激しい動揺と興奮がおさまらぬまま、俺はタオル片手に早足で、大浴場へと向かっていた。
そりゃ俺だって男だから、ああいう流れに巻き込まれて、行くところまで行ってみたいという気持ちはある。
遊びなれたヤツなら、ゆいさんや黒井先生の挑発に上手く乗って、あわよくばよろしく致そうという事になるのだろうが、当方あいにく、10も年上の女性2人を手玉に取れるほどの器量など、持ち合わせていない。
正直、据え膳食わぬはなんとやらで惜しい気もしなくはない・・・って俺、なに考えてんだ。据え膳食わぬは男の恥なんて、理性なきスケベの言い訳、俺がもっとも嫌ってきた考え方じゃないか。
それにあそこで俺が本気になったからとて、どうなったわけでもあるまい。挑みかかったりしたら・・・
「キョン~、冗談にきまっとるやないか。ウチ、10も年下の教え子とやる気はあらへんで~、あはは」
「キョン君、私旦那持ちって知ってるでしょ。知ってて迫ってきてるのかな~? かな~? お姉さん困っちゃうなー」
なんていなされて、惨めな目に遭うのがオチだ。やはり人間、己の身の丈を超えるようなことは、妄想でとどめておくのが無難なのだろう。
「日常を壊すなよ~ 俺は普通に怠ける~♪」
持ち歌なんぞを口ずさみながら、少し歩調を落としてみる。そう、一時の激情に任せて、日常を壊してはいけない。
いけないと思うのだが・・・さて、俺はもしかすると、こんな言葉で自分をごまかして生きてきたのではなかろうか。
佐々木との一件にしろ、こなたたちとの日ごろの付き合いにせよ、あるいは日々の生活にせよ、俺は日常を壊さないということを言い訳にして、決断すべき事柄をみんな、先送りにして来なかったか。
決断することで自分の日常が「壊れる」のを恐れるばかりに・・・
「あらあら、こんばんわ。キョンさん・・・でしたっけ。今からお風呂ですか」
廊下の向こうからやってきたのは、黒井先生の大学時代の先輩にして、この旅館の若女将、神楽崎みなもさんだ。
「あ、こんばんわ。ええ、ちょっと汗をかいたもので・・・」
そう答えると、みなもさんは「どうぞごゆっくり」と頭を下げた後、いきなりくだけた口調に変わって、
「ななこたちはもう寝ちゃったの?」
「黒井先生とゆいさん・・・成実さんはまだ起きているんじゃないかと。あとの4人はもう寝てますけど」
「・・・ねえねえ、あの4人の女の子のうち、誰がキミの彼女なのかな? それともななこか、成実さんが彼女?」
「・・・いやいや、あの4人はみんな友達ですし、黒井先生は担任ですし、成実さんはあの4人の中の1人の従姉です」
「ほ~・・・そんな関係の女の子たちの中に、平然と1人混じっているなんて、キミはけっこう女の子慣れしてるのかな?」
「いやいや・・・そんなんじゃありませんよ・・・」
「ま、そういうことにしときましょ。それじゃ、おやすみなさいね」
なんか今のやり取りで、さらに自分の性格がイヤになった気がする。さ、はやく一風呂浴びて、息子の処理をしなくてはな。
少し歩いて振り返ると、彼が大浴場の脱衣所の扉を開けて、中に入ったのが確認できた。果たして彼は気づいているのだろうか。
今は浴室は片方だけしか使えず、実質朝6時まで混浴だということを・・・これから彼がどれだけ驚愕するか、なんかウブそうな彼の性格を考えると、少し気の毒な気もしなくない。ななこも人が悪いね。
携帯電話を取り出して、ななこに連絡。2度の着信音で繋がる。
「ななこ。キョン君今、浴室に入ったよ。どうもあの様子だと、今が混浴の時間帯だとは気づいていないみたいね」
「そうですか、分かりました。いや、わざわざお手数かけてすんません」
「ななこ、くれぐれもやりすぎるなよ。節度はもってな」
「ほーい、分かりました。そんじゃ」
いやいや、ホントあいつは、じき三十路になろうってのに、稚気が抜けないというのか。ノリが学生の頃のまんまだな。
それとも私が年齢以上に老けているのだろうか。ななこたちが少し羨ましくなる。
「ななこさ~ん、今の電話はどなたからですか?」
みなもさんや。大浴場の前に張ってもらって、キョンが間違いなく中に入るのをチェックしてもろてたんや。
あいつもここが、午前2時から混浴やとは知らんやろうけど、浴場はこの時間、片方しか空いてないし、もしかしたら気づくかもしれへんやろ。危険を察して逃げるかもしれん。そん時には、みなもさんに上手く言いくるめてもろて、浴場に誘導してもらう予定やったんや。
有難いことに、キョンはなんも気づかんと入ったみたいで、みなもさんに余計な手間かけさせずに済んだわ。
「ちょっと・・・ななこさんはこの計画に、自分の先輩まで抱き込んでいたんですか?」
そや、備えあれば憂いなし、水も漏らさぬ包囲網でキョンを追い込むんや。いや、なんか楽しいなこれ。
「・・・ななこさんって、恋愛では手練手管の限りを尽くした挙句、自滅するタイプじゃないですか?」
なんか言うたか。さ、ウチらもそろそろ大浴場に行くで。ここからの時間は、ウチら2人が主役や!
