『嫉妬、ツンデレ、勘違いにて』

暑かった夏もどこかへ行き、過ごしやすい涼しい季節になってきた
 二学期が始まって早一月が経つ。こうも涼しいと授業中もウトウトとしちゃいます

「ようやく終わった~」
 本日もわたし、柊つかさは睡魔に打ち勝ちました。と心の中で呟きながら帰り支度をすませる
 今日はハルちゃんが「部活は無し」って言ってたから家へと直帰できる
 ……別に嫌って言うわけじゃないよ?
「おーっす。帰るわよ」
 お姉ちゃんが自分のクラスからわたし達のクラスまで足を運びにくる
 こなちゃんとゆきちゃんも既に帰り支度を終えており、私は慌てて荷物を鞄へ詰め込む

「おい、かがみ。ちょっといいか?」
 と、いきなり隣から声が聞こえてきた
 左を見ると、キョン君がいてキョン君がお姉ちゃんを呼んでいた
「何よ?」
「聞きたい事があるんだ。少し部室までついてきてくれ」
 キョン君はお姉ちゃんに頼み込む
「……わかったわよ。ゴメン、先に帰ってて」
 そう言ってキョン君とお姉ちゃんは部室へと向っていった

「もしかして、かがみんへの愛の告白かナ~」
 三人での下校中、こなちゃんがさっきの出来事について言った
 唐突だけど、私はキョン君のことが好きだ
 けどもしこなちゃんの言ったとおりキョン君がお姉ちゃんに告白とかしてたらどうしよう……?
 そのときは素直に「お姉ちゃんおめでとう」と言えるかな?
 そんな不安が、頭の中をよぎっていた



「ただいま~」
「おかえりなさ~い」
 私が家についてから一時間ぐらいたった後、お姉ちゃんは帰ってきた
 お姉ちゃんにキョン君と何が合ったのか知りたい、聞きたい。けど、質問の答えを聞くのが怖い
 こなちゃんの予想が当たっているかもしれないから
 だけど、いずれは知っちゃうこと。それならやっぱり早めに知っておいた方が良いよね
「お姉ちゃん」
 私は決心をしてお姉ちゃんを呼んだ
「何?」
「その……今日、キョン君になんで呼ばれたのかなーって……」
 私は勇気を出して質問を投げかけた
 お姉ちゃんは少しニヤッとした笑いをこっちに向けてくる
「知りたい?」
「うん」
「どうしても?」
「う、うん」
 そういった後お姉ちゃんは黙り込む
 クイズ番組で回答者が答えを言ってから、司会者が答えを発表するまでの緊張した間のような感じがした
 簡単に言うなら、私の読みが正しいのか誤っているのかわからない間
 私としては、誤っていて欲しいけど
 すると、お姉ちゃんは再びニヤリと笑った
「教えなーい」
「なっ、なんですとー!?」
 予想外の余り、変な言葉が口から出てしまった
 それにしても、回答を教えてくれない司会者なんて、酷すぎるよ
「ふふっ、冗談よ冗談。実はね勉強でわからないところ教えてあげてたの」
 なんだ、そんなことだったんだ
 変に心配して損しちゃったよ
「変に心配ってなによ?もしかして、変な想像してたんじゃないの?」
 ギクッ、とお姉ちゃんの言葉の矢が私の胸を貫通する
「そんなことないよ?」
 とだけ言って、私はその場から逃げるように自分の部屋へ向った



 次の日も部活がなかった
 どうやらハルちゃんが不思議を見つけたらしく、一人でそれを追求しにいったらしい。ハルちゃんらしいね
 この日も、キョン君はお姉ちゃんを放課後部室へと連れて行った
 いや、逆かな?今日はお姉ちゃんがキョン君を連れて行ったと言ったほうがいいのかな?
 また勉強の事なのかな?
「いいや、違うネ。これは絶対付き合ってるよ」
 昨日のことをこなちゃんに言うと、こなちゃんはそう返した
「でも、根拠がありませんよ?」
 ゆきちゃんが静かに質問をした
「簡単だヨ。勉強の事なら普通、かがみよりみゆきさんに教えてもらう方が妥当でしょ?それに、今日はキョンキョンからじゃなくかがみから誘ったんだヨ?これは絶対何かあるネ」
 そういえばそうだね。こなちゃん探偵みたい
「いやぁ~それほどでも」
 こなちゃんは照れたように頭を掻く
 でも、そうだと私の昨日の安堵は無駄になってしまう
 そりゃそうだよね。お姉ちゃんは私と違って、頭も良いし心が強いから好きになるのも仕方がないよね
 諦めるしかないのかな……

「つ~かさ」
 こなちゃんが私の背中を押してきた
「どうしたの?」
「やらないで後悔するより、やって後悔した方が良いと思うヨ?」
 それってどういう意味?
「まっ、これは朝倉さんの受け売りなんだけどね。知ってるよ?キョンキョンの事好きなんでしょ?」
「えっ?どうしてそれを……」
「つかさは分かりやすいからネ。それに、まだ付き合ってるとは決まってないヨ」
 それもそうだけど、付き合ってるって言ったのはこなちゃんだよ?
「うっ、いいからいいから。ネ?」
 そうだね……わかった。私、告白するよ
「さっすが、それでこそつかさだヨ」
 そう言ってこなちゃんは私の背中を押した
 それだけでも、私の勇気を後押ししてくれた気がした

「キョン君!」
「うお、いきなり大声出してどうした?」
「今日放課後、教室で待っててくれないかな?」
「別に構わんが、どんな用事だ?」
「それが言えないから放課後に言うの。絶対に待っててよ」
「ああ、わかったよ」
 どうやら、彼も了承してくれたようだ
 まずは第一段階クリアかな



 こなちゃんとゆきちゃん、それにお姉ちゃんには先に帰ってもらった
 私とキョン君だけになったのを見計らって私は口を動かす
「私……キョン君のこと好きなの」
 彼は驚いた表情を見せる
 けど、その表情はすぐに緩み、笑顔へと変わっていった
「……俺もだよ」
 ……え?両想いって事?
 でもキョン君にはおねえちゃんがいるんじゃ……
「私が教えてあげるわよ」
 といきなりドアを開けてお姉ちゃんが言った
 って、帰ったんじゃなかったの?

「実はね、キョン君につかさの事で相談されたのよ」
 私のことで?
「そ、つかさのことが好きになったからどうしたら良いか、ってね」
 その言葉を聴いて、キョン君のほうを向くとキョン君は俯いて顔を真っ赤にさせているのがわかった
「だけど、自分から告白するのは恥ずかしいから、どうやってつかさに気持ちを伝えれば良いのか知りたかったのよ」
 そんな……素直に告白してくれたら私もすぐ返事できたのに
「まあキョン君はこなたで言うところの“ツンデレ”ってやつだから。で、私はアンタの気持ちも知ってたからそれを利用しようと思ったわけよ」
 利用する?どうやって?というより、私の気持ち知ってたんだ……
「あんたはわかりやすいしのよ。それに妬きやすい性格なのも知ってるから。私とキョン君が付き合ってるかのようにしてたら、アンタから告白すると思ってね」
 ……そんなところまで計算してたとは、お姉ちゃんは凄いや
「けどまぁ、アンタを後押ししたのはこなただったらしいじゃない」
 お姉ちゃんは後押ししたのがこなちゃんだったのが意外だったようで、少し驚きを隠せないでいた
 ……ありがとうね、こなちゃん

 とりあえず、私の不安は勘違いですんでよかった。それに想い人と一緒になれたことだし、終わりよければ全てよし。だね






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最終更新:2008年10月05日 21:45
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