兔の歌6

269 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/07/25(水) 00:30:46.89 ID:M9ydv4wv0
「目の前にある答え……それは、限りなく遠く限りなく近い場所にある。
 貴様は、それに気づけない。いや……気づこうとしていない」

 男性は、クルリと踵を返し私を見る。

「さて、おしゃべりは此処までだ。後は、貴様が答えを出せ」

 そして、突然の一陣の風が吹く。
 いったい、貴方は私に何が言いたいの? と、聞く事は結局できなかった。

273 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/07/25(水) 00:32:22.37 ID:M9ydv4wv0
「……さん」

 誰かの呼ぶ声が聞こえる。

「あ………さん」

 誰? そして、私は今何をしているの?

「あ……くらさん」

 私は、瞼をゆっくりと開ける。

「あ、起きたね。朝倉さん」

 其処に居たのは……泉さんとキョン君。そして、涼宮さん。

「よぉっくこんな炎天下の中、昼寝なんて出来るわねぇ」

 やや呆れた口調で涼宮さんが、ため息混じりに言う。
 昼寝? 私は、寝ていたの?

「屋上の幽霊もお前か朝倉」

 と、キョン君が言う。

275 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/07/25(水) 00:33:35.61 ID:M9ydv4wv0
「フォッフォッフォッ。正体見たりぃ」

 泉さんが、何故か老人染みた笑い声の後にそんな事を言う。

「もう、学校終わってるわよ? ってかアンタ一体何時から此処にいたのよ?」

 単純計算したら、学校が始まってからだと思うわ。

「まぁんな事より。さっさとスタバ行こうぜ? 冷たいモンのみたい」
「勿論キョンキョンの驕りだよね?」
「なんでだよ」
「え? キョンキョンが驕るのは、世界が定めた運命だヨ? ねぇ? ハルハル」
「そう! 世界……もとい、私が定めた運命! 諦めなさい! キョン!」
「頼むもんは俺が決めて良いな? ホットスプレッソのエスプレッソショット追加で出してやろうか?」

 賑やかねぇ……

278 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/07/25(水) 00:35:01.31 ID:M9ydv4wv0
「やっぱ驕りは良くないよね! ハルハル!」
「そうね! やっぱ自分のは自分で払うのが、普通よね!」

 そういいながら、泉さんと涼宮さんはそそくさと屋上を去ってゆく。
 そんなに、イヤなのだろうか? ホットのエスプレッソにエスプレッソショット追加。

「おい、朝倉。何呆けてるんだ? お前も行くんだぞ?」
「え? 行ってもいいの?」
「いいんだよ」

 キョン君は、頭を軽く掻きながらに行った後、泉さん達の後をゆっくりとした歩調で追う。
 私は、ベンチから立ち上がり泉さん達の後を追うのだった。
 今日分った事は一つも無い。
 だけど、悪い気分はしなかった。

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最終更新:2007年07月25日 01:09
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