「パティの場合」
風車が、まわ―
「これはなんデスか?」
「指でつまむな、羽は折れたら回んなくなるんだよ、いますぐ離せ」
まわる、少しばかしぎこちない動きでまわる。
少し歪な風車、それはテープで棚にはっつけられて、
部屋に微妙な不協和音をばら撒く。
「で、なんなんデスかこれは?」
「風車だよ、風を受けてくるくる回るってだけの昔からあるものだ」
「見ててキョンは楽しい?」
「微妙」
金髪蒼眼のテンプレートな外国人の少女は、
俺が作ったへたくそな風車をじっと眺めている。
それは、なんだろう、子供が始めて見るものに興味と好奇心を漲らせるような、
見ててつい微笑がこぼれるような幼い仕草。
漏らした笑みに気付いた少女はその目を俺に戻して
やはり幼い仕草で頬を膨らませる。
「なに笑ってるんデスか!?」
「いや、パティは可愛いなって思ってさ」
「はぇ?」
「なんでもないよ。ったく、お前はいつまでもそのまんまで居てくれよ?」
「ちょ、ちょっと! もう一回! もう一回言ってヨキョン!」
「やーだ」
最終更新:2009年05月25日 01:05