自分と同世代の可愛い女の子4人+年上で綺麗なお姉さん2人=計6人の女性と旅行に来て、4人全員から好意を寄せられ(黒井ななこ談)、
年上2人からも可愛がられて、エッチでアブない雰囲気にもなるのに、結局、逃げるように大浴場に来て、自分の右手で息子を慰める。こういうのをまさしく「へタレ」と言うのだろう。少し情けない気持ちになる。
それにしても、今回は何か違う。黒井先生の、ゆいさんのしどけない姿が、胸の谷間が、太ももが、さらにその奥の・・・がと、妄想が止まらない。
体が熱いし汗もすごい。とりあえず身体を洗おう、頭も洗おう。息子はそれまで待ってくれ。
シャワーの前に陣取り、タオルをぬらし、備え付けのボディソープのポンプを3、4回押してタオルにかけ、揉むように泡立てる。
・・・情けないかもな、オレ。
「はは、さすがのキョンも、ああいうシチュエーションで逃げ出したりすると、そんな気持ちになるんやな。安心したで」
そりゃオレだって男だから・・・って、ちょ・・・ちょっと先生、ゆいさん、なに2人して入ってきているんですか? ここは男湯・・・
「ありゃ、言うてなかったか。ここな、午前2時から翌朝6時まで、男湯か女湯のどちらかはメンテのため閉まってな、混浴になるんよ」
な・・・
「ありゃりゃ、キョン君固まっちゃったよ・・・そういうわけだから、一緒に入りましょー」
「そや、裸の付き合いといこ。さっきは挑発して、キョンに辛い思いさせたからの、サービスするで。餓鬼どもには内緒やで」
「お姉さんも反省してるにょろ。キョン君にはすっきりしてもらいたいっさ!」
・・・なんというサプライズ。って黒井先生、まさか最初からこれが目的だったんですか?
「察しええなキョン。その通りや」
あの・・・こなたたちはこのこと、知っているんですか?
「知ってるはずないやろ、ウチも混浴の件は一言も言ってへんし。年頃なのでこのことを教えるのは教育上良くない言うて、みなも先輩はじめ、ここの人にも口つぐんでもろうたしな」
「知ってたら大変だよー」
据え膳食わぬはなんとやら、理性で避けたと思ったらまたやってきましたよ。どうする、逃げるのか?
・・・黒井先生とゆいさんは、またこうやって、へタレな俺をからかうつもりなのだろう。ここに来るまでも色々と考えたが、
考えすぎて俺もちょっと疲れた。それにいくら考えても、股間のモノの収まりがつかないし。
むくっ、と俺の心の中の男の部分が鎌口をもたげる。どうせここから部屋へ逃げ帰ったって、悶々として眠れやしないんだ。
「そんなハァハァ興奮した状態で、女ばっかりの部屋に寝られても困るからな。泉たちに襲い掛かったりでもしたら、ウチ、親御さんに合わせる顔がないで」
「さっきキョン君を挑発したとき、実はこっちの方もちょっとヤバくなっちゃってね・・・あはは」
ここで堕ちた俺を誰が責められよう。なんてこたない、斜に構えて女に対しては紳士的態度を気取っていても、こういう所では所詮・・・
キョン、うちらな、タオル持ってきてへんのや。だから前も隠してない。お前も前を隠すな。イーブンでいこうや。
「分かりました」
なんや、抵抗されると思ったのにな。それじゃ・・・ってキョン、お前、童貞のクセに立派なモン持っとるやないか。ゆいさんも見てみ。
「お~・・・オラ・・・島でもこんな立派なハブ、見たことがないワ」
