「つかさの場合」
風車が、まわる。
そよ風を受けて、ふわふわと。
「つかさは器用だな」
「えへへ~」
風車は回る。ゆっくりと、ゆっくりと。
丁寧に千代紙で折られた和風な風車は、小さな風を受け止めて周り続ける。
「作り方教えるからキョン君もやってみる?」
「いや、やめとく。つかさが折ったのがあれば俺は十分」
「えへ~」
窓際に置かれた風車。
網戸越しに入ってくる風は温かく、春先の匂いを感じずには居られない。
桜もすでに満開どころか散り始め、北日本でも満開の桜が見れる。
ゆっくりとずれてく季節になにやら感慨を感じつつ、
桃色の風車はしっかりとゆっくりとまんじりと回る。
「ゆっくり、な」
「ん?」
「俺達もゆっくり行こうな、焦らなくていいよな?」
「うん」
最終更新:2009年05月25日 01:04