『バレンタイン、それぞれの義理』
1.こなたの義理
「やふーキョンキョン、こんな日でもチミは相変わらずかね?
まさか今日という日が何か、忘れてたりするのかね?
それとも、あきらめながらもしかし律儀にも、
下駄箱や机の中を一度は覗き込む位のことはするのかね?
そんな超然もしくは諦観の境地にたどり着きそうなチミに朗報だよ。
はいっ、これ。
そうそう、説明するまでもない代物だよ。
あー、言うまでもないと思うけど義理だからね、勘違いしないでよねっ。
別にアンタのためだけに用意したわけじゃないんだk・・・
はいはいツンデレツンデレって・・・いうじゃんよキョンキョン
にゅふふふ、流石はキョンキョン、伊達に私の話と付き合ってるわけじゃないねぇ。
あーって、ねー、あきれんといてー、サーセンっしたー、調子こいていましたー。
んまあ実際、義理というからには、古泉君や白石やその他にもあげてるんだけど、
実は、キョンキョンには特別上乗せ大サービスしてるのだよ。
・・・これはね、お礼も含んでるんよ。
こんなふうに、あきれながらも私の話に付いてってくれるのって、
考えてみたら、男子ではキョンキョンだけだからね~。
だから、私のスペシャル義理、心して受け取りたまへ~。
あ、お礼?いいっていいって、何度も言うけど、これは日ごろの気持ちなんだから。
気がすまない?こんな豪華なものに・・・?一応、誉めてくれてるんだキョンキョンwww
いやぁ~特別大サービス加えた甲斐があったというものだよ、うんwww
じゃあ折角だからホワイトデー期待しちゃおっかな~。
ああ、大丈夫だよキョンキョン、3倍返しだなんてそんな某神様みたいなこと言わないからwwww
そいじゃ、確かに渡したからね、ちゃんと味わいなよ。
妹ちゃんとかにあげたら呪われるぞよ~~~www」
はぁ~・・・一晩かけた特別版とはいえ、ココまでフォローしたからねぇ・・・
あの鈍感キョンキョンのことだ、義理と判断してくれるっしょ
でもね・・・少しは感づいてくれても、バチはあたらないんだよキョンキョン・・・
2.つかさの義理
「あ・・・キョン君、はいっ、これ。ハッピーバレンタイン!
・・・え?もちろん義理だよ。ええっ?そんなに豪華かなあ・・・
・・・勘違いされる?ああ、それ、こなちゃんにも言われたよ~
だからね、他の人にあげてるときも、もちろんちゃんと義理っていってるし、
古泉君のような、よく見知ってる人にしか、基本的にあげてないしね~。
ああ、もちろん男子だけじゃなく、こなちゃん達にもあげてるよ。
・・・え・・え?あ・・・ありがと・・・そんなに誉められちゃうと
なんか照れるよぉ・・・えへへ・・・。
キョン君には、いつも私がドジってるときとかに助けてもらってるし、
これくらいは同然だよぉ・・・え?お礼・・・そんな!いいよ!
え?ホワイトデー?あ・・・うん、それなら、楽しみにする!
じゃあ、またねキョン君!」
・・・実は、キョン君にあげたのって、他のより(ちょっと)増量してるんだよね・・・
デコレーションも(ちょっと)豪華にしちゃってるんだよね・・・
はぅ~こんなこと初めてだよぉ~・・・今までこんなことなかったのにぃ~
どうしてなんだろ・・・いつものチョコ手渡しに比べて、
こんなにドキドキしてるの・・・。
3.かがみの義理
「あ、いたいた!
はいっ、これ!何かって!?チョコレートに決まってるじゃないの!
ごめん冗談・・・って・・・ほんとにもう・・・
どうせ私は不器用ですよ・・・ああ・・・そんな頭下げてあやまらなくても・・・
分かった分かった・・・あーもうー・・・あ、一応言っておくけど義理だから。
どうせこなたたちに比べて見劣りするだろうけ・・・え・・・
一口・・・何も今ココでなんて・・・
え・・・え・・・そんな・・・・美味しいって・・・?無理とかしてない?
マジ・・・?そんなに・・・?あ、その、そこまで言われると、うれしいな・・・
一応こんなんでも、苦労はしたからね、甲斐があった、ってことかな・・・。
えええ?そんなお礼だなんて!!こんなものに!!
え?キョン君目マジ・・・あ・・・こんなもの、じゃないよね・・・ゴメン・・・ありがt・・・
・・・ああホワイトデーね・・・わかった、期待しないで待ってあげる。
あーそんな顔しないの、冗談!ちゃんと期待してるんだから!
じゃあねキョン君!!」
・・・っしゃあああああああああ!!キョン君に誉めてもらった~~~~!!!
どうせ義理だとしか認識してくれないだろうけど、今日の私はこれでJust Do It!!
あ、他の人の分、すっかり忘れてた、まあいいや、えへへ・・・。
4.みゆきの義理
「あ、キョンさん。これ。聖ヴァレンタインデーのチョコです。
ヴァレンティヌスの没日として有名な日でもあり、
世界的には、女性が男性にプレゼントをして愛を誓う、そんな日ですね。
もっとも、プレゼントをチョコと限定する習慣をつけたのは、日本が最初らしいですね。
・・・あ、ごめんなさい、いつもの癖が・・・
・・・えと、もちろんこちらは、義理、とよばれるものですよ。
いかがでしょうか、お気に召していただけましたでしょうか。
一応、洋菓子店を色々廻って見て土台となるチョコを購入いたしまして、
飾りつけなど色々アレンジしてみたのですが・・・。
そ、そんな、豪華すぎとか、そんなことはないですって・・・そんなに恐縮なさらなくても。
ご、ごめんなさい、私のほうこそ差し出がましかったでしょうか・・・
・・・
・・・え?キョンさん・・・?
ゴメンって・・・?そんな、いつも世話にって・・・そこまで言ってくださるのですか・・・?
そんなことおっしゃるなら、私だっていつもキョンさんにはお世話に・・・。
私がぼーっとしてて、つい失態をしてしまったときとか・・・
随分助けていただいて・・・そうですね・・・お互い様、ですね・・・クスッ。
お礼・・・?そんな・・・結構です、日ごろのお礼・・・ああ、
お返しの日、ですね、そして、お互い様、ですね。
分かりました。楽しみにさせていただきます。
では、失礼します」
はぁ・・・困ってしまいました。
どきどきが、止まりません・・・
キョンさん・・・あなたは・・・優しすぎます・・・
はぁ・・・義理・・・ですか・・・。