「ゆいさん。アンタ沖縄出身かいな?」
「いや・・・なんとなく一歩の島袋君みたいな感じで。でもキョン君、お姉さんびっくりだー」
「こんな凶器、股間にぶら下げてる分かったら、なおのことこのまま部屋には帰されへんな。玉袋しぼむまで搾り取るから覚悟し、キョン」
そんなにすごいとは思いませんけどね。でも、黒井先生やゆいさんは、それなりに男性経験はあるのでしょうから・・・褒め言葉と取っておきます。
「それにしても、分かっていたことですけど、黒井先生もゆいさんも、すごく綺麗な身体してますよね。その・・・胸も大きいし」
ありがとなキョン・・・ウチな、この体型維持すんのに、それなりに気ィ使こうとるんやで。そうは見えへんやろけどな。
「10代の時とは違いますもんね。あの子たちくらいの時って、あんまり体型とか体重とか気にしてなかったけど、それでも大丈夫だったんだよね」
「女の人って、綺麗でいるためにみんなとても努力しているんですね。頭が下がります」
そなら、これからのことは、その日ごろの努力のご褒美やと思うことにするわ。キョン、まずはお約束のあれ、やったるわ。あの4人だと高良以外は出来へんで。そりゃ。
胸からお腹にかけてボディーソープを垂らし、すこしシャワーで濡らしてから、キョンの背中に抱きついて背中をこすってやる。
ほれほれ、気持ちええやろ。思いっきり胸を押し付けて上下に擦って・・・いや、あかん。こっちも気持ちええわ。
「キョン君、鼻の下伸びてるぞ。こんな顔、こなたたちがみたら何ていうかな~」
鼻の下だけじゃのうて、チンポの方もビキビキに伸びて大変なことになっとるやろ。ゆいさん、そっちは頼むで。
「はーい」
それにしても、さっきは思わず照れ隠しでハブなんて言っちゃったけど、キョン君のってすごいな。
まだ洗ってないよね。それじゃお姉さんが洗ってあげるにょろー
ボディソープを手につけて、キョン君のをそっと握ってみる。うわ、熱くて固いや。ボコボコ筋立ってるし、亀頭も太い。
「カリ太ってヤツやな。あ・・・ゆいさん、あんま強くしごくとすぐ出てしまうで。ちいと加減してや」
「あの・・・どう刺激されても、そんな長く我慢出来る自信ないです」
「なんやキョン、おまえ早漏クンか。オナる時も意識して、耐久時間鍛えなあかんよ」
「流石に三擦り半ではいきませんよ・・・ここ4~5日くらいしてないんで、溜まってて」
なんのために溜めてきたのかなー。お姉さんに教えなさい。もしかしてこんなことを期待していたりしたのかな?
・・・・・・
「お、ノーコメントかいなキョン。ノーコメントは同意とみなすで。お前、あわよくば泉か柊姉妹か高良を毒牙にかけようとしてたんやな。
だとしたら、狙いが外れて残念やったな。溜めたモンは、ウチら相手にぶち撒くんやな」
ななこさんって、言う言葉言葉、ちょっとエゲつないですよね。チンポとか早漏クンとかオナる時とか・・・
さっきのお風呂のときにも、あの子たちの前で、教育者としてあるまじき単語を発していたような気が・・・
「なにカマトトぶってんのや。女同士の会話なんてそんなもんやろ」
ま、そうですけどね。TPOは弁えないと・・・よし、綺麗になったかな。それじゃお姉さんが、キョン君に至高の口技を見せてあげよう。
心置きなくイキたまへ~
ちょっと・・・黒井先生はともかく、ゆいさんはこれ以上はまずいんじゃ、だってけ・・・んぐっ!
