柊かがみの分裂・後編

そのまま真っすぐ家に帰ったのだが、特別何もおこらずゆっくり床に就くことができた
今日の橘の話は馬鹿げているが、まぁあの二人はそんな事望んじゃいないし心配することではないだろう
気づいてる人もいるかもしれないがここからは俺、キョン視点でいくぞ。理由はそっちの方が面白いからだ。
まぁそんなことはおいといて本題だ。その日は電波話を聞いただけだったんだが、事件は次の日に起こった

こなた「キョンキョン!」

いつも通り学校に行き、教室に入ると違うクラスのはずの泉こなたがいた。
やめろ、ただでさえ変なあだ名だっていうのにそんな80年代アイドルみたいによばれたくない

こなた「そんなこと言ってる場合じゃないんだよ」
つかさ「そうなの!お姉ちゃんが昨日からいないの」

つかさちゃんまでいるや・・って何だって!?

キョン「かがみがいないだって?」
つかさ「うん、昨日の朝出かけてからずっと戻ってこなくて・・」
こなた「それでもしかして学校に・・と思ったけどやっぱりいないみたいなんだよ」
みゆき「私達も何もわからなくて」
こなた「だからキョンキョン何かしらない?」

知らなくもない、なぜなら昨日俺はかがみにあってたからだ。橘の話を聞いてそれからわかれて・・
つまりかがみがいなくなったのはその後ということだ。嫌な予感がよぎる。頼む違ってくれ!
しかし昨日の事を説明するのは難しい。ここは知らないふりをするのがいいだろう。

キョン「いや、知らないな・・」
こなた「ほんとに?」
キョン「・・ああ」

こいつは独特の雰囲気を持ってるな。思わず知ってると言いそうになっちまった。

ハルヒ「探しに行くわよ!」
キョン「うお、お前どこにいた」
ハルヒ「さっきからいるわよ。それよりも行方不明のかがみ。これは事件よ!」
キョン「何でお前はそんなに軽いんだ。誘拐されたかもしれないんだぞ」
ハルヒ「かがみは誘拐なんかされないわよ!きっと家出よ家出!」
つかさ「家出?何か悩んでたのかな?お姉ちゃん・・」
ハルヒ「妹に言えない悩みの一つや二つあるわよ。とりあえず放課後はかがみ捜索よ」

こいつにはきっとわかるんだろうな、かがみは大丈夫だって。じゃなきゃこんな事は言わん
しかし普段の俺ならこいつの意見に賛成してる所だが、今回は心配事項があるからな・・

その放課後SOS団とかがみのお友達3人でかがみ捜索作戦(命名ハルヒ)をすることになり
かがみの家にやってきたわけだ。神社は行った事があるが、家に入るのは初めてだ

ハルヒ「とりあえずかがみの部屋を見せてちょうだい!手がかりが見つかるかもしれないから」
つかさ「え、いいのかな?勝手に部屋にいれて・・」
ハルヒ「勝手にいなくなる方が悪いのよ、ここね?出てこいかがみー!」

まあなんという無茶ぶりだ。それよりもこれでいいのか?こんな形でかがみの部屋に入っていいのか?
だがその葛藤も誘惑に負け、あっさり部屋に入ってしまった。

キョン「きれいさっぱりしてるんだな」
つかさ「うん、お姉ちゃんは私と違ってきっちりしてるから」
キョン「これはなんだ?」

ずいぶん高価そうな箱が大切そうに飾ってあった。

つかさ「あ、それはダメ。お姉ちゃんに絶対触るな!っていわれているから」
ハルヒ「へぇ~そういうのが怪しいのよね!えい!」

といってハルヒはその箱を開けやがった!つかさちゃんが困ってるぞ
こいつは危険!クマ出没!なんて看板があってもおそれず進むんだろうな・・
俺も悪いとは思いつつ箱の中身を見た。中にはポッキーの箱が入ってた。

ハルヒ「何よ?これだけ?」
つかさ「そうみたいだけど・・何でポッキー」
ハルヒ「はっはーんこれはかがみの非常食ね!何かあったときのためにお菓子をとっておいてるのね」
キョン「一体何があるんだ」
ハルヒ「知らないわよ。つかさちゃんが食べないようにこんな箱にいれるなんてケチな女ね!」

俺は別の事を思い浮かべていた。それは前の七夕、かがみの誕生日の事だ。俺はかがみに
ポッキーをあげた。・・偶然だよな。いくら何でも今までとってるなんて事ないだろ

ハルヒ「もうここには何にもないわねー次は街を探しましょ!」

そういって俺たちはかがみの家を出て街を探すことにした
ハルヒがこんなんだから忘れていたが、俺には心配事項があるんだった
それがもし事実ならおしまいだ。まさかそんなことはないだろうと思っていたが
俺はそれを事実として認めてしまいそうになる。見覚えのある二人が
前から歩いてきたからである。

