展してくれないだろうか。
1週間の妹としてではなく、人生のパートナーとして一緒にいたい。
しかしそれはかなわぬ夢なのだろうか。

…よし、どこかで思い切って告白してみるか!

さて、弁当のあと、俺とゆたかはデパートで買い物をしたり、ゲーセンで遊んだりした。
そして最後に、デパートの屋上にある、観覧車に乗った。

今が…チャンス!

キョン「なぁ、ゆたか」
ゆたか「?なんでしょうお兄ちゃん」
キョン「冗談と思うかもしれないが、俺は本気だからきいてほしい。ゆたか……好きだ!」
ゆたか「…………おにいちゃんんんんんんんっっっっっっっっっ……………」

ゆたかは俺に抱きついて泣きながら声を出した。

ゆたか「ひっぐひっく……ううっ…お兄ちゃんありがとう…ございます…ずっと、ずっとかなわないものだと思ってて…それに今日は、一週間の約束の最後の日で……もうお兄ちゃんと呼べなくなると思うと……でも本当に…ひっぐ……良かったです、わ、私も…好きです!」
キョン「…よかった……本当に良かった。…ゆたか、これからは一生お前を大事にする。絶対約束する」
ゆたか「は、はい!」

その後、涙を拭いたゆたかとキスをした。

 

数年後、俺とゆたかはめでたく結婚をし、子供もできた。
ゆたかにいつも支えられ、本当に幸せな毎日を過ごしている。

 

 

 

 

 

 

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最終更新:2008年09月22日 01:02
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