「・・・こういうところで、野暮なことは言わないの」
キスから舌を入れて、たっぷり20秒くらい絡めてきてから、ゆいさんは口を放してこう呟いた。
口を放すとき、唾液が糸を引いたのが艶かしい。正直、頭の中の回線が纏めて4~5本、ぶちっと切れた気がした。
呆然とした俺を尻目に、ゆいさんが俺のモノを口に含んで、下をチロチロと・・・うっ・・・とても、気持ちいいです。
そして背中では、自慢のボディを駆使して黒井先生が奮闘中。膨らみの感触もさることながら、その、乳首が・・・
お父さん、お母さん、貴方の息子は上も下も今大変です。混浴は怖かところですたい。
・・・ていうかゆいさん、舌の使い方、吸うタイミング、たまに立てる歯、そこまで技を駆使されるともう我慢・・・アーッ(*´Д`)
「んー・・・むぐっ・・・けほっけほっ、ゲホゲホゲホゲホ」
「あー、大丈夫かゆいさん。こんなことで死んだらあかんで」
そんな2人の声を聞きながら、少し意識が遠のくのを感じた。精巣の辺りがキーンとすこし痛む。溜めすぎたモノを一気に出したときのあの感触だ。やべ、足腰立たなくなるかも。
目を開けてゆいさんを見ると、唇から下あごにかけて、真っ白い粘液をぶら下げながら息をついている。
「おーいキョン・・・ヤマトノリみたいなモン出すなんて、お前溜めすぎやで。えらい濃度やな」
シャワーを出して口をゆすいで、下あごについたものを洗い流し終えたゆいさんが、俺を見て一言。
「ごめーん、流石にあの量と濃さだと、飲み込むのは無理だよー」
いえいえ結構です。こっちこそ予告もなく、爆発して済みませんでした。ハァハァ。
「アブないとこやったな。根元まで咥え込んで、気管支にアレが入ったら下手すりゃ窒息死するで。ゆいさんもそんなんで死にたくないやろ」
黒井先生、俺もそんなことで人殺しになりたくないです。
・・・というとおもむろに、黒井先生は抱きついた体制のまま手を前に伸ばして、俺の股間をまさぐると、
「まだ出るな。でも直ぐは無理やろ。洗い流してインターバル入れよか。次はウチが搾り出す番やで」
・・・ふう、なんか俺も緊張というか、罪悪感が完全に解けちゃいました。こういうことって、経験がないとその実態以上に
深刻に事を捉え過ぎるのかもしれませんね。俺はどうも、頭や理屈が先行するタイプなんで特に・・・
身体を洗い流すと、そんなことをぼやきながら湯船に入る。なんか身体の中心から、どっと疲れが流れ出してくる感じがする。
こんなんで2回目が出来るのか?
「ま、確かにお前は妙に理屈っぽいトコはあるな。でもなキョン・・・」
なぜか俺の脚の間に割って入り、俺にもたれるというスタイルを取りながら、黒井先生が口を開く。
「感情やチンポでしかモノを考えんタイプより、100倍マシだと思うで」
お褒めの言葉は有難いのですが、黒井先生も女性なんだから言葉は選びましょうよ。その・・・チンポとか。
「な~に照れてんのやキョン。可愛いな」
そういって後頭部で俺の胸板をコンコンとつついて、ニパッと笑う黒井先生。ホントこの人、近くで見ると可愛いひとだなぁ。
これで彼氏がいないってのが信じられん。周りの男はどこに目付け歩いてんだ。
そんなことを考えながら顔を緩めていると、黒井先生がおもむろに、俺の手を取ると・・・自分の股間へと導いた。
「手持ち無沙汰やろ。ちょいと触ってみ・・・あ、中に指入れるのはあかんよ。湯の中やからな」
手を包み込む内腿の感触、陰毛の手触り、その・・・溝の感触、おもわずずーっと手を遊ばせたくなる。不思議だ。
「キョンは母親と妹以外のは、見たことないのかいな」
残念ながらございません。おそらくは、家族以外だと黒井先生とゆいさんがはじめてかと。
「そりゃ光栄だねー。こなたたちより私らのご披露が早いってのは、ちょーっと悪い気がするけどね」
身体を洗っていたゆいさんが、洗い終えて俺の隣に腰を下ろしながら言う。言葉と裏腹に、口調はあまり悪びれていない気がするが。
「同情することなんてあらへんよ。あいつらがモタモタしてんのが悪いんや。いくらキョンがニブチンでも、年頃の女が4人もいて好きな男の前で、3年がかりでも誰一人、パンツ一枚すら脱げんちゅうのは、なさけない限りや」
あのー、黒井先生、一応高校教師ですよね。教育者として今の言葉はまずいんじゃ?