ハルヒ「あら?あんた達は・・」
橘「どうも涼宮さん」

間違いない、佐々木と橘だ。俺はこいつらを探していた。聞かなきゃいけないことがある

キョン「おいお前ら!かがみをどこやった?」
橘「へ?かがみ?何のことかしら?」
キョン「ふざけんじゃねえ!お前ら知ってるんだろ!」
橘「何のことよ、知らないわよ?ねぇ佐々木さん」
佐々木「・・・」
ハルヒ「そうよキョン!この人たちがかがみを知ってるわけないじゃない!」

違うんだハルヒ!こいつらはかがみの事を知ってるんだよ。それで・・
いや考えたくない。でも何でだ佐々木!何で何も言わず下を向いているんだ

ハルヒ「ほらキョン行くわよ」
キョン「ちょ、ちょっと待て」
橘「探しものか~あなたならすぐ見つかるはずなのにね~」
ハルヒ「・・?よくわかんない人ね」

おいおい、まさか本当に・・?

ハルヒ「見つからないわね~今日はもう解散」

大分日が暮れてきたころハルヒはそういった。ハルヒ曰く「そのうち出てくるわよ」
という事である。猫じゃあるまいし・・でもハルヒが心配していないということは
大丈夫なのか?いや、あの橘の態度、あれはまるで・・その時長門が口を開いた

長門「柊かがみを認識できない。でも状態は安定している」

そうだ、何故俺はこいつに気かなかったんだ。こいつなら何でもわかるじゃないか
でも今なんていった

キョン「かがみを見つける事ができないのか?」
長門「そう・・原因は不明。でも今のところ影響は見られない」
キョン「じゃあどうすればいい」
長門「待つしかない」

そういって長門は俺に背を向けた。何てこった!本格的に危ないぞこれは
そのあと俺は一人家に向かっていた。そこに一人の女が現れた・・佐々木だ

キョン「おい佐々木!お前知ってるんだろ?かがみがどこいったか。教えてくれ」

その佐々木は、その佐々木の姿をした女は俺にこんなことを言いやがった

佐々木「・・キョン君」

おかしくなっちまったのか佐々木?お前は俺を呼ぶときそんな事いわないはずだろ?
どうしちまったんだよ佐々木!

佐々木「キョン君、私だよ・・かがみだよ」
キョン「う、嘘だ!何言ってるんだ佐々木!ふざけんのもいいかげんにしろ!」
佐々木「ホントなの・・私あの後佐々木さんと二人で帰ってて・・気づいたら、ぐすっ・・」

何だ何を泣いているんだ佐々木?何でお前はそんな訳わかんないことを言ってるんだ

佐々木「私、一人の人間に戻っちゃったの・・」
キョン「いい加減にしろ!何でだ、何でこんな事に・・嘘だろ?嘘って言ってくれ!」
佐々木「キョン君・・」
キョン「・・何か方法があるんだろ?」
佐々木「・・・ないの」

こんな事あるか、あってたまるか!元々一人だった人間が二人に分かれて
それが佐々木とかがみで、それが元の一人の人間に戻っただと?ふざけんな!
そんな事・・そんな事あってたまるか!

佐々木「キョン君・・私、また消えちゃいそう・・」
キョン「ま、まて!」

いいのか、このままだとかがみは消えちまうぞ。言え、言え俺!

キョン「かがみ!好きだ!」
佐々木「え?」
キョン「今まで言えなくてすまん。あの時も、お前が死んじまうって時にも俺は言えなかった・・」
佐々木「・・キョン君」
キョン「ずっと好きだった。だから、頼む!消えないでくれ」
佐々木「キョン君・・ありがとう」

俺はかがみを抱きしめた。消えないように・・
目を開けると俺はかがみ、人格じゃない、かがみの姿をした女を抱きしめていた

キョン「かがみ?」
かがみ「あれ?姿が・・何で?佐々木さん?」

かがみはおどおどしながら自問していた・・そしていきなり目つきが変わったかと思うと
そのかがみは俺にこういった

かがみ「やぁキョン」

ちょっと落ち着かせてくれ。今まで散々へんてこな目にあったが今回は強烈すぎる
さっきは佐々木の姿をしたかがみが現れ、こんどは何だ?かがみの姿をした

キョン「佐々木か?」
かがみ「その通りだよ、いや驚かせてすまない、まさか僕もかがみの姿になるとは思わなかった」
キョン「なぜだ・・なぜなんだ佐々木。何でこんな事をした!」
かがみ「・・すまないキョン、僕は君を騙した」
キョン「お前・・それ本気でいってるのか?」
かがみ「そうだ、少し君の認識と違いはあるだろうけどね」
キョン「ふざけんな!いくらお前でも、これは許されることじゃねえぞ!」
かがみ「落ち着いてくれキョン、僕は確かに君を騙した。しかしそれは君とかがみのためだ」
キョン「俺とかがみのため?これのどこが俺たちのためだっていうんだ」

かがみ「君はかがみに自分の思いを伝えられたじゃないか」

 ・・何だ佐々木、どういうことだ?

