「風車 古泉の場合」


「古泉の場合」

 風車が、まわる。
俺の薄れ行く視界の目の前で、くるくると。
首にかかるのは一本の糸、俺の足が宙を掻く。

「あなたが悪いんですよ…」

 首にかかる細い糸は、
見知った男の手の内につながり、
滑車の要領で俺を浮かす。

「さようなら」

 声がでず、俺は最後に遺言も残せずに、
ただ古泉がその手元の糸をピンと弾くのを見つめることしかできなかった。


 必殺

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最終更新:2009年05月25日 01:08
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