「今のは女としての意見や。言うことなんて、立場が違えば変わるのは当然。それが大人やで」
「キョン君はこんな大人になっちゃダメだよー」
はい、黒井先生を反面教師として、心して自らを律して立派な大人になりたいと思う次第であります。
「こんなトコで、私らとこんなことしておいて説得力ないで、キョン・・・それにしてもオマエはホント、理屈先行の男やな。お前が一言、あの4人にパンツを脱げ言うたら、あいつらすんなりと脱ぐんやないか?」
どうでしょうね。今のところ試してみる気はないですけど、あるいは機会があれば・・・
「うま~く逃げたねキョン君」
「さて、一応オチがついたところで、第2ラウンドいこか。あんまり入ってるとのぼせてダウンやで・・・キョン、ウチでいっぱい出してや♪」
・・・なんか今の表情、胸にズキュンときましたよ。
「おー、ようやくこの朴念仁にも、男としての自覚が備わったようで結構なことや。じゃ、スペシャルサービスとイクで」
「あの・・・それってまさか・・・」
そや、女性の味方コンドー君や。女の子を妊娠から守ってくれる正義の味方やで。お前も保健の授業で見たことあるやろ。
「いや、幾らなんでもそれは知っていますよ。あのですね・・・それをここで取り出したってことは、つまり・・・」
キョンの童貞卒業や。いい機会やから、ウチが身体で教えたる。ホントは生でさせてやりたいんやけどな、ウチ、今は危険日なんよ。
堪忍してな。でも、最近のゴムは薄いから。そんなに感度は悪うないで、いっぱい出してや。
「キョン君。生でやりたいなら、ななこさんの後で私が相手してあげるよ。私ピル飲んでるから、中出しオッケーよ」
ちょっ・・・ゆいさん。アンタ、ピル使ってるちゅうことは、彼氏出来たのかいな。抜け駆けは悲しいで。
「いや、彼氏ってわけじゃないんだけど・・・ね・・・」
そか・・・ま、アンタも身体寂しいやろうからな。割り切って身体だけの付き合いの男作るのもしゃあないやな。病気には気いつけや。
「あの・・・それってやっばりマズいですよ」
そうか、ウチとそういうことするのはイヤか・・・
「いや、黒井先生が相手なのがイヤだなんてとんでもない。むしろ教えて欲しいくらいです。でも初めてってのは・・・」
あのなキョン。女の処女ってのは相応の価値があるけど、童貞ってのは何の価値もないで。これが世間の相場や。
それにお前・・・いずれ、あの4人の中から彼女を選ぶ場合な、あいつら全員男知らんで。処女と童貞で上手くいくかいな。
こういうときは男の方がリードせなな。なるべくはやく女の身体知っとき。ウチが教えたるよ。それともゆいさんの方がええか。
「はい・・・お願いします」
やけに素直やな。いつものお前なら、徹底して理論武装で抗うのに。
「考えるだけじゃなくて、実際にやってみてから考えるのもいいかと思って・・・それに、こんな場所であれこれ思索をめぐらのも何か空しくて・・・」
そならイクで。ウチが付けたるわ。いや、男にこうしてゴムつけてやるなんて、随分久しぶりやな。
最初はウチが上になるで。キョンもタイミング合わせて腰を動かしてみてや。
多分初めてじゃ、騎上位でイクのは難しいから、頃合を見て正常位に切りかえるで、それでええな。とにかく腰の使い方と、角度を身体で確認せえよ。
ほなら、いくでキョン。
こういう場所で、人がしているのを見るっていうのもなんかアレですね。
それにしても黒井先生、教えてやるとかいいながら、自分の方が気持ちよくなっちゃってるのはどうなのでしょう。
具体的に2人が何をしたとか、どんな声を出したのかとか、ナニがアレしてナニが飛んでどうだとか、そういうことは敢えて言いません。
人のエッチの描写なんて面白くないですから。
でも・・・見てると私も我慢出来なくなりそうです。旦那いるのにな、ごめんねきーくん。
やっばりダメだわ。私。
2人が事を済ませて、ヨロヨロしながら身体を放すのを見た私は、思わずキョン君に声をかけました。
「キョン君、次は私ね」
・・・実は私、旦那以外の男知らないんだよね。
この日はじめて、私は旦那以外の男の人と・・・その・・・しちゃいました。具体的なことは勘弁してください。
記憶は私たち3人の中だけで。
「いやー、久々に堪能したって感じや。それにしてもゆいさん、アンタ可愛い顔してすごい声出すんやなー。
流石にあいつらに聞こえるとヤバい思ったんで、悪いけどキョンが持ち込んだタオルで、口に猿轡かまさせてもらったわ。いきなりで堪忍な」
旦那とエッチしているときも、声と表情がすごいって言われるんですよね。私。
「ま、ウチらが滞在している間は、ウチらしか宿泊客おらんからええけどな」
それも仕込みなのですか。いったい今回の計画のために、どこまで手を回しているんですか?
ななこさん、貴女って人は・・・
「どやキョン。おまえもこれでぐっすり寝られるやろ。といってもあと2時間くらいしか寝られへんか、はは・・・」
ぐっすりというより、搾り取られてぐったり、寝たらそのまま二度と目を覚まさなかったりして・・・私らそうしたら人殺しになっちゃいますね。
「男を乗り殺したなんちゅうことになったら、ウチ、一生結婚出来へんかもなぁ」
「・・・・・・」
キョン君、メチャクチャ憔悴しきってます。視点が定まってません。ほら、肩貸してあげるね。
さあ、明日は明日の風が吹く。明日も頑張ってイキまっしょい!
キョン「俺・・・いや、もうどうでもいいや・・・」