かがみ「そのままの意味だ。かがみが君の思いを知るために、僕たちは一つになった」
キョン「な、まだよくわからないのだが」
かがみ「一から説明しようか。昨日のあの後僕とかがみは二人で帰ったんだよ。色んな事を
    かがみは話してくれた。そして僕に色んな事を聞いてきた。どんな事だかわかるかい?」
キョン「・・わからん」
かがみ「全部君の事だよ、キョン。かがみは僕にキョンの中学時代はどうだったかとか、僕とキョンとの
    関係は何なのかとかね。そしてこんな事もいっていたよ」

かがみ「ねぇ佐々木さん・・私キョン君に告白したんだけど、キョン君は返事をしてくれないの・・」

かがみ「どういうことだかわかるね?僕はかがみから聞いたからわかる。君は告白されて、
    いやそのもっと前からかがみの気持ちを知っていた。でもそれに応えようとしなかった」
キョン「・・・」
かがみ「僕は君の性格を知っているからわかる。君は甘えていたんだ。かがみは自分の事を
    好きでいてくれる。だからまだ応えなくて大丈夫だと」
キョン「・・そうかもしれん」
かがみ「だけどかがみがどんなに不安だったかわかるかい?君が返事をくれない。
    もしかしてキョンは自分の事が好きじゃないんじゃないかってずっと思ってたんだ」
キョン「かがみ・・」
かがみ「そして君からもらった誕生日プレゼントを大事にとっているんだよ。
    君の好意を忘れないように・・」

情けない。ずっと言うのが恥ずかしくて言わなかった。それ以上にかがみが不安に思っているのも知らないで・・
すまない、かがみ

かがみ「だから君の思いを知るために一つになったんだ。ここまで他人に感情移入できるなんて
    本当に僕たちは一人の人間かもしれないな」
橘「嘘よ!」
キョン「橘!」

かがみの、いや佐々木の後ろに橘京子が立っていた。

橘「嘘よね佐々木さん?涼宮さんと対抗する神になるために一人になったんじゃないの?」
かがみ「すまない、今いった事が全てだよ」
橘「何で?全部あなたの思い通りになるのよ?あなたなら何だってできるのよ?」
かがみ「僕は今の生活に満足している。変えようとも思わない」
橘「・・でもね、でも一人の人間になっちゃったからあなたはもう元に戻れないわ」
かがみ「そうよ!それはどうするの佐々木さん」
かがみ「大丈夫だよかがみ」

非常に奇妙な光景だが起こっている事は大体わかる。かがみの中でかがみと佐々木が交互に
出ているのだ。何か言ってて俺もわからないがつまりそういうことだ。

かがみ「今聞いたばかりじゃないか。僕とかがみが力を合わせれば、何だってできる」

橘「!・・ダメ!」

分裂をとめようとした伸ばした橘の腕を・・二人の手が握っていた

佐々木「すまない、僕は僕だ。まだやることもたくさんあるしね」
かがみ「そういうこと、ゴメンね神になれなくて」
橘「うう、もう何でいつもこうなのよー!いい?ぜ~ったい私は諦めないからね!覚えときなさい」
キョン「どんな悪役の捨て台詞だ」

そういうと橘さんは走って帰っていった。くじけない人ね・・

キョン「かがみ。すまない。お前を不安にさせて俺は・・」
かがみ「もういいの。キョン君の気持ちが、聞けたから」
佐々木「・・じゃあ僕はお邪魔のようだから帰るよ」
かがみ「あ、佐々木さん。本当にありがとう」
佐々木「いや、礼には及ばない。僕の意志でもあったからね。それとキョン」
キョン「何だ」
佐々木「君は鈍感だ。僕は君のそういう所が好きなんだが、時にそれは人を傷つける事を忘れないでくれ」
キョン「・・ああ、ありがとな佐々木」
佐々木「じゃあね、かがみ。キョンをよろしく」
かがみ「うん!」

そういうと佐々木さんは帰っていった。ありがとう佐々木さん

キョン「ふう~でもな、俺だって心配したんだぞ」
かがみ「ゴ、ゴメン・・あ、じゃあこれで許して!」
キョン「うわっ!」

キョン君の頬にキスをした。スゴイ顔が赤くなってるよキョン君!

キョン「い、いきなりするからだ・・ほら帰るぞ」
かがみ「あ、待ってよー!」

私達は歩き出した。二人の道を。でもまだそれを伝えてない人がいる
いつかは伝えなきゃいけないけど、きっとわかってくれるよね?ハルヒ・・
あと家に帰ってお父さんやお母さん、お姉ちゃん、つかさにまで怒られたことと
あれから佐々木さんとは連絡を取り合ってたまに遊んでいるのは秘密ね

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最終更新:2007年11月04日 